como siempre 遊人庵的日常

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平清盛 第17話「平氏の棟梁」

2012-04-29 23:47:32 | 過去作倉庫11~14
 もう腹もたたないくらいくだらない回でした。
 今週私にとってよかったのは、「もうこれは、『天地人』と同じレベルで考えればいいよね!」と見極めがついたことです。べつに今後良くなる期待もしてなかったんだけどね。それでも、天地人レベルの偏差値と見切ってしまうのもどういうもんかな…と、ここまではうっすら未練に思ったりもしてて。やっぱり、大河ドラマから歴史をまなぶ楽しみっつーの?多少は期待したいじゃないですか。
 このドラマにそーゆー期待は一切できない、とハッキリしただけで、ある程度肩の荷がおりた気はいたします。身軽になって、あらためて申し上げますけど、やっぱりこのドラマ、ほんとに、つくづく脚本がダメだとおもう。なんでまたこんな脚本家を選んでしまったんだ。
 まあ、例によって枕で愚痴愚痴言ってると、感想書く気力もなくなってくるので、とりあえず行ってみますか。っつっても、今週はそれなりに見ごたえのある内容と、どうでもいいくだらない内容が入り組んでいるので、どう手を付けたらいいかな…。
 そうだ!その二つをスッパリわけてレビュウしたらいいんだわ。うん。そのほうが、バカみたいな内容でひと括りして貶してばかりいるより建設的だ。うん。

第17話「平氏の棟梁」

○今週の「良いキヨモリ」まとめ。

 夫・平忠盛(中井貴一)に先立たれた宗子(和久井映美)は出家して、池坊美佳…じゃない、池禅尼と改名します。なんかわかんないけど、死ぬ前のだんなと和解したせいか、すっかり毒が抜けて良いお姑さんになった宗子さんです。
 そんな影薄い宗子さんのとこに、いとこの藤原家成(佐藤二朗)が訪ねて来るんですね。あらたにキヨモリ(松山ケンイチ)が平氏の棟梁になったので、わたしは烏帽子親だし、全力で清盛を支援します!!といって。
 そこんところの細かいやりとり忘れちゃったんだけど、家成は宗子さんを好きだった…という設定なんだよねたしか? まあ、んなことは話的にどうでもいいっちゃいいんですが、あまりベタにならないていどに、うっすらと情感をにじませる家成様の演技には、気品がありました。

 で、政争のほうは、もともと病弱の近衛帝がいつ死ぬかわかんない、ということで、なんか露骨に激化しています。忠通様(堀部圭亮)が送り込んだ中宮・呈子姫が妊娠していますが、その子供が男かどうかわかんないし、無事生まれる当てもないし、それによっても今後の力関係は変わってくる、と。
 そんなわけで、なぜか先週からハウスシェアして一緒に暮らしてる(!!)崇徳上皇(井浦新)と雅仁王子(松田翔太)が、あいかわらず陰気に碁をうったりなんかしてんですけど、この、政争とかパワーゲームとかの暗喩として碁盤を出すってえのも、決まりきってて新味がないよね。もっとほかのゲームってないのかしら。花札とか。そういう意味では、第何回だったか、いちど出てきたスゴロクはおもしろかったけどな。
 で、ネチネチと碁を打ちながらネチネチとした会話をかわすお二方なのですが、その内容は結構露骨で、「帝の御見舞にいかないの?」から始まって、
「帝なんかすぐ死ねばいいと思ってるんじゃない? そうすれば貴方の子供の重仁王子が即位して貴方は念願の政権が取れるし…」
「何言ってるの、そんなことないわ」
「でも…どーせすぐ死ぬんだから、ちょっとその気になれば…」
 ここの、暗殺をほのめかされて一瞬その気にならんでもない…みたいな、ごくっと生唾飲むような上皇の表情に、なかなか凄みがありました。そういう上皇の感情を弄んでる雅仁の、とことんふざけた顔つきも良かったです。
 っていうか雅仁って、完全に崇徳ちゃんを玩具にしてるよね(爆)。世間知らずの人をからかうのに新たな娯楽を見出した、みたいな(爆)。
 なんだかんだ言って、こういう人たちの病んだ感じが、なかなか上手く空気出てるんだよね。人間、暇だとろくなことを考えないってことですよ(え?) さらに、後述しますが後半の歌会のくだりで(展開じたいはバカバカしい限りだったんだけど)暇な停滞した空気が多少なりと変わったことに対する、この人たちの微妙なリアクションとかね。感じたことのない空気に反応して昂揚している感が、これまたニュアンス出していて良かったと思います。

 そういうふうに、かなり高度の演技ができる役者さんがたをとりそろえているので、朝廷・摂関家がらみのパワーゲームをザクザクに切り刻んでしまったのが、もーもったいなくてしょうがないですね。特に、重仁王子の乳母役が宗子さんだったこととか、なんでスルーしちゃったんでしょうか。家成さんも信西さんも、あれではなにをしている人なのかよくわかんないですよ。
 つくづく思うんだけど、紙芝居みたいなホームドラマとか、キヨモリ青春の彷徨とか、安っぽいアホドラマで時間つぶしている間に、描くべきことは山ほどあったんじゃないでしょうか。難しいとか視聴者がついてこれないとか、それは脚本家のレベルに合わせるための方便のように聞こえますけど。

 っと、また愚痴に流れてしまった。続けます。
 そんな感じでゴタゴタしている上つ方の暗闘など、「われらにはあまり関係のないことであったが…」と頼朝ナレがもうします。その間にヨシトモ(玉木宏)は常盤(武井咲)を囲い、妊娠させていました。御所の廊下でキヨモリに会ったときに、やにさがって「オレはこの常盤を妻に迎えた!!」とか言っていました。
 そのときのキヨモリのリアクション。「えっお前結婚してるじゃん!!」…ではなくって、露骨にうらやましそうでしたけど(笑)、当然、時代的に、妻が二人も三人もいるの別に変なことではないんだよね。
 だったらなんで幼い頼朝が、「母上をほったらかしにして悲しませる父上はひどうございます!!」とか言うんですかね。賢夫人・由良姫は「一族のために子供を増やすのはめでたいこと」とか言ってましたケド、袖の陰でヨヨと泣いていたりなんかして。なんかこう、当時の妻帯の感覚を、そのまま描くのか、いまの基準に合わせるのか、ハッキリ態度が決まってなくて気持ち悪いんだよ。まあ、いま基準にあわせて重婚とかを非難がましく描くのもバカバカしいと思うけど、女を無批判に被害者扱いすんのも、なんかヤダよね。

 まあそれはいいや。とにかく、そんなことで、妻を泣かせながらも絶好調のヨシトモを、面白く思わない者もいるわけです。お父さんの為義さんですね。そりゃまあ当然だよね、毎週のように、ダメオヤジとか、引っ込んでろとか、情けねえとか、言いたい放題の言葉の暴力を受けていたのですから。
 で、ついにブチ切れたダメ義パパは、どんなにダメでも家長は家長、唯一の手段でヨシトモに報復に出ます。家長のあかしである家宝「友切の太刀」を、ヨシトモの弟の義賢にさずけてしまうんですね。
 さあヨシトモ怒る怒る。お父ちゃんの胸倉つかんで家庭内暴力に及びますが、ダメ義とうちゃんは「お前は強くなりすぎた。親の誇りを踏みにじっても屁とも思わないくらいになってしまった」といってヨシトモの思い上がりを非難います。
 まあ…ヨシトモのためとかいって、♪汚れてもいい・泣いてもいい、で生きてきたパパとすれば、その息子にバカにし倒されたのがよほど腹に据えかねてたんでしょう。やっぱ、どんな親でも親をバカにしてはいかんのだな。
 そんなわけで源氏親子決裂。このあたりの骨肉の争いは、うまく描けば「独眼竜政宗」の最上一族みたいになりそうで、なかなか陰惨でいい感じ。キヨモリまわりのくだらないドラマなどやってないで、こっちのほーを重点的に描いてほしいもんです。

○今週の「ダメなキヨモリ」まとめ

 さあ…やりますか、あんまし気は進みませんけど…。

 忠盛パパのあとをついで平家の棟梁になったキヨモリは、あの見苦しいボサボサあたまをキリッと整えて、一族郎党の先頭に立ちます。
 ですが、整ったのは髪型だけで、なかみのほうは大して整っていないみたいです。父信虎を追放したあと、武田家家臣を取りまとめて先頭に立った時の父・中井貴一のオーラとは段違いですね。っていつの話や(笑)
 棟梁生活第一日目は、祝いの膳の料理の数が足りなくて、台所の仕切りができなかった時子夫人(深田恭子)を郎党満座の中で罵倒するとか、奥さんがまた人前で「じゃあ私がいまから魚を獲ってまいりますっ!」とかくだらねえ口答えをしたりして、どうでもいいけど少しは成長しろよ、中身もな、という感じのドタバタで始まってしまいました。ほんとに、つくづくどーでもいいんだよな、こういうのは…。 
 
 で、そのあと、平家一門の男の弓比べの場面があって、そこは、まあ、ナニ盛とかカニ盛とか、漠然と一塊でいた兄弟連中の、それぞれの性格とかを軽く説明する感じで、けっこう良かったと思います。このあと壇ノ浦の滅亡にいたる子供世代もいて。キヨ三郎が宗盛で、キヨシローってのが知盛なのね。
 で、今週は、かなりガキ主演のお涙劇場の趣が濃く、こういうのは脱力するので軽めにしといてほしいのですが、けっこうコテコテで、もたれました。ガキパートのおもな主演が、のちに平家を滅亡に導いていく宗盛で、ああガキのころからこういうダメなガキだったという設定なのか…と、そういう意味では腑に落ちる部分もありましたけど。
 ここからもう、超バカバカしい展開になります。お姉さんが恥かかされたことを根に持った時忠(森田剛)が、宗盛に「お前はいらない子なんだ」みたいなことを吹き込んで、キレたガキが家庭内暴力に走り、キヨたんが時子にむかって「ガキのしつけはお前に任せてあるだろうっ!」とか今どきのKY亭主のようなことを言い、奥さんショックで涙目で走り出る、みたいな、なんかもうくだらないにもほどがある、昼間の帯ドラマのテンプレみたいなことをやるわけ。

 まあ、こういうのはまともに論じても意味がない。とにかく、ホームドラマとかお笑いも、ドラマのアクセントとして多少はあって悪いとはいいませんが、問題は、このホームドラマが無駄に長く、本来の大河ドラマの主筋であるべき政争とか、時代を動かす事件とかと、分量的なバランスが完全に逆転していることなんですよ。
 ホームドラマの内容じたいも底が浅くてバカバカしいんですが、本筋の歴史の流れと呼応しているならまだいいです。でも、そこのところの連動も皆無なんですよ。ホームドラマやラブコメパートは完全に独立して、つねにニコニコ平和に自己完結しており、平氏の家庭内の人々は、主人公も含めてほとんど中央の歴史の動きにかかわってません
 何度かいってますけど、大河ドラマがホームドラマであっては「悪い」といってるんじゃないです。あの「独眼竜政宗」など、壮大なホームドラマとして見ることもできるくらいですからね。
 ただそれを、一話完結スタイルでチャチャッと一丁上がりにするなよ、と言いたいわけです。親子げんかとか兄弟の確執とかは、本気でやるならもっと引きずれ。最低半年くらい引きずればホームドラマも大河ドラマになるんだよ
 だからもう、今週みたいなの見るとホントにイライラしますよ。片方ですごく豪華で面白げなドラマがあるっていうのに、それを無視して、どうでもいい、アホドラマを一話完結で毎週延々とやってる。エンドレスのスパイラル。なんなのこれ。

 あと今週のエピソードとしては、宮中の歌会に、平氏の棟梁としてはじめてまねかれたキヨモリが、和歌の教養がないのでうまく作れず、そうこうしているうちに家庭内がギクシャクして、やけくそで

 重盛のズボンを基盛がはいて 宗盛のパンツを知盛取っかえて シェー!

…みたいな歌を歌会で詠むというイベントがあります。えっ、歌の内容違います? いやーもう、どーでもいいじゃん、こんなのは。
 んで、法皇・女院・上皇ご臨席の中で、てめえの女房をほめ倒して、ガキ自慢して、「これからワタクシは一門のために生きていきますっっっ!!!」と力いっぱい宣言するという落ちになります。
 ああ、まあね、平清盛が平家一門の隆盛のために権謀術数の限りを尽くし、大勢力を築いたなんてえことは、教科書にものってるしテストにも出ることですから、べつにかまわんですけど。だったら一時期いってた「罪なき民を泣かせて云々」だの「皆が笑って暮らせる世にするぜよ云々」だの、ああいう左巻きのテーマはどこへ消えてなくなったんでしょうか
 こういうとこに歴史のテストに出る平清盛と、アホダラホームドラマの整合性を見出したのかもしれませんけど…。でも、こんなレベルで自己完結して夫婦とガキで抱き合って次回に続く、ったって視聴者はポカーンですよ。
 もう何でももいいわ、勝手にやってろ、みたいな。これってこのドラマ始まった当初から毎度感じてたことなんですけどね。こんなに主人公に感情移入を拒む大河ドラマってのも、まあ珍しいかもしれないよね。

…といっても、また上つ方の怪しげな面々が予告に出ると、やっぱり「んっ、来週は…」って思っちゃうんだけどね。そこはまだ、やっぱりちょっと楽しみ。
 あと、書き忘れてしまったけど今回初登場した藤原成親・吉沢悠が、すんごいタダモノでないオーラを漂わせていたのを特筆しときますわ。今後の松田翔太との絡みとか、キャー(壊)。これも楽しみな点の一つ。
 ではではね。


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