今週は、幕末史的にも大きな転換点にかかりました。文久3年5月。このへんを境に、いろんなことが加速度をつけて転がって、慶応4年までノンストップ動乱の5年間になっていくのです。
まあ…あいかわらず史実関係の説明はミニマリズムを貫いておりますが、今回は群像劇としてよく練れており、人物の内面描写で時代の緊迫感とかスリルが表現されて、よろしかったと思います。余談ですが「攘夷決行」って打ち込んだら「攘夷結構」って変換されて、むしろそっちのほうが内容に沿ってるかも、なんてひとりウケてましたが、もとい。
ところで、気になってたんですがこのドラマ、OPクレジットの並びがちょっと変じゃない? 今週、トメが「松平春嶽 夏八木勲」だったんですけど、モブシーンのすみっこにチラッと見えるか見えないかの春嶽公が、大黒幕の「山内容堂 近藤正臣」を押しのけてオオトリを飾るって、なんか座りが悪くて落ち着かないんだよね。
同じことを倍賞美津子にも感じてたんですが、どうも、ドラマ内の役の軽重より、NHK内だけで流通している俳優番付っていうの?なんつうの?そういう基準で配列決まってるみたいで、視聴者としては、なんだか納得いかない感が漂います。このあたり、NHKには一考をお願いしたいですね。やはり大河ドラマのOPというのは、トメ枠のまえにちょっと一呼吸の間があり、そしてバアーンと、大物中の大物の名が、ちょっと長めにクレジットされ、今週の演出の名がでて本編へ…と、こういう流れに様式美がありますから。ここでガックリくると、本編にも影響ないとは言えないですよ。
てなことで、龍馬伝・第19話。前半の佳境に入ってまいります。ご一同、今週もお付き合いよろしゅう!
先週、帝の前で苦し紛れに「5月10日をもって攘夷決行いたします」なんてお約束をしてしまった、青年将軍家茂と、後見役の一橋慶喜。過激攘夷派にとってはいよいよ待ち望んだ日が来るのだな!と日本中が沸き立ちますが、その最右翼の武市半平太さんはというと、右腕と頼む平井のにいちゃんが、分断工作にひっかかって勤皇党を去ってしまってます。
しかも、海軍塾に出向させた党員は、しばらく半平太さんから離れたら洗脳から解脱して、「武市さんから離れてよかった、せいせいした」とか言いたい放題のこと言ってるし。
で、にいちゃんが勤皇党を去った経緯なんですが、「自分に土佐の改革を任せるよう容堂公に命じる令旨を、青蓮院宮朝彦親王に願い出た」ということ。朝彦親王って誰なのかも含めて、そのへんの説明何もないですが…まあ、この人物のことを説明しだしたら話がむちゃくちゃ混乱必至なので(なんせものすごい玉虫色だからな)、あえて踏み込まないのは良かったか。
てか経緯の説明どころじゃない、半平太さんは「収二郎があ~!う・ら・ぎ・っ・た~~!!!」とか言って過呼吸状態になってひっくり返ってしまいます。なんか、ショック受けるたび毎度これでは、部下に見放されるのもしょうがないとおもうけど…。
京では、以蔵が勝先生の用心棒としてついて歩いてます。攘夷実行期限が発表され、攘夷派が勢いづいても動じない勝先生。そういう人についてても、攘夷とか開国とかって、なんだかイマイチわかんない風情のイゾ子…。ですけど、なんとなしの開放感は感じているみたいですね。
龍馬は、容堂公が半平太へのあてつけなのか何なのか、脱藩の罪を許されて、晴れて自由の身に。イゾ子と京都でランチしながら、「これからは自由におまんのやりたいことをやったらエエぜよ!」なんて無責任なことをいいます。でも、自由にやりたいことを、なんてのは、この時代の人間にとって、んな今みたいに簡単にできる事じゃないので…。物理的な制約もそうですが、意識として。そのあたり、自由とか自分の道とかって言葉をイージーに使いすぎな気がして、それは最初からそうだったんですけど…ま、いいや。
ま、ともかく、以蔵が自由について考えているところに、平井のにいちゃんが乱入。「以蔵、おまん何を考えちょるんじゃあ!」とか言ってイゾ子をふん捕まえて藩邸にもどそうとしますが、ところが! そのにいちゃんを、ふん捕まえて藩邸に戻そうとする藩の捕り方が、定食屋にドタドタ乱入来るもんですから、何だかわけがわかんなくなっちゃいます。
そう、平井のにいちゃんは、自分に追っ手が掛かってるなんて夢にも思ってなかったんですね。「ワシは何ちゃ悪いことはしちょらんぜよ!」と抵抗するにいちゃんを、龍馬と以蔵で逃がします。
末端でのこの混乱は、容堂公が作り出したことで、この御仁は世の中の風を読むことまっこと早く、攘夷派が不利な風向きになるということをいち早く察し、土佐勤皇党を弾圧し始めた、ということですね。憎き勤皇党をおおっぴらに弾圧できてそうとう嬉しいらしく、お城でひとりで花見酒飲みながら、ゲラゲラ笑ってひとりで踊ってましたけど…顔、怖すぎです。
んで、攘夷実行のほうですが、苦し紛れのこの期日の設定を、一橋慶喜は最大に利用します。各藩の代表を呼び出して個別に面接をし、まさか5月10日に攘夷実行なんてしないでしょうね…と圧力をかけ、長州の孤立を図るわけです。
このあたり、「5月10日」を慶喜のブラフにする解釈というのは上手く捌けてて、眉なし慶喜の異様な存在感もなかなかよかったと思うんですが、何度も言ってますけど仮にも幕府の重鎮たちが、立ち居振る舞いが軽すぎなんだよね。殿中作法もなにもなく、廊下を歩くのもサッサッ早すぎで下級武士みたいだし。「○○藩も幕府の味方、××藩も確約!」みたいなことを言って、「ををを!」…とかって、立ち話ですんなよ、エライ殿様たちが。上下の別もわからんではないか。
とにかく、上でこんな陰謀が進行してるとはつゆ知らぬ半平太さんたちは、5月10日の攘夷実行を目前に、いよいよ!!と逸っています…が、藩からは、いっこうに出陣命令が出ません。どうなってるの?と不安に思う党員たちに、「出陣命令は来る!必ず来る!」と確約し続ける半平太さんなのでした。
そんな半平太さんのとこに、長州の久坂玄瑞が来て、「ボクらは国許で攘夷実行に備えます。土佐藩でもかならず協力してくれますな!」とプレッシャーをかけていきます。
そんなことで、だんだん苦しくなっていった半平太さん。そこへ、龍馬が、以蔵と収二郎にいちゃんを連れてやってきたから、半平太さんブチ切れ!
「以蔵、おまんバカだとは思っちょったけんどこれほどバカとは。飼い犬に手を噛まれるとはこのことぜよ!」…って、酷い、酷いわ半平太さん。イゾ子も、愛する先生から面と向かってバカとか犬とか言われて超ショックで、目をウルウルさせて「犬って…」とか言って震えてます。うわーん可哀想だーー!
とにかく収二郎は土佐に帰って沙汰を待て、以蔵はもうワシラの仲間ではないきに何処へでも行け、と腹立ち紛れに言い放つ半平太さんに、龍馬は、「武市さんそれは違うぜよ。みんな大殿様にだまされているんじゃ。それに武市さんの攘夷は間違っちょる!」と無駄な説得を試みようとします。これでさらに半平太さんマジギレ。「何をいいゆう。ワシの正しさは5月10日に証明されるんじゃ。一生懸命攘夷を頑張ってきたワシラを、龍馬おまんは見物してただけじゃねーかっっっ!!おまんなんかに説教されたくないぜよ!!!」…
ああ…これが、結局のとこ、半平太さんの本音中の本音なのよねえ。一生懸命喰らいついて、なりふりかまわずやってきた自分。ノンシャランと生きてて美味しいとこサラって、たまに現れて偉そうなことほざく龍馬。その鬱憤と怒りが、飾らない言葉になって出た瞬間でございました。
そんなわけで、平井のにいちゃんは土佐に返され、以蔵は勤皇党から放出。そして迎えた5月10日(正確には5月11日未明)、下関の長州藩砲台から、関門海峡にたまたま居たアメリカの商船に砲弾が発射されます。
長州の攘夷戦争の始まりですね。が、ご存知のように、5月10日の攘夷実行に呼応した藩は、何処にもなかったんですね。長州一藩の攘夷活動は大失敗におわり、数日中に、連合艦隊の報復を受けて砲台はボロボロに。眉なし慶喜は高笑いして「あれは長州が勝手にやったことで幕府は関係ないけど、損害を受けた船はサービスで修理費持つよん」とか言って絶好調…なんですが、修理費どころではない痛手が、この攘夷戦争関連でまもなく幕府を襲うんですけど、ま、それは先の話。
土佐藩邸では、ついに下らなかった出陣命令に、待機していた勤皇党員たちは、どう理解していいかわからず「………」と無言で端座しており、半平太さんも、いよいよ説明に窮して無言で固まって、そこに在りし日の勤皇党の栄光の回想シーンが挿入されたりなんかして、どうしようもなく空気が凍ってます。
そんな武市さんのとこに、龍馬がふらっと訪問。その前のけんか腰の対話の時とちがって、半平太さんは、白半平太が優勢になっていて、とても穏やかに「土佐に帰って出直す」というわけです。収二郎の釈明もしてやりたいし、以蔵のこともなんとかしてやりたい。あいつには汚い仕事ばっかりさせて、悪かったと思ってる…って、それを本人たちに面と向かっていってやればいいのに、場外で一方的に切々としてないで、って思うんですが、まあ、そのときは黒半平太優勢だったからね。不便ですな、二重人格って。
龍馬は、武市さん土佐に帰ってはいけん!帰ったら捕まる! 容堂様は半平太さんを半端でなく憎んでて、ずーっと陥れる機会を狙っていたんだ、とカラダを張って引きとめようとします。武市さん、ワシと一緒に海軍塾に入って一緒に大攘夷を目指しましょう!
…それもあまりに無理がある気がするけど。そう、あまりにも、自由とか友愛とかの概念を軽く扱いすぎる龍馬に、旧世界の呪縛から決して抜けられない半平太が、鋭く釘を刺します。「それをやったら、ワシの人生をすべて否定することになってしまう」…って。
武士にとって殿様を否定するのは決してあってはならぬこと。自分の信念を変更するのもありえないこと。それが半平太さんの武士の背骨なので、「もしかして、間違っているのではないか」とか薄々思っても、変更はきかなかったんですね。
あー…要するにこの人は、ものすごく真面目でありすぎたんだわね。そこまで真面目で、自分の生き方を逸脱できなかったってのも、本人にとっても回りにとっても悲劇だったんでしょうけど。その真面目さが美学の域にまで達したところで、フレキシブルに生きる龍馬とは、完全に平行線のまま別れることになるわけです。
「また会おう、達者でな」とか言っても、また会う日がもうないことは、ふたりともハッキリわかってるんですよね。悲しいなあ…。
そして、半平太さんから三行半を突きつけられたイゾ子は、どこにも行くところもなく、(「自由に生きろ」なんつって龍馬も無責任だよね)とにかく身一つで放出されます。
かねてつきあっていた京娘の家に転がり込んだイゾ子は、アイラヴユー逃れ逃れたどり着いたこの部屋~、てなとこで潜伏生活を始めようとした矢先、土佐からの捕り方に踏み込まれて…というドトウの展開になります。
かわいそうなイゾ子…かわいそうな半平太さん。牢に放り込まれたにいちゃんもかわいそうだ~。なのに龍馬は、のん気に海軍塾で海軍体操。このノー天気さに軽く殺意を覚えたりなんかして。
今週の半平太さん
「おまんに説教されたくないぜよ!」には泣かされました~。これぞ本音でございましょう。1話の中でコロコロと言ってることや思いの吐露が変化するのも、黒と白の二重人格のなせる技とおもえば。あとは、サヨナラ公演までにもう1回くらい、ふたり半平太の競演が見たいなあ。
今週のイゾ子
うわ~~ん、イゾ子!「ワシは犬やったがですか…」って、ちょっと、堪らなかったわ。可哀想すぎです。こんなふうに、可哀想なまま退場していくってのもタマランものがありますが、最後まで目が離せませんね。武市先生との愛憎の決着はどうなるんでしょうか~。
来週…うわっ平井のにいちゃん逆さ吊り!? ついに収二郎がサブタイのタイトルロールに躍り出ましたが、これがサヨナラ公演なんですね…。イゾ子は? 半平太は? 弥太郎も久しぶりに出番があるようですし。…え、主人公?いたっけ何処かに?(←ひどい)
また来週っ!
まあ…あいかわらず史実関係の説明はミニマリズムを貫いておりますが、今回は群像劇としてよく練れており、人物の内面描写で時代の緊迫感とかスリルが表現されて、よろしかったと思います。余談ですが「攘夷決行」って打ち込んだら「攘夷結構」って変換されて、むしろそっちのほうが内容に沿ってるかも、なんてひとりウケてましたが、もとい。
ところで、気になってたんですがこのドラマ、OPクレジットの並びがちょっと変じゃない? 今週、トメが「松平春嶽 夏八木勲」だったんですけど、モブシーンのすみっこにチラッと見えるか見えないかの春嶽公が、大黒幕の「山内容堂 近藤正臣」を押しのけてオオトリを飾るって、なんか座りが悪くて落ち着かないんだよね。
同じことを倍賞美津子にも感じてたんですが、どうも、ドラマ内の役の軽重より、NHK内だけで流通している俳優番付っていうの?なんつうの?そういう基準で配列決まってるみたいで、視聴者としては、なんだか納得いかない感が漂います。このあたり、NHKには一考をお願いしたいですね。やはり大河ドラマのOPというのは、トメ枠のまえにちょっと一呼吸の間があり、そしてバアーンと、大物中の大物の名が、ちょっと長めにクレジットされ、今週の演出の名がでて本編へ…と、こういう流れに様式美がありますから。ここでガックリくると、本編にも影響ないとは言えないですよ。
てなことで、龍馬伝・第19話。前半の佳境に入ってまいります。ご一同、今週もお付き合いよろしゅう!
先週、帝の前で苦し紛れに「5月10日をもって攘夷決行いたします」なんてお約束をしてしまった、青年将軍家茂と、後見役の一橋慶喜。過激攘夷派にとってはいよいよ待ち望んだ日が来るのだな!と日本中が沸き立ちますが、その最右翼の武市半平太さんはというと、右腕と頼む平井のにいちゃんが、分断工作にひっかかって勤皇党を去ってしまってます。
しかも、海軍塾に出向させた党員は、しばらく半平太さんから離れたら洗脳から解脱して、「武市さんから離れてよかった、せいせいした」とか言いたい放題のこと言ってるし。
で、にいちゃんが勤皇党を去った経緯なんですが、「自分に土佐の改革を任せるよう容堂公に命じる令旨を、青蓮院宮朝彦親王に願い出た」ということ。朝彦親王って誰なのかも含めて、そのへんの説明何もないですが…まあ、この人物のことを説明しだしたら話がむちゃくちゃ混乱必至なので(なんせものすごい玉虫色だからな)、あえて踏み込まないのは良かったか。
てか経緯の説明どころじゃない、半平太さんは「収二郎があ~!う・ら・ぎ・っ・た~~!!!」とか言って過呼吸状態になってひっくり返ってしまいます。なんか、ショック受けるたび毎度これでは、部下に見放されるのもしょうがないとおもうけど…。
京では、以蔵が勝先生の用心棒としてついて歩いてます。攘夷実行期限が発表され、攘夷派が勢いづいても動じない勝先生。そういう人についてても、攘夷とか開国とかって、なんだかイマイチわかんない風情のイゾ子…。ですけど、なんとなしの開放感は感じているみたいですね。
龍馬は、容堂公が半平太へのあてつけなのか何なのか、脱藩の罪を許されて、晴れて自由の身に。イゾ子と京都でランチしながら、「これからは自由におまんのやりたいことをやったらエエぜよ!」なんて無責任なことをいいます。でも、自由にやりたいことを、なんてのは、この時代の人間にとって、んな今みたいに簡単にできる事じゃないので…。物理的な制約もそうですが、意識として。そのあたり、自由とか自分の道とかって言葉をイージーに使いすぎな気がして、それは最初からそうだったんですけど…ま、いいや。
ま、ともかく、以蔵が自由について考えているところに、平井のにいちゃんが乱入。「以蔵、おまん何を考えちょるんじゃあ!」とか言ってイゾ子をふん捕まえて藩邸にもどそうとしますが、ところが! そのにいちゃんを、ふん捕まえて藩邸に戻そうとする藩の捕り方が、定食屋にドタドタ乱入来るもんですから、何だかわけがわかんなくなっちゃいます。
そう、平井のにいちゃんは、自分に追っ手が掛かってるなんて夢にも思ってなかったんですね。「ワシは何ちゃ悪いことはしちょらんぜよ!」と抵抗するにいちゃんを、龍馬と以蔵で逃がします。
末端でのこの混乱は、容堂公が作り出したことで、この御仁は世の中の風を読むことまっこと早く、攘夷派が不利な風向きになるということをいち早く察し、土佐勤皇党を弾圧し始めた、ということですね。憎き勤皇党をおおっぴらに弾圧できてそうとう嬉しいらしく、お城でひとりで花見酒飲みながら、ゲラゲラ笑ってひとりで踊ってましたけど…顔、怖すぎです。
んで、攘夷実行のほうですが、苦し紛れのこの期日の設定を、一橋慶喜は最大に利用します。各藩の代表を呼び出して個別に面接をし、まさか5月10日に攘夷実行なんてしないでしょうね…と圧力をかけ、長州の孤立を図るわけです。
このあたり、「5月10日」を慶喜のブラフにする解釈というのは上手く捌けてて、眉なし慶喜の異様な存在感もなかなかよかったと思うんですが、何度も言ってますけど仮にも幕府の重鎮たちが、立ち居振る舞いが軽すぎなんだよね。殿中作法もなにもなく、廊下を歩くのもサッサッ早すぎで下級武士みたいだし。「○○藩も幕府の味方、××藩も確約!」みたいなことを言って、「ををを!」…とかって、立ち話ですんなよ、エライ殿様たちが。上下の別もわからんではないか。
とにかく、上でこんな陰謀が進行してるとはつゆ知らぬ半平太さんたちは、5月10日の攘夷実行を目前に、いよいよ!!と逸っています…が、藩からは、いっこうに出陣命令が出ません。どうなってるの?と不安に思う党員たちに、「出陣命令は来る!必ず来る!」と確約し続ける半平太さんなのでした。
そんな半平太さんのとこに、長州の久坂玄瑞が来て、「ボクらは国許で攘夷実行に備えます。土佐藩でもかならず協力してくれますな!」とプレッシャーをかけていきます。
そんなことで、だんだん苦しくなっていった半平太さん。そこへ、龍馬が、以蔵と収二郎にいちゃんを連れてやってきたから、半平太さんブチ切れ!
「以蔵、おまんバカだとは思っちょったけんどこれほどバカとは。飼い犬に手を噛まれるとはこのことぜよ!」…って、酷い、酷いわ半平太さん。イゾ子も、愛する先生から面と向かってバカとか犬とか言われて超ショックで、目をウルウルさせて「犬って…」とか言って震えてます。うわーん可哀想だーー!
とにかく収二郎は土佐に帰って沙汰を待て、以蔵はもうワシラの仲間ではないきに何処へでも行け、と腹立ち紛れに言い放つ半平太さんに、龍馬は、「武市さんそれは違うぜよ。みんな大殿様にだまされているんじゃ。それに武市さんの攘夷は間違っちょる!」と無駄な説得を試みようとします。これでさらに半平太さんマジギレ。「何をいいゆう。ワシの正しさは5月10日に証明されるんじゃ。一生懸命攘夷を頑張ってきたワシラを、龍馬おまんは見物してただけじゃねーかっっっ!!おまんなんかに説教されたくないぜよ!!!」…
ああ…これが、結局のとこ、半平太さんの本音中の本音なのよねえ。一生懸命喰らいついて、なりふりかまわずやってきた自分。ノンシャランと生きてて美味しいとこサラって、たまに現れて偉そうなことほざく龍馬。その鬱憤と怒りが、飾らない言葉になって出た瞬間でございました。
そんなわけで、平井のにいちゃんは土佐に返され、以蔵は勤皇党から放出。そして迎えた5月10日(正確には5月11日未明)、下関の長州藩砲台から、関門海峡にたまたま居たアメリカの商船に砲弾が発射されます。
長州の攘夷戦争の始まりですね。が、ご存知のように、5月10日の攘夷実行に呼応した藩は、何処にもなかったんですね。長州一藩の攘夷活動は大失敗におわり、数日中に、連合艦隊の報復を受けて砲台はボロボロに。眉なし慶喜は高笑いして「あれは長州が勝手にやったことで幕府は関係ないけど、損害を受けた船はサービスで修理費持つよん」とか言って絶好調…なんですが、修理費どころではない痛手が、この攘夷戦争関連でまもなく幕府を襲うんですけど、ま、それは先の話。
土佐藩邸では、ついに下らなかった出陣命令に、待機していた勤皇党員たちは、どう理解していいかわからず「………」と無言で端座しており、半平太さんも、いよいよ説明に窮して無言で固まって、そこに在りし日の勤皇党の栄光の回想シーンが挿入されたりなんかして、どうしようもなく空気が凍ってます。
そんな武市さんのとこに、龍馬がふらっと訪問。その前のけんか腰の対話の時とちがって、半平太さんは、白半平太が優勢になっていて、とても穏やかに「土佐に帰って出直す」というわけです。収二郎の釈明もしてやりたいし、以蔵のこともなんとかしてやりたい。あいつには汚い仕事ばっかりさせて、悪かったと思ってる…って、それを本人たちに面と向かっていってやればいいのに、場外で一方的に切々としてないで、って思うんですが、まあ、そのときは黒半平太優勢だったからね。不便ですな、二重人格って。
龍馬は、武市さん土佐に帰ってはいけん!帰ったら捕まる! 容堂様は半平太さんを半端でなく憎んでて、ずーっと陥れる機会を狙っていたんだ、とカラダを張って引きとめようとします。武市さん、ワシと一緒に海軍塾に入って一緒に大攘夷を目指しましょう!
…それもあまりに無理がある気がするけど。そう、あまりにも、自由とか友愛とかの概念を軽く扱いすぎる龍馬に、旧世界の呪縛から決して抜けられない半平太が、鋭く釘を刺します。「それをやったら、ワシの人生をすべて否定することになってしまう」…って。
武士にとって殿様を否定するのは決してあってはならぬこと。自分の信念を変更するのもありえないこと。それが半平太さんの武士の背骨なので、「もしかして、間違っているのではないか」とか薄々思っても、変更はきかなかったんですね。
あー…要するにこの人は、ものすごく真面目でありすぎたんだわね。そこまで真面目で、自分の生き方を逸脱できなかったってのも、本人にとっても回りにとっても悲劇だったんでしょうけど。その真面目さが美学の域にまで達したところで、フレキシブルに生きる龍馬とは、完全に平行線のまま別れることになるわけです。
「また会おう、達者でな」とか言っても、また会う日がもうないことは、ふたりともハッキリわかってるんですよね。悲しいなあ…。
そして、半平太さんから三行半を突きつけられたイゾ子は、どこにも行くところもなく、(「自由に生きろ」なんつって龍馬も無責任だよね)とにかく身一つで放出されます。
かねてつきあっていた京娘の家に転がり込んだイゾ子は、アイラヴユー逃れ逃れたどり着いたこの部屋~、てなとこで潜伏生活を始めようとした矢先、土佐からの捕り方に踏み込まれて…というドトウの展開になります。
かわいそうなイゾ子…かわいそうな半平太さん。牢に放り込まれたにいちゃんもかわいそうだ~。なのに龍馬は、のん気に海軍塾で海軍体操。このノー天気さに軽く殺意を覚えたりなんかして。
今週の半平太さん
「おまんに説教されたくないぜよ!」には泣かされました~。これぞ本音でございましょう。1話の中でコロコロと言ってることや思いの吐露が変化するのも、黒と白の二重人格のなせる技とおもえば。あとは、サヨナラ公演までにもう1回くらい、ふたり半平太の競演が見たいなあ。
今週のイゾ子
うわ~~ん、イゾ子!「ワシは犬やったがですか…」って、ちょっと、堪らなかったわ。可哀想すぎです。こんなふうに、可哀想なまま退場していくってのもタマランものがありますが、最後まで目が離せませんね。武市先生との愛憎の決着はどうなるんでしょうか~。
来週…うわっ平井のにいちゃん逆さ吊り!? ついに収二郎がサブタイのタイトルロールに躍り出ましたが、これがサヨナラ公演なんですね…。イゾ子は? 半平太は? 弥太郎も久しぶりに出番があるようですし。…え、主人公?いたっけ何処かに?(←ひどい)
また来週っ!
そして勤皇党の悲劇の一番手が平井兄なんですね~加尾ちゃんも来週出てくるのでしょうか?
宮迫博之さんはお笑い出身ですが、俳優のキャリアもすでに大したものですね。「北条時宗」の頃から出ていましたし、考えてみたら大森さんとは映画「笑う警官」でもコンビ組んでたんですよね。この映画は見逃してしまったのですが、DVDがもうすぐ出るというので、探してみたいと思っています。
前回のレビューですが、週の後半も盛り上がっていたんですね。油断していられません。
「人斬りイクラちゃん」も、草刈民代さんの再登場ニュースも嬉しいですが、なんといっても「前原一誠」がツボでした。御尊父様にホレてしまいそうです♪
先週あたりから、ようやく意見がま逆になりました。
あんまり良すぎて、文句が言えないから、書くこと無くてつまんないなぁ・・・
あぁ・・
そうそう、この時代まで、忠義や大義や信義や仁義が右往左往して時代劇という時代ものを盛り上げてくれるんですよね。よかね~
番付、そもそもNHKの心情がカミングアウト?されてるもんだと思って、そういう風に見てました。これはこれで、そうなんだ~^ー^と思って見てる分には楽しいかも?
拷問もきちんとやるんでしょうか・・やるんですね?!おお。。。
イゾ子最高!武市さん綺麗やん・・
一橋慶喜あそこまで蔑んだ扱いにしなくても・・これは後の長州征伐~江戸城明け渡しに対する勝先生よいしょのためにこうしてるんですかね・・いやんだなぁ・・敵を蔑んで良く魅せる戦術は共倒れになるから嫌なのに・・
そのあたり、今まで視野の狭い小者扱いだった(ように思えた)武市の、本来の頭の良さや真面目さが表現されていたような気がしましたし、
土佐へ戻るのも、本来はそういう人だからこそ収二郎も以蔵もずっとついて来たんだよなぁと思えて、あのくだりで今までの色々思い切りフォローされたな~って感じです。
龍馬はどうも、傷心の相手に対して軽すぎで・・・いや、彼なりの気の使い方があのテンションなんでしょうけど、私が武市だったらかなりイラッとしちゃいます、ああいうタイプ。
幕府の方々も確かに軽いし、何か品がない・・・ダメ幕府な感じに描くにしても、もう少し武士らしい雰囲気は出して欲しいです。
以前武市らを「Vシネの悪役っぽい」と書かせてもらいましたが、どうもダメな感じにしたい人達の描き方が安っぽいな~と。
来週は弥太郎も出るようだし、収二郎のラスト。
大河において、主要キャラのラスト回は大きな見せ場だし、期待したいところです。
ドラマとしてはとても重苦しい展開となっていきますが、
避けては通れないですからね。見ごたえありです。
今週の白眉はやはり後半の龍馬と半平太のシーンですね。
前途が開けつつある龍馬と望みを断たれた半平太のコントラストが切ない。
その上で二人の間の友情もしっかり表していたいいシーンだったと思います。
大森氏は半平太の無念さとそれでいてサバサバした姿をよく表現していました。
そして福山氏も会話の前半はやや脳天気な調子でいたけど、
半平太の覚悟を知るや何としても土佐帰国を思い止まらせようとトーンがぐっと低くなり
龍馬の友への思いを上手く表現していたと思います。
やや語弊がありますが、福山氏は自分の容姿にかなり自信がある方だと思います。
その彼が顔をくしゃくしゃにして、
本人の言葉を借りると「いろいろな所から色々な物を出して」
このシーンを演じていたことに、私は感心しました。本気を感じました。
そんなこんなで、ここのところ龍馬伝は男ばっかり登場していて、濃いですね。
これこそ私好みなのですが、その中で坂本家の女性陣と半平太夫人のシーンもとても良かった。
坂本家の皆さんが陽気なので明るいシーンなんですが、
半平太夫人の今後を思うと非常に切ない場面でした。
さてタイトルに挙げた件ですが、庵主さんの仰る通り幕府首脳たちが集まる場面は
かなり薄味に描かれています。私はあまり重厚になってしまうよりドラマのテンポを考えると薄味でもありかと思います。
ただ、結構前から板倉勝静役で斉木しげる氏の名前があったんですが、
なかなか本編で発見できず、今回やっと見つけることができました。ご報告いたします。
今回の慶喜はカマキリ将軍系統だな、とか色々まだありますが長くなりました。
それでは失礼します。
福山雅治、龍馬になりきってるなあと思って。
きれいに演じようとしたら、
目薬で泣いているように見せかけるところでしょうに、
鼻水ダラダラ。
リアルでちょっと引き込まれてしまいました。
半平太になじられた時の以蔵、収二郎の涙も本気っぽくって良かったです。
半平太が以蔵を「飼い犬」呼ばわりしたのは、
「子犬のような目」「犬がしっぽを振るような」と言いたくなる今までの以蔵の演技とピッタリでしたが(笑)、
言われて「うわ~ん」と悲しむ以蔵の様子にまたゾクゾク来てしまいました(笑)。
慶喜のマンガチックな描写は確かにいただけないですね。
話し方も動きも全然時代劇じゃないですもん。
特に殿中をサラリーマンがサッサッと闊歩しているような歩き方の違和感と言ったら……。
今回は笑える場面がなかったのが物足りなかったです。
弥太郎もここのところ全く登場しないしなあ。
そろそろ出てきてくれるかな?
そして自分が歩んできた道が間違っていたと突きつけられ
ようやく龍馬の言葉を受け入れるようになるも
まずは己が犯した罪への償いをしなければという具合に
半平太の心境が丁寧に描かれていましたね。
こうなってくると弥太郎が入り込む余地はないようです ̄▽ ̄
一方で自分は武士であらねばならぬと
忠義や思想に縛られる半平太と龍馬の関係を見てると
土佐の女達は実に自由というか
こういう光景が日本人としてあるべき姿なのかなと
ふと思えてきたりします。
それにしても人斬りイクラちゃんを演じる佐藤健さんは
21歳なんですが、周囲の役者さんがほとんど年上のせいか
全然21歳には見えないくらい声の渋さと貫禄が出てるような気がします。
こういう感じで役者として確実にステップアップしてるんでしょうね。
それからWikipediaでキャスティングをパラパラと見てると
外国奉行・朝比奈昌広を石橋凌さんが演じるようですね。
そのまま鵜呑みにするとしたら
おそらく武田信玄で信長を演じて以来だと思いますが
この役が龍馬や勝とどう絡んでいくのか楽しみなトコロです。
前回に書いた演出法のことですが、こういう心情の揺れ動きとか思いが交錯するさまとかを描くのにはすごく向いていると感じます。
その反面、皆さんが物足りなく思われるように、錯綜する時代状況を簡潔にわかりやすく伝えるのには不向きで、ここはもっと脚本の工夫と演出法の使い分けが必要と思われます。
ところで、ここまで見てきて、以蔵→半平太の心情とか行動が、半平太→大殿さま(容堂)のそれとシンクロするというか二重写しなのを感じるようになりました。
軽輩で無学な以蔵が「剣は見所がある、龍馬より強くなれるかも」と言われて感激し、初めて自分を評価してくれた人である半平太についていこうと思う。
↓
勤皇党内部でも無視されがちな自分を「大事な存在」と言ってくれたことに報いたいと、暗殺者の役目を引きうける。
↓
「人斬り」に疲れ、龍馬や勝に諭されて迷い始めるが、半平太を信じ慕う気持ちも捨てられず板挟み状態。
↓
「飼い犬に手を噛まれた」に打ちのめされて、どうしたらよいのかわからなくなる。
この推移と、半平太の
建白書をほめられたと聞き、下士である自分の存在と主義主張を認められと感激し(誤解があったわけですが)勤皇党結成へと動く。
↓
攘夷運動中に上士への取り立てなどの厚遇をうけて、大殿さまの後ろ盾を得たと感じ、大殿さまに攘夷の旗頭になっていただくべく一層強力に攘夷活動に動く。
↓
攘夷決行の命令が下らず、庄二郎の件や龍馬の忠告でうすうす感じながらも、大殿さまへの忠誠心を曲げられない。
↓
・・・・このあとが次回に来るのでしょうね。
そう思うと、容堂に冷酷に使い捨てられるとも知らずに、「以蔵にはかわいそうなことをした」と語る[白半平太]が哀れです。
>なぜか長州って「陰惨度」みたいなものが少なくないですか?人斬りもいないしね。
そうそう。陰惨じゃないですよね。なんでだろう?
唯一後味がわるいのは、長州戦争のあたりの、高杉晋作と赤根武人の確執と、赤根の死に方だったりしますが…そのくらいの陰惨さは、土佐や薩摩ではザラに転がってる話ですからね。やっぱり、リーダーが若くてすっ飛んでいたせいなんでしょうか。
クオーターでも、そんな土地の血を引いているのはうらやましいです。
…と、幕末ものになるといつも思う…。
>宮迫博之さんはお笑い出身ですが、俳優のキャリアもすでに大したものですね。「北条時宗」の頃から出ていましたし
そうなんですか?! 覚えてない…
でも、もう完全に俳優さんですよね。わたしは、京極夏彦さんの「京極堂もの」の映画版で、原作でも好きなキャラの木場刑事をえんじてるのを見てビックリ。ほんとに寸分たがわず原作のイメージピッタリで、もう痺れました。
老父の戯言に反応していただいてありがとうございます。
もう、前原さんが民主党の代表だったころから、テレビに映るたびに「前原一誠…」と呟くので、家族はたいがいイラついて、言われる前に「前原一誠じゃないからね」とか言ってるものですから、あの方の下の名前を忘れてしまいました(誠司、でしたっけ)。
父には、このような意外な場所でウケて下さる方がいたと、よく申しておきます。
>あんまり良すぎて、文句が言えないから、書くこと無くてつまんないなぁ・・・
いや、ほんと良いときは最高、悪いときは…の波が激しいドラマですよね(笑)
でも、だんだん良い回が優勢になってきて、流れがよくなってきているので、このままいけー!と思ってます。
ま、ツッコミどころが無いのも寂しいので、そこは適宜に…。
>そもそもNHKの心情がカミングアウト?されてるもんだと思って、そういう風に見てました。
そうですね。へえ~、倍賞美津子のほうが近藤正臣より番付上なんだあとか、やっぱり里見浩太朗が横綱なんだとか、ふだんはわからない大人の事情が垣間見えて、興味深いです。
>イゾ子最高!武市さん綺麗やん・・
半平太さんは美しかったですね。あの、穏やかな澄んだ目がなんとも…。
イゾ子も良かったし、今週は、あのふたりの存在だけでおなか一杯…。
>敵を蔑んで良く魅せる戦術は共倒れになるから嫌なのに・・
共倒れとは言いえて妙です!それをやって、共倒れどころか、ドミノ式に全員が倒れるように倒れていったのが、去年の大河ドラマでしたから…。
そーゆー蟻の一穴からドラマが崩壊せぬよう願いたいものですが、眉なし慶喜はビジュアル的に新鮮だから、ま、いいかなと(←無責任)
中島みゆきさんの「世情」。
金八先生のパート2で、加藤優らが逮捕されるシーンで流れていたこの歌が、龍馬と半平太の別れのシーンを視ている時に思い浮かんできました。
この歌の歌詞って、半平太の心情そのものではないでしょうか?
自らの命運が尽き果てたことを悟りながら、それでも信念を捨て去ることが出来ない。信念を捨てるくらいなら、命を捨てる方を選ぶ…。
土佐藩や攘夷思想が自らのアイデンティティーと化し、そこから抜け出すことなど思いも寄らない半平太の苦悩と諦念が、大友さんの表情や一言一言の台詞から、ひしひしと伝わってきました。
以蔵にしてもそうですが、この時代の日本人には自由という概念そのものがないか、あったとしても現代人のそれとは大きく異なっていたのは想像に難くありません。
幕末の頃は、freedomという言葉を「勝手気まま」と訳したりしていたそうですし。
龍馬のように規格外の生き方など、当事の常識人にはしたくても出来なかったのでしょうね。
舞い散る桜越しに去ってゆく半平太、スローモーション映像の後ろ姿…なんのナレーションが無くても、龍馬とは今生の別れであることがはっきりと判りました。
ベタといえば、これほどベタな演出もないのですが、去りゆく間際の龍馬と半平太のやり取りが迫真に満ちていたので、非常に印象深いシーンになりました。