ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

穏やかな人間は陥れられるのか。または、親切なひとには下心があるのか。

2006-07-13 | 映画
親切なクムジャさん」。

「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督作品だ。

この作品、復讐三部作の最後なのだそうだ。

残念ながら、「復讐者に憐れみを」というのは未見であるが、「オールド・ボーイ」同様、これもやはり怒涛の如く物語が始まる。

十三年の刑期を終え、出所するヒロインのクムジャさんを、伝道師とサンタクロース姿のボランティアが迎える。所内では受刑者仲間からも「親切なクムジャさん」と親しまれていた彼女。信仰を得、改悛も深いはずの彼女は、伝道師の差し出す無垢の象徴である一丁の豆腐を顔色も変えずに引っくり返す。

クムジャさんは変わってしまったのか? いや、彼女には十三年の刑期を貫き、心に秘めた計があった。

以後、彼女が犯したとされる誘拐殺人の罪であるとか、刑務所で受刑者仲間を如何に「計画」の仲間としていったか(すなわち彼女がなぜ「親切なクムジャさん」と呼ばれるようになったか)が語られる。

「現在」の彼女が真っ赤なアイシャドウを塗りたくって、険しい表情をし、どちらかというと老けた(20歳で受刑、13年が経ったのだから33歳のはずだが、それ以上に見える)顔をしているのに対し、基本的には受刑中の彼女はもちろんスッピン(という設定)で、「親切」なだけに、可愛らしい。

この、落差が魅力になっている。

そして、ストーリーの進行に従い、クムジャをハメた人物が明白になり、復讐の概要が見え始めるところも面白い。

最後の「復讐」もまた、さすがに「親切なクムジャさん」だけに、復讐を独り占めにしないという点も納得ものであった。

イ・ヨンエ演じるクムジャさんもよいが、悪役に「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクを配したうえ、端役的だがソン・ガンホン(「殺人の追憶」しか見たことはないが、「復讐者に憐れみを」の主演なんだそうだ)をも悪役に据え、三部作を見事に完結させたということだろうな。

ネタバレを回避するように書いたら、ほとんど何も書けないほどに、伏線に満ちている映画だ。

たとえば、そうだな、モチーフとしての「ナレーション」なんかも、ちゃんと意味があるんだよ! っとだけは書き添えておこう。

必見!


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2 コメント

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韓国映画のパワフルさに圧倒 (Vid)
2006-07-16 17:15:19
こんにちわ。

この映画、気になっていたんですよ。

あのオールドボーイの監督だとは。

あの作品のラストは思いもせず衝撃でした。

やられたって感じでした。

チェ・ミンシクって怪優ですよね。すごい人だと思う。

ハリウッドでリメイクにならないかなあ。

(そういう話なかったでしたっけ?)

コミックなんですね。読んでみたいです。



「親切な~」は絶対見ます。

ソン・ガンホは泥臭い感じが好きです。

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ドラマは見ませんが (yuimor)
2006-07-16 23:21:49
いわゆる「韓流ブーム」の中核にあるはずの「ドラマ」は見ないし、見る気もしない。



けれども「韓国映画」、ことに「ホラー」「サスペンス」ジャンルの作品は面白いものが揃っていると思います。



「オールドボーイ」は原作マンガとも違うようですね。まあ、インスパイアされたという感じのようで……と、いいつつ、わたしもマンガ版も読んでいません。



「オールドボーイ」も(それに「親切なクムジャさん」も)ハリウッドがリメイク権を獲得したというようなことは聞きましたが、さていつになるのやら。



「ダークウォーター」(「仄暗い水の底から」リメイク。ジェニファー・コネリー、お母さん役でも可愛い感じ)みたいに、急に出来ていたりするかも知れませんね。



「猟奇的な彼女」のリメイク権はスピルバーグとか言ってませんでしたっけ?
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