ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

数学的な迷宮か、理論物理学的迷宮か。

2006-07-19 | 映画
「CUBE」と「CUBE2」を連日で見た。

「CUBE」はずっと以前に一遍見ている。

少し忘れていたところもあったが、ただひとりホワイトアウトするラストシーンまでそれなりに覚えていて、また、再見でも充分に楽しめた。

対して、「CUBE2」こと「HYPERCUBE」である。

詳しい情報を得るのはイヤだったので、理由は追求していなかったが、いまひとつ評判が芳しくないということだけは知っていた。

皆私服。どこも真っ白な部屋! うーん。なるほど。なんだか違和感あるな。これは新しい陰謀で作られた新しいキューブか?

……そういう意味での謎は直(じき)に解けた。

最初から同じようなシュチュエーションを準備しつつも、違う「キューブ」の話ではないか!

前作が数学的な迷宮ならば、今度は理論物理学的迷宮である。

量子の重ね合わせや、量子の瞬間移動といった性質を用いて「建設」された位相空間的迷宮!

たとえば認知症の理論数学者が、もと同僚の理論物理学者の「瀕死の姿」を見、それを他の者が死臭がするというが、実は生きており、しかし心理療法医であるという女主人公のケイトが脈を取った瞬間に「もう、とっくに死んでいる」となるところは、いわゆる「シュレディンガーの猫」というヤツじゃないだろうか。

観測されるまで確定しない事象の場合、たとえば「生きている」と同時に「死んでいる」状態にあるが、確認を得た瞬間に「死」が「確定」するというような、まさに量子論的「CUBE」というわけだ。

わたしにはかなり面白い着想だったのだが、なるほど、これでは一般受けしないはずだ。ギミック(仕掛け)の根拠が高等な割りに、結局あまりに非現実な、それでいてなんでもありの、ご都合主義の「檻」ではないか。

そしてもったいぶった謎はラストであっさり解け、でも、そんな解決はあり得るのかねというこちらの疑問をそのままに、エンドクレジットが出てしまう。

うーん。面白かったんだけど、「納得するしかない理論」で構築されているのに、変に生臭いらしい秘密組織の存在が暗示されて……それはちょと興ざめだね。

やっぱり皆さん同様に1本目の方がよかったかな。素数とか因数とか、理論値の部屋数以上の数が付いた部屋があって、それが「通路」だろうという謎解きなんて、本当にエキサイティングだったもの。

まあ、それでも「HYPERCUBE」、エッシャーのだまし絵を目で見せられると、少しゾクッとするね。「サスペリア」とかとは違う意味でね。

さて。残りはあと1本。「CUBE ZERO」。それだけまだ未見。(ちょっとテンション下がったから、また日を改めてみよう、っと)。


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4 コメント

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やっぱり続編は…? (grace)
2006-07-20 00:12:10
もう夏休みですか?

「CUBE」は名作ですね。10年以上前と思いますが、いまだに鮮烈に残っている作品です。ゆいもあさんのおっしゃるとおり、エキサイティングかつインタレスティング(興味深い)な映画でした。一人残った心障の青年(でしたっけ?)の見た風景は?…結局ホアイトアウトとともに…終ってしまって、かえって面白かったです。

見ていて、英語だけど、アメリカともイギリスとも違うテイストにどこの国の映画か非常に気になってエンドロールで確認したらカナダだったと覚えています。

で、「なるほどこの不条理さは、カナダのフランス系が作ったに違いない」と勝手に納得してしまいました。

「2」ははっきり言って、ホラー娯楽レベルにひきずりおろされた悲惨な作品でしたね(~~)

って感想ひどすぎます?(^^;)

で、その後は見てません。「ZERO」は感想を見てから決めますね。



今「トゥルーコーリング」と「ロスト」にはまってます。「ロスト」7巻以降が待ち遠しいです。(前に書いたかもしれませんが)

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cube (1000summer)
2006-07-20 15:44:50
これはとてもいい作品でしたね!

6面のうち5面が殺人トラップ。

斬新なアイディアでした。

天文学的素数も、良いアイディアでした

2は殺人トラップがやって来るという設定で

少しガッカリしました…

(ハラハラしなくなる…)

でも、CUBE自体の評価は

ZEROも見てからにしたいと思います♪



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面白い映画見たいなーが口癖 (Vid)
2006-07-20 17:08:07
私も1作目が好きです。2作目も多分見てると

思うけど、記憶があるようなないような。

最近ホントによほどの名作じゃないと(自分に

とって)内容、覚えられない(笑)



不条理ということでいい場合もありますよね。

謎解きすりゃあいいとも思えない。

この世の中には答えのないことの方が多い。

意味や答えがないことの方がずっと楽だったりするのです。

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ZEROで完結する! (yuimor)
2006-07-20 23:19:03
「リング」とおんなじだね。ゼロで完結するというのは。



>graceさん

続編とリメイクには疑問だらけというのがgraceさんでしたね。

そう。大概の作品は続編がダメなのですね。

この作品はリメイク寄りではないかと思います。「死霊のはらわた2」ほど明白なそれではありませんが。バジェットが少し大きくて、もとのアイデアとの共通点があって、しかし根本のカラクリが「量子物理」であるという。

graceさんの映画ブログも、また育ててくださいよ~。



「トゥルーコーリング」「ロスト」ともに面白そうですが、「響鬼」とか「着信アリ」とか、(「スタトレ」とか)もうテレビシリーズは手一杯な感じ。実は「リュウケンドー」なんかもコピーしたままで見ていないかったりして。





>1000summerさん

「2は殺人トラップがやって来るという設定で少しガッカリしました…」

なるほどね。そうだね。トラップから(基本的には)走って逃げる、が出来てしまうのですね。その点では、もとのCUBEはどちらかというと入っちゃったらおしまいだもんね。どれかを選ぶ、と。素数がキイだと思ったのに、と、ね。アレの方がスリルが上だね、間違いなく。



>Vidさん



そうですね。だから変に思わせぶりな陰謀組織なんて出さずに終わればよかったのにね。

ラストの水面に立つ彼女が、そのままマイクロチップのネックレスを手に持っていると突然銃で撃たれ、何者かがチップを液体に満たされた容器に放り込むところでおしまいにしちゃえばよかったのに。会話なんかさせないでね。



そう。1作目の方が「リドル(謎を享受者にゆだねる)ストーリー」としては上なんだよね。



*「ダークネス」とか「ネイムレス」はいかがです? まあ、好き嫌いがありそうな映画ですが。新作「機械じかけの小児病棟」もよさげですが。



http://www.xanadeux.co.jp/kikaijikake/



*「玩具修理者」(映画版主演は田中麗奈)は?(久しぶりに見直してレビューしようかな)

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