como siempre 遊人庵的日常

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平清盛 第18話「誕生・後白河帝」

2012-05-06 23:05:54 | 過去作倉庫11~14
 いやあ今週は笑いました。
 久しぶりに腹を抱えて大笑いして、なんだかスッキリしましたわ。先週あたりまでの不快なイライラ感が吹き飛ぶ、実に爽快な爆笑劇場でした。こういうタマを放ってくるから、このドラマはなかなか見放せないんだと思います。
 いろんな意味で見どころ満載で、どこをどう突っ込んだらいいかもわかんないんですが…とりあえず、この手の面白さをどう評価したらいいんでしょうか。ドラマとして出来がよい結果でないことは勿論ですが、単なるバカネタだけとも言い切れない…。うーんわかんない。そのあたり、あと何話か経過を見守らないとハッキリしたことはいえないのですが、とりあえず、今週のこの面白さのクオリティに、主人公と、主人公周りのドラマは一切関与していない、ということはよくわかりました。
 すごいですね、この「主役が空気」感。まあ、脇が濃ければ濃いほど主役が空気っぽくなるのは、一般的に大河ドラマの法則として仕方ないことなのですが、今年のは、例年より脚本がバカみたいな分、脇キャラの濃さが無駄に突出してしまい、主役のオーラがどんどん希薄になっていくという、気の毒な循環を生んでいるような気がいたします。その無駄に濃いドラマのなかで、ほんとに申し訳程度にキヨモリをヨイショするセリフがはさまれるのが、哀れ感を増していたりなんかして。
 ってなことで、今週の主役は松田翔太と井浦新と三上博史であった、といってなんの異論もないと思いますが、ここまで脇に徹する主役というのも思い切りがいいですね。
 では、どこから突っ込んでいいやら、ホント困るんですけど…いってみまショー、

第18話「誕生・後白河帝」

 いやもう、とにかくこのドラマのなにが笑えるって、一国の元首の人事を完ぺきに「身内の情」で割り切ろうとしてるとこだよね。
 先週から病篤い近衛帝は、もう明日をも知れぬ重態になっており、宮中ではすっかり「天皇死後」を前提にいろんな話がされています。その冒頭から吹いたのは、トバちゃん(三上博史)が大真面目な顔をして「帝の病は朕のせいじゃ、朕が上皇を嫌って、虐めぬいたせいで天罰がくだったのじゃ」とかなんとか電波なことをいうわけですよ。心労からくる妄言なんじゃなく、これを確信として話が展開してしまうから、今週は以下、どんどん大笑いな展開に雪崩れ込んでいくのであります。
 
 完全にミカド死後を想定し、うれしくてしょうがないのが崇徳ちゃん(井浦新)です。キヨモリ(松山ケンイチ)を呼び出し、「ミカド亡きあとはわが世の春じゃ、キヨモリ、今後とも朕の力になってくれよのう」とか言うわけです。
 ところがキヨモリは、そういう約束はできない、と。なぜなら、いままで鳥羽法皇様サイドと癒着…とははっきり言わないけど、持ちつ持たれつでやってきたから。ミカドが死にそうだからってんでそう簡単に鞍替えもできません、という。
 そりゃまあそうなんですが、そこらへんはハッキリ言わずぼかしておくのが大人のコミュニケーションだと思うけど。んでも、空気の読めないキヨモリは、学級委員みたいハキハキとお断りしちゃう。そしたら崇徳ちゃん涙目になって、フルフルと痙攣しつつ、「何故じゃ、面白くない世を面白く生きてみよとかなんとかゆーたのはそのほうではないか(言いましたね)。で、やっと、面白おかしくやりたいほーだいできるチャンスが巡ってきたとゆーのに、協力できませんとはあまりに無責任ではないか!!!」…っつって、悲しみのあまり、♪身を捨つる~~人は~~、と、あのノリキヨの絶唱アリアを熱唱する崇徳ちゃん。
 ぶはっ…あ、いやダメ笑っちゃ。ご本人まじめなんだから。いや、だけど今週、おおむねみんなそうなんだけど、皆さん大真面目にやればやるほど、見てるこっちはもう、おっかしくてしょうがなかったです。

 で、キヨモリは、トバちゃんと崇徳ちゃんのどっちにつくかということを、家に持ち帰って一族会議にかけるんだけど、この場面は、まあ思いっきりどうでもいい場面です。
 いろいろ欲得ずくで考えた末、キヨモリが出した結論は「どちらにもつかぬ!」……じゃあなくって、「法皇様と上皇様に仲良くしていただく!!」
 ハア????
 ここは無くてもいい場面なので、この方針も完全に無くてもいい。今週は、とりあえず「常に正しい主人公」のアリバイづくりのために、こーゆーどうでもいい発言をさせ、いらんところにチョロチョロ立ち回らせている、みたいな感じでした。別にこんな無理しなくても、キヨモリがクレジットから欠けてもこっちはなんとも思わなかったのですがね。
 あと、今週は家成卿(佐藤二朗)が亡くなりますが…これも思いっきり不憫な人でしたね。活躍らしい活躍もできず。どういう人物なのかもよく説明してもらえず。気の毒です。しかも、死ぬ時までキヨモリをマンセーしながら死ななきゃならないなんて(涙)。あとは、ひとり二役の神埼荘の怪しい中国人として、活躍の場が続くことを願うばかりです(違)。

 そんで、悪左府・頼長様(山本耕史)ですけど、この人、行政のトップとして正しいことをバリバリやっている…という設定のようですが、どうもその正しさをちゃんと説明してもらえてません。
 今週は、いっそう悪左府べったりになった為義パパ(小日向文世)が、山から下りてきて乱暴を働く叡山の鬼若(青木崇高)をひっとらえてきて、頼長さまは「百叩きにしろ」と命じます。悪僧が口答えをするので、さらに「二百叩きにしろ」と追加します。それを見ていたお父ちゃまの忠実卿(國村準)が、「すこしやりすぎではないか」と注意します。んで、「わたくしの仕事に口をお出しになると父上とても容赦はいたしませんぞ」とかいうわけです。別にいいけど、悪左府様の峻烈ぶりを、「百叩き・二百叩き」だけで説明するってえのがアバウトですごいですね。
 で、ダメ義さんのほうにも弱みはあり、都から遠く離れた鎮西で、息子の八郎為朝ってえのがグレてやりたい放題の乱暴を働き、帝ににらまれていた。んで、さらに頼長様にすり寄っていた…という事情らしいです。いや事情以前に、この鎮西八郎為朝のビジュアルも物凄かったよな…。なんかまた無駄なアイキャッチャーをつくって…いや別にかまわんけど、こーゆーので「どうだスゴイだろう」みたいにお手盛りで盛り上がっているところがイタいというか、やっぱり力の入れどころを間違っているような気が(以下略)

 さてそのような権力争いだか、骨肉の情だか、よくわからん混沌から完全にやさぐれたところにいるのが、雅仁王子(松田翔太)で、やることないから、信西(阿部サダヲ)の妻の麻宮サキ(違)を連れ出し、青墓というところに出かけます。これってドラマ内だと、ちょっと郊外…くらいの感じだったけど、「紀行」によると岐阜県なんですね。岐阜県――!まあ、遠いといっても新幹線なら30分だけどさ(笑)。
 この怪しい場末に、いろいろ面白い芸能があると聞いて出かけてきた雅仁は、自分好みの怪しさで、すっかりハマッてしまいます。で、フラフラしているうちに、耳に届いたのが
 ♪春色の汽車にのって海につれていってよ タバコのにおいのシャツに…♪
…あ、じゃあなくて、毎度いらつくのであまりリフレインしたくないんだけど、例の「遊びをせんとや…」の今様ソングでした。そこで出会ったのが松田聖子。乙前と名を変えた、もと電線マンの愛人・祇園女御。この祇園女御の白髪の鬘が、一瞬「えっ地肌見せてる?!」とぎょっとしました。
 で、聖子の今様に魅了された雅仁は、なんだか聞かれてもいないのに、「誰もボクのことをわかってくれないんだよう。ガンガンに熱唱してんのに誰も聞いてくれないんだよう。ボクはさびしいんだよう」…と、不良少年の心の激白に及びます。げっ…。
 なんだかあまりに古典的な中二っぷりに、笑う気もうせて無表情に眺めてましたら、マサヒトったらさらに「都にはその歌の通りに面白く生きてる男がいる。軽やかに生き生きしてて、上皇様も法皇様もそいつを頼るくらいで…」とかなんとか、必要もないのにキヨモリをマンセーするもんだから、さらに寒いぼがたちましたがな。
 聖子の膝枕で優しく慰められて、「だいじょうぶよ、そのうち貴方のパワーが満ちる時が来て、世を動かすほどの力が降りてくるはずだわ」と、スピリチュアル系アドバイスをうけたマサヒト。聖子ちゃんの出番これで終わりなのかな。ちょっともったいない。あと2回くらいでいいから、要所要所で出てもいい、ような気がする。もちろん、そのたびに老化の度をアップさせながら…(でも顔は老けない。富士フィルムのアスタリフトで)。

 そうこうするうち、重態だった帝が崩御します。そのとき悪左府様は奥方の喪中だったのですが、急ぎ参内、そしたら「忌中の方は参内できません」と止められてしまいます。おおもっともじゃ、と、原則主義者の頼長様はあっさり帰宅するのですが、それは頼長を帝決定会議からしめだす信西の悪だくみであり、のちのち騒動のタネに……ってなことより、この場面での見どころは、

○悪左府様ってホモなのに奥様がいた!!子供もいた。二人もいた!!
○信西の意を受けて悪左府様を止める藤原師光が、加藤虎之介さんだった。

この2点でしょう、とりあえず。

 とにかく、帝が崩御。予想してたこととはいえ、次の帝を早々に立てねばならない。まあ、次は崇徳ちゃんの子の重仁王子なので、約束通り崇徳ちゃんに政権がまわってくるわけですね。
 キヨモリにはふられたけど、喜びを隠せない崇徳ちゃん。「重仁、いよいよじゃ~」とかいって子供におめかしをさせて浮かれています。
 でも、トバちゃんは深く深く心に思うところがあるんですね。というのは、その直前に、キヨモリに「上皇様と喧嘩をやめて!上皇様を白河法王の呪いから自由にしてあげて!! おふたりの中を修復することこそ世界平和への第一歩よ!」と言われていたからなんですね。
 ああ…。この前エア矢でハートを射ぬかれてから、完全にキヨモリの奴隷(スレイヴ)状態のトバちゃん。こんなバカみたいな正義のたわごとにマインドコントロールされて、アッサリその気になって、思うわけですよ。上皇と仲直りしなきゃあ! 愛と平和の実現のために、上皇との過去を清算しなきゃあ!!…みたいな。いや、根拠はないよ。ないんだけど、何が何でもそうらしいのよ、トバちゃんの中では。
 いやもう、こんな電波な人の感情ひとつで国の方針が決まってはたまったものではないですし、この人の政権が続くのはかなりやばい気がしますが…。でも、内閣の面々はそう思わないらしいんですね。どうも、トバちゃんの治世が続いたほうが良いらしい。というのは、「あの粘着質な上皇が、法皇様をどれほど恨んでいることか。いざ政権獲ったらキッツイ仕返しが待っているにちがいない」と、こういう理由。
 まあ、どっちにしても政権与党としては、かろうじてでもなんでも現状維持が最善で、崇徳ちゃんに権力を与えてしまっては、そっちにつく者とで完全に国が分裂してしまいます、ということで、「重仁を即位させる。つうか、上皇を復位させてもいい。そうしよう」とか無茶苦茶言い出すトバちゃんを力づくで黙らせ、そして…。

 さてコンクラーベの結果、御所の窓から待望の白い煙が上がります(違)。次なる帝に選ばれたのは、
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっっ!!!!!
 っと、崇徳ちゃん獣のような絶叫とともに、痙攣して庭にぶっ倒れ、ローリングして悶えます。
 いやあ、いちど極端な感情表出をやってしまうと、苦悩の表現もだんだんエスカレートしてお笑いに近づいていくもんなのね。そのあたり、三上法皇とこの人は明らかに親子だよな、電線音頭の血とか入ってないわ、と見ているほうは納得しても、本人たちにはわからない。不幸だよなー、と、こらえきれない爆笑の中で思いましたです、はい。
 で、そうそう、帝にえらばれたのはマサヒト王子でしたね。誰も考えてなかったダークホースの登壇です。
 まっ、いままでの経過見ると、譲位して上皇にならないと好き勝手はできないもんらしいけどね。マサヒトうれしそうな顔してるけど、真の俺様の世は、もうちょっと先の話かもよ、ということで。

 来週は、トバちゃんサヨナラ公演…なんでしょうか? 悲しいわ。中井貴一以上に。この人が消えて、ドラマのテンションをどう維持するのだ。なんなら空気化してる頼朝のかわりに、これからトバちゃんがナレーション担当でもいいけど

 また来週!


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