プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

移住(避難)基準の見直しを!

2013-11-15 11:57:08 | 日記
チェルノブイリ事故から5年後に成立した「ウクライナ法」では、年間被曝量5mSV以上が『強制移住』、そして1~5mSvの汚染地域は移住するかどうかの選択権を与える『移住権利ゾーン』に指定されています。確かに日本でも「被災者支援法」が成立しましたが、未だに対象となる放射能汚染地域の範囲と被災者の定義が曖昧なままです。

(過日開かれた)被曝線量の基準を空間線量から個人の実測値に緩和した原子力規制委員会の検討会では、除染の基準となる年間の追加被曝の長期目標は1mSvとしながら、年間20mSvを下回れば帰還できると提言しています。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)「ウクライナ法」は、経済的な破綻状態にあったウクライナでは、その実施は困難であったとのことでした。ただ、その法の主旨は、同じく過酷事故を起こした日本が指針とすべきものだと思います。

自公政権は先日、「放射線量の高い地域を中心に避難者の帰還が困難な実態を明らかにし、避難住民に(避難先および他の地域への)移住の選択肢を示」し、移住先での住宅支援を含む新たな支援策に踏み出す」との見解を閣議決定し、(民主党政権時代の)「原則帰還の従来の方針」を転換しました。素晴らしい決断だと思います。

只、危惧されるのは、移住を決める基準です。現在の避難指示区域は、「帰還困難区域」と「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」というように、恣意的に3つに区別されています。この区別は(精神的慰謝料など賠償において)現実的な「差別」を生んでいます。それもこれも民主党政権時代の避難基準の20mSvという途方も無い被曝基準が招いたものです。自公政権には、この差別を解消し、(旧ソビエトですら実現した)年間被曝5mSvという移住基準の見直しを行なって戴きたいと思うのです。年間5mSvを超える地域における移住と住宅支援を実現して戴きたいと思うのです・・・

P.S. 伊達市の除染責任者である半沢さんは、「効果の無いアリバイ除染は中止すべき」、「必要な政策の財源枯渇も招きかねない」と指摘されています。除染を「公共事業化」してさらに数兆円つぎ込もうとしている(自民党などの)動きは、復興の進まない被災地、或いは原発事故による避難者をなおざりにしたものです。移住(避難)基準を見直し、新たな汚染のない地での住宅取得のための支援を、(少なくとも5mSvを超える地域から自主避難した家族も含めて)差別無く実施して戴きたいと思うのです・・・

P.S.2 「被災者支援法」では、被曝と発症した疾病の因果関係に関しては、主張立証責任は政府にあるとされていますが、これまで政府にそうした動きはありません。(過日の)福島の子どもたちの甲状腺癌に関しても、政府が関与して検査なり実態把握をしようとする姿勢は見られません。勿論、福島第1原発で過酷な作業をしてる(3,000人でしたか)作業員の被曝管理も、(国が全面出ると言われるのならば)現地に厚労省の職員を常駐させて行なうべきです。でなければ、国が因果関係を証明するためのデータは、得られないと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月15日)

規制委員会 柏崎・刈葉原発(6・7号機)の審査に

2013-11-14 10:21:34 | 日記
 簡易タンクからの汚染水漏れを想定しながら規制できなかった原子力規制委員会、レベル(水平)の取れていない敷地にタンクの設置を許した同規制委員会、トリチウムの海への放流を容認した規制委員会、除染の基準を(空間線量から)個人の被曝線量へと緩和する姿勢を示した規制委員会、規制の名に値しない政府や東電に追従、或いはその露払いをしているかのような規制委員会が、原発事故の対応能力欠如が明らかとなり、原発運転の資格を失った東電に、(申請却下ではなく)原発再稼動の審査をしようとしています。最早(東電同様)、今の規制委員会に規制する能力と資格があるとは思えません。

 東電は現在、「フィルター付ベント」設備の工事を行なっています。新基準では設置が義務付けられる(福島第1原発と同じ)BWR(沸騰水型の)原発だからです。何故このような重要な設備の、設置工事が終わらないうちから、申請ができるのでしょうか?兎に角、現実に過酷事故が起きた日本において、今の新規制基準、申請基準が余りにも甘過ぎると思います。(これまでも数々書いてきましたが)例えば、ヨーロッパでは当たり前になっている「コア・キャッチャー」ですが、(今から取り付けられないのでしょうが)何故設置が義務付けられていないのでしょうか?メルトダウンした場合に燃料が、自動的に冷却プールに流れるという、過酷事故を想定すれば当然必要な設備だと思います。新基準は、事故の教訓どころか、事故の前から指摘され、或いは世界では既に採用されている基準すら満たしてはおらず、これでは安全を担保できるとは到底思えないのです・・・

P.S. (これまでにも書きましたが、某週刊誌によると)東電は、フクイチなど廃炉や汚染水問題を対処する部門を赤字会社として切り離して、残りの部門で黒字化を目指しているとのことで、これには政府経産省と綿密に(メールの遣り取りなど)相談しながら生き残りを図っているとのことです。刑事責任も取らない、幹部も誰も事故の責任を取らない、赤字化した経営責任すら取らない、(破綻処理なしでの)税金投入と電気料金値上げ、そして粉飾決算による黒字化、さらには「フクイチ」切りで全てを清算する、そんなシナリオが現実のものとなろうとしているのです・・・

P.S.2 1号機の格納容器からの水漏れが、2ヶ所で映像に捕らえられました。ただ、正確な場所の確認はできていないそうです。(地震によるものだと思いますが)圧力抑制室の(上部の)どこかが破損して、そこから冷却した後の高濃度汚染水が漏れ出ている可能性が高いようです。また、格納容器に繋がる(格納容器に付いた水滴を排水する)塩化ビニール製の配管も破断(折れて)いました。現場の放射線量は、0.9~1.8Svとのことです・・・

P.S.3 (自動車を批判しながら、その恩恵を享受している私ですが、)軽自動車税が年間7,200円から1万4200円に、7,000もアップしそうな様相です。消費税の引き上げに伴って、「自動車所得税」を引き下げる(それで終わりではなく)、その代わりに(今度は)、軽自動車税を上げるそうです。よく意味が分かりません。TPPで米国から、日本の軽自動車税が安いから米国の車が売れないと難癖を付けられ、「非関税障壁」だと断罪されたからというのが本当のところかもしれません。いずれにしても、特に地方では「庶民の足」となっている軽自動車税を2倍にされたのでは、(仕事用と自家用など2台以上持っている方も多く)消費増税の上に、さらに庶民は重税に苦しむことになります。どうか、お考え直し戴きたいと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月14日)

増加する福島の子どもたちの甲状腺癌

2013-11-13 10:34:10 | 日記
 事故当時6~18歳の子どもたち約22万6千人を対象に検査された甲状腺癌の結果、癌だと診断された子どもが26人、疑いがあるとの診断が33人、(良性腫瘍の1人を除く)58人の子どもたちに異常が見つかっています。(以下、引用は『朝日新聞』)

 (複数の専門医が)「被曝から3年以内に発生する可能性は低い」とし、(検査を行った)県は、「患者の年齢分布が、チェルノブイリと違って通常の小児甲状腺癌と同じ」だとして「被曝の影響とは考えられない」との判断しているとのことです。

 しかし、通常の小児甲状腺癌の発生率は、僅か100万人に1人か2人です。それが26人もの子どもたちが癌に罹患しており、実に115倍の罹患率です。疑いのある子どもたちを含めると、260倍です。これで(年齢分布だけ見て)通常の小児甲状腺癌と言えるはずもありません。また、今回の原発事故では、チェルノブイリより大量の放射性ヨウ素(半減期が8日の131、1日以下の132、133)が放出され、安定ヨウ素剤の服用もなく、大量被曝した子どもたちが沢山いたはずです。3年を経ずに癌が発生する可能性は十分に高いのではないかと考えられるのではないかと思うのです。

 県は住民の不安に応えて、事故当時胎児だった約2万5千人の甲状腺検査を行うとのことです。(私の孫も東京で被曝しており、正直なところ心配しています)以前も書きましたが、事故後放射性プルームが移動し、ヨウ素など放射線の線量が高かった地域では、検査を実施するべきではないかと思います。検査をし、実態を把握して、適切な治療を(無料で)行う義務が、国や自治体にはあると思うのです・・・

P.S. 事故直後に福島入りした長崎大のチームは、福島県立医大で3月17日、18日と園児や新生児の甲状腺検査を行っています。しかし簡易な測定器しかなく、詳細なデータは得られませんでした。チームは精密な検査のできる「甲状腺モニター」を、県など関係機関に問い合わせても協力は得られなかったそうです。県も当時は文科省がやることだと撥ね付けています。しかし、実は大熊町に搬入するはずだった甲状腺モニターが東京のメーカーにあったとの連絡が、県から来たのは4月末のことだったとのことです。交渉に当たった熊谷医師は「甲状腺の測定すらまともにできなかったこの国に、原発のような巨大システムを動かす能力があるのだろうか」と疑念を呈しています。ヨウ素剤が(大量に)ありながら、服用指示を出せなかった(或いは出さなかった)国に、原発事故対応能力が無かったことは明らかだと思うのです・・・

P.S.2 (12年5月に福島県災害医療総合学習センターの副長に就任した)熊谷医師が、今年ベラルーシのゴメリ医科大を訪れた際に、同大学の研究者から「チェルノブイリ事故の影響で、乳癌が増えている可能性がある」と聞かされたそうです。ベラルーシは、WHOと同様「放射線による健康影響として科学的に認められているのは・・・甲状腺癌だけ」という「立場」です。その立場のベラルーシが、内々とはいえ、他の癌の増加を口にしたということは、かなりはっきりしたデータが出ているということだと思います。(被曝との)因果関係を立証する為には、疫学調査が必要で、その為の検査等は欠かせないと思います。ウクライナが指摘している心疾患や血液異常、呼吸器の慢性疾患などとともに、(線量の高い地域での)、継続的な乳癌等の(無料の)検査を実施し、治療に繋げていくべきだと思うのです・・・ 

P.S.3 (9日)採取した地下水からストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質55万ベクレルが検出された(4号機の山側H4エリア近くの)観測井戸から、(10日採取の)地下水から同じく1リットル当たり71万ベクレルの放射性物質が検出されました。高濃度放射能汚染水が滲み込んだ表土を回収できていないそうで、汚染が少しづつ地下水へ広がっているということのようです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月13日)

地下水から55万ベクレルのストロンチウム検出

2013-11-12 10:34:28 | 日記
 (4号機の山側でH4エリアにある)300トンの高濃度放射能汚染水が流出したタンクの、10メートル余り北の観測井戸で(9日)採取した地下水から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり55万ベクレル検出されました。この観測井戸からはこれまで、10月17日採取の地下水から、1ℓ当たり40万ベクレルの、ストロンチウムなどベータ線の放射性物質が検出されており、さらに濃度が上昇、汚染が徐々に広がっていると思われます・・・

P.S. 自公与党による原発事故対策の提言を受けて政府は、国主導への方針転換を表明しました。民主党政権時の誤った事故対応、そして「収束宣言」、その後の事故処理の東電任せの態勢が、少しでもまともなものになって欲しいと思うのですが、除染の基準だったはずの空間線量が、個人の被曝線量によって評価する(それで除染範囲を狭め、費用を抑えようとする)という方法に摩り替わってしまいました。殆ど無駄ではないかとも思える除染に関して、まずはきちんと検討し直し、評価して、除染そのものを見直すべきではないかと思うのです・・・

P.S.2 除染した土壌などの中間貯蔵施設の建設に関しては、(事故直後から書いてきましたが)原発近くの国有地に(国が)もっともっと早く造るべきでした。避難している地域の除染ではなく、(本当は避難指示を出すべきなのに)住民が住む汚染の高い地域の除染を進める為にです。福島市など自宅の隅に汚染土壌を埋めるような、そのような状態を放置すべきではなかったと思っています。遅まきながらでも、中間貯蔵施設ができれば、国が汚染土壌を一元管理できますから、住民の方の安全と安心に少しでも寄与できると思うのです・・・

P.S.3 今尚続いている原発事故の最大の優先課題は、地下水及び放射能汚染水(問題ではなく)「事故」です。流入し続け増え続ける地下水と汚染水、敷地及び海へと広がり続ける放射能汚染を如何にして止めるかということだと思います。これは原子力災害であり、原発事故です。政府が対応するのは当たり前のことだと思います。(フクイチ及び)東電が関与するのも当然だとしても、それを指揮・統率し、命令を出すのは政府あり国家の職務です。今まで、東電に殆ど任せてきたこと自体が事故を長引かせ、拡大させたと思うのです・・・


by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月12日)

四国避難者原発事故損害賠償訴訟準備会

2013-11-10 11:36:01 | 日記
 福島第1原発の事故により、四国4県に(自主避難を含め)避難を余儀なくされておられる方々が、「事故で平穏な生活を奪われた」として、東電と国に対して損害賠償請求訴訟を行う準備会を昨月設立し、(昨日、石手寺さんで開かれた)準備会では来年3月までに提訴を行なうことを決めました。原告を募集されています。(現在は2人です)また、訴訟費用を募ったり、被害実態を訴えたりなど、訴訟を支援する団体の設置も決められたそうです。(引用・参照は『朝日新聞』)

 南相馬市から避難され、現在伊予市で(南相馬市でもされていた)農業をされている渡部さんは、「裁判を通じて、事故原因や脱原発など、今後の日本の方向を明らかにしたい」、「四国にも自主避難を含めて多くの方がいる。大きな声にしてきたい」と話されています。これまでも全国各地で同様の訴訟が起きていますが、避難先での暮らしの上に、裁判の様々な負担を背負わなければならず、そのご苦労を思います。

 準備会設置を呼びかけられた渡部さんは、「伊方原発を止める」差止訴訟にも原告として参加されており、その負担の大きさはとても大きいと思います。また、被災者、避難者の相談にのり、また実質的な支援も行ってきた(座り込みでもお世話になっている)石手寺の加藤ご住職からのお言葉や戴いた冊子などからも、避難された方々が非常に大きなご心痛を抱かれているのが分かります。これからの生活、裁判、いずれも、大変なことだと思うのです・・・

P.S. 準備会の問合せ先は石手寺さんで、℡089-977-0870です。

P.S.2 長崎大の山下教授は今年6月の取材で、「避難した住民は、国の指示が出てヨウ素剤を飲んだと思っていた」、「マニュアルでは避難中に飲むことになってい」た、「避難するほどの事態であれば服用する。そのためのマニュアル」だからと答えています。(昨日書きました)福島県立医大での(自ら作成に関与したマニュアルを否定した)講演とは全く逆のことを言っています。飲むべき事態が起こっているのに、(職員の)服用を否定しているのです。(実際殆どの職員が飲んだ後ではありましたが)由々しき発言だったと思います・・・

P.S.3 (2011年)3月13日、ヨウ素剤服用を判断する立場にあった原子力安全委員会は、経済産業省に「体表面の汚染1万カウント以上でヨウ素剤を投与すべき」とのファックスを送っています。(そのファックスは行方不明だそうです)。15日には(福島県庁内に退去していた)「現地対策本部」に対して、経済産業省が、「20キロ圏内には入院患者等がいるので、ヨウ素剤を服用させるように」とファックスを出し、16日には同対策本部は服用の対象を住民に広げて、服用指示の文書を(本部内の)県職員に手渡していますが、県はヨウ素剤を配布していません。その(一両日)後も、配布の提案が合意されながら、県はしませんでした。何故なのかは、よく分かっていません。ただ、国が出すべき「指示」(或いは「命令」)がなかった、緊急事態に対応すべき人も組織も機能していなかった、ということは言えるかと思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月10日)

被曝線量推計方法の恣意的変更

2013-11-09 11:32:30 | 日記
 原子力規制委員会は、被曝線量推計の方法を変更する方針を示しました。(以下、引用・参照は『朝日新聞』)これまでは、航空機モニタリングなどで測った(1時間当りの)空間線量を基に、屋外に8時間(屋内に16時間)いるとして推定していましたが、それを個人一人一人が線量計を身につけて、それを被曝線量とするとのことです。

 これまで福島県内の市町村で測定された個人線量計による結果によると、空間線量は個人線量計の数値の3~7倍高い傾向があったそうで、これだと個人線量計では年間1mSvの被曝の場合、空間線量は3~7mSvもあることになります。除染目標の年間1mSvが、7mSvでもO.K.ということになり、実質的には大幅な除染目標の「引き上げ」(緩くする)ということになります。

 こうした変更は、住民の方々に不要な混乱と誤解を招くのではないかと危惧します。空間線量で7mSvというのは、チェルノブイリ事故では「強制移住ゾーン」(年間被曝量5mSv以上)です。しかもこれは外部被曝のことだけで、例えば汚染地域で食物を育て、或いは野山の山菜などを摂取すれば、相当の放射性物質を取り込むことになります。

 実質的な住民被曝の「規制緩和」を規制委員会はやろうとしている訳です。これまた自らの職責を放棄しているとしか思えません。政府与党内からは、3兆、或いは5兆円とも言われる除染費用圧縮の圧力が掛かっているようで、事実上、汚染の実態は変わっていないにも拘わらず、推定方法の変更だけで被曝線量が減っているかのような「偽装」を、規制当局が行なおうとしているように思えます。

 検討会では、「県民健康管理調査など長期的な健康影響を見守る仕組みの具体的な改善案は示され」なかったそうで、帰還住民に線量計をぶら下げさせて、それで自分で被曝管理をしなさいというやり方は、(政府はその方針を既に出していましたが)「規制」という言葉の意味すら失わせる蛮行のように思うのです。独立どころか、盲従しているに過ぎないことの証なのでしょう・・・

P.S. (以前も書いたのですが)ウクライナでは、強制移住ゾーンからの移住者よりも、厳重な放射線被曝管理が行われる地域(年間被曝量が1mSv以下)に居住しているか、或いは事故後数年間にわたって住みつづけていた住民では、移住者の33.6%の罹患率に比べて、後者は56.3%と、(様々な病気への)罹患率が「有意」に高くなっているのです。1mSv以下でも、汚染された地域に住み続けることが、如何に健康に悪影響を与えるかは、既に明らかになっている事実だと思います。(何度も繰り返しますが)不必要な除染は止め、戻ってはいけない汚染地域に帰還させるのではなく、汚染のない地域に住居と仕事を提供する支援のあり方を政府には求めたいと思うのです・・・

P.S.2 スリーマイル島事故時にNRCの委員だったピーター氏は、福島第1原発の汚染水問題について、「規制委員会の関与が少ない印象がある。停止中の原発の再稼動に専念するよう求められているかのようだ」、「(地下水など地質学者が不足しているのであれば)米国なら・・・人材をすぐに雇い入れるだろう」、しかし、「東電が海外から専門家を招いても、『日本の原子力村』が『世界の原子力村』に変わるだけ。だからこそ、規制当局のような独立した機関が関与する必要がある」と述べられていますが、同氏もお見通しのように、(原発再稼動認定機関に過ぎない)今の原子力規制委員会には、「独立」も「規制」もないと言わざるを得ないのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月9日)

原発事故収束のための「国際タスクフォース」の設立を!

2013-11-08 10:11:02 | 日記
 (世界各国でエネルギー政策の顧問を歴任されてきた)マイケル・シュナイダー氏のインタビュー記事をご紹介します。(引用は『朝日新聞』)

 福島第1原発の「凍土壁」について、「凍土壁を造るには時間がかかり、即効性のある対策ではない。(地中に埋める)パイプなどの耐久性を考えると、その場しのぎの対策に思えて仕方がない」、またその効果については、「(地下水の流入及び)汚染水の流出が本当に止まるかどうか確証がない」、(サブドレンで汲み上げていたような)「原子炉の一帯を(地下)水が迂回するシステムを再生することを考えるべき」だとしています。

 また、政府が事故対策を東電任せにしてきたことについて、「未曾有の危機に直面した電力会社が、自力で危機をコントロールし、有効な対策をとると期待する方が馬鹿げている」とし、タンクからの汚染水漏れに関しては、「杜撰な管理を許した責任は、規制委員会側にもある。タンクの粗悪な材質や組み立て方法などを事前に察知し、警告すべきだった」と指摘しています。

 さらに、事故後2年半経っても事故が収束しない原因について、「政府も、(原子力)規制委員会も東電も、・・・事故の全体像を見渡して、包括的対策を練るという発想を持てずにいる」、その為には(震災の2週間後には既に、同氏は提案されていたそうですが)「世界の事故対策専門家の知見を結集する為、日本人と外国人の2頭態勢による『国際タスクフォース』を立ち上げ、(米国やフランスなど、2国間の関係協力を強めるだけでなく)広く国外の助言に耳を傾けるべき」だと提言されています。

 最後に、安倍総理の「コントロ-ル発言」については、「背筋が寒くなった。世界に誤った認識を流布してしまった」、「未曾有の事故を収束するため、・・・英知を集めたドリームチームを作りたい」と世界に向って発信して欲しいと訴えられています。今年からソウルで顧問をされ、東日本大震災の被災地も訪れているドイツ人の同氏からは、(国は違っても)事故を収束させたいという思いが伝わってきます。同氏の言われる「ドリームチーム」が結成され、本当に有効な対策が実行されることを、心から願います・・・

P.S. 会計検査院が12年度の無駄や不適切な経理が4,900億円余と指摘、復興予算では2割を超える事業が「被災地と直接関係が無い」と認定しました。(これも問題なのですが)公正取引委員会は、東電が発注した送電線工事について談合を認定、関連会社約40社の独禁法違反、総額7億円以上の課徴金と再発防止を求める排除措置命令を出すとのことです。こちらは無駄というより明らかな犯罪行為ですが、東電は、前もって審査した「登録業者」から数社を指名、事前に指名業者向けの現場説明会を開いて見積もりを依頼するやり方で(後はその数社で決めて下さいということなのでしょう)、原発事故後もこうした談合を繰り返していたそうです。(以前も書きましたが)1社による随意契約が東電の「商売」のやり方でしょうから、この(形だけ競争入札のように見せかけた)「談合」も同じ質のものだと思われます。いずれにしても、高い発注工事の付けは、利用者にということのようです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月8日)

安定ヨウ素剤を服用した福島県立医大

2013-11-07 11:22:40 | 日記
 福島第1原発での水素爆発直後、被曝したした患者を受け入れた福島県立医大では、放射能の恐怖に動揺する職員を鎮めるために、安定ヨウ素剤を職員に配布し、服用をしていたそうです。(以下、引用は『プロメテウスの罠』から)

 県立医大病院の副院長細谷医師は、(職員への配布の優先順位を決めて)3月12日には在庫1,000錠を配布、製薬卸会社から15日昼までに4,507錠を調達し、配布。さらに同日、県から4,000錠、16日には卸会社からさらに2,000錠を配布し、殆どの職員は(当然ながら)配られて直ぐに服用したとのことです。さらに同日、職員の15歳以下の子どもにも配布を決め、17日には358人分、19日から21日にかけて814人分が配布されました。ヨウ素剤配布の事実に関しては緘口令が布(し)かれています。

 同時に細谷副院長は、甲状腺癌の危険性に鑑み、「最寄りの薬局で(ヨウ素剤を調達してもらって)住民に飲んでもらう」ように動いています。3月13日には福島県薬剤師会の白坂会長に協力を依頼して、新生児、幼児用の(ヨウ素剤)シロップを作る方法を、福島市内から県内850の薬局に向けて一斉にファックス送信しています。白坂会長は、県に問い合わせて、ヨウ素剤の在庫が錠剤24万錠、粉末が6㎏あることを確認、さらに原発周辺から避難した子供の数を確認した細谷副院長は。テレビ画面にテロップを流してもらい住民に告知することに、県に許可を求めましたが、県は許可を出しませんでした。

 一方で、重症患者診療の拠点施設であった放射線医学総合研究所(千葉県)は14日、「ヨウ素剤を含むうがい液などの服用禁止」、「ヨウ素剤は指定された場所で、指示が出た場合のみに服用する」べきだとの見解を出しています。さらに18日、長崎大学から派遣された山下俊一教授は、福島県立医大の職員300人への講演で、「安定ヨウ素剤で甲状腺癌が防げるという誤解が広がっているが、『ヨウ素剤信仰』に過ぎない」、「チェルノブイリと比べて(放射性ヨウ素の)被曝量が微量なので、日本政府も安定ヨウ素剤服用の指示を出さない」、「服用マニュアルは数々の欠点がある。使われないことを祈る」、そして最後には、「是非逃げ出すことの無いように。事故による被曝は、地震国で原発を進めてきた日本の宿命」とまで言われたそうです。

 今回の事故では、チェルノブイリ事故よりも膨大な量の放射性ヨウ素(131、132など)が放出されています。国が服用の指示を出していれば、県が許可すれば、ヨウ素による被曝を最小限にできたであろうことは否定できない事実だと思います。また、細谷さんたちの迅速で、適切な対応を抑えつける国や県の動きは、SPEEDIでのシュミレーションデータや、航空機やモニタリングカーでの実測によって、国民が被曝している事実を知りながら、その事実を黙殺しようとした、そう思われても仕方がないのではないでしょうか?・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月7日)

原子力災害時の被曝医療体制の見直し

2013-11-05 10:25:03 | 日記
 政府は、原子力災害時の被曝医療体制を見直す方針です。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

1.(今まで無かった)全国統一基準に基づく「原子力災害拠点病院」を、原発から30キロ圏内とその周辺から指定、低線量被曝患者の除染、治療を行なう。その為の実践的な研修・訓練を定期的に実施
2.全国を東北ブロック、北陸ブロックなどのブロックに分けて、(これまで広島大学と放射線医学研究所の2ヶ所だった)大量被曝した重症患者の除染や診療を行なう病院や施設を指定する
3.原子力事故発生時に、全国から応援に駆けつける「原子力災害時派遣医療チーム」を100チーム以上指定する、といった内容です。

 福島第1原発事故では、福島県内で指定されていた6病院のうち、4ヶ所が避難、屋内退避の対象となっていました。(「プロメテウスの罠」をお読みの方はご存知でしょうが)被曝患者が運び込まれた福島県立病院では、 「ほんとうにやる(治療する)のか」「何で俺たちだけが」「病院を離れたい」といった本音が医師や職員の口から出ています。知識も経験も殆どなく、原発事故が起きるなどとは全く考えず、使命感も心構えも何も無かったことが分かります。

 自公政権はまた、文科省と放射線医学総合研究所が担ってきた指揮系統は規制庁主導に、事務局を厚労省系の国立病院機構災害医療センターにおいて、自然災害対応の派遣チームなど救急医療との連携も図っていくとのことです。原発事故時には、診療拒否や搬送拒否などが起きており、そうした「教訓」からの見直しとなるとのことですが、緊急時にどこまで実効性を発揮できるのかが課題だそうです。しかしこの見直し、原発の維持(稼動)が大前提のお話のようです・・・

P.S. 菅官房長官は、「前政権は政府の関与なしで東電に(事故対応を)やらせる道を選んでしまった。見直す時に来ている」と発言されました。本当にそうして戴きたいと思いますが、「実効性」が疑われるのは被曝医療体制だけではありません。まだ収束していない過酷事故や放射能汚染水問題をみても、原発事故に対して専門性のある職員やスタッフや体制、対処する為の設備や技術はありません。実効性のある訓練など殆ど行なわれてきませんでした。医療体制と同じく、見直しが必要なのだと思います・・・

P.S.2 もし本当に原発を今後も動かし続けるというならば、事故時に実働できる「原子力災害対策チーム」を原発(1基)ごとに編成し、全国的に(避難も含めて)対応できるように原発事故時の拠点施設を設けるべきです。また、何より過酷事故に対処できる「原発過酷事故対策特殊チーム」を作って、即座に国が派遣できるようにしておかなければいけないと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月5日)

作業員被爆の国連科学委員会報告

2013-11-04 09:45:05 | 日記
 今月12日に国連の科学委員会が提出した福島第1原発事故に関する報告書に、作業員の被曝状況に関する概要がありましたので、ご紹介します。(引用は『朝日新聞』)

 事故直後から2012年10月まで(約1年半)働いた作業員約2万5千人の被曝線量については、
1、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を調べる検査開始が大幅に遅れた
 *今回の原発事故による放射性ヨウ素による被曝が多いにも拘わらず、厚労省のデータベースには甲状腺の被曝線量の項目すら無く、甲状腺被曝を把握する仕組みがないことが非常に問題です
2、半減期が2時間のヨウ素132、20時間のヨウ素133などを一切考慮しておらず、被曝線量が約2割過小評価の可能性がある
 *希ガスやキセノンも考慮していないと思います
3、作業員の全身被曝線量は平均で12mSv、その内全身被曝100mSv以上の120人と、甲状腺被曝が2,000~1万2,000mSvの12人の作業員に関しては、癌のリスクの増加が予測されるが確認は困難としています。

 厚労省は、(肺や大腸などの)癌や白内障などの発生を長期的にチェックする仕組みを作るために、検診結果の提出を東電や元請け企業(計82社)に義務付けしていますが、対象者の3分の1にも当たる4,287人のデータが出ていないそうです。(上記しましたように、甲状腺被曝に関しては、検査項目にすらなっていません)被曝が過小評価の場合、検査対象となる作業員の見直し(増加)が必要になってくると思いますが、現在、東電や協力企業が作業員の被曝管理ができているとは到底思えません。

(昨日も書きましたが)フクイチでの被曝管理は、検査も含めて国が一元的に行い、データを集積しながら、今後予想される疾病への対応をしっかりやっていくべきだと思います。「被曝労働を考えるネットワークの中村さんは、「会社から放射線管理手帳をもらっておらず、自分の被曝線量を知らない人もいる。(累積の被曝線量が)50m以下の被曝でも、国の責任で離職者に定期的な検診をすべき」と指摘されています。50mSvを超えれば、その年はもう働けなくなる。だから,敢えて手帳すら渡さない会社で働かざるを得ない労働者の方は沢山いるように思います。まさに、命懸けで働いているわけです・・・

P.S.  彼ら作業員の方々は、正しく事故処理作業員(ルクビダートル)として、前線に投入されています。チェルノブイリ事故では、何十万人という「ルクビダートル」が投入され、「石棺」を造り上げました。その殆どの方が何らかの疾病で亡くなっています。現在フクイチでも、名も無き「ルクビダートル」が必死に汚染水対策など作業を行なっています。しかし東電は、(被曝管理もそうですが)作業を下請け任せにしており、作業環境も悪いそうです。田中原子力規制委員長は、「一人一人の士気をきちんと保てるようにしないと。不注意によるトラブルは『規制』でなおるものではない」と自己責任を放棄するような発言をしています。規制委員も規制庁の役人も、現場に常駐し、「規制」の役割を果たすべきです。国も職員を派遣すべきです。そうしなければ、東電はまともに被曝管理も事故処理もやろうとはしないように思います。現場の作業員は疲弊し続け、トラブルがこれからも続いていくと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年11月4日)