一昔前、あちこちに「DPE」の看板を掲げた写真屋さんがあった。
その写真屋さんに限らず、駅の売店や観光地のみやげ物屋さんなどでも「写真フィルム」が買えた。
ところがいまでは、写真フィルムの看板(お店)は探しても見つからない。
いまだフィルムカメラを使っている友人がいる。
近くのギャラリーでは、フィルムカメラで撮った写真の展覧会もあった。
フィルムカメラ愛好家がいるということは分るが、きわめて少数派といえよう。
私も、フィルムカメラの時代からであるが、カメラはとうの昔に処分してしまった。
撮り終わった後フィルムを写真屋さんに持っていき、「現像」と「プリント」を依頼する。
最近の若い人には、「現像」って何するの?、というぐらい遠い世界のことではなかろうか。
出来上がると、ネガフィルムと写真(紙)を受け取ってきた。
ようやく自分の撮った写真がどんな出来であるか見ることが出来たのだ。
フィルム、現像、プリントとすべてお金がかかるので、シャッターを切るのにも慎重になったものだ。
スマホやデジカメのように、バシャバシャ撮りまくって、お気に入りの一枚を選ぶというわけにはいかなかった。
過去に撮った写真(プリント)は山ほど溜っているが、残念ながら、それらを見ることは少ない。
私のみならず、周りの人に聞いてもそうらしい。
ネガフィルムも多少は残っているが、焼き増し(プリント)をしたということも無い。
「いつか処分しなきゃ」といいながら、それがなかなかできないのである。
写真は旅先から知人にメールで送ってしまう、あるいはSNSに投稿する、そんな使い方をしている。
そこに消耗品が使われることはない。
また、「削除ボタン」一発で、写真は記録媒体から消えてしまう。
フイルムの時代には考えもしなかったことである。