プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「新安全基準」案の問題点

2013-01-30 10:52:04 | 日記
 地震や津波に関する原発の「新安全基準」案を規制庁は昨日まとめました。(以下、引用は『朝日新聞』)先日の「骨子」に加えて、
*施設の極めて至近距離にある活断層は、十分な余裕を考慮して地震動を想定する
*活断層の評価に関しては、隣り合う複数の活断層は連動することを考慮する
*敷地内や周辺で地震の波の伝わり方に影響を与える地下構造の詳細な調査の義務付ける
としています。

 ただ、津波の高さ、或いは活断層の評価や地震の規模等、海底断層などはデータも不足しているそうで、そもそも「想定」そのものが不確定なものであって、想定以上の地震や津波が起こらないなどと最早誰も言えないのが現実です。ですから、この基準を守れば安全という基準は、科学的には確定できないのです。「安全」ではなく、危険を想定した最低限の対策としか言いようがないものなのです。

 また、この骨子案の最大の問題点は、国会の事故調査委員会が指摘した、地震による原子炉損傷の可能性の問題です。(現場の検証ができませんので、何も分かってはいませんが)多くの専門家が指摘しているように、(冷却水を通す)配管やケーブルの破損や破断が地震によって生じていたとするならば、その対策が当然必要となってきます。さらに原子炉建屋内の配管だけでなく、原子炉建屋とタービン建屋の間の配管等が、違う方向の揺れでねじれて破断や損傷する危険性にどのような対処をするのか、そうした点も言及されていません。

 また、米国の専門家からも指摘され、また福島第1原発事故でも、(現在も尚)最も危惧されている使用済燃料プールの膨大な核廃棄物の構造的な問題です。そもそも、原子炉の上に、膨大な数の使用済み核燃料を置いておくこと自体、危険をさらに増大させています。使用済燃料は高台の別の施設に厳重に保管すべきです。燃料プールには、基本的に点検時にのみ、抜いた燃料をいれるだけにすべきだと思います。竜巻で建屋の屋根が吹き飛ばされル事を考えれば、プールの上部にも頑丈な蓋が必要でしょう。

 上記の2点だけでも、(現状では)非常に対策そのものが困難なもので、こうした問題を、現存の原発が完全にクリアできることは100%不可能です。考えうる危険を可能な限り排除した上で、立地場所の認定からはじめ、全く構造の違う新たな原発でも作らない限り、(考えうる限りの)「安全」な原発はないということのようです・・・

P.S. 関電の電気料金値上げに関する公聴会が開かれ、約7時間に及んだ公聴会で意見を述べた(市民や経営者)26人中、24人が値上げを厳しく批判したとのことです。その意見の中には、「赤字になれば値上げとは、都合のいい商売」、「(値上げ分を)価格転嫁できなければ、本当に死活問題になる」、「総括原価方式が放漫経営を許してきたのではないか」、「費用を大きくすれば利益拡大の余地が生まれるのではないか」等々、経営のあり方や総括原価方式の問題点が指摘されています。

P.S.2 また、「原価」に含まれている顧問料を質問した方もおられ、関電では、14人の顧問がおり、年間計1億4,000万円を支払っています。そもそも、顧問や相談役は直接経営に携っていない人達で、こんなに人数もいらないでしょし、1人1千万円も払う必要はありません。しかもそれが、「原価」に含まれているのは納得できません。それほど相談する必要があるのなら、利益の中から、自腹で払うべきだと思うのです・・・

P.S.3 石原環境大臣は、横行している「手抜き除染」に関して、「報告した(5件)以上の事例は見つかっていない」として、これ以上実態を把握する意思はないようです。現在、大雪の影響で作業が多くの場所でストップしているそうですが、アベノミクス同様、どうにもならないと分かっていても、突き進んでいく、そこで止められない、止まらない、(なんだか自分のあり様を見せ付けられているようで)憂鬱な気持ちで堪らないのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月30日)

理不尽な電気料金の値上げラッシュ

2013-01-28 10:33:48 | 日記
 東電、そして関電、九電についで、ついに四電、北電、東北電も2月から(企業向けとともに)家庭や個人商店向けの電気料金を1割程度値上げするそうです。(以下、引用は『朝日新聞』原発が止まっている「代価」と考えるならば致し方ないと思いますが、赤字削減努力をどれだけしたのか、疑念が湧いてきます。

 その赤字企業の給料ですが、今回値上げする東北電力の場合、(11年度ですが)社員の平均年収は820万です。大企業の平均が596万ですから、(現在の給料やボーナスがどのような状況なのか分かりませんが)赤字企業としては(当然)3割はカットした上で、値上げを申請するのが筋だと思います。当然ながら、最も経営に責任のある役員クラスは、黒字になるまでは、社員と同じ給料でやっていくぐらいの姿勢を見せてもらいたいと思うのです。

 いずれにしても、「総括原価方式」で、コストをいくらでも電気料金に上乗せできるシステムがある限り、彼らにコスト意識を持たせるのは難しいようです。原発依存の体制が経営悪化の元凶となった関電ですが、電気料金の原価に含まれる(13年度の)「研究費」69億2,800万円の内、62.7%を原発関連に使用し、原発依存体制を変えるつもりはないようです。さらに、「広告宣伝費」18億5,900万円の内、やはり50%に当たる9億3,000万円が原発PR館の運営費や原子力広報費に使われます。(他の電力会社も同様ですが)独占企業に広告費など必要ありません。電力を生産する為に必須である「原価」として認めるべきではないと思います。

 さらに関電は、原子力発電所がある地域へ、私的に旅行した社員やその家族に補助金を「一般厚生費」の中から出しているそうです。例えば、若狭地域の旅館や民宿に宿泊すると、1泊1人当たり4千円程度貰えるそうです。(関電ばかりではないでしょう)こうした費用もまた「原価」に含まれています。さらに、さらに、(皆さんご存知でしょうが)現在発電をしていない「日本原子力発電」の上半期の純利益が、過去最高の209億円です。これまでの最高益は2008年の32億ですから、異常な情況です。この純益は、(発電してませんから当然)買っていない電気の代金です。買ってなくても、「基本料」を払うそうで、東電が277億円、関電が162億円、東北電も68億円等、計760億円が支払われています。

 日本原電のみならず、日本原燃も同じシステムで、電気料金から徴収されたお金が、こうした企業を存続させる為につぎ込まれているのです。また今後、廃炉にする場合には、さらに莫大な付けが、利用者に圧し掛かってきます。日本原電の社長は、「通期では大幅に(純益が)下がる」と言っていましたが、下半期に、「純益」を(儲かってないように)意図的に下げる為に、どのような名目で「基本料」を食い潰していくのか、見ていきたいと思うのです・・・

P.S. この「基本料」は、上半期だけの支払いだと思いますから、下半期にもまた「基本料」は入るはずです。何か、特殊法人に税金が流れ込むシステムと酷似しているといいますか、瓜二つです。ちなみに日本原電は、東電や関電など電力会社が主体となって設立し、その日本原電の原発で発電した電力を買うというものです。そもそも、何故、電力会社が電力会社を作って、そこから電気を買わなければならないのでしょうか?これもやはり、霞ヶ関の官僚が、天下り先の特殊法人を作るのと同じで、電力会社の天下り先を作って、そこに電気料金を流し組むシステムなのです。ちなみに、日本原電の歴代社長は、東電、関電のトップが就任しているそうです・・・

P.S.2 各電力会社は、原発事故後経営悪化した2011年度、12年度にも、各自治体に「寄付」をしていました。しかも、その寄付先など情報を公開していません。11年度で言えば、東電が32億円、関電が16億円、九電が13億円、東北電が6億、北電が3億(以下省略)、どうも値上げ申請した順に金額が高いようです。関電によると、「必要最小限」なのだそうですが、経産省の有識者会議では、寄付金は「電気の安定供給に真に必要な費用ではない」として、今後原価には認められなくなりそうですが、正直、原価に含み得るコストがどれほどなのか、「総括原価方式」を維持するというのなら(化石燃料の購入単価など)全ての情報を公開すべきだと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月28日)

原発「新安全基準」の骨子

2013-01-26 10:22:36 | 日記
 今年の夏に策定される原発稼働の「新安全基準」の骨子が出てきています。この安全基準を満たさない原発は再稼動は認められないと田中委員長は述べています。逆に、基準を満たした原発は、再稼動が可能だということです。以下、新基準案を見ていきたいと思います。(引用は『朝日新聞』)

1.非常用の電源車や消防車の配備
 これは、事故直後に全ての原発で配備済みだと思います。でもこれだけでは不十分で、事故時に、例えば、高台にタンクを設置しておいて、高低差を利用して電気が無くても冷却用の水を供給できる構造とシステムを作るべきだと思います。

2.地震や津波に耐える免震重要棟

 勿論当然の項目ですが、地震や津波に耐えるというその地震や津波の規模をどれだけに想定しているのかが問題です。また、そもそもそうした未曾有の災害に耐えうる建物を造ることができるのかという根本的な問題があります。

3.放射性物質の大量放出を防ぐ排気設備の設置
 これは、フィルターつきのベント設備のことだと思いますが、勿論必要な設備だと思います。

4.最大規模の津波を防ぐ防潮堤の設置
 最大規模の津波を「基準津波」として、それを防ぎうる防潮堤を設置するというものです。浜岡原発では、事故後(総延長1.6キロに及ぶ)22メートルの防潮堤の工事中ですが、単に高さを高くしただけでは、莫大な水圧に耐えられるのか甚だ疑問です。また1.6キロの防潮堤の外側から海水が回り込めば、防潮堤そのものの意味もなくなります。大津波を防ぎきることが、根本的に可能だとは到底思えません。(ちなみに、浜岡の防潮堤の建設費用は1.500億円です)

5.原発から離れれた場所での原子炉の冷却や排気ができる第2制御室の設置
 勿論、福島第1原発事故では、制御室自体が放射能汚染されましたから、第2制御室(オフサイトセンター)の設置も当然必要だと思います。ただ、どのぐらいの距離に設置するのか、数箇所設置するのか、悩ましいところです。

6.活断層の上に原子炉建屋などの重要な施設を設置しない
 これはこれまで、安全審査の「手引き」に盛り込まれていたものを、「基準」として明確化するものです。これにより、原子炉建屋直下に断層があれば、原発は稼働できなくなります。また重要設備は移設や耐震強化が求められることになります。ただ、移設したり耐震強化をしても、近くに断層があり、地震が起きた場合、(いくら耐震化しても)地層そのものがずれてしまえば、建物や設備に重大なダメージを与えてしまうことに変わりはありません。(渡辺先生によれば、玄海原発だけは、地盤は大丈夫だろうとのことですが)少なくとも、直下でなくとも、原発の敷地内に活断層があること自体、計り知れない危険性を抱え込んでいるということで、原発稼働などあり得ないと思います。

7.活断層の定義を、「40万年前以降に活動したもの」とする
 これまでの国の指針では、活断層は12~13年前以降に活動したものとの定義で、その定義が大幅に拡大されることになります。これは非常に大きな意味を持つもので、先日も泊原発も1号機近くにある断層が20~40万年とされ、新基準では活断層と認定されます。他の原発の断層も、この「新基準」では多くの断層が活断層となる可能性が高く、再稼働できないだけでなく、廃炉となる可能性も出てきます。ただ、原子力規制委員会が「独立」性を保つことができ、また評価委員とうの人選でも、公正、透明性が保たれればの話ですが、(自民党政権に逆戻りした今)現実的には(さらに)難しいものと思われます・・・

P.S. 規制委員会の骨子にはありませんが、手動で開閉できる水素排気の抜け窓を建屋に作るべきですし、水素が逆流しない為の独立したベントラインを、(共有ではなく)1基の原発に1設備設置する必要があると思います。また、地震時に制御棒が(下から電気で上げるのではなく)自動的に落下するものや、メルトダウンした燃料を受け止めるキャッチャーの付いた新型の原発しか稼働できないようにすべきだと思うのです・・・

P.S.2 また、30年以上の老朽化した原発は、やはり危険過ぎますので、廃炉とすべきで、新基準に盛り込むべきだと思います。正直、規制委員会の案だけでも、実施するには各原発でも軽く1兆円は掛かるのではないかと思います。結局、原発はペイしないのです。しかも危険過ぎます。(万歩譲って)それでも稼働するというのなら、(古い原発につぎ込むのではなく)いくら掛かっても新型の原発だけを稼働させるべきだと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月26日)

「暴力」考

2013-01-24 10:25:21 | 日記
 「いじめ」はどのような形であれ「暴力」です。いじめという言葉をなくすべきだと思うのです。虐待はどのような形であれ「暴力」です。虐待という言葉をなくすべきだと思うのです。体罰はどのような形であれ「暴力」です。体罰をいう言葉をなくすべきだと思うのです。セクハラ、パワハラ、アカハラ、ハラスメントは単なる「迷惑行為」ではなく「暴力」です。そのような「差別」化に何の意味があるでしょうか?

 愛のあるいじめも、愛のある虐待も、愛のある体罰も、愛のある迷惑行為もありません。そこにあるのは、愛されたいという思いと、愛したいという思いです。その「願い」自体が愛なのではありません。でも、この人としての自然な「願い」があるから、人は苦しみ、悩み、もがいているのです。また、その愛したい愛されたいという思い、その願いの中に、或いはその願いが叶えられない状況の中で、哀しいことですが、「暴力」が介在してくるのです。

 「愛」とは見守り、寄り添うことだと思います。愛したいという思いも、愛されたいという「思い」もありません。自他の区別無く、慈愛の心で接する以外に、「愛」の表現は無いと思うのです。しかしながら、そのような無償の愛を十二分に受けて育った人などこの世に存在するでしょうか?以前にも書きましたが、私は長い間、自殺企図を抱えながら生きてきました。自分を「殺したい」と思っていたのです。でもこれは同時に、自分を「愛したい」という願望でもあったのです。この願いは、勿論原初的には両親に愛されたい、両親を好きでいたいという思いから形成されたものです。

 私のこの自分をも殺したいという「殺意」は、その「願い」が叶えられなかったという(絶望的な)思いからきています。長い間、特に父親との確執に苦しみ、親に対して強い憎悪を(でもやはり同時に愛されたいという思いを)抱いていました。強い憎悪に感情の火が降り注がれると、親子でも容易に殺す殺されるの修羅場になります。私自身も何度かありました。やはりそこでも、何故愛してくれないのか、何故認めてくれないのか、何故抱きしめてくれないのか、そんなインナーチャイルドが声を上げて泣いていたのです。正しく、人としては未熟そのものの状態ですが、私などはそうやって生きてきたのです。

 願い、思い、こうしたい、こうされたい、このような煩悩(我欲)が、人を突き動かし、ある意味生きる原動力になっています。ある人はお金、ある人は名誉や出世、人それぞれに形は違っても、愛の代替物を求めます。しかしながら、代替物を得ようとする過程では競争(奪い合い)が発生し、様々に暴力(最大の暴力が戦争です)が、どうしても付き纏ってくるのです。そのような代替物で、決して満たされるはずもないことを知りながらも、人はどうしようもなく、求めてしまいます。愚かだと分かっていても、自分を止められないのです。いじめも、虐待も、体罰も、そうした思いから生じてくるのだと思うのです。もっともっと大きな暴力が、(不幸なことに)世界中には溢れています。自分の中にも存在します。そして、この「思い」がある限り、「暴力」もなくなることはないと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月24日)

「原子力安全に関する福島閣僚会議」の目的

2013-01-21 10:54:01 | 日記
昨年末に開かれた日本政府とIAEAの共催で、福島市で開かれた「原子力安全に関する福島閣僚会議」の目的とは何だったのでしょうか?(以下、「自由報道協会」の記事で引用・参照は『週刊SPA』)「約130の国と関係機関が参加した会議」の表向きの目的は、「原子力の安全強化」で、福島県とIAEAは、「除染や健康管理で協力する『覚書』」を交わしました。

同「覚書」では、「健康の分野における協力に関」する、IAEAと福島県立医大で「実施取り決め」では、「知的財産および知的財産権に関連する事項について相互に協議する」という項目があり、その「知的財産」とは正に「被曝に関するデータ」を指しています。被曝に関する個人のデータが、原発を推進するIAEA流出し、流用されるということです。

またそのデータに関して、「他方の当事者(IAEA)によって秘密として指定された情報の秘密性を確保する」という項目まであり、IAEAが秘密としたい被曝情報を、県立医大は外部に出してはいけないという「縛り」を受けたようなものです。同医大はこれまで、(同医大が実施した)「小児の血液検査の結果」の情報公開請求を拒み、「現在公開されているのは40歳以上の、ごく一部」だけだそうですが、この「覚書」によって、本来被曝者の為に有効に活用されなければならない被曝データが、(個人情報は別にして)さらに公開されない、公開できないことになってしまうのです。

 実はIAEAは1959年に、WHOと健康に関する協定を締結し、その後、「放射線による健康被害の調査などの主導権」を握り、2009年には、「WHOの放射線被害の専門部局は廃止」されています。正しく放射線被害を隠蔽する為に、こうした協定で縛り、調査を実施させない戦略なのです。「覚書」では、福島での調査はIAEAが行なうことになっているそうですが、まともな調査は当然期待できませんし、情報が公開されることもないということになりそうです。IAEAにモルモットにされたくない方は、県外の医療施設で見てもらったほうが良いかもしれません・・・

P.S. 環境省は、「手抜き除染」の調査報告を行ないましたが、認定したのは5件だけ、報道で映像や録音情報があるものまでも、「ゼネコン側が認めていない」として、認定をしませんでした。正に調査にもならぬ「手抜き調査」です。これで、巨額の税金を投入して、「手抜き除染」を実施するのでしょうか?効果の殆ど見込めない除染は止めて、少しでも被災者の支援に回すことはできないのでしょうか・・・

P.S.2 原発事故3ヶ月後の放射線量をみると(引用は『プレイボーイ』)、原発のある大熊町(0.4μSv/時)と比べて、飯舘村(12μSv/時)や浪江町(13μSv/時)は非常に高い線量となっています。また、避難先にもなっている福島市が1.5μSv/時、一本松市1.3μSv/時、郡山市でも約0.8μSv/時と高い線量です。距離ではなく、当時の気象や地形によって、汚染の情況はまちまちだと言うことが分かります。現在は下がってきているとはいえ、何十万という人々が暮らす汚染地帯では、除染はどのようになっているのでしょうか?本来は、(今からでも)避難すべきだと思うのですが、政府は最早「避難指示」を出すつもりはありません。(有効な除染ができるならば)せめて、何十万という人々が暮らす、こうした地域に、徹底した除染を、それこそ、9,000億円全部つぎ込んでやってもらいたいと思うのです。それでも住むには適していない線量にしか落ちないのであれば、住民の方々も諦めがつくというものです。自治体や、個人的に除染をされておられる方はいるようですが、(人の住めないところではなく)住民の住む地域をこそ、国が責任を持って優先的に除染すべきではないかと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月21日)

救済ならぬ「カネミ油症被害者排除法」

2013-01-18 11:29:34 | 日記
 カネミ油症に関する記事がありましたので、(要約しながら)ご紹介します。(引用は『朝日新聞』)

 国内最大の食品公害である「カネミ油症」の被害者救済法が昨年成立し、これまで、「認定患者と同居して症状が出ても、ダイオキシン類の血中の値が基準値を下回れば、患者と認定されな」かった患者が認定されるようになったそうです。これまでの「基準」の異常さを思うと、(余りにも小さ過ぎますが)少しでも認定基準が拡大されたことだけは、万分の1歩進んだと思うしかありません。

 1968年の公害事件発生以来、ダイオキシン類に汚染された米ぬか油による健康被害を訴えた約1万4千人の被害者のうち、昨年3月までに患者として認定されているのは僅か1,966人、14%に過ぎません。認定されていない約1万2千人のうち、今回の「救済法」によってどれだけの被害者の方が対象となるかは分かりませんが、その多くの方が、この「救済法」により排除されることになります。

 またこの「救済法」でも、認定患者と同居していなければ被害者として認定されない、或いは家族内に認定患者がいなければ救済されないなど、被害者を「排除」するという認定基準の根本的な方針は何も変わっていません。記事では、「患者がカネミ油を食べた時の生活環境や、訴える症状にもっと目を向けるべき」、「現在どのくらいの被害があるのか未認定患者を含め調査するべき」だと訴えていますが、事件から既に45年が経ち、患者は高齢化しています。また、2世3世にも被害が広がっているそうですが、水俣同様、被害者を見殺しにする「方針」は少しも変わっていないようです・・・

P.S. 茂木経産大臣は、(使用済燃料を再処理する)核燃料サイクル政策政策について、「意義は今後も変わらない。国策として引き続き継続していく」方針を示しました。民主党政権下で(一瞬)曖昧になりかけた核燃サイクルの存続ですが、極めて危険で莫大なコストの掛かる、また核廃棄物を増産させる「核燃サイクル」戦争を今後もやめないというのです。(「権益」維持の為に)「戦争」に猛進していく政権、国家を前に、為す術はないのでしょう・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月18日)

棄民

2013-01-16 14:17:57 | 日記
 昨年末にも短期保養の避難親子を受け入れられたOさんから、(本当の意味の)「自主避難」の方への支援金は、年間12万円ほどだとお聞きし、正直、二の句が継げませんでした。それから、何か打ちのめされたような思いで、気持ちが立ち上がってきません。これで、避難をしようなどと考えられる方など、誰一人としておられないと思います。Oさんは、水俣をはじめとする他の救済も同様であり、「棄民」なのだと言われます。正に、その通りだと思うのです。

 ただ、この支援法も、多くの方々の尽力と多くの市民の方々の支持があったからこそ成立したのです。(ただそれが政府のガス抜きだとしても)今後、どのような「支援」を政府が行うのか、見ていかなければいけませんし、黙っていては、(たとえ僅かでも)何も(棚から)落ちてきはしないということだと思います。

またOさんが、日本人は何も変わっていない、と言われたことも、私には重く心に残りました。かつての敗戦後も、そしてこの「原発戦争」の敗戦後も、私たちは何も変わることが出来てはいないのだと。(勿論、世の中の仕組みが何一つ変わらない中では)何一つ変われないのだと・・・

P.S. 値上げを申請している九州電力、平均で5,000万円近い役員報酬を(それでも異常に高い)3,000万円に減額、全体では1億3,800円コストをカットしたそうですが、14人の役員を17人に増やしたそうです。九電は、「ヤラセで失った信頼を回復する」為に、3人増やしたと発表していますが、電気料金の値上げの時期に、役員を増やせば信頼が回復するという道理が理解できません。寧ろ、ヤラセの責任を取って辞職するとか、料金値上げの経営責任を取り、(一人当たり1,700万カットしても)未だに高い役員報酬を、無報酬でやるぐらいの方策でなければ、信頼など回復できはしないと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月16日)

帰還できない子どもたち

2013-01-14 12:37:29 | 日記
 (TV報道では)原発事故によって3,000人が全村避難した川内村、事故から10ヶ月後には「帰村宣言」を出し、除染も村直轄の地域の99%、国の直轄地域の75%が済んでいますが(除染後の放射線線量は出ませんでした)、帰村したのは1,400人です。しかもその内1,000人は、避難した場所との二重生活で、完全に戻ったのは400人だそうです。しかもその殆どが老人で、子どもたちは戻れない情況です。(ちなみに、再開した小学校に戻ったのは16人です)

 (『朝日新聞』によれば)双葉郡8町村と飯舘村において、13年度に入学を予定している1年生は事故による避難がなければ入学していたはずの603人中105人だけで、8割を超える子どもたちが、避難先の小学校に入学するとのことです。地域社会の将来を危惧する自治体関係者の思いも分かりますが、やはり放射線の子どもたちへの影響を考えれば、戻りたくても戻れないのが現状でしょう。また、浪江町が二本松市に開いた「浪江小」にも、在校児童は30人と子どもたちは帰ってきていません。(この2年でできた友達とも別れなければなりませんし)さらなる転校による負担をかけたくないとの親御さんの気持ちがあるようです。

事故から約2年、避難した方々は、(お子さんの就学問題だけでなく)今尚様々な問題に悩みながら、不安の中で暮らしているのだと思うと、胸が痛みます。そう思うと、(帰還どころか)相変わらず「避難」を呼び掛ける(私の)「暴力(性)」を思います。しかしたとえ暴力でも、少なくとも5mSvを超える地域に、住民の方々が住み続けることを是認することはできないのです。致し方がないのだと、(そのようには)思えないのです。政府は「原発事故被災支援法」で、「避難する権利」を広く認めました。だからそれで済んだ、そのように言っているように(私には)思えて仕方がありません。それで何が出来るのかと問われれば、何もできないと言わざるを得ません。だから黙っていろと言われても、それも出来ない最低の人間なのです・・・
 
P.S. 違法な「手抜き除染」の環境省の調査は、発覚前と同様に鈍いように思います。勿論、本当の実態が分かれば、除染という大型の公共事業ができなくなりますから、本気で調査するつもりはないようです。しかしこの「手抜き除染」、最大の問題は、除染しても仕方が無い、除染そのものに意味が無いという点だと思います。現実的に不可能な作業と、無理な作業量、そして何より「意味がない」という意識がモラルを低下させ、この違法な「除染」を醸成しているのだと思います。多くの作業員を被曝させ、税金を溝に捨てるような「除染」は、今すぐ中止するべきです。そして2年間で9,000億近く投入するお金を、(これだけでは足りないでしょうが)避難後の住宅建設や雇用の為の原資とすべきだと思うのです・・・

P.S.2 避難先にもなっている福島市の除染作業で、屋根や駐車場での高圧洗浄器によって出た汚染水が、そのまま側溝に流されていたそうです。現実的に、汚染水の100%回収など不可能ですから、同市は、放射性セシウムを吸着するゼオライトを入れた袋と土嚢を積んで濾過する方法を(実証実験では90%以上除去できるそうなのですが)、環境省の承認の上、行うことになっていましたが、除染した4千数百個のうち、実施したのは10分の1にも満たない約300戸だけだったそです。洗浄器による放射性物質の飛散が除染の目的に反すると指摘する専門家もいます。除染による線量の低下がどのくらいなのか分からないので何とも言えないのですが、(避難を指示しないのなら)せめて多くの住民の方々が居住する地域は除染しなければならないでしょうが、実際にどのような除染が行なわれ、どれだけの効果があるのか、監視し検証しながら実施して頂きたいと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月14日)

被災者支援法の問題点

2013-01-11 11:29:48 | 日記
 被災者支援法が成立したことは、被災者、被曝者の方々にとっては、支援の幅が広がったわけで、朗報ですが、同法はまだまだ「絵に描いた餅」、しかも未だデッサン程度の状態です。その問題点について、発信されている意見の中からまとめてみたいと思います。

早尾貴紀さんによれば、「原発事故被災地を汚染の実態に照らして「福島県」とは限定していないこと。そして、残ることも逃げることも権利として尊重すると定めていること」が画期的ですが、「その地理的範囲をどう規定するのかは、放射能の不可視性と健康被害の不確定性のために、実はとても難しい問題」、「『理念』はあるが、実現するための具体的な施策、そのための予算が、まだ何も決まっていない」と言われます。

高鳶英弘さんは、「『被災者』の範囲が明確にされておらず,具体的な支援の枠組みも含め,全て政令・省令に丸投げ」、ウクライナで制定された「ウクライナ法」では、「3段階の汚染区域がかなり明確に定義されるとともに,当該地域の住民に対する救済策も併せて規定」されていますが、「被災者支援法」では、「救済の対象たる『被災者』自体が明確に定義されて」おらず、「実質的な救済策など明確にできるはず」がなく、また「一定基準以上の放射線量地域」をどのように省令で定義するかによって、この法律の実効性は全く変わってしまう」と懸念されています。

支援の対象となる放射能汚染地域と被災者の対象が曖昧なままでは、具体的な支援が見えてくるとは思えないというのは、自然な感想だと思います。未だ「基本方針」すら策定されていないのですから、まずは枠組みができたということです。今後は、省令、政令によって、少しづつ支援策がみえてくる「予定」なのですが、正直、あまり行政に期待して、棚からボタモチを待っていても、余り良い結果にはなりそうもありません。

同法では、被曝による健康診断、治療や医療費の減免が、子どもに限定されており、全ての被曝者がその対象となるべきです。また、(本来は全ての被曝者を対象とすべきですが)少なくとも子どもに関しては、全ての治療に関しては無料とすべきですし、長期に生存するわけですから、当然被曝による発症のリスクが高いわけで、一生涯のケアが必要だと思います。ちなみに、被曝との発症した疾病の因果関係に関しては、主張立証責任は政府にあるとのことで、その点は、被災者に有利に働くと思います。

また、今後策定される「基本方針」は復興庁、放射線に関する調査が文部科学省、住居の確保は国土交通省、就業は厚生労働省、除染は環境省と縦割りとなっており、今後数百年は影響が出続けるであろうことに鑑みると、やはり「原発事故被災者支援庁」が必要になっているのではないかと思います。さらに、「(自主)避難者を含めた避難者の数を政府が把握できていない」(大城聡さん)との指摘もあり、同法が実効性を持つのはかなり高いハードルが幾つもありそうです・・・

P.S. 災害救助法による住居の提供期間(2年間)が、さらに1年延長されたそうです。各自治体でも、今後住居提供の延長がなされるとは思いますが、同法の理念に従って、早く恒久的な住居の確保を行なって頂きたいと思います。一つ一つ要求していかない限り、事は少しも進まないと思うのです。何より被災者の方々の声と、サポートする国民一人一人関心が重要だと思います・・・

P.S.2 対象範囲が曖昧なことで、(真の意味で)既に「自主避難」されていた方々(その多くが母子避難)の支援が受けられる可能性が高まりました。(具体的な支援はまだ先なのですが)この点だけは、良かったと思います。しかしながら、そうした方は、既に自前で努力され、一般の支援者との関係を作って生活されています。政府がそれを理由に、「支援」を渋る可能性があります。また、今後、この「支援」を頼りに「自主避難」される方が、本当に増えるのかどうか、正直、強い疑念を感じます・・・

P.S.3 同法は、「避難する権利」とともに、「留まる権利」、「帰還する権利」を認めたものでです。避難しない方が良いケースもありますし、留まる権利も、帰還する権利もあるべきだと(私も)思います。ただ、本来「避難指示」を出して、避難させるべき高濃度放射能汚染地域に住まわせ続けている地域の住民に、貴方には「留まる権利」がありますよというのは、余りにも欺瞞的です。これは、住民の方自身が留まることを望み、権利を行使したのだからという「言い訳」を政府は得ることになります。いずれにしても政府は支援をすると言う法律ですが、(懐疑的過ぎるかもしれませんが)私は全く信じられないのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月11日)

「原発事故被災者支援法」②

2013-01-10 11:08:39 | 日記
 第9条では、「支援対象地域から移動して支援対象地域以外の地域で生活する被災者を支援するため、支援対象地域からの移動の支援に関する施策、移動先における住宅の確保に関する施策、子どもの移動先における学習等の支援に関する施策、移動先における就業の支援に関する施策、移動先の地方公共団体による役務の提供を円滑に受けることができるようにするための施策、支援対象地域の地方公共団体との関係の維持に関する施策、家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策その他の必要な施策を講ずる」と規定。

 第10条では、「移動前に居住していた地域に再び居住するもの及びこれに準ずる被災者を支援するため、当該地域への移動の支援に関する施策、当該地域における住宅の確保に関する施策、当該地域における就業の支援に関する施策、当該地域の地方公共団体による役務の提供を円滑に受けることができるようにするための施策、家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策その他の必要な施策を講ずる」と規定。

 第11条では、「損害賠償の支払の促進等資金の確保に関する施策(当該区域における土地等の取扱いに関するものを含む。)、家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策その他の(帰還に関しても)必要な施策を講ずる」ことを規定。

 第12条では、「第八条から前条までの施策に関し具体的に講ぜられる措置について、被災者に対し必要な情報を提供するための体制整備に努める」と規定。

 第13条では、「事故に係る放射線による被ばくの状況を明らかにするため、被ばく放射線量の推計、被ばく放射線量の評価に有効な検査等による被ばく放射線量の評価その他必要な施策を講ずる」こと、「放射線による健康への影響に関する調査について、必要な施策を講ずるものとする。この場合において、少なくとも、子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者(胎児である間にその母が当該地域に居住していた者を含む。)及びこれに準ずる者に係る健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されることとなるよう必要な措置」、「子ども及び妊婦が医療(東京電力原子力事故に係る放射線による被ばくに起因しない負傷又は疾病に係る医療を除いたものをいう。)を受けたときに負担すべき費用についてその負担を減免するために必要な施策その他被災者への医療の提供に係る必要な施策を講」ずるよう規定。

 第14条では、「施策の適正な実施に資するため、当該施策の具体的な内容に被災者の意見を反映し、当該内容を定める過程を被災者にとって透明性の高いものとするために必要な措置を講ずる」と規定しています。

 第15条では、「低線量の放射線による人の健康への影響等に関する調査研究及び技術開発を推進するため、調査研究等を自ら実施し、併せて調査研究等の民間による実施を促進するとともに、その成果の普及に関し必要な施策を講ずる」と規定。

 第16条では、「放射線を受けた者の医療及び調査研究等に係る人材を幅広く養成するため、必要な施策を講ずる」と規定。

 第17条では、「低線量の放射線による人の健康への影響等に関する高度の知見を有する外国政府及び国際機関との連携協力その他の必要な施策を講ずる」と規定。

 第18条では、「国民の理解を深めるため、放射線が人の健康に与える影響、放射線からの効果的な防護方法等に関する学校教育及び社会教育における学習の機会の提供に関する施策その他の必要な施策を講ずる」と規定。

 第19条では、「要した費用のうち特定原子力事業者に対して求償すべきものについて、適切に求償する」と規定しています。

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月10日)