プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

食品内部被曝を認めない福島県

2011-12-30 10:33:52 | 日記
 過日の報道(『朝日新聞』)では、事故後4ヶ月の「事故による福島県民の外部被曝量」(対象は飯舘村、浪江町、川俣町)は、、原発作業員を除いた1,589人の住民の被曝線量は、1mSv未満が1.069人、1~2mSvが398人、2~3mSvが137人、3~4mSvが38人、4~5mSvが18人、5~6mSvが23人、6~7mSvが9人、7~8mSvが5人、8~9mSvが3人、9~10mSvが3人、10~11mSvが3人、11~12mSvが3人、12~13mSvが1人、114~15mSvが1人、そして「一般住民で、最高の被曝線量は14.5mSv」と福島県は発表しました。事故後4ヶ月の外部被曝だけで、これだけ多くの方々が、高線量を被曝されているわけです。

 一方内部被曝に関して福島県は、「3月12日に福島第1原発1号機が爆破した時に取り込んだものだけとして健康への影響を計算して」おり、「いまだに食事による内部被曝を認めていない」そうです。茨城県日立市の「チェルノブイリの子供を救おう会」の久保田さんは、ホールボディー・カウンターによる内部被曝の測定を行なっていますが、その「測定結果は、食品による内部被曝が広がっていることを示唆している」、つまり「放射能は新たに取り込まなければ減っていく」、「子供は新陳代謝が速いので、小学校低学年だと1ヶ月前後で半分に減る」、そうしたことから、食事による内部被曝がなければ、(ホールボディーカウンターの)現在の値にはならないというわけです。

 こうした食品による内部被曝を認めない福島県に対して、日本原子力研究開発機構の飯島氏は、「食事から放射能を取り込むことを認めないと実態にそぐわない」ため、「9月末・・・放射線医学総合研究所とともに、福島県に(内部被曝の)推計方法の見直しを提案」しましたが、県はその提案を断っています。この食品による内部被曝を認めない姿勢は、当然学校給食への姿勢に通じていますから、これでは福島の子供の健康を、命を守ることはできません・・・

 宮城県が12月7日に公表した原乳の検査では、3ヶ所中2ヶ所で1キロ当たり20ベクレル、21ベクレルが検出されています。10月の大崎市の学校給食では、牛乳から25ベクレル、仙台市の学校給食の牛乳からは17~23ベクレルが検出されており、福島県だけでなく、放射性物質の降り注いだ全ての地域で、少なくない放射能汚染が生じており、その汚染された食物を摂取することによる食品内部被曝が現実のものとなっているのです。今後、長期にわたってこうした食品を摂り続けることが、子どもたちの健康に良いわけがありません。こうした現実を受け止めて、子供を守る対策を講じるべきではないかと思うのです・・・

P.S. 今度は三井住友FGの宮田社長が、「円滑な賠償金の支払いのために(公的資金は)必要」、しかし「東電は自立した私企業であり続けるべき」、「原材料費が上がれば利用者に転嫁するのは私企業として普通のこと」とし、債権放棄がないことを条件に「追加融資の前向きな姿勢を示した」そうです。どうも私たち市民と、大銀行の社長の認識は随分と違うようです。債務超過になれば企業は当然倒産し、会社更生法が適用されれば債権者は債権を放棄しなけれなばりません。それが「普通」ではないのでしょうか?事故を起こせば、その責任が追及され、その損害はその企業が行なうのが普通です。余分なコストが生じれば、そのコストを吸収する努力をするのは企業として当然の責務です。税金を入れるなら、国有化するのは当然でしょう。税金を入れて、料金も上げろ、でも債権放棄は放棄しない、これが銀行の「普通」なのです。これがこの社会の「利」のシステムです。コスト(犠牲)を払うのは私たちというわけです・・・

押し付けられる中間貯蔵施設 「沖縄ポジション」の双葉町へ

2011-12-29 11:04:13 | 日記
 沖縄に叩き付けるかのように環境アセスが提出されました。交付金を上積みされ、県としても受け取りを拒否することは難しいのかもしれません。ただ、藤村官房長官の言うような、単なる「事務手続き」ではないことだけは明らかです。米国議会が移転予算を否決し、いよいよ堪忍袋の爆発させて圧力を掛けてきた今、親分には簡単に尻尾を振る習性を持っている総理では、到底太刀打ちできる訳がありません。

 沖縄だけが何故、このような差別的な受け入れを強いられるのか、沖縄県民の方々の怒りはもっともだと感じます。同時に、双葉町へ押し付けられようとしている、中間貯蔵施設という名の「核廃棄物最終処分場」をみると、双葉町もまた、国内においては「沖縄ポジション」であることが分かります。しかしこの状況は、事故が起きたから生じたのはなく、その以前から、既に「沖縄ポジション」として差別されていたと言うべきでしょう。また多くの住民は気づいてはいなかったけれど、双葉町や大熊町だけでなく、膨大な量の放射能を浴び、避難を余儀なくされた福島県内の多くの自治体が、実は同じ立場、「双葉ポジション」だったわけです。

 しかし、中間貯蔵施設の受け入れに関しては、既に原発周辺の市町村で意見(立場)の違いが出ています。除染が進まないとの理由で、双葉町に施設の受け入れを望む自治体の声も聞かれます。同じ立場に置かれながら、僅かの違いで意見をたがえ、双葉町へ受け入れの圧力が掛かる構造です。まさに支配者による分断統治です。中間貯蔵施設という名の「核廃棄物最終処分場」は、「双葉ポジション」にある自治体に押し付けるのではなく、国が国の総力を上げ、国自身が用意すべき物なのです。これが、国策として原発を推進してきた国のあり方だと思うのです・・・

P.S. 今回の事故で証明されたのは、一旦シビア・アクシデントが起これば、20キロや30キロではなく、50キロ、60キロ、或いは放射性プルームの移動次第では、何百キロも離れた地域が「双葉ポジション」にあるという事実です。まさに危険と隣合わせに生活を強いられているのであり、また事故が起これば、放出される放射性物質によって、田畑も河川も家も生活も何もかも奪われてしまうという現実です。こうした差別を、排除を、私たちは受け続けて生きているということなのです・・・(伊方原発から約60キロに住む私も、当然「双葉ポジション」であることは言うまでもありません・・・)

P.S.2 保安院は、1号機に続いて2,3号機も、「老朽化による耐震性の劣化は認められず、今回の事故の拡大に影響しなかったとする評価結果を明らかにした」(引用は『朝日新聞』)そうです。金属疲労や腐食の影響はないと。老朽化どころか新品でも危ないというのが現在の原発の現実なのです。(昨日の報道ステーションでは、)地震直後に1号機の天井にあった配管が、4~5メートルにわたって落ちていたそうです。また3号機でも落ちていたと。

また、地震直後にキセノンが漏れていたと「Nature」に論文が掲載されたそうです。その時刻が5時50分、地震で配管が破損した明らかな証拠です。放出されたキセノンの量は、チェルノブイリの2倍だったそうですが、世界80ヶ所で高い値が検出され、8,000キロ離れたスェーデンでも通常の1、000倍のキセノンが検出されたそうです。東電や保安院がいくら否定しようと、配管は壊れていたのです。これは全ての原発に言えるのです。地震で配管は持たない。これは動かしようのない事実です・・・

P.S.2 昨日の「自爆ベント」の欠陥構造は、コスト重視の(金を掛けたくない)東電が、空調と合わせてベントラインを作ったため生じた構造的欠陥のようです。スイスでは、ベントラインは(水素や放射性物質が)逆流しないように独立したベントラインを敷いているのですが、日本の原発ではそうはなっていないのです。現在29ヶ所の原発が、水素の逆流、そして「ベント」自身による爆発の危険性があるわけです。全くこれでは使いものにならないどころか、さらに事故を悪化させる最悪の欠陥原発だということです・・・

P.S.3 SPEEDIのシュミレーション結果が生かされなかったことに関して、文科省や保安院が官邸に伝えていなかったとの問題で、「指示」がなかったからという、余りにもお役所仕事的無責任な言い草には怒りを禁じえませんが、このSPEEDIの存在は、事故の5ヶ月前の防災訓練において使われており、前政権から要職にあった菅さんが知らないわけはなかったはずです。本来の対策本部には常駐せず、5階に閉じこもっていたこと自体、国家の元首、有事の最高指揮官である総理の資質に問題があったとしか言えません。官僚も勿論問題ですが、菅(元)総理の事故(まさに戦争)から逃げるかのような対応が、事故を拡大させ、無用な住民の被曝を招いたとしか言いようがありません・・・(原子力安全委員長の斑目さんも、5階で菅さんの横にへばり付いていたはずで、これでもSPEEDIの情報が伝わっていないというのも信じ難いことです・・・)

P.S.4 昨日同様、以前のブログにアクセスできませんので、こちらに書かせて頂きます。悪しからず・・・(勝手に誰かがパスワードを変えたのでしょうか?GOOどころか、hotmailにもログインできませんから・・・)

「自爆ベント」の欠陥構造

2011-12-28 13:55:08 | 日記
 「福島第1原発事故の際に実施された原子炉格納容器のベントの配管が、排気した水素が原子炉建屋内に流入する」(以下、引用は『朝日新聞』)、まさしくベントによって自爆する構造になっていたことが分かったそうです。これまでも、3号機、4号機が共有しているベントの排気塔で、3号機の水素が4号機に流入(逆流)していたことは取り沙汰されていました(これも大問題です)が、3号機のベントしたガスが、3号機の建屋内に流入し(つまり排気できずに、逆に建屋内に充満していた)、それが水素爆発に繋がった可能性が高くなったわけです。

 3号機で爆発した水素について、「東電はこれまで、原子炉内の水素ガスが格納容器のふたなどの隙間から原子炉建屋に漏れた」としてきていましたが、(蓋だけでなく、高熱で隙間が生じ、大量の水素が漏れた可能性が指摘されています。これも大問題です)、この、ベントすることで逆に水素が原子炉建屋に充満し、排気塔を共有する他の原子炉にも流入するという、欠陥というには余りにも酷い構造的「過酷」欠陥は、最早過酷事故時に(水素は勿論、莫大な量の放射性物質を撒き散らす)最後の最後の手段であるベントすら決行できない欠陥構造だということです。

 このような「自爆構造」の原子炉を最早一刻も運転させてはいけないのは言うまでもありません。「こうしたベントや非常用ガス処理系の仕組みは、・・・東電の他の原発、東北(電力)、中部、北陸、中国、日本電源の沸騰水型の原発でも共通」だそうで、こうした自爆ベント構造を持つ原子炉を、その構造的欠陥を持ったまま運転することは決して認めることはできないということです・・・

市民原子力委員会 提言30

「ベントに使用する排気塔は、原子炉それぞれに独立した構造物を設置すること。また、原子炉内で水素が循環しない、非常用ガス処理系のシステムを構築すること。こうした欠陥構造を有する原子炉は即時停止、停止している原子炉は、その構造低欠陥を取り除かない限り、再稼働は認めないこと」

P.S. 政府は、「国が東電に代わって賠償金を立て替え払いできるように」、「原子力被害応急対策基金」の創設を決めました。加害者意識の無い東電に任せてきたこれまでの賠償が、遅々として進まない為、被害者の方々の不満が大きくなってきたからだそうです。政府はこれまで、賠償責任は一義的に東電にあるとして、「基金は不要」としていましたが、「『政府がもっと賠償の全面に立つべきだと』の声が強まった」ためだそうです。国策として原発を推進してきた政府が、賠償に関してはもっと早くから積極的な役割を担っても良かったのではないかと思いますが、これまで政府は、東電にだけその責任を押し付けて、その責務を免れていたということなのでしょう・・・ 

P.S.2 責任逃れといえば、みずほフィナンシャルグループの佐藤社長が、東電への「債権放棄はありえない」として、これまで東電に貸し付けを行い、安定的に利益を上げてきた金融機関としての責任を放棄する発言をされました。その理由として、同社長は、「東電が値上げに踏み切れば、借金が資産より多くなる『債務超過にはならない』からだとのたまわっています。債権者としての責任は不問に付し、利用者にその責任(負担)を押し付ければそれでいいとの、さすが金融機関の雄としてのご立派なお考えです。追加融資に関しても、その「電気料金の値上げや原発再稼働の時期などを見極め、慎重に判断」されるそうです。債権放棄と、無条件の追加融資こそ、金融機関、債権者としての社会的(或いは、会社更生法が適用されれば、法的な)責任だと思うのですが、本当に、本当にご立派なお考えです・・・

P.S.3 林野庁が、「スギ花粉に含まれる放射性セシウム濃度の調査結果を公表」しました。福島県内87ヶ所を調べた結果、「最高濃度は浪江町の1キロ当たり25万3千ベクレル」という非常に高い値です。同庁は、「大人が1時間に吸い込む放射線量は0.000192μSv」に過ぎず、「影響はきわめて小さい。心配ない」とのことですが、僅かの花粉だけで物理的な症状をきたす方々も沢山おられるなか、放射性物質を含んだ花粉が安全なわけがありません。花粉の飛散する時期には、花粉症の方々のみならず、一般の方もマスクを着用し、被曝を防ぐのは当然の自衛手段ではないでしょうか?

実際花粉だけでなく、除染の極めて困難な山間部に、今も尚大量に降り積もっている放射性物質が、今後、冬は寒波、夏は台風等で大量に巻き上げられ、何百キロ(或いは何千キロ)と運ばれて、2次汚染、2次被曝をもたらす可能性(危険性)があるのです。(まだ殆ど行なわれていない山間部の)モニタリングとともに、その飛散対策を講じる必要があると思うのです・・・