ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

無名であることが「神」の大切な条件だと、そういうことなんだね。

2006-07-20 | 映画
おーい! 皆ものどもよ! なんだって? オチが弱い? 怖くない?

何考えてるんだ! わかってないな~。

わたしは、「ダークネス」を先に見たので、そういう意味ではこちらの方が「尻すぼみ」だと思う。しかし! しかしだよ! 「尻すぼみ、尻すぼみ」という人たちは、あのラストの意味がわかっていないのだな。オチを直撃せずして、それでも解説を試みたい。

すべては題名が示唆しているのである。

ネイムレス」。

これは、先ずは作中の淫祀邪教集団《カルト》の名前として登場する!

これだけで、この作品の「核心」は確定ではないか!

「ネイムレス」「カルト」だぞ!

わからないヤツは、ホラーを語れません。勉強しなおしなさい。

……煽りすぎました。これでは、不親切ですね。うーん。

ウルトラマンティガ」の最終3話を知っていますか? 「もっと高く!~take me higher~」という回で、「怪獣」の名前を聞いたとき、身震いしましたよ。ゾイガー! (しかも必死で倒したゾイガーが無数に存在し、世界中の都市を襲い、)そして、その次の回「暗黒の支配者」で古代人(ウルトラマンが属した種族)を滅ぼした邪神ガタノゾーアが出現するに及んで、もう、悶絶しましたとも。

クトゥールー神話をご存知でなければこの「ウルトラマンティガ」の終幕は充分に楽しめたといえないのです。知識あってこそ楽しめる作品というものがあって、それは作品の普遍的な楽しみ方といえましょう。(古典文学作品だって「本歌取り」という和歌の技法に限らず、先行作品のモチーフを使って面白さを演出するということは常なのです)。

話を戻します。「ネイムレスカルト」とは「クトゥルー神話体系」のなかに登場する「無名祭祀書」とも訳される禁断の書物の名で、さまざまな淫祀邪教が列挙されている「名もない書物」であるとも、「名無し」の神を祀る宗旨の秘蹟を書き記した書物ともいわれている。

題名だけで既に、あの「死霊秘法」=「ネクロノミコン*」と肩を並べる書物を想起させるように作られている本作、だからこそのあのオチなのですね。

つまり、名無しの純粋な邪悪は、希望を掴んだと思った瞬間に深い絶望を与えられた「母」によって生み出されるのです。生むのはあくまで母なのですね。

*サム・ライミ監督の「死霊のはらわた2」冒頭で、(前作にも出た)死霊を呼び出す魔書「ナテュラン・デモント」はすなわち「死者の書(ブック・オブ・ザ・デス)」はまたの名を「ネクロノミコン」という、と知らされたときには映画館の暗がりでうひゃうひゃ笑ってしまいましたよ。

数学的な迷宮か、理論物理学的迷宮か。

2006-07-19 | 映画
「CUBE」と「CUBE2」を連日で見た。

「CUBE」はずっと以前に一遍見ている。

少し忘れていたところもあったが、ただひとりホワイトアウトするラストシーンまでそれなりに覚えていて、また、再見でも充分に楽しめた。

対して、「CUBE2」こと「HYPERCUBE」である。

詳しい情報を得るのはイヤだったので、理由は追求していなかったが、いまひとつ評判が芳しくないということだけは知っていた。

皆私服。どこも真っ白な部屋! うーん。なるほど。なんだか違和感あるな。これは新しい陰謀で作られた新しいキューブか?

……そういう意味での謎は直(じき)に解けた。

最初から同じようなシュチュエーションを準備しつつも、違う「キューブ」の話ではないか!

前作が数学的な迷宮ならば、今度は理論物理学的迷宮である。

量子の重ね合わせや、量子の瞬間移動といった性質を用いて「建設」された位相空間的迷宮!

たとえば認知症の理論数学者が、もと同僚の理論物理学者の「瀕死の姿」を見、それを他の者が死臭がするというが、実は生きており、しかし心理療法医であるという女主人公のケイトが脈を取った瞬間に「もう、とっくに死んでいる」となるところは、いわゆる「シュレディンガーの猫」というヤツじゃないだろうか。

観測されるまで確定しない事象の場合、たとえば「生きている」と同時に「死んでいる」状態にあるが、確認を得た瞬間に「死」が「確定」するというような、まさに量子論的「CUBE」というわけだ。

わたしにはかなり面白い着想だったのだが、なるほど、これでは一般受けしないはずだ。ギミック(仕掛け)の根拠が高等な割りに、結局あまりに非現実な、それでいてなんでもありの、ご都合主義の「檻」ではないか。

そしてもったいぶった謎はラストであっさり解け、でも、そんな解決はあり得るのかねというこちらの疑問をそのままに、エンドクレジットが出てしまう。

うーん。面白かったんだけど、「納得するしかない理論」で構築されているのに、変に生臭いらしい秘密組織の存在が暗示されて……それはちょと興ざめだね。

やっぱり皆さん同様に1本目の方がよかったかな。素数とか因数とか、理論値の部屋数以上の数が付いた部屋があって、それが「通路」だろうという謎解きなんて、本当にエキサイティングだったもの。

まあ、それでも「HYPERCUBE」、エッシャーのだまし絵を目で見せられると、少しゾクッとするね。「サスペリア」とかとは違う意味でね。

さて。残りはあと1本。「CUBE ZERO」。それだけまだ未見。(ちょっとテンション下がったから、また日を改めてみよう、っと)。

子どもマンガだって集めていたし、「テレビ(幼年)誌」も買っていたぞ!

2006-07-18 | アニメ
昭和51年から52年にかけて、朝日ソノラマのサンコミックスで、とんでもない「書下ろし」がほぼ同時に刊行された。

ひおあきらの「超電磁ロボ コンバトラーV」(全3巻)と、細井雄二の「大空魔竜ガイキング」(全2巻)、パンチョス石綿の「空爆ロボ グロイザーX」(全2巻)の三作品だ。

思えばあのころのサンコミックスは凄かった。「鉄腕アトム」や「ゲゲゲの鬼太郎」、なんといってもジョージ秋山の「ザ・ムーン」を初単行本化したり、「マジンガーZ」のテレビマガジン部分の初単行本化(と同時に、弓教授、ブロッケン伯爵、さやかの初「改悪」原稿版でもある)を果たしたりもした。

それにしても、その年の「重要」ロボット作品を同時に書き下ろさせたのは凄いと思う。

特にひおあきらの「コンV」は実にもとのアニメ作品の、押さえるべきところをかなり確実に拾い出している。(残念ながら「ガルガンチュア」は外してしまったが。)

対して「大空魔竜ガイキング」はフェイス・オープンを最終エピソードでだけではあるが、描いているものの、「たたかいの野に花束を」が流れる中幕を閉じる元のアニメ版のエッセンスまでは描き得なかった、というしかないだろう。同じころに単行本化されたテレランコミックス版の「大空魔竜ガイキング」の方が、マンガ家松本めぐむ(いまとなっては有名だが、実は後の尾瀬あきら)の描くキャラクターの魅力と「国連を訪れる」などというエピソード展開が上手で好感が持てた。(ただし、連載全部の単行本化は「鋼鉄ジーグ」ともども発売された、数年前の双葉社版まで果たされなかったが)。

そして、そして。なんといっても残念なのがパンチョス石綿版「空爆ロボ グロイザーX」だ。

これはいまだ桜多吾作版のマンガが単行本化されていない不遇な作品だ。実際アニメ本編もまるで記憶にないし、主役級以外の声優さんが酷く下手糞だったという印象しかないので仕方がないかもしれないが。テレビ東京(っていうか、東京12チャンネル)のアニメって、これといい、「合身戦隊 メカンダーロボ」といい、なんだかいつ見ても同じようなシーンだったように思う。

まあ、とにもかくにも何でまたパンチョス石綿なんてヤツに書かせてしまったんだろうか。当時確かに「怪傑シャッフル」であるとか「へんちんポコイダー」であるとか、テレビマガジンなんかのダイナミック・プロ作品は彼が仕上げていたようだが、とにかく太いペンでざっと描いただけみたいな「ダイナミズム」のはきちがえはいただけなかった。(もっというと、書き下ろし単行本なのに原稿落とす寸前の富樫義博の絵みたいな、顔ペケとか、デッサン風に線探したような描き方はどうかと思ったぞ)。 

安田達矢の「鋼鉄ジーグ」なんかさすがだもんなぁ。よっ! チーフって感じで。

…………。

かなり焦点ぼやけた記事になってしまったが、そのころのテレビマガジンのKCとかテレビランドコミックスとかのロボットマンガは充実していたよなぁ。

今道英治の「グレートマジンガー」とか「グレンダイザー」とか。学年誌版の石川御大の「ゲッターG」を含んだアンソロジー的構成だったヤツとか。

玩具と主題歌、マンガのみの展開だった「恐竜サイボーグマシンザウラー」もよかったな。(「ジーグ」路線の球体マグネットのおもちゃ! 池田鴻の力はいった主題歌! CM用の銀河帝王デスクロスと戦う着ぐるみが興奮ものだった!)

……マニア度全開で書きまくってみたぞ! 魔神皇帝さん!

*絵はひおあきら版「超電磁ロボ コンバトラーV」と、ついでにこいつだ! 坂丘のぼる版「超電磁マシーン ボルテスⅤ」(こいつは脱力度が高い作品だ!)

*突然思い出したぞ! ウルトラマンとウルトラ7(たしかセブンを数字でかいてあったような……。で、ウルトラのふたりは「変身」キャラクターではなく、主人公の子どもたちが呼ぶとやってくるという感じのお助けキャラ)が出てくる、むちゃくちゃオリジナルな単行本マンガで、「スカンクドンがお尻を向けて狙っています! ウルトラマンのピンチ!」なマンガをどなたか知らないか?

70年代? 実は60年代末。高度成長と、未来への陰りが見えたころ。

2006-07-17 | アニメ
夏休みというと、思い出すのが「石森章太郎」「東映動画」「野沢雅子」。

「空飛ぶゆうれい船」は1969年作品。
同時上映は「飛び出す冒険映画 赤影」という「仮面の忍者 赤影」の編集版を「立体映画(赤青セロファン眼鏡で視聴するタイプ)」に仕上げたもの。


原作は石森(石ノ森)作品「幽霊船」だが、SF性は本作の方が上である。脚本に辻真先が参加しているので、当然かも知れない。

「幽霊船」が各地で船舶を襲うという噂がしきりだったある日、隼人は交通事故を起こした黒汐コンツェルン会長夫人を父とともに助ける。そして夫人を運び込んだ岬の廃屋で、怖ろしい幽霊船長を目撃する。
またある日。父とともに街をドライブしていると、巨大なロボットが飛来し、「幽霊船の使者ゴーレム」を名乗り、街を破壊、この襲撃で隼人は両親を失い、「幽霊船」への復讐を誓う。
前半、悪役は「幽霊船」と「幽霊船長」なのであるが、実は幽霊船が狙う船舶は黒汐コンツェルンの船舶ばかりであり、実は黒汐コンツェルンこそ、死の商人で、悪の「ボア」の手先とわかる。
「ボア」はまた、コマーシャルと懸賞で人々の購買意欲を煽って大人気となっていた「ボアジュース」という毒入り飲料で人々を殺戮し、地上の全てを意のままにしようとしていた!
黒汐のかつての計略で顔に傷を負い、妻を失い、息子を奪われた幽霊船長=滝こそ隼人の本当の父とわかったり、幽霊船の少女船員ルリ子の可愛そうな身の上と、隼人以上に気丈な彼女に触発されて、ついに「ボア」を退治する隼人、といった展開も胸がすくのである。

おんぼろな幽霊船に見え、空を飛び、実は未来的な兵器を満載するという意外性に満ちた設定というのは、「宇宙戦艦ヤマト」の1・2話にも影響を与えているのではないかと思われる。

主題歌「隼人のテーマ(Go ahead! キャプテン・ハヤト)」も好きだ。
ラストシーン。ルリ子と犬のジャックとともにヨットを沖に出す隼人。そこに流れるのがこの主題歌。途中ジャックが鮫に驚いて大切な収集品をみんな落としてしまう。
隼人が慰めて「これからみんなで集めればいいさ」というようなことを言い、ルリ子も賛同する。

(日本万国博覧会な)脳天気な70年が目前だったが、「暗い未来」の足音が近づきつつあったのだが(コレは「コカコーラ」が骨を溶かすという伝説よりも明白に、早くも芽吹き始めた食の不安、功利主義への不安が作品に影を落としているということに間違いはない、しかし!)みんなが手を携えて頑張れば「心の支え」は失われないというメッセージがここにはある。

翌1970年の作品「海底3万マイル」についてはまたの日に……。

*魔神皇帝さまからの「70年代アニメやヒーロー」というお題リクエストに、素直でないわたくしは60年代の終わりの作品で応えてみました。

最恐!? 本物心霊ビデオは感染するのか?

2006-07-16 | 実話?
昨日の「新生トイレの花子さん」および「稲川」ネタのトラックバック可能なブログさんを探して検索中に、たまたま「稲川淳二」が昨晩遅く(というか、夜中に)テレビ生出演で夏の風物稲川怪談を披露するらしいという情報を得た。しかも北野誠がかなり怖いビデオを流すとのこと。

「恋のキャバ姫夏祭り」深夜1:05~早朝5:25。「ラジカルッ」という番組のスペシャルらしい。

稲川淳二が番組中のどのあたりで出るかわからないので、とりあえず全部録画した。

残念。稲川ネタは噂の「生き人形」その後編ではなかったが……うん、ちょっとくるものはありましたね。

それ以上にキテイタのは北野誠のビデオでした。

関西では有名だという心霊スポットの廃墟ホテルを訪れた北野の松竹芸能後輩タレントが、番組で与えられた手持ちのデジタルビデオで撮影したものに、バッチリ映りこんだという「幽霊」の姿。

そう。キャプチャした写真がこいつ(↑)だ!

若手タレントが自らを映した、その右側に、ワンレン風に見える女らしき存在がレンズを覗き込むように映っているじゃないか! 下段アップでも確認してくださいね。

……で、ここにコレを貼って広めることにした理由があります。

番組中で北野誠曰く、

「このビデオは『リング』ビデオみたいなところがある」と。

すなわち、これを見た者はその晩に怪異を体験するが、ダビングした場合は回避されるようだ、というのです。

ね。これはわたしの分の「怪異」避けというわけです。

あなたは……どうします?

あなたの知らない、超常アンビリーバブル世界。夏だねぇ…

2006-07-15 | 映画
「着信アリ2」の稲川淳二とちすん(本名は金智順キム=チスンというそうだ。グランセイザーとかにも出ていたそう。在日三世俳優だそうです)のコメンタリーというのを聞いた。

本編と関係あるような、ないような……。

エンドレス(正しくは映画本編が続く限り)に稲川怪談が語り続けられる。

稲川怪談で一番怖いのは「生き人形」。

7年前の怪談ナイトLIVE で初めてまとめて語られたあの話もDVDになっている様子。VHS版で見たけれども、「現在進行形」らしいので、「最後」といののも憚られるけれども、最後が怖かった。

こんな感じ。

皆さん。この写真(大きくプロジェクターで映し出されている)、ね。このマネージャーのガンちゃん(だったかな?)と、わたし、それに問題のね、人形ですよ。ねぇ。こんな写真が出てきました。ガンちゃん、いまのわたしのマネージェーね。でね、この写真が不思議なんだ。……だってね、ありえないんだよ。ねぇ。彼ね。いまのマネージャーで、このころこの人形と絡んだことなんかないんだ。ね、この写真、あるわけない写真なんだな。……そういう話です。そういうことが……あるんだねぇ。

「生き人形」ネタといえば、「新生トイレの花子さん」。

監督は堤真一。脚本は高橋洋。前田愛主演 高島礼子助演(役名 カシマレイコ! あの「噂霊」の名前を持つ霊能力教師で、前田愛のストーリー上のお姉さんで、十一年前だかに行方不明になった女の子の同級生という役)。特別出演で野村佑香。

姉が行方不明になった中学校に進級した少女。トイレで何かを見て昏倒したために「花子さんを見た者がいると、誰かが死ぬ(行方不明になるだ)」と言い伝えられているため、上級生に詰問さたりする。(行方不明になったのは、彼女の姉であり、実はそれが伝えられているわけだ)。それ以後彼女の同級生や担任に、次々に怖ろしいことが起こるが、その根源は中学校の裏庭にある祠に安置されていた「人形」に乗り移った「何か」のせいだったという感じのお話。

エンディング曲aikoの(デビュー曲)「あした」がとてもよいこの作品、ストーリーの破綻やおふざけではなく空回りしている妙な堤演出など、欠点もあるものの、一見の価値はあると思う。レンタルDVDもなかったので、買って所持しております、はい。

子ども騙し系ホラーも結構いいんだよね。

夏だし、「学校の怪談」シリーズもレビューしようかしら?

本日の記事は物欲対象DVDア・ラ・カルト。

2006-07-14 | Weblog
今日の購入品。「悪魔の赤ちゃん」「悪魔の赤ちゃん2&悪魔の赤ちゃん3・禁断の島」

待ってました! の、この二枚である。

しかし!

「悪魔の赤ちゃん2&悪魔の赤ちゃん3・禁断の島」の方は例の両面ディスクではないか! 安心するために、バックアップ・ヴァージョンを作成中。実は、テレビシリーズ版「シャイニング」をいまだに見ていないのもこのせい。横着せずに「シャイニング」もバックアップ作成して、見ましょう、と決意。

今日の発売分は「死霊伝説 セイラムズ・ロット」という新ヴァージョンの「呪われた町」の廉価版(1,500円ライン)、それに「ローズ・レッド ザ・ビギニング」の廉価版(1,500円ライン)。

既に持っている「ローズ・レッド」「死霊伝説」「IT」「シャイニング(TV)」などもさらに廉価な980円、690円ラインでの発売となったようだ。

以上はワーナーの廉価版販売だが、

他社でも「ミッドナイト・クロス」がしばらくぶりのリリース。「殺しのドレス」のスペシャル版もいま出ているし、デ・パルマのこのあたりは欲しいところだ。

明日出勤すると、二日間は休める。(皆さんは明日から三連休の方が多いかな?)まあ、2・3本は鑑賞できるはずだな。

……とはいえ、テレビシリーズ版「着信アリ」は、レンタルしてきた分については娘と一緒に見終わった。文句はたくさんあるが、まあ、こんなものかな。

とりあえず、続きを最後まで見てから感想を述べたい。

*絵は何にしようかと迷ったが……夏休み迫る! で、リゾート気分満喫してろよ、お前ら、なビーチサイドの揺籃(ゆりかご)ということで……。

穏やかな人間は陥れられるのか。または、親切なひとには下心があるのか。

2006-07-13 | 映画
親切なクムジャさん」。

「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督作品だ。

この作品、復讐三部作の最後なのだそうだ。

残念ながら、「復讐者に憐れみを」というのは未見であるが、「オールド・ボーイ」同様、これもやはり怒涛の如く物語が始まる。

十三年の刑期を終え、出所するヒロインのクムジャさんを、伝道師とサンタクロース姿のボランティアが迎える。所内では受刑者仲間からも「親切なクムジャさん」と親しまれていた彼女。信仰を得、改悛も深いはずの彼女は、伝道師の差し出す無垢の象徴である一丁の豆腐を顔色も変えずに引っくり返す。

クムジャさんは変わってしまったのか? いや、彼女には十三年の刑期を貫き、心に秘めた計があった。

以後、彼女が犯したとされる誘拐殺人の罪であるとか、刑務所で受刑者仲間を如何に「計画」の仲間としていったか(すなわち彼女がなぜ「親切なクムジャさん」と呼ばれるようになったか)が語られる。

「現在」の彼女が真っ赤なアイシャドウを塗りたくって、険しい表情をし、どちらかというと老けた(20歳で受刑、13年が経ったのだから33歳のはずだが、それ以上に見える)顔をしているのに対し、基本的には受刑中の彼女はもちろんスッピン(という設定)で、「親切」なだけに、可愛らしい。

この、落差が魅力になっている。

そして、ストーリーの進行に従い、クムジャをハメた人物が明白になり、復讐の概要が見え始めるところも面白い。

最後の「復讐」もまた、さすがに「親切なクムジャさん」だけに、復讐を独り占めにしないという点も納得ものであった。

イ・ヨンエ演じるクムジャさんもよいが、悪役に「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクを配したうえ、端役的だがソン・ガンホン(「殺人の追憶」しか見たことはないが、「復讐者に憐れみを」の主演なんだそうだ)をも悪役に据え、三部作を見事に完結させたということだろうな。

ネタバレを回避するように書いたら、ほとんど何も書けないほどに、伏線に満ちている映画だ。

たとえば、そうだな、モチーフとしての「ナレーション」なんかも、ちゃんと意味があるんだよ! っとだけは書き添えておこう。

必見!

第三種ハルマゲドン接近遭遇!!

2006-07-12 | アニメ
アニメ「幻魔大戦」

ちぇりーさん(Recent trackback スティグマータ参照)のBlog「アロハ・アヒアヒ」にコメントに行ったつもりが、思いのほか力(リキ)が入っ長くなったので、もったいないからこっちにも掲げちゃいます!


・冒頭の予言者だか占い師だかの、怪しく舞い踊るようなシーンが可笑しい。

・幻魔の「絶対の消滅」とかいう野太い声も、なんだかどこか浮ついている。

・マンガ版のフロイ(犬状宇宙人→後にセントバーナード形態で地上に現れるうえ、一〇一匹の息子たちまでいる)から平井和正版のイメージ(光の根源的存在)に置き換えられた超越存在フロイは、しかし、美輪明宏の声で妙に巻き舌で、「フゥロォーイ」と自称している。

・吉祥寺サンロードが、当時の面影をよく伝えている。さすがに今は風景変わったんだろうな~。 脚本のひとりが真崎 守さんなのだが、「サイオニクス戦士」のヨーギン(変な行者)とかタオ(クンフー娘)とか、いかにも彼の趣味っぽいな、と思う。

・タオは原田知世が声を演じているがタイム・リーパー(「時をかける少女})ではない。しかし「道(タオ)イズム」というのが「老荘思想」から生まれているということを考えると、「胡蝶の夢(荘子は蝶となり百年を花上に遊んだと夢に見て目覚めたが 自分が夢で蝶となったのか、蝶が夢見て今自分になっているのかと疑ったという逸話)」にも通じて「ミュータントお蝶」(「新幻魔大戦」のタイムリーパー)なんていう存在が、脚本連の識域下で通底していないとも限らないか。

・原作マンガ版の地球侵攻司令官シグに相当するカフー。穂積隆信が声を演じるこの、「手品好きの気障な紳士」みたいな怪しいキャラクターも魅力的!


・キース・エマーソンの音楽が、いい、といいたいが、おそらく大半は青木望の音楽なんだろうな。「地球を護る者」という曲と、「光の天使」(ローズマリー・バトラー歌)が、確かに印象には残るが、タイトルバックはいかにも青木望だよな。(キース・エマーソンのサントラはやっぱりダリオ・アルジェントの「インフェルノ」が断然いい!)


・平井和正が猛烈な勢いで「幻魔大戦」のシリーズを書き出す以前、まだマンガ「幻魔大戦」と「新幻魔大戦」しかなかったころ、角川春樹は某出身大学(わたしの出身大学でもある)での講演の際、「自分が乗る飛行機が墜落しても、自分は海に投げ出されて助かり、イルカが救いに来る」と発言したという。(わたしはその講演を聴いていないのだが、当時、聴いた友だちから又聞きした)。もちろん、「幻魔大戦」の巻頭、ルーナ(ルナ)を巡るエピソードそのものである


・……だから、角川春樹が「幻魔大戦」を角川アニメにしたのも当然であろう。彼の好むこの妄想を描写せずには置けなかったのである。



*アニメ「幻魔大戦」は残念ながら劇場では見られなかったので、ビデオが発売された時、14,800円(当時の売価では安い方だ。字幕なしの「STAR WARS」を50,000円で買ったのに比べれば!)で購入した。この、ノーマルトラックのステレオ版という仕様は、短命であった。間もなくHifiという仕様に淘汰される。(でも!「Halloween Ⅱ」の輸入版もやはりノーマルステレオだったが、以後DVD 時代の今にいたるまでこの作品のステレオ版は日本では発売されていない!)

*画像架け替えました。7月13日

ストイックな男も、静かに静かに燃え上がります。

2006-07-11 | 映画
「マイ・ボディガード」(Man on fire)

トニー・スコット監督。

昨日の「積み重なっていく」作品のひとつだったが、あんまり深く考えずに「レジェンド 光と闇の伝説」と秤に掛けてこっちを見ることに決めたのであるが、

おお。これは勝手にこっちで迷っただけなのに「兄弟対決」だったではないか!

結果、兄貴リドリーを抑え、弟トニーの勝利! だったわけである。

面白かった。もっと甘い話かと思ったが、思った以上にストイックで渋い話だった。

それでもなお、ダコタ・ファニングの魅力が大きい映画であることは間違いがない。

「宇宙戦争」も悪くない。「ハイド・アンド・シーク」もまずまずだった。

しかし、この作品の彼女は可愛らしいな。品のある子どもの可愛らしさ漂っている。後半のハードさも前半の彼女の愛らしさゆえといえるだろう。そういう、作品上の原動力に、間違いなくなっている。

ところで最近は気楽に見ようというときには、吹替えがあればそちらを選ぶが、こおろぎさとみがあてていた……。(文句はないけどね。でも、彼女の名前を見ると、どうも、炎の幼稚園児の妹を思い出していかん……。あ、これは関係ないかな……。

*まあ、炎の幼稚園児ご自身も、「ビッグオー」のR・ドロシーとか、「機動新世紀ガンダムW」のリリーナとか、お嬢さんらしい役もなさっているのだけれどもね。