函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

太平洋戦争にみる軍隊の実態

2018年03月14日 08時48分17秒 | えいこう語る

▼森友問題はさて置き、自民党憲法改正推進本部が、3月25日の党大会の向けて快進撃を続けている。いよいよ大本命の9条改正に、攻め入るようだ。

▼9条2項を残し、別建ての「9条の2」を新設し、外堀を埋め本丸を落とす作戦のようだ。「必要最小限度の実力組織」とし自衛隊を明記し、陸海空軍その他の戦力は保持しないという9条2項を、壊滅させる戦法らしい。

▼この改憲案では、いずれ自衛隊は軍隊となる。軍隊となれば「必要“最大限”の実力組織」でなければならない。弱い軍隊など、必要ないからだ。

▼国民が安心できる強い軍隊とは何か。敵国が保持している強力な武器より、さらに強力な武器を持たなければ、国防など期待できないからだ。

▼「必要最小限度の実力組織」といえども、最低でも「核保有」はしなければならない。米国の核の傘下にいることで「抑止力が保たれる」と政府は公言してきたからだ。

▼その証明が、被爆国でありながら、米国の核の傘下に頼り、国連の「核兵器廃止条約」に参加しないからだ。核爆弾の原料になるプルトニウムは、多量に貯蔵しているのが我が国だ。

▼我が国がその条約に反対するのは、軍隊を持ったら核保有したいといっているのだ。自前で持てなくても、軍事同盟を結んでいる米国から、借りることはできる。日米軍事演習で、共に戦う訓練を行っているからだ。

▼保坂正康著「あの戦争は何だったのか」を読み終えた。太平洋戦争は先制攻撃の半年ぐらいが勝っていたが、後は負け戦だった。だが、大本営発表という嘘をついてまでも戦争を終えることができないのが軍隊の本質だ。

▼最後までポツダム宣言を拒否した、陸軍大将阿南惟幾は、8月15日朝、陸軍を代表する立場としての自覚から自刃する。「一死以て大罪を許し奉る。神州不滅を信じつつ。」と遺書に残していたという。

▼自決の前、首相の鈴木貫太郎に会い、自分の立場から迷惑をかけることが多かったといって詫びていたという。潔し、あっ晴れ、日本男子と言っていいのだろうか。

▼あの戦争では「一億総特攻」とか「国民の血の最後の一滴まで戦う」というスローガンが指導者によって叫ばれた。今の北朝鮮の姿が、あの戦争の時の日本の姿なのだ。

▼太平洋戦争を正邪で見るのではなく、この戦争のプロセスに潜んでいるこの国の体質を問い、私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切り込んでいく。

▼あの戦争の中に、私たちの国に欠けているものが何かがそのまま凝縮されている。戦略、つまり思想や理念と言った土台はあまりにも考えずに、戦術のみにひたすら走っていく。対症療法にこだわり、ほころびにつぎをあてるだけの対応策に入り込んでいく。

▼現実を冷静にみないで、願望や期待をすぐに現実に置き換えてしまう。太平洋戦争は今なお私たちにとって、“よき反面教師”なのであると、保阪氏は締めくくる。

▼どんな抵抗にあっても、ものともせず走り続けるアベ総理も、自衛隊の総指揮官である。だが、阿南大将のような覚悟はあるのだろうか。

▼森友問題もいよいよ終焉を迎えようとしている。負け方にも良い負け方と悪い負け方があるといわれる。我が国の総理として、どちらを選ぶか、総理の哲学が試されている。