
直接現地で観た試合のヴァンフォーレの選手たちの活躍を独自の視点で辛口に評価&採点する独自採点のコーナー。今回の対象試合は、10月16日に日産スタジアムにて行われた天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会決勝 サンフレッチェ広島戦です。
河田(8.5)→ミスもほとんどなく流れのなかからのシュートを何本も防ぐなど、シュートセーブの神が彼のもとに舞い降りる。また延長後半終了間際のPKとPK戦での驚異的なシュートブロックでチームのピンチを救い、まさに守護神と呼ぶに相応しい活躍を残した。文句なしの今回の試合のMVP。
エドゥアルド・マンシャ(7.5)→相手のクロスボールやロングフィードを送る気配をいち早く察知し、ボールの落下点にポジショニングをとり高い身体能力を駆使して空中戦に強さを発揮。次々と出場してくる相手の長身外国籍FWにほとんど仕事をさせなかった。押し込まれていた展開だったがゴール前まで押し込まれなかったのは、彼の跳ね返す能力が高かったからと言える。
浦上(7)→相手の圧力を感じながらもなるべく引かずに高い位置でラインコントロールを実施。延長で足をつりそのまま交代となったが、彼の守備統率のおかげで広島の強力攻撃陣を1点に抑えたと言っても過言ではない。延長後半7分に途中交代。
須貝(7.5)→スタートは3バックの一角として、後半途中からは左サイドに移ってプレー。最終ラインに入っているときは体を張ってディフェンスを行い、サイドでは相手に走り負けないように精力的に動き回る。90分+延長戦30分をプレーのクオリティが落ちることなく驚異的な運動量で乗り切った貢献度はとても高いと思う。堅守をみせたチームの影の功労者。
山田(6.5)→ボランチで先発出場。中盤の幅広いエリアを動き回り、主に守備面で相手が攻撃を仕掛けようとする前段階で圧力をかけることに成功。前半飛ばした影響で後半はさすがに運動量が落ちて効果的なプレスをかけられなくなったが、ほぼ延長戦終了まで懸命に走り抜いたと思う。延長後半7分に途中交代。
石川(6)→山田選手とボランチのコンビを組み先発出場。後方から2列目、そして1.5列目と最前線へとパスを繋ぐ経由点としてその役割を確実にこなす。攻撃時の貢献は少なかったものの、誰かが上がっていったところにスペースが生まれないようにフォローに向かうなど、常にチームバランスを考えたプレーをしていた。
荒木(6.5)→自分から突破していくというよりも、周囲の味方と連携しパスを繋ぎながら前に進んでいくことが得意な左ウイングバック。前半26分のゴールに結びついたシーンもショートコーナーから長谷川選手&山田選手と連動して左サイドを抜け出し三平選手のゴールをアシスト。後半21分に途中交代となったが確実に結果を残した。
長谷川(6.5)→シャドーのポジションでチームの攻撃を牽引。特に前半はボールキープ力とテクニック&ドリブルのキレが冴え渡っており、彼にボールを預けると高確率で広島ゴール前まで攻撃を進めることができた。後半になって疲れて守備に追われる時間が増えたが、今シーズンの若手の勢いを代表するような堂々とした存在感はさすがの一言。延長前半11分に途中交代。
鳥海(6.5)→トップの三平選手&シャドーでコンビを組む長谷川選手と連携して前線で組織的な守備を敢行し、相手のビルドアップの精度を落とす努力を率先して行う。先制点のセットプレー獲得に繋がる左サイドの仕掛けも良かった。自身が決定機を作り出すことは少なかったが、主に中盤の右サイドから敵陣深くまで攻守において精力的に動いてチームの攻撃リズムを生み出した。後半17分に途中交代。
関口(6)→右ウイングバックとして先発出場。主にポジション的に対峙する柏選手とマッチアップが続いていたが、走り負けず懸命についていき粘り強いディフェンスを敢行。彼にほとんど仕事をさせない守備の貢献をみせた。積極的に後方から飛び出していく須貝選手との兼ね合いで攻撃参加は少なかったが、チームの組織力アップの原動力となった。
三平(7)→立ち上がりから鳥海選手らシャドーの選手と連動して動き、広島のパスの出始めにプレッシャーをかけて他の選手が守備をしやすくなるような努力を行う。先制点は長谷川選手やアシストした荒木選手の貢献が大きいが、彼がニアサイド側に素早く動いて相手守備の選手の間に潜り込めたのがフリーでシュートを打つことに結びついた。大舞台でゴールを決めるのも彼らしい。ただし後半に入ると試合の情勢が変わったことで彼のもとにボールがほとんど飛んでこなくなり、後半17分に途中交代。
途中交代
ウィリアン・リラ(5.5)→後半17分、三平選手に代わり途中出場。相手の圧力が強まりなかなかパスが繋げられない苦しい展開で、後方からのクリアを前線で屈強な身体を張って収めてキープしてもらおうというチームの狙いだったが、相手からの厳しいチャージもあり満足したポストプレーができなかった。また前線での守備も三平選手に比べて緩いため、広島の攻撃の出発点ができるだけ前目の位置で始まっていたのも後半劣性になった要因だったと思う。ただし途中出場してから約10分後のゴールバー直撃のミドルシュートのインパクトは強烈だった。
松本(6)→後半17分、鳥海選手に代わり途中出場。本来はボランチのポジションが本職だが、そのまま鳥海選手がいたシャドーに入り前からの守備を強化するための役割を担う。決定機に絡むシーンはほとんどなかったが、黙々と守備のタスクをこなしていた。
野澤陸(5.5)→後半21分、荒木選手に代わり途中出場。1点を追いかける広島がパワープレーを仕掛けてきた際の高さ要員としてマンシャ選手とともにゴール前の守備を固めるが、そこのエリアから崩しへの攻撃を仕掛けられており狙われている印象が拭えなかった。
ジェトゥリオ(5)→延長前半11分、長谷川選手に代わり途中出場。リラ選手と2トップを形成し、強いフィジカルを使ったプレーでチームの攻撃を引っ張っていきたかったが、仕掛ける場面がほとんどなくあまり目立たなかった。出場時間が短かったのもあったが、なにもできなかった印象が強い。
フォゲッチ(5.5)→延長後半7分、浦上選手に代わり途中出場。機敏な動きをみせていた一方で、リラ&ジェトゥリオ選手という2人の長身FWに合う得意なクロスボールをサイドを駆け上がって供給したかったが、短い出場時間もあってそのタイミングもなかったのは残念だった。
山本(5.5)→延長後半7分、山田選手に代わり途中出場。ボランチの位置で高い足元の技術をみせたかったが、出場してすぐにエリア内でハンドを取られて相手にPKの機会を与えるなど、試合に溶け込んでいる感は少なかった。しかしPK戦での最後のキッカーとしての落ち着いた存在感は大ベテランの彼だからこそ放てるオーラだと思う。
指揮官
吉田監督(6.5)→前半のうちに先制点を奪った理想的展開のアドバンテージを活かし、後半時間が進むにつれて攻撃人数を減らし守備人数を増強し1対0での逃げ切りを図りたかったが、終盤の被弾でその計画は頓挫。これで延長戦は広島の一方的な展開になると思いきや、温存してあった2人(+延長1人)の計3人の交代枠を使ってフレッシュさを取り戻し流れを持ち直すきっかけとなったことは評価できる。また延長までもつれ込むなかで、出場していた選手が足をつるなど負担が大きくなっていたことや後のPK戦も踏まえて山本選手を送り出したが、結果相手にPKの機会を与える選択になってしまったことは隠し切れない事実としてある。この選択が河田選手のPKストップや劇的なPK戦勝利に繋がりドラマティックな展開となり優勝できたから良かったものの、一歩間違えていたら大変なことになっていたと思う。ただしそれと同時に成功する確率の方に持っていけたのも吉田監督のチャレンジした結果だったと言える。リーグ戦では結果が出ていなかったが、それでも迷うことなく継続してやってきた今までの積み重ねの方針を貫いたことが天皇杯優勝をもたらしたと思う。

にほんブログ村
※ランキング参加中!1クリックお願いします♪
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます