goo blog サービス終了のお知らせ 

como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

平清盛 第4話 「殿上の闇討ち」

2012-01-29 23:17:55 | 過去作倉庫11~14
 はい、第四話感想なんですけど、今回の感想を一言でいいますと、
 恥ずかしい。
 これに尽きると思います。
 まあ、とにかく最初から最後まで恥ずかしくて恥ずかしくて、悶死寸前という回でございましたけど、恥ずかしさの質もさまざまで、なにがそう恥ずかしかったかは、順を追ってご説明したいと思いますが、まとめていいますと、とくかく過剰な回でした。感情過剰。演技過剰。音楽過剰。(せりふの)内容が極端で過剰。ついでにメイク過剰・汚し過剰と、これだけコテコテだと、その逐一の良し悪しは別に、トータルでは、やはり恥ずかしくなるものです。
 まあそれでも、直近3年の作品のように、「しょうもねえ」系の恥ずかしさでは、無い…かろうじて…と思いますので、今回の恥ずかしさは大河ドラマ序盤のツカミとしては許される範囲のものであろうと、今回は一応許容しようかと思います。
 んでは、いろいろ言いたいことはありますが、見てまいりましょうかね。

第4回「殿上の闇討ち」

 アバンは、イケメンの北面の武士として御所に就職した清盛さん(松山ケンイチ)が、ホクメンのメンバーズと一緒に流鏑馬をしているとこから始まります。とりあえず鎌倉の工事現場からは離れてくれたようで、よかったわ…。まさか工事現場からの回想が50回続くのかと、ちょっと悪寒がしてましたから。
 上つ方々のSPであるホクメンのメンバーズは、待賢門院タマ子様のお出かけなんかにも随行。そのときには、みんなばっちりメイクもしますし、いつ上つ方から話を振られても対応できるように、和歌なども日頃からたしなんでいるわけです。んなイケメンぞろいのホクメンの中でもキングオブイケメンと言えるのが、佐藤義清(藤木直人)なんですね。
 おれは強くなりてえっ!んな男芸者みたいなもんになりたくねえっ!!王家の犬になりたくねえっ!!……っと、先週からたいした成長もなく、なりてえなりてえなりたくねえ、を金切り声でガナり続けているキヨたんなんでありますが…うん、一発引っぱたきたくなるキャラ造形は、まだ継続ってことだね。
 んなキヨたんに、のりきよ君はクールに、つうかそれを言ったら、お前の父ちゃん最強の男芸者だし。とかいってせせら笑うのでした。

 で、のりきよ君のりりしいイケメンにも心を動かしてしまった、殿上最強の悪女・ベイベーたまこ様。あいかわらずM体質の鳥羽上皇(三上博史)のプレイに付き合って夜の女王様を演じているわけですが、トバちゃんの嗜好もどんどんエスカレートして、たまには攻守が入れ替わったりもします。
「一言だけでよい、朕にあやまれ。手えついて謝れ。爺様とデキて子供産んだわたしは悪うございましたって言ええ!!」とか言ってタマちゃんを言葉責め。そしたらタマちゃん天使のような顔をして「はい、ごめんなさい。わたしが悪うございました」と即謝ってしまうわけ。
 自分で言えって強要したくせに、ガアアアアン……とハートを打ち抜かれ、被虐の快感に打ち震えながらフラフラと出ていくトバちゃん。ヤバすぎる。そこに眉なし家政婦の堀河(りょう)が飛んできて、ちょ…それ言っちゃったら御終いじゃないですか奥様。どーすんですか、とうろたえるんですが、タマちゃん涼しい顔して、いいの、あいつこれが趣味だから。つうかさー、変態プレイも飽きたんだよねアタシ。これがお勤めだからしょうがない毎晩付き合ってるけどサー
 みたいなすげえビッチな内容を、天使のような顔して言うわけなので、根っからM体質のトバちゃんには堪えられないんですね。
 で、ますます背徳の深みにはまるトバちゃんの、情緒不安定に付け込んだ忠盛さん(中井貴一)が、「私だけは貴方の味方よ!」的な、癒しの手として接近するわけです。トバちゃんの癒しのために豪華なお寺を建立してあげたりする。ウルウル涙を流して縋るトバちゃん。なんて無防備でピュアーなんでしょうか。それはもう、あまりに乙女のように可憐なので、見ているこっちが恥ずかしくなるほど。

 かくして、トバちゃんのハートに急接近した忠盛さんは、武家としては前代未聞の「御所清涼殿ご昇殿」というステータスを得ることになりました。喜びに沸く平家一門。ひとり面白くないキヨたん。
 おなじころ、源氏の館では、為義さん(小日向文世)がやけ酒を飲んで暴れています。チキショーチキショー。朝廷のチキショー、平家ばっか贔屓しやがって、とか小物感たっぷりに遠吠えしているパピイの姿に、よしとも君(玉木宏)が見るに見かねて、源氏がダメなのはてめえがダメオヤジだからだよ!!てめえのせいでオレもホクメン入れねーんじゃねーか!!てめーのせいだぞ!!と親にむかって最悪の暴言を吐き、弓矢を持ち出して家庭内暴力です。げっ…。こいつこういうヤツだったのか。
 そんなパピイを体を張って庇うのが、忠義の家来・飯富虎正…ちゃうちゃう(笑)、鎌田通清(金田明夫)ってオッサンなんですが、ううっ、忠義の家来を演じさせたら当代いちだな、この人は。時代を超えて別人とシンクロしてしまうのが難だが。
 でも、為義パピイは、いいんだ…義朝のいうとおりだボクはダメダメダメな男なんだ、と自虐モードで自己完結してしまいます。さらに、後日、摂関家の藤原忠実(國村準)から、さらに屈辱的な言葉責めにあうパピイ…。源氏と平家と、武家の双璧のはずだったのにえらく差がついてしまったわね。それっていうのもあんたがダメだからよ。なによその目は。文句があるならベルサイユへいらっしゃい!!…とかなんとか、四方八方から攻められたパピイ。ダメ男がダメ根性に無駄なガソリンを注入され、火をつけられてしまうんですね。さあ大変!

 さて、同じパピイでも晴れてベルサイユにデビューとなった忠盛パピイのほうですが、この日のために誂えた御衣裳で、晴れやかに、あこがれの清涼殿にあがります。
 そしてそこには、高慢ちきな貴族たちの凄い意地悪な視線と悪だくみが…。いきなり、「忠盛さま、せっかくのデビューですもの、一曲ご披露してくださらないかしら。ねええ皆様」みたいなムードになって、舞を舞わされるパパ。この日のためにたっぷりレッスンしてきてるので、自信たっぷり舞い始めたら、ああっ、
 パパのトウシューズに画鋲が!!!
…じゃなくって、おどっていたら突然、やんやの嘲笑とともに、酒だか水だか、いっせいにぶっかけられるわけですね。濡れた舞台に足を取られて転倒するパパ。沸き起こる嘲笑。みていたキヨたんは、ぬぅおぉぉぉ……と怒りで全身青筋が立ち、
てめぇたちぁ人間ぢゃねえっっっ!!
…っと抜刀して舞台に躍り出て、パパの代わりに例の電線音頭を踊って急場を救う!
…ってな展開を一瞬考えたのですが…いや、そうなりそうな流れだったし、ここ3年の駄作では気軽に使った手ですが、今回感心した点は、それをやらなかったことです。
 いえ、やらないほうが当然なんですけどね。飛び出しそうになったキヨたんのそでを、のりきよ君が抑え、あそこでやってるのは政局だ。お前の父ちゃんもそうだし、他のも、みんなそれぞれ政治的な含みがあってああいうことしてんだよ、と言い含めます。
 それでキヨたん、衝動を抑えるのですが、平然と端座して「お目汚しでございまして…」とか言うパパの姿に、どーしても納得は行かないんですね。
 その後、夕日の河原で、よしとも君と出会って、うちのオヤジは最悪の王家の犬だ、と愚痴いいます。よしとも君カチンときて、なに言ってんだ、ダメオヤジならうちのオヤジのほうが上だ!なんなら取り替えるか、とか言って、あげく、チキショーお前になにがわかるんだあ!と殴り合いの大げんか。そして、
見ろよ夕陽がきれいだぜ…ってな感じに、おたがいダメとうちゃんを嘆きあって打ち解けるふたりなのでした。
 それでふたりが仲良くなって終わり、だったら、こんなしょうもないことないですが、そうはいきません。この夕焼け番長の喧嘩の場に、例の忠義物の通清さんがすっとんできて、「若―!若若若若たいへんです!お父上が死ぬ覚悟をして平忠盛を斬りに行くっつって!!」みたいなことを大声でご注進。そこにキヨたんがいるのが目に入らなかったのか、キヨたんが誰か知らなかったんでしょうね

 藤原忠実さまに、「男なら忠盛を討ってみせなさいよ。わたしがセッティングするわ!」とそそのかされた為義パピイは、ベルサイユに武器を帯びて侵入します。相変わらずのセキュリティレベルの低さだけど、まあしょうがない。
 そして、忠盛パパが昇殿する天覧ダンスパーティの夜。忠実さまは、忠盛パパがひとりで仮設廊下を渡るようにセッティングします。パパがしずしずと歩いていきますと、そこには、おのれ遺恨覚えたか…と闘志満々の為義さんが!
 殿中でござる殿中でござる!そう、殿中には刀を持って入れないきまりで、それだけで不法所持で有罪なんですね。ですが、為義パピイはすらっと刀を抜いて、この始末は摂関家で面倒見てくださるわ!忠盛殺ス!と殺る気まんまん。なんのためかと言ったら、「オレはどうなってもいいんだ、息子の義朝の将来のためだ!!」
…って、パパがここで殺人で現行犯逮捕されたら、息子の将来も真っ暗闇だと思うんだが…ちょっと頭悪すぎますよね、この人。行動原理が。
 ですが、冷静な忠盛パパは、為義さんやめましょうよ、と言って自分もスラッと刀を抜きます。それは「ををっ本身ぢゃないか!犯罪だぞ、つかまるぞ」と自分のこと棚にあげてうろたえる為義さん。
 そうデす。だからお互い見なかった、知らなかったことにしましょうよね、と、大人の対応をする忠盛パパ。完敗して脱力する為義さんに、「源平どっちが強いか白黒つけるのは、武士がもうちょっとステータスあげて、貴族も負けるくらいになってからにいたしましょう。わたしも王家の犬で終わらぬつもりです」と、カッコよくキメて松の廊下を去っていきます。
 そのなりゆきを、物陰で見ていた息子ふたりは、それぞれがそれぞれのパパに、別のニュアンスで感動していました…。

 パパが徹夜の宴から帰ってくるのを、門のところで待っていたキヨたんは、「王家の犬で終わらないってどういうことですか!いつからそう思ってたんですか!」と問いただします。
 それはね…とちょっと勿体付けて、パパは、
「それはワシがお前をわが子として育てると決めたとき、ワシのなかに、揺るがぬ軸ができたのだ!」
ジーン…
キヨたんは涙をためて感動します。オヤジすげえっ!最高だオヤジ!ありがとうオヤジ!!
 まあ…いいですけど、このくだり、恥ずかしいっていったら今週極めつけに恥ずかしかったし…。あと、別の意味でも、わたくし的にはきわめてビミョーでした。
 忠盛さんは、白河院のタネの子を育てることに明らかな打算がある、そのくらいのタマだと期待したんですがね。なんだか早々と、良い人・高潔漢の底が割れちゃったしね。もちろん最終的には好漢で終わっていいんですが、いくらなんでも解決が早すぎるよ。まだ4話だよ?1月だよ?親子の確執は、最低、1クールまとめの3月第4週くらいまで引っ張ってもらわんと。
 かたや、源氏親子のほうはもうちょっと面白く、よしとも君も涙ぐんで、オヤジ最高だ!ありがとうオヤジ!!ここらへんは一緒なんですが、「とうちゃんオレがんばるよ!頑張って強くなって出世して、父ちゃんを守るんだ!!
…っと、せがれにこんなん言われたら、現役のお父ちゃんとしては極めて複雑だと思うんですが(笑)、その複雑さの表現がさすが小日向さんで、情けなカッコよく、良かったですね。キラキラお目目で天然さく裂させてるヨシトモ君とのギャップが、なんともいえん味出してたってこともありますが。

 さあて来週は…トバちゃんタマちゃんの危ない夫婦生活が新たな局面を迎えるようで、楽しみだな。いまのところ、歴史ドラマらしい黒さというか、得体のしれない感じの奥行きがあるのは、タマ子さんが一番だとおもうので。
 また来週っ!