幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

「母は強し!」抱卵中のカモ

2021-06-24 | 日記

鴨はメスが卵を抱き始めると、オスは数日でどこかに行ってしまうらしい。

子供が出来たら家を出て行ってしまうなんて、勝手なオトーサンではないか。

そのあとは、メスに備わった母性本能が必死に巣を守り、子供を孵化させ育てていくようだ。

 

公園の池で卵を抱く鴨が、近くに寄ってきたつがいを追い払っているのを見た。

危険を感じたのか、ものすごい形相で二羽の鴨を追いかけ、巣から遠ざけた。

頼りになるべきオスはいないので、戦力は1対2である。

とても、普段の様子からは想像もできない権幕であった。

侵入者は堪らず池の外へ逃れた。

 

見事に迷惑モノを追い払った母鴨は、「どうだ!」と言わんばかりの顔をしていた。

小競り合いが済んでも興奮がまだ治まらないのか、眼を見開き、体は丸く膨らんで一回り大きく見える。

しばらくすると、この母鴨は巣に戻り、静かに卵を抱きはじめた。

彼らを追い払った母鴨には「よく頑張ったぞ!」と声をかけてあげたかった。

 

騒ぎが治まってからも、その場で見ていた。

すると、侵入者のカップルは、池に戻って、何事もなかったように泳ぎ出したではないか。

巣のある花しょうぶの株にも首を伸ばし、なにかをついばんでいる。

今度は、カップルが巣に近づいても、母鴨はじっと卵を抱いたまま、外に出て騒ぎ立てる気配もなかった。

「一旦決着がついた争いはきっぱりと水に流す」というような掟でもあるように、不思議な光景であった。