幕末事件ファイル 寺田屋事件(2)
前回は、西郷吉之助が島津久光の怒りにふれ、鹿児島に強制送還されたところまで見ました。その時点ですでに文久2年4月になっています。4月23日のXデイまで、わずか半月の間。そのあたり、またオモテとウラから眺めてみましょうかね。
そのまえに、有馬新七について。
有馬新七は、超バリバリの尊王主義者でした。国学にも造詣が深く、薩摩の若い下級武士ではほんとうに珍し . . . 本文を読む
幕末事件ファイル 寺田屋事件(1)
前回、めでたく薩摩藩の実権を握ったものの、オフィシャル・シーンで通用する官位官職もない島津久光が、藩兵を率いて幕府に殴り込みをかける決意をしたところまでみました。今回のテーマは、
久光上京のウラで、何が起こっていたのか。
久光の引兵上京が、京都の寺田屋で薩摩藩士の同士討ちという悲劇におわるまでには、政治の表通りと裏通りで二通りの事情が平行しておこってい . . . 本文を読む
公武合体とはなんだ!(2) 島津久光の野望
さて、前回、幕府の威信を取り戻すため、虚虚実実の駆け引きと大量の山吹色、最後は脅迫とウソまでついて、皇女和宮の江戸降嫁を実現した…というところまで見ました。
今回は、ややこしい話をますますややこしくするべく、辺境の薩摩から呼ばれもしねえのにやってくるお方にスポットをあててみていきたいと思います。
島津久光はなにをしていたのか。
井伊直弼が一 . . . 本文を読む
公武合体とはなんだ!(1)
皇女和宮。16歳のプリンセスの政略結婚は、ドラマチックな幕末劇の中でも最高クラスのドラマですが、この結婚に至るまでの道のりには、もちろん、多くの人たちの金と権力と保身の欲が、ドロドロに詰まっています。
ということで、今回の学習会は、和宮降嫁について見てみます。
プリンセス和宮の出自
和宮は孝明天皇の先代・仁考天皇の第8番目の皇女です。1846(弘化3)年8 . . . 本文を読む
安政の大獄とは何だ(2) 桜田門外の変まで
安政の大獄は、もちろん、同時代の当事者たちのなかで「安政の大獄」と呼ばれたわけではありません。
では、なんと呼んだのかというとこれが「飯泉喜内(いいずみきない)一件」。飯泉喜内という人は京都の三条家の家来で、逮捕されたのが安政5年9月17日。江戸の一橋派同志との連絡役として、江戸に滞在していて逮捕されました。将軍のお膝元での初逮捕だったのですね。
. . . 本文を読む
安政の大獄とは何だ!(1)
前回、安政の大獄の引鉄になった、戊午の密勅関連の動きをみました。
というわけで、今回は安政の大獄です。
「戊午の密勅」降下に絡んだ人々が、京都や江戸で次々に逮捕されたのは安政5年の後半から翌6年にかけてです。
上げられたのは、多くが 高貴な身分の公家や大名、幕府の能吏なども多数含まれていましたから、処分は慎重を期しました。
いわゆる「五手掛かり」、大目付・目付と、 . . . 本文を読む
戊午の密勅とは何だ!
戊午(安政5年の干支・つちのえうま)の密勅。
これについて説明するのは面倒くさく、話が込み入るのでショートカットしたいのは分かるのです。ですが、「水戸藩に密勅が下されました」のひとことだけでは、どうして問題なのか、なんでそれが安政の大獄の引鉄になるのか、なにも分からないので(溜息)、急遽、独自にレポートをつくることにいたしました。
以下、安政5(1858)年8月8日、幕府 . . . 本文を読む
条約勅許問題とは何だ!(3)
安政5年(1858)年というのがいかに動乱の年であったか、かんたんにまとめました。
1月 21日 老中堀田正睦、京都に出発
3月 20日、堀田正睦の条約勅許上申に天皇より勅答。通商条約は断固拒否、将軍継嗣についての内勅は回答を保留する。
4月 20日 堀田正睦、帰府。勅許降下の不首尾を報告
21日 井伊直弼、老中に就任
5月 1日 将軍家定より井伊大老へ . . . 本文を読む
おひさしぶりの尚五郎クラブ。尚五郎が帯刀になっても、このタイトルで強引につづけたいとおもいます(笑)。
今回は、上様のご退場直前ということで、特別企画を組みました。題して
上様御薨去直前スペシャル!
13代将軍・徳川家定の健康診断
徳川家の歴代将軍の平均寿命が51.4才だったことは、学習会でとりあげましたが、その51.4才より若くしてなくなった人と、死因は以下のとおりです。
3代 家光( . . . 本文を読む
条約勅許問題とは何だ!(2)
朝廷ロッキード事件の巻
さて、今回の学習会は、ドラマのほうではサラサラッと説明されました「日米通商条約締結と将軍継嗣をめぐる天皇の内勅」、この舞台裏のドラマを、ちょっとくわしく見ます。
孝明天皇は外国人ぎらい
司馬遼太郎氏によると、
後世では信じられないようなことだが、この幕末当時、日本史についての通史は頼山陽の「日本外史」が存在する程度で、よほどの教養 . . . 本文を読む