湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

現われて消える言葉

2016-02-08 08:19:09 | 
裏庭にふきのとうが出てきました。
 
では、先日の合評会で下記のNの詩について話し合ったことを投稿します。
   dormant 眠っている…
dormant
という言葉が
ある日 あたまの中に響いてきて
止まらない
道を歩いていると
dormant, dormant…と
鼓動といっしょに響く
そうだね、火山が
地殻の奥で ぼこぼこ言っている感じ
dormant, dormant
dormant volcano….
しばらく そのままにしておく
言葉が現れると 止まらないので
それはそのまま
空中にぽっこり浮かすしかない
買い物に出ているうちに
消えるよ
消えなくても ときどき 膚に貼りついては 離れて
くるくる回りながら
わたしから遠ざかってゆく

:作者の弁 :評者の弁
 dormantって鼓動を表す擬音みたい。フランス語の「眠る」という動詞の複数一人称ですか?
 英語で「眠っている」「休んでいる」という形容詞です。
 まん中へんでvolcanoという強い単語が浮かんできたのに休火山のまま終わっています。
 確かに、火山にフックをかけて膨らませればもっとインパクトのある詩にできましたね。
 最後から4行目に「消えるよ」とあることからも、作者は静かに休みたいのかな?と思いました。
  詩を書こうとしている時に言葉が浮かんだまま消えない状態もイメージしました。
 私も主題はdormantというひとつの単語ではなく言葉全般だという気持ちで読みました。
 「消えるよ」という口語的で親しみのある言い回しは、効果を出しています。 
  全体的に事件が起きない、何かを熱望しない、絶望もない、穏やかな感じ。こういうふうに書くのも勇気のいることです。
 ありのままに書いてしまった結果です。

さて、新しい共通テーマは「雫」と「揺れる」です。どちらかの語から詩のイメージを膨らませてください。両方を組み合わせてもOK。
3月3日までに、なるべく早めに出してね。
コメント
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