como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

軍師官兵衛 第7回

2014-02-22 15:00:00 | 過去作倉庫11~14
 来週からきっと面白くなるのよね、と期待をつないで早や7回になりましたが、仏の顏も三度、いや七度、今週はついにわたしもさじを投げました。

なんだかつまらない……

 さすがに、昔ながらの大河ドラマの懐かしいお約束を丁寧に踏襲しつつも、それ以外に何もなく7回というのは辛いモンがあります。
 先週は、古今稀に見る「脳筋バカ信長」という珍キャラが登場し、失笑を禁じ得ない素晴らしい「敦盛」のパフォーマンスを披露してくれたため、若干持ち直したのですが、今週はそのバカっぽい信長の存在が、あらたな問題に火をつけてしまいました。
 火をつけたっつっても、比叡山焼き討ちとか長島一向一揆のことじゃないですよ。詳しくはあとで書きますが、やはりこの信長は問題だ。多少話を端折っても前後を無視してもいいから、はやいとこ本能寺に放り込んで抹殺し、居なかったことにしたほうが傷は浅くて済むのではないでしょうか。

 七回のポイントまでで、比較的出番のあった(ストーリーに絡んだ)登場人物を3つに分けると、以下のようになります。

セーフ 黒田官兵衛(岡田准一) 光(中谷美紀) 栗山善助(濱田岳) 荒木村重(田中哲司) 竹中半兵衛(谷原章介)

アウト 織田信長(江口洋介) 濃姫(内田有紀) 小寺政職(片岡鶴太郎) 母里太兵衛(速水もこみち)だし(桐谷美鈴)

ビミョー 羽柴秀吉(竹中直人) 黒田職隆(柴田恭兵)


 ほか、丹羽・柴田の両雄とか官兵衛の叔父さん、小一郎秀長、毛利の両川など、いい味だしてんだけど話に絡むに至らない役は、評価を保留にしたいと思います。

 とりあえず、主役とセカンドプリンスとヒロインがセーフなのが、かろうじて鑑賞意欲を繋ぎ止めてる理由かな。いや、冗談抜きにそれは大きなポイントですよ。
 あとは脳筋信長という稀少なキャラのネタ振りがあれば、ツッコミどころにも事欠かず、盤石!と申し上げたいところなんですが、なんかなー……なんだろ。つまんないんですよね、全体に。細かい小ネタも振るには振るし、空振りってこともないんですが、ヒットでもなく。寒いという感じにも至らない。サーッと白けたまま、特に記憶にものこらず忘れ去られていく、みたいな。
 なんかこう、形式は整ってるんですけど気迫とか凄みとかが、決定的にないんですよね。主人公の若い時分の話で7話くらいまでくれば、そうそう、そういうものよね人生って、とジーンと涙目になるような重みのあるセリフが、ひとことくらい頭にのこっていいはずなんですが。
 そういうパートを担当するべき柴田恭兵が、なんか入れ歯が合ってないような変なフニャフニャした喋り方で、どうも父親役の説得力がないせいかなあ。信長もそうだけど、重しが必要なところが重しの役をしていないのが大きいと思います。
 例によって、よくわかんない憶測の世界になりますが、そもそもOPに「脚本」としてクレジットされるべき名前が、「原作」でクレジットされているのはなんなんでしょうね。脚本家が脚本書いてるんじゃないのかな。「脚本指示書」(笑)みたいな抽象的な絵を描いてあとはゴーストライターが…とか?まさか。
 いや、シャレじゃなく、脚本がいつまでたってもさっぱり締まらない、インパクトがないせいで、脚本家の名前もなかなかインプットされないんですよね。なんか、名前を思い出そうとすると、♪あなたひとぉりぃにぃ~(ワワワワ~)かけぇたぁこぉいぃぃ~(ワワワワ~)、ってどこからともなく聞こえてくるのはなんでかなと思ったら、ああ、そうか前川清と内山田洋を合体させたような名前だったっけな、みたいな(爆)。

 第7話「決断のとき」

今週のおもな見どころとツッコミどころ。

 ○ 信長はあれでいいんですかねえ。

 とりあえず、信長のカリスマ性が独り歩きして話が展開していく内容ゆえ、その前提になっている信長がバカっぽいと、全体的にコントみたいになってしまうという問題が生じています。
 今週は、浅井・朝倉をあっさりと(というかほぼスルー)滅亡させて地域の覇権を握った信長が、秀吉(竹中直人)に浅井家の領地と小谷城をあたえ、城持ち大名に格上げするという展開が出てきます。
 秀吉があまりに這いつくばってペコペコするので、丹羽長秀(勝野洋)や柴田勝家(近藤芳正)が露骨にイヤな顔をして「上様、我々のこともお忘れなく」みたいなことを言うのですが、信長はいかにもゴーカイそうに、この信長、手柄を立てればいくらでも報いる!こいつみたいに!!と、ブラック会社の成り上がり社長みたいなどや顔をして、肩で風切って出ていく。
 このときの秀吉の過剰なヨイショっぷりも、なんか度が過ぎてバカにしているみたいだし、両雄の秀吉を見る目も、今時のことにたとえると「二代目のバカ社長を番頭格が必死で操縦してなんとか倒産を食い止めているのに、ポッと出の契約社員が無責任にヨイショして大風呂敷を広げさせ、ブタもおだてりゃ木に登る、その結果がいよいよ今月不渡の危機、どーしてくれんだこの野郎」って感じのシチュエーションに見えてしまう。
 これすべて、先週の「敦盛」でやらかしてしまったせいなのよ…といったら言い過ぎですが、まあ、どこをどうみても「鋭利」「天才」「狂気」「悪魔的」って風には見えんよねえ。
 遠い姫路にも信長の影響はおよび、毛利と織田とどちらの陣営につくかで、小寺家が二分される展開になり、官兵衛が、小寺家の大評定で、信長がどんなに素晴らしいか、時代の潮流に乗っているかを滔々と語る場面になりますが、このあたり物語の展開のキーになってくる場面だけに、前提になっている信長がアレだと、ほんとにお笑いになってしまうんだよね。
まあ、いまのところ信長の実物を姫路の人は誰も見てないので、かろうじて話はまとまっていますけど、だんだん、幻想上の信長のカリスマ性と実際に画面に出ているものの乖離が大きくなってくると、お笑いじゃすまなくなってくると思うけどな。

○ホームドラマパートの問題

 大河ドラマとホームドラマの親和性の問題は、過去のドラマでも多々論じてきたところではありますが、ザックリ分けて、

1 思い切って大河ドラマそのものをホームドラマのレベルにダウングレードさせる。

2 一般的な大河ドラマの流れは概ね踏襲しつつ、隙を見てはホームドラマの要素を適宜挿入する。

3 ホームドラマとかはとりあえず無視し、歴史上の人物に丹念に血肉を付けて描く努力を続けた結果、歴史ドラマが壮大なホームドラマの趣を兼ねるにいたる。


 この3つの方法が思いつきます。
望ましいのはいうまでもなく3。実際、往年の名作「独眼竜政宗」はもちろん、「武田信玄」、「風林火山」、「太平記」「八代将軍吉宗」「毛利元就」などみんなこのパターンです。歴史ドラマを堪能するとともに、一篇のホームドラマも見届けた満足感に視聴者を導くことができるという、最高の達成ですね。これが理想。
 では、残る1と2ではどっちがマシなのかといったら、好みの別れるところでしょうが、わたしは1のほうだと思います。過去作では「篤姫」、「八重の桜」など。
 圧倒的にヨロシクないのは2です。なぜよろしくないかというと、ホームドラマパートが後付けになり、そうすると、ほんとに悲しくなるくらい陳腐でありふれた、時間のムダみたいなものを切りばりした感じになってしまうからで、そういうのが1回や2回ならともかく毎回続くと、ほんとに脳がダメージをうけるというか、「なんで受信料払ってこんなものを見なくちゃならんの」という憤りでいっぱいになってくるんですね。過去作では「天地人」「平清盛」などにその典型例をみることができます。

 ながながと何を言いたいのかといったら、今週、のちの後藤又兵衛、あ、いや登場からもう後藤又兵衛か、とにかくその少年が登場しますね。この子供が

ふた親に死に別れて親戚をたらい回しにされ、人を信じなくなってしまった。

 ってこの設定からして、あー、いま巷で問題になってるあのドラマですか?と思ってしまいましたけど、同クールで陳腐はシンクロするってことなんでしょうか。そっちのドラマは見てないので知りませんが。でもまあ、いくらなんでもこんな陳腐な内容じゃないだろうと思いますよね。
 もらわれ先のお母さんに叱られて家を飛び出し、雨に濡れて熱をだし、徹夜で看病されて心を開く…とか、今時よく恥ずかしげもなくこんなんやるわなあ、とむしろ感心してしまいました。これを書く脚本家も、通すチーフPも、どういう神経なのかホント理解しがたいですが、とりあえず、どこの昭和のメロドラマから切り抜いてきたんだみたいなこのシーンが、大河ドラマとなんの親和性も感じさせないのは明らかです。
 これぞパターン2なんですね。しかも、じっくり考えてみると、このドラマ、パターン2に相当する部分がいままでもけっこう多かったんですよ。初恋の人・おたつのパートもそうでしたし、光姫とのなれ初めのところもそうだし、例の「戦から帰ったら祝言だ」(笑)とか、このまえの不動明王の像をどーたらこーたらとか……って、全部じゃん!!
 あーすでに危険水域だわ、これは。岡田君が愛の兜を両手にもって、今にもかぶろうとしているのが見える。だ、ダメよそっちにいっては……ってもう遅いかもしれないですが。

あと、気が付いたことピンポイントに。

柴田恭兵もうちょっと何とかしろや。ここで息子に一言、イイ事いってやれ、みたいな最高のタイミングで、スコンと外す。それも毎回。「いまになって父上の背負われた荷の重さがわかります…」とか言って弱気になってる息子に、「おまえが決めるのだ」、ってなにそれ(笑)。大河ドラマの父親役というのは重しの意味で重要なので、もうちょっとガツンと存在感出してくれんかな。いえ、それ役者さんのせいじゃないけど。

いまからでも遅くないので「だし姫」中の人の交替を。今週のセリフ回しを聞いただけで、濃厚な不安が立ちこめてきました。このあとけっこう重要な役回りになってくるので、当分先まででてこない今が差し替えのタイミングかと思います。といっても、そのときには彼女のセリフ回しなどどうでもいいくらいに崩壊している可能性もありますが。

 また来週!


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