はい、先週「途中で脚本家が変わった謎」についてちょっと言及いたしましたが、初回から二人体制だったらしいですね。なにを見ているんでしょうか私は。
前回もちょっと言いましたけど、脚本家が二人というのは、あんがい悪くないのでは?と思います。7回を二人でシェアするんじゃ忙しすぎだけど(笑)、ほら、1年もある大河ドラマとかだとさ。途中から「ダメだこら」みたいなモードになっても脚本家の差し替えはきかないし、ダメダメなまま、とりあえず最終回まで引っ張るしかないじゃないですか。そのへんも、脚本が分業になっていれば、あるていどリスクも分散できるし、目先も変わって良いのでは?
…っと、なんか再来年にむけて超ネガティブ予測をしているみたいですんません。でもさー、ドツボのスパイラルも3年続いてハマってしまうと、もう「並みの脚本家に、1年スパンのドラマを書くのは無理では」と、ちょっと悲観的にもなりますよね。
そんなわけで、今回はちょっと気を付けてOPクレジットも見ましたら、最初の人に戻ってましたね。分業もうまく着地したようです。まあ、先週つまんなかったしその前も微妙だったから、交替は結構なことですよね。しかも今週はなかなか面白かったです。
では、時代劇や連続ドラマの体制についてもいろいろ柔軟な実験を試みている(のか??)塚原卜伝、プレ最終回でございます。
第6話「一つの太刀」
先週、不死身の妖怪(笑)・奥津源三郎(榎木孝明)をたおした新右衛門(堺雅人)は、自分が妖怪に取りつかれ、鬱っぽくなり、性格も暗く変わってしまいます。
ところで、先週唐突に出てきた山本勘助(三浦アキフミ)もまだ平賀家に居候して、左門(平岳大)に稽古をつけてもらったりしていますが、07の大河「風林火山」で勘助が、諸国を経巡って兵法の奥義を極めて云々…とかハッタリ八分の自慢話をしてましたのは、これのことだったんですかね。
ま、新右衛門さんです。新右衛門さんは、毎日、あの奥津と二人っきりになれた(!)山の中の空き地に通い、奥津の幽霊と会い、ずーっと、「人を殺せば無明の闇に落ちるのだ、お前もオレのようになるのだ」「違う!!俺はそんなんならない!!」みたいな、堂々巡りな妄想を繰り返し、なんだか、どんだけ奥津を愛してたんだよと(爆)、あ、いや、だってこんなにダラダラと回想ばっかりしていると、よっぽど惚れてたのね…と思いますよ。
とにかく、こんなふうに榎木孝明の亡霊と対話する日々に疲れてしまった新右衛門さんは、もう、鹿島に帰ろうかな…と考えます。そんなおり、平賀家で、白昼夢を見てしまった新右衛門さん。そこには、かつて立ち会ってきた、あの海内無双氏や、ピカレスク坊主や、ホワイト家族の兄ちゃんや、そしてもちろん最愛の奥津源三郎…
…ひとり足りない。誰だ。初回に出てきたワイヤーアクション男、ジャッキー・ウーだ。差別はいかんよ。あっ、いや、単に海外からこの回想シーン出演のためだけに呼べないという、コスト的な問題なのか。そりゃわかるけど、せめて合成でいいから出してやんなよ。なんか、あの男の死だけはなにも痛痒感じてないみたいじゃん。
そんな突っ込みを余所に、この直後、新右衛門さんは刺客におそわれます。1秒で粉砕されたその刺客は、平賀家に親の代から使える家来だったんだけど、いわゆるスリーパーで、細川家のスパイだったんですね。勘合をめぐるゴタゴタで、大内のお殿様を殺し、そのまえに番犬の新右衛門を密殺する、という仕事だったようです。…っと、ここまですぐ、じつに簡単明瞭に分かるのに、なんで身内にスパイがいるのに長年気づかないかな…ブツブツ……。
んで、新右衛門サン的に重要なのは、このとき、いままで手にかけてきた敵の亡霊たちに、おいでおいでと手招きされて、無間地獄は楽しいよ~、みたいにユーワクされて、つい足を踏み込みそうになったそのときに、脳裏に出てきた物忌様(江波杏子)に、そちらに行ってはならぬと止められた。妹の真尋ちゃん(栗山千明)にもとめられた。それで地獄に落ちずに済んだ感があって、そうだ、やっぱり鹿島帰ろう、と思ったわけですね。なんか都にいる間に、スター扱いでいろいろ見世物興業とかやらされて、気が付けばすっかり汚れちまったぜフッ…。あの、自分の原点にある鹿島の神さんも存在感薄くなっちゃって、ってか神社の再建という初期目標が自然消滅してしまっているではないか!だめじゃん自分、というわけですね。
平賀の殿さんも、勘合のゴタゴタが一段落して貿易業が軌道にのった大内の殿さんが「これで晴れてあのキモいお歯黒将軍と縁が切れるわ!!」とばかり嬉々として領国・周防山口に帰るのを潮に、都を引き払って帰国することに。そういわれて、新右衛門は、「そうですか。それがしも帰国することにしました。お名残惜しいですがこれでさようなら~」とサバサバ別れを告げます。
まあ、そうなると面倒なのが鹿乃ちゃん問題ですよね。もともと、新右衛門を婿に…と狙っていた教官ですが、でも、新右衛門が「京にきて10年」とか言ってたから、鹿乃ちゃんだってそれなりに…初登場が、うんと若く見積もって14,5歳だったとしても、25歳とかになってるわけじゃないですか。大年増どころじゃねーよ、この時代。
なのにいまだに「いずれそなたにも良い婿を…」とか適齢期の乙女のように扱われているのがケッタイなんでありますが、まあ、彼女は人間じゃないからね(笑)。決して年をとらないバンパイヤ。バンパイヤ姫は、帰国直前の新右衛門の背後に取りついて、「わたくしはここで新右衛門様のお帰りを待ちます。100年でも200年でもお待ち申し上げます(違)。お帰りにならないのならば、わたくしを鹿島にお連れ下さいませ」とかいいます。
こんな妖怪を背負って帰ってはかなわないので、怨霊退散怨霊退散!!!「ソーリー」と、新右衛門さんはアッサリきっぱりと、鹿乃ちゃんに別れを告げるのでした。(このへんはウソ。ごめんにゃ)
そして、新右衛門はサッパリと都に別れを告げ、帰国の途につきます。なぜか山本勘助も一緒です。一緒に鹿島に行くのか?そーゆー経歴が「風林火山」前史にあったのか??と一瞬思いましたが、勘助とは教官宅を出た直後に左右に分かれていったらしく、次のショットではもう同行してませんでした。
なんのために出てきたんでしょうか、この人は。まったくもって謎です。
物忌様は、真尋ちゃんに「ときが来たら新右衛門に伝えよ」というご神託をあずけて(もちろん今週時点ではまだ謎ですよ)霊界に旅立ち、そして新右衛門は鹿島に帰国します。
帰国した新右衛門は、鹿島神社の建て替えがされてないことにショックをうけ「ワイのファイトマネーはどこへ消えたんじゃボケえ!!」とキレてあばれ……なんてこともなく、相変わらず沈んだままです。十年間の仕送りを神社の建て替えに充当しなかった身内のオッチャンたちも、ごまかし半分に新右衛門をヨイショしまくり、歓迎会をひらいて、歯も浮いて溶けよとばかりお世辞たらたら褒めちぎるわけです。
というのは、例の二代目バカ殿が、お金もないのに「難攻不落の最強の城をつくるぜイェイ」とか言い出したため、どこからそんな金湧いて出るんじゃ…みたいに頭を抱えていた折、多少でも国内の空気が変わるのは大歓迎なのですね。
んで、長い回国修行でどんだけ強くなったか披露してみよ、と囃されて、大先生(永島敏行)と立ち会うことになった新右衛門さん。なんか、この人っていつもいつも、どこへいってもこうやって見世物にされるキャラのような気がする…。
で、大先生と対峙したものの、静止したまま動かない新右衛門さん。先生は、「何を背負って帰ってきたのだ」と問います。
人の恨み、血の匂い、殺した人間の業やら、死への恐れその他もろもろ、鎖のようにこの身に絡み付いております、戻ってきたのは今一度鹿島の大神の前で身を清め、清い体で再出発したいと思ったわけで…と、切々とUターンの事情を語る新右衛門さん。まあ、要は世間の荒波にもまれて身も心も疲れて汚れて、心が折れた、っつう話で、そのへんは、単純に要約すると今時も世間によくある事情ですよね。
しかも新右衛門は、これから鹿島神宮に千日の参籠をいたしたい、と言い出します。1000日=約三年。参籠ったって新右衛門の実家は鹿島神宮の境内にあるわけで、つまり実家の離れで3年の引きこもり生活を許してほしいと。
スターになって故郷に錦を飾ったと思いきや、3年ほどニート生活しますわと宣言された実家・養家の両とうちゃんは、狼狽します。新右衛門の覚悟はかたく、大先生の承認もあるので、まあ、とりあえずまだ帰ってこないっつうことにしとけば…と、しぶしぶ認める父ちゃんたち。でも、その間にもバカ殿が要らんような城をおっ建てて、国が財政破たんしそうな勢いなのだが…。
まあ、そんなことは、神に仕えて俗世とのかかわりを絶った時点で関係のないことなので、ここで新右衛門は、天下公認の引き籠り参籠生活に入ります。殺めた人の魂を鎮めるために水風呂につかったり、自炊、粗食で、時に五穀を絶って断食の行をしたり、マラソンなどで体を鍛えたり…剣の練習はまったくやってないようですが、なかなか健康的ですし、心身ともによさそうな生活ですよね。
まあ、玄米菜食とか断食道場みたいな、そゆことで自分は健康になっても、殺めた人々の魂がしずまるのか、よくわかんないですけど。庵の外では花が咲き、草が生え、紅葉し、雪が降り、また花が咲き、草が……というのが早回しで3ターン繰り返されまして。で、いよいよ新右衛門の満願達成の日。…って早!三年も粗食&断食に耐えて、人とも会わずに引き籠ったわりに、新右衛門のすがすがしいイケメンはあまり変わっていませんが……髪がダウンスタイルのロン毛になったくらいで…
そう、このロン毛でした。今週最大の萌えサービスは。しかも、このロン毛新右衛門が、同時に二人登場という、めくるめくことになりますのが、次のシーンです。
千日参籠の最後の日、満願達成の前夜、鹿島神宮に参拝したロン毛新右衛門は、そこに、あの真剣・鹿島の太刀が刺さっているのを発見。近寄って手を触れようとすると、天からガラガラドッシャーンと雷が下りてきて、まばゆい輝きを放ち、拵えられた見事な太刀となって現れたではありませんか!!ぬぉおおお…
…ってなにか思い出さないか、このシチュエーション。番組の途中で突然雷が落ちて、ハレーション起こして、ピカピカーッと派手に輝きながら、何かどうか驚くようなものが出現するってのは。引田天功イリュージョンじゃないよ(笑)。そう、テンペスト。この前にやってた。
いや、ようは、テンペストと似たようなベタなイリュージョン演出でも、あれほど抵抗感を感じなかったり、お笑いに流れなかったのは…やっぱ、ここにW堺雅人がいたからだと思うんですよね。ただの堺雅人じゃないのよ。W堺雅人。
そう、イリュージョンの太刀を手にした新右衛門の前に、もうひとりの新右衛門が現れるんですね。これが、なんか顔つきから漂うオーラから人間ではなく、新右衛門は、「もしやあなた様は、流祖・国摩真人(くになずのまひと)様では」と口走ります。
んで、生身の新右衛門と、新右衛門の姿をした神さん・国摩真人様は立ち会うのですが、これが、まあ立ち合いといっても殺気ただよう斬り合いではなくて、でも練習試合っぽい緩い感じでもなく、何つったらいいんだろう、人間じゃないものから普通じゃないパワーとか、精神性を授けられている、という感じが、ちゃんとするわけ。
まあ、実際そういう文脈なわけですけど、それにしても、そういうのを言葉で説明しなくて映像で表現できるというのは、単にCGの効果じゃなくて、堺雅人って役者の特殊性だと思ったんですよね。イケメンでガタイもよくて殺陣のうまい俳優ならほかにもいますが、ここへきて「神さん」と「本人」が無理なく演じられる俳優さんは、他にいないんじゃないですか。
すごい人間離れした清いものと、人間そのものを、その場でスイッチして出し入れできるって、ちょっと普通じゃない個性だよなーと感心しましたし、しみじみと、堺雅人って人が塚原卜伝に抜擢された理由が納得できたわけです。
まあ…ここまで悩みを突き詰めるに至る、どろどろと血なまぐさい道筋ってものが、良くも悪くもアッサリしてて、ちっともドロドロに感じなかったというマイナス面はありますけどね。
そして、鹿島の神さんに、「心新たにことにあたれ」だっけ? 字面にするとやけにフツーなご託宣を得た新右衛門は、一つの太刀に開眼し、満願達成、晴れて千日参籠を終えた…というところで、次回に続く。
いよいよ最終回です。早いですね。まあ7回しかないんでアッというまですが…。なんとか塚原卜伝も見届けることができそうですし、最終回、楽しくお付き合いいただければと存じます。ではっ!
前回もちょっと言いましたけど、脚本家が二人というのは、あんがい悪くないのでは?と思います。7回を二人でシェアするんじゃ忙しすぎだけど(笑)、ほら、1年もある大河ドラマとかだとさ。途中から「ダメだこら」みたいなモードになっても脚本家の差し替えはきかないし、ダメダメなまま、とりあえず最終回まで引っ張るしかないじゃないですか。そのへんも、脚本が分業になっていれば、あるていどリスクも分散できるし、目先も変わって良いのでは?
…っと、なんか再来年にむけて超ネガティブ予測をしているみたいですんません。でもさー、ドツボのスパイラルも3年続いてハマってしまうと、もう「並みの脚本家に、1年スパンのドラマを書くのは無理では」と、ちょっと悲観的にもなりますよね。
そんなわけで、今回はちょっと気を付けてOPクレジットも見ましたら、最初の人に戻ってましたね。分業もうまく着地したようです。まあ、先週つまんなかったしその前も微妙だったから、交替は結構なことですよね。しかも今週はなかなか面白かったです。
では、時代劇や連続ドラマの体制についてもいろいろ柔軟な実験を試みている(のか??)塚原卜伝、プレ最終回でございます。
第6話「一つの太刀」
先週、不死身の妖怪(笑)・奥津源三郎(榎木孝明)をたおした新右衛門(堺雅人)は、自分が妖怪に取りつかれ、鬱っぽくなり、性格も暗く変わってしまいます。
ところで、先週唐突に出てきた山本勘助(三浦アキフミ)もまだ平賀家に居候して、左門(平岳大)に稽古をつけてもらったりしていますが、07の大河「風林火山」で勘助が、諸国を経巡って兵法の奥義を極めて云々…とかハッタリ八分の自慢話をしてましたのは、これのことだったんですかね。
ま、新右衛門さんです。新右衛門さんは、毎日、あの奥津と二人っきりになれた(!)山の中の空き地に通い、奥津の幽霊と会い、ずーっと、「人を殺せば無明の闇に落ちるのだ、お前もオレのようになるのだ」「違う!!俺はそんなんならない!!」みたいな、堂々巡りな妄想を繰り返し、なんだか、どんだけ奥津を愛してたんだよと(爆)、あ、いや、だってこんなにダラダラと回想ばっかりしていると、よっぽど惚れてたのね…と思いますよ。
とにかく、こんなふうに榎木孝明の亡霊と対話する日々に疲れてしまった新右衛門さんは、もう、鹿島に帰ろうかな…と考えます。そんなおり、平賀家で、白昼夢を見てしまった新右衛門さん。そこには、かつて立ち会ってきた、あの海内無双氏や、ピカレスク坊主や、ホワイト家族の兄ちゃんや、そしてもちろん最愛の奥津源三郎…
…ひとり足りない。誰だ。初回に出てきたワイヤーアクション男、ジャッキー・ウーだ。差別はいかんよ。あっ、いや、単に海外からこの回想シーン出演のためだけに呼べないという、コスト的な問題なのか。そりゃわかるけど、せめて合成でいいから出してやんなよ。なんか、あの男の死だけはなにも痛痒感じてないみたいじゃん。
そんな突っ込みを余所に、この直後、新右衛門さんは刺客におそわれます。1秒で粉砕されたその刺客は、平賀家に親の代から使える家来だったんだけど、いわゆるスリーパーで、細川家のスパイだったんですね。勘合をめぐるゴタゴタで、大内のお殿様を殺し、そのまえに番犬の新右衛門を密殺する、という仕事だったようです。…っと、ここまですぐ、じつに簡単明瞭に分かるのに、なんで身内にスパイがいるのに長年気づかないかな…ブツブツ……。
んで、新右衛門サン的に重要なのは、このとき、いままで手にかけてきた敵の亡霊たちに、おいでおいでと手招きされて、無間地獄は楽しいよ~、みたいにユーワクされて、つい足を踏み込みそうになったそのときに、脳裏に出てきた物忌様(江波杏子)に、そちらに行ってはならぬと止められた。妹の真尋ちゃん(栗山千明)にもとめられた。それで地獄に落ちずに済んだ感があって、そうだ、やっぱり鹿島帰ろう、と思ったわけですね。なんか都にいる間に、スター扱いでいろいろ見世物興業とかやらされて、気が付けばすっかり汚れちまったぜフッ…。あの、自分の原点にある鹿島の神さんも存在感薄くなっちゃって、ってか神社の再建という初期目標が自然消滅してしまっているではないか!だめじゃん自分、というわけですね。
平賀の殿さんも、勘合のゴタゴタが一段落して貿易業が軌道にのった大内の殿さんが「これで晴れてあのキモいお歯黒将軍と縁が切れるわ!!」とばかり嬉々として領国・周防山口に帰るのを潮に、都を引き払って帰国することに。そういわれて、新右衛門は、「そうですか。それがしも帰国することにしました。お名残惜しいですがこれでさようなら~」とサバサバ別れを告げます。
まあ、そうなると面倒なのが鹿乃ちゃん問題ですよね。もともと、新右衛門を婿に…と狙っていた教官ですが、でも、新右衛門が「京にきて10年」とか言ってたから、鹿乃ちゃんだってそれなりに…初登場が、うんと若く見積もって14,5歳だったとしても、25歳とかになってるわけじゃないですか。大年増どころじゃねーよ、この時代。
なのにいまだに「いずれそなたにも良い婿を…」とか適齢期の乙女のように扱われているのがケッタイなんでありますが、まあ、彼女は人間じゃないからね(笑)。決して年をとらないバンパイヤ。バンパイヤ姫は、帰国直前の新右衛門の背後に取りついて、「わたくしはここで新右衛門様のお帰りを待ちます。100年でも200年でもお待ち申し上げます(違)。お帰りにならないのならば、わたくしを鹿島にお連れ下さいませ」とかいいます。
こんな妖怪を背負って帰ってはかなわないので、怨霊退散怨霊退散!!!「ソーリー」と、新右衛門さんはアッサリきっぱりと、鹿乃ちゃんに別れを告げるのでした。(このへんはウソ。ごめんにゃ)
そして、新右衛門はサッパリと都に別れを告げ、帰国の途につきます。なぜか山本勘助も一緒です。一緒に鹿島に行くのか?そーゆー経歴が「風林火山」前史にあったのか??と一瞬思いましたが、勘助とは教官宅を出た直後に左右に分かれていったらしく、次のショットではもう同行してませんでした。
なんのために出てきたんでしょうか、この人は。まったくもって謎です。
物忌様は、真尋ちゃんに「ときが来たら新右衛門に伝えよ」というご神託をあずけて(もちろん今週時点ではまだ謎ですよ)霊界に旅立ち、そして新右衛門は鹿島に帰国します。
帰国した新右衛門は、鹿島神社の建て替えがされてないことにショックをうけ「ワイのファイトマネーはどこへ消えたんじゃボケえ!!」とキレてあばれ……なんてこともなく、相変わらず沈んだままです。十年間の仕送りを神社の建て替えに充当しなかった身内のオッチャンたちも、ごまかし半分に新右衛門をヨイショしまくり、歓迎会をひらいて、歯も浮いて溶けよとばかりお世辞たらたら褒めちぎるわけです。
というのは、例の二代目バカ殿が、お金もないのに「難攻不落の最強の城をつくるぜイェイ」とか言い出したため、どこからそんな金湧いて出るんじゃ…みたいに頭を抱えていた折、多少でも国内の空気が変わるのは大歓迎なのですね。
んで、長い回国修行でどんだけ強くなったか披露してみよ、と囃されて、大先生(永島敏行)と立ち会うことになった新右衛門さん。なんか、この人っていつもいつも、どこへいってもこうやって見世物にされるキャラのような気がする…。
で、大先生と対峙したものの、静止したまま動かない新右衛門さん。先生は、「何を背負って帰ってきたのだ」と問います。
人の恨み、血の匂い、殺した人間の業やら、死への恐れその他もろもろ、鎖のようにこの身に絡み付いております、戻ってきたのは今一度鹿島の大神の前で身を清め、清い体で再出発したいと思ったわけで…と、切々とUターンの事情を語る新右衛門さん。まあ、要は世間の荒波にもまれて身も心も疲れて汚れて、心が折れた、っつう話で、そのへんは、単純に要約すると今時も世間によくある事情ですよね。
しかも新右衛門は、これから鹿島神宮に千日の参籠をいたしたい、と言い出します。1000日=約三年。参籠ったって新右衛門の実家は鹿島神宮の境内にあるわけで、つまり実家の離れで3年の引きこもり生活を許してほしいと。
スターになって故郷に錦を飾ったと思いきや、3年ほどニート生活しますわと宣言された実家・養家の両とうちゃんは、狼狽します。新右衛門の覚悟はかたく、大先生の承認もあるので、まあ、とりあえずまだ帰ってこないっつうことにしとけば…と、しぶしぶ認める父ちゃんたち。でも、その間にもバカ殿が要らんような城をおっ建てて、国が財政破たんしそうな勢いなのだが…。
まあ、そんなことは、神に仕えて俗世とのかかわりを絶った時点で関係のないことなので、ここで新右衛門は、天下公認の
まあ、玄米菜食とか断食道場みたいな、そゆことで自分は健康になっても、殺めた人々の魂がしずまるのか、よくわかんないですけど。庵の外では花が咲き、草が生え、紅葉し、雪が降り、また花が咲き、草が……というのが早回しで3ターン繰り返されまして。で、いよいよ新右衛門の満願達成の日。…って早!三年も粗食&断食に耐えて、人とも会わずに引き籠ったわりに、新右衛門のすがすがしいイケメンはあまり変わっていませんが……髪がダウンスタイルのロン毛になったくらいで…
そう、このロン毛でした。今週最大の萌えサービスは。しかも、このロン毛新右衛門が、同時に二人登場という、めくるめくことになりますのが、次のシーンです。
千日参籠の最後の日、満願達成の前夜、鹿島神宮に参拝したロン毛新右衛門は、そこに、あの真剣・鹿島の太刀が刺さっているのを発見。近寄って手を触れようとすると、天からガラガラドッシャーンと雷が下りてきて、まばゆい輝きを放ち、拵えられた見事な太刀となって現れたではありませんか!!ぬぉおおお…
…ってなにか思い出さないか、このシチュエーション。番組の途中で突然雷が落ちて、ハレーション起こして、ピカピカーッと派手に輝きながら、何かどうか驚くようなものが出現するってのは。引田天功イリュージョンじゃないよ(笑)。そう、テンペスト。この前にやってた。
いや、ようは、テンペストと似たようなベタなイリュージョン演出でも、あれほど抵抗感を感じなかったり、お笑いに流れなかったのは…やっぱ、ここにW堺雅人がいたからだと思うんですよね。ただの堺雅人じゃないのよ。W堺雅人。
そう、イリュージョンの太刀を手にした新右衛門の前に、もうひとりの新右衛門が現れるんですね。これが、なんか顔つきから漂うオーラから人間ではなく、新右衛門は、「もしやあなた様は、流祖・国摩真人(くになずのまひと)様では」と口走ります。
んで、生身の新右衛門と、新右衛門の姿をした神さん・国摩真人様は立ち会うのですが、これが、まあ立ち合いといっても殺気ただよう斬り合いではなくて、でも練習試合っぽい緩い感じでもなく、何つったらいいんだろう、人間じゃないものから普通じゃないパワーとか、精神性を授けられている、という感じが、ちゃんとするわけ。
まあ、実際そういう文脈なわけですけど、それにしても、そういうのを言葉で説明しなくて映像で表現できるというのは、単にCGの効果じゃなくて、堺雅人って役者の特殊性だと思ったんですよね。イケメンでガタイもよくて殺陣のうまい俳優ならほかにもいますが、ここへきて「神さん」と「本人」が無理なく演じられる俳優さんは、他にいないんじゃないですか。
すごい人間離れした清いものと、人間そのものを、その場でスイッチして出し入れできるって、ちょっと普通じゃない個性だよなーと感心しましたし、しみじみと、堺雅人って人が塚原卜伝に抜擢された理由が納得できたわけです。
まあ…ここまで悩みを突き詰めるに至る、どろどろと血なまぐさい道筋ってものが、良くも悪くもアッサリしてて、ちっともドロドロに感じなかったというマイナス面はありますけどね。
そして、鹿島の神さんに、「心新たにことにあたれ」だっけ? 字面にするとやけにフツーなご託宣を得た新右衛門は、一つの太刀に開眼し、満願達成、晴れて千日参籠を終えた…というところで、次回に続く。
いよいよ最終回です。早いですね。まあ7回しかないんでアッというまですが…。なんとか塚原卜伝も見届けることができそうですし、最終回、楽しくお付き合いいただければと存じます。ではっ!