水戸の梅まつりも送梅の時になってきました。表門と東門で輝いている梅について。
無類絞りB10-010蓮久x@表門外1703210032 posted by (C)雑草
表門に向かって左側の十月桜の隣の梅がとてもきれいです。今年は赤花の枝も見えます。
無類絞りB10-010蓮久x@表門外1703210036 posted by (C)雑草
何という名前の梅だろうかと名札を探しても見当たりません。
無類絞りB10-010蓮久x@表門外1703210033 posted by (C)雑草
表門からいらっしゃるお客様を最初にお出迎えする梅の花は、右側の真っ赤な緋の司と左側のこの花です。緋の司が盛りを過ぎた今は左側のこの梅が主役です。そこで何とか名前をと、雨の中師匠の所に花を持ち込み、見ていただいたところ、どうやら無類絞りではないかとわかってきました。図鑑で見てもそっくりです。
さて東門でも負けず劣らぬ美しい花が咲いています。
八重西王母とハナアブ@東門1703220036 posted by (C)雑草
この梅の木は数年前にデビュウしたばかりで、今年はこの場所に馴染んだのかとっても美しい花をたくさん咲かせました。ちょっとした記念写真の人気スポットになっていますが、まだ梅の名札がついていません。
八重西王母とハナアブ@東門1703220041 posted by (C)雑草
ハナアブでしょうか。蜜を求めて数匹来ていました。
名前を検討した結果は八重西王母と思われます。この八重西王母についてはふたつの図鑑を調べた所、八重西王と八重西王母と名前にわずかに違いがありました。どちらが正しいのかを検討しました。
近年の図鑑では、八重西王母です。少し前の図鑑では八重西王となっていました。どちらも権威ある方の図鑑だけに迷いました。
そこで、もう少し時代をさかのぼって見ました。
1703210040梅花名品集 posted by (C)雑草
昭和13年の梅花名品集です。これには八重西王とありました。昭和7年の梅花名品集も八重西王でした。
(2段目中央の紅筆性の部の最後(青軸性の部の右隣)が八重海棠でそのまた右隣に八重西王とあります。)
この資料から戦前は八重西王であったようです。私の師匠も八重西王と記憶しておりました。師匠はもちろん戦後の人ですが、お父様は梅の御三家と言われるほどに戦前ご活躍をされたお方でした。
というわけで、とりあえずの結論としては八重西王が正しいのかと思いました。が、ではなぜ、近年の梅図鑑やネットにも八重西王母なる名前が出てきたのか。
それは一重咲きの梅の品種で、この花によく似たものに西王母というのがあります。西王母によく似ていて八重咲きとなると、八重西王母が正しいように考えてしまいがちであるから、いつのまにか八重西王ではなく八重西王母が正しいと変わってしまったのではないか?。
師匠。そうですよね。八重西王が八重西王母に変わってしまったのでしょう。と確かめるように尋ねると、いや、どちらが正しいかわからない。もしかすると八重西王母が正しいかもしれないと自信がなさそうでしたが、とりあえず昔は八重西王であり、八重西王が正しいようだと偕楽園さんに伝えました。
023千歳菊 朱梅 朝日貝 月影1702030052 posted by (C)雑草
ところが、偕楽園さんからは、先に師匠から借りて複写した江戸時代の梅図鑑である韻勝園梅譜には、千歳菊を一名八重西王母という説明がある。しかし、近年の梅図鑑では千歳菊と八重西王または八重西王母が別品種になっているとの連絡をいただきました。
韻勝園梅譜をよく見ると、千歳菊の項で、千歳菊によく似た八重西王母という品種があるということが書かれていました。韻勝園梅譜には八重西王母の絵はないのですが、千歳菊の絵があり、これによく似ているということです。
それで、江戸時代は八重西王母、昭和初期には八重西王、近年になってまた八重西王母と品種名の変遷があり、八重西王と八重西王母のふたつの名が混在することになったと考えられました。
そこで西王母の伝説について調べてみると、西王母に対比して東王父は出てくるが、西王なる主たる登場人物(仙人、妖怪など)は見当たりませんでした。このことから西王はないので梅の品種名としても八重西王より八重西王母とした方がよいのではと結論したわけです。
でも、この場合は西王とは崑崙山を意味するようで、雪を頂いた崑崙山の山並みが朝焼けになって、夜が明けてゆくときの情景を思い浮かべてみると、この八重の梅花がそのようにも見えてくるような気がするのですね。
無類絞りB10-010蓮久x@表門外1703210032 posted by (C)雑草
表門に向かって左側の十月桜の隣の梅がとてもきれいです。今年は赤花の枝も見えます。
無類絞りB10-010蓮久x@表門外1703210036 posted by (C)雑草
何という名前の梅だろうかと名札を探しても見当たりません。
無類絞りB10-010蓮久x@表門外1703210033 posted by (C)雑草
表門からいらっしゃるお客様を最初にお出迎えする梅の花は、右側の真っ赤な緋の司と左側のこの花です。緋の司が盛りを過ぎた今は左側のこの梅が主役です。そこで何とか名前をと、雨の中師匠の所に花を持ち込み、見ていただいたところ、どうやら無類絞りではないかとわかってきました。図鑑で見てもそっくりです。
さて東門でも負けず劣らぬ美しい花が咲いています。
八重西王母とハナアブ@東門1703220036 posted by (C)雑草
この梅の木は数年前にデビュウしたばかりで、今年はこの場所に馴染んだのかとっても美しい花をたくさん咲かせました。ちょっとした記念写真の人気スポットになっていますが、まだ梅の名札がついていません。
八重西王母とハナアブ@東門1703220041 posted by (C)雑草
ハナアブでしょうか。蜜を求めて数匹来ていました。
名前を検討した結果は八重西王母と思われます。この八重西王母についてはふたつの図鑑を調べた所、八重西王と八重西王母と名前にわずかに違いがありました。どちらが正しいのかを検討しました。
近年の図鑑では、八重西王母です。少し前の図鑑では八重西王となっていました。どちらも権威ある方の図鑑だけに迷いました。
そこで、もう少し時代をさかのぼって見ました。
1703210040梅花名品集 posted by (C)雑草
昭和13年の梅花名品集です。これには八重西王とありました。昭和7年の梅花名品集も八重西王でした。
(2段目中央の紅筆性の部の最後(青軸性の部の右隣)が八重海棠でそのまた右隣に八重西王とあります。)
この資料から戦前は八重西王であったようです。私の師匠も八重西王と記憶しておりました。師匠はもちろん戦後の人ですが、お父様は梅の御三家と言われるほどに戦前ご活躍をされたお方でした。
というわけで、とりあえずの結論としては八重西王が正しいのかと思いました。が、ではなぜ、近年の梅図鑑やネットにも八重西王母なる名前が出てきたのか。
それは一重咲きの梅の品種で、この花によく似たものに西王母というのがあります。西王母によく似ていて八重咲きとなると、八重西王母が正しいように考えてしまいがちであるから、いつのまにか八重西王ではなく八重西王母が正しいと変わってしまったのではないか?。
師匠。そうですよね。八重西王が八重西王母に変わってしまったのでしょう。と確かめるように尋ねると、いや、どちらが正しいかわからない。もしかすると八重西王母が正しいかもしれないと自信がなさそうでしたが、とりあえず昔は八重西王であり、八重西王が正しいようだと偕楽園さんに伝えました。
023千歳菊 朱梅 朝日貝 月影1702030052 posted by (C)雑草
ところが、偕楽園さんからは、先に師匠から借りて複写した江戸時代の梅図鑑である韻勝園梅譜には、千歳菊を一名八重西王母という説明がある。しかし、近年の梅図鑑では千歳菊と八重西王または八重西王母が別品種になっているとの連絡をいただきました。
韻勝園梅譜をよく見ると、千歳菊の項で、千歳菊によく似た八重西王母という品種があるということが書かれていました。韻勝園梅譜には八重西王母の絵はないのですが、千歳菊の絵があり、これによく似ているということです。
それで、江戸時代は八重西王母、昭和初期には八重西王、近年になってまた八重西王母と品種名の変遷があり、八重西王と八重西王母のふたつの名が混在することになったと考えられました。
そこで西王母の伝説について調べてみると、西王母に対比して東王父は出てくるが、西王なる主たる登場人物(仙人、妖怪など)は見当たりませんでした。このことから西王はないので梅の品種名としても八重西王より八重西王母とした方がよいのではと結論したわけです。
でも、この場合は西王とは崑崙山を意味するようで、雪を頂いた崑崙山の山並みが朝焼けになって、夜が明けてゆくときの情景を思い浮かべてみると、この八重の梅花がそのようにも見えてくるような気がするのですね。
いつも公園でのご奉仕ありがとうございます。各門を代表する木にしたい梅の木ですから名前がわかってきたのでよかったと思っています。今日も公園事務所で確認してきましたがこの名前に落ち着くとおもいます。八重西王母については苗木畑にあったときの名札と違う花が咲いたので札落ちしていました。偕楽園としては初になります。成長して東門の看板木になってほしいですね。
表門の木はながらく蓮久の名札がついていた木でしたが、白材のため札落ちしていました(蓮久は紅材)。今年も見事な花を咲かせましたので、何としても名前を確認すべきと花を持参して確認していただくなどしていました。
歴史アドバイザーの皆さんのお仕事がやりやすくなって偕楽園の魅力をお客様にますます伝えていただきたいと思います
正しい名前がつかないと歴史に残る問題となりますよね、偕楽園の将来にむけて今後とも雑草さんのお働きに期待いたします!!
お客様が最初に見るきれいな梅の花だけに、名前を出せないものかと長い間思っていました。師匠の言われた候補をもとに偕楽園さんが決めてくれました。
偕楽園の梅は実生とか、実をとるために集めたものが多いので、もともと名前が定かではないものが多いのです。昭和の初めに名前を調べたのでだいぶわかってきたのですが、その当時の名前すらわからなくなってきましたから、こんどは平成の調査で分かっているものが末永く保存されることを願っています。