プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

浪江町の慰謝料「増額」の仲裁案、東電受け入れず

2014-06-29 09:36:47 | 日記
 浪江町の住民約1万5,000人が(精神的な苦痛に対する)慰謝料の増額を申し立てていた件で、仲裁役の原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)が出していた、
①75歳までの住民には、過去2年分、慰謝料の月額を5万円増額する
②75歳以上の住民は、過去3年分の慰謝料を8万円増額する
 との(町側は受け入れを表明した)和解案に対し、
一律5万円の積み増しは拒否、75歳以上の住民でけがや病気のある人たちのみに月額を2万円上乗せするとの回答を示したとのことです。

 東電は、(月額10万円の)「指針から乖離し、公平性を損ないかねない」と説明しているとのことですが、その指針は交通事故の自賠責保険の基準を参考にしたものだそうです。自賠責は賠償を最低限度補償するもので、決して十分なものではありません。しかも、浪江町や飯舘村などの住民はは、事故直後から線量が高く、避難すべき場所だったにも拘らず、政府や自治体(浪江町すらも)も情報を隠蔽し、1ヵ月半以上も高度の被曝を強いられています。

 当初は30キロ圏内から避難してくる避難民の支援すらしていた同町の住民にとって、線量が高いという情報が入ってくるにつれて、大きな不安を抱いたはずです。結果、避難指示が出た時は、非常に大きなショックを受け、またそれまでに大量の被曝をしたことへの恐怖感や、今後の健康への影響を案じているはずです。初めから避難した人の精神的負担も、僅か10万円で贖えるものだとは思いませんが、浪江町の住民は、少なくともそれ以上の負担を強いられたと認定すべきだと思います。

 馬場波江町長は、和解案受け入れを東電に求める上申書を同センター(原発ADR)に提出、東電が再建計画で「原発ADRの和解案を尊重する」とした「誓いを自ら破るもの」として批判しています。また、浪江町を含む双葉郡8町村で作る「双葉地方町村会」も、国と東電に対して、(仲裁案)同様の一律の賠償の増額と、原子力損害賠償紛争審査会の「指針」の改訂(慰謝料の増額)を求めています。

 こうした東電の対応に対しては、「誠意を持ってやってほしい」(大熊町町長)、「和解案の尊重を常々求めてきた。今回の姿勢は遺憾」(福島県原子力損害対策課)との声が挙がっていますが、賠償における、不誠実で傲慢な東電の姿勢は今回だけではありません。そもそも損害賠償は最終的に電気料金から徴収されるもので、(東電を生き残らせるために)多くの電気利用者が、被害者に対して広く薄く支援をしている構図になっているのです。東電の「腹」は少しも痛まないのです。このような対応には、憤りを禁じ得ません・・・

P.S. 今後、ADRが東電を説得し、仲裁案を東電が受け入れない場合は、協議は打ち切られ、裁判を提起するしかありません。東京都に避難している女性(79歳)は、「裁判になったら10年は掛かるのでは。結論が出たときに自分は生きているだろうか」と吐露されています。女性は現在、借り上げ住宅に旦那さん(86歳)と暮らしていますが、(以前のような活動ができないからでしょう)夫の認知症が進み、ご自身も衰えを感じるようになってきたとのことです。事故前なら、野菜を貰ったり、お米も安く買えていたものが、都会では生活費が嵩み、増額を望んでいたということでした。女性は東電の対応に、「薄情すぎる」そう仰っています・・・

P.S.2 福島県本宮市に避難している男性(66歳)は、「被害者の身になっていない。都合が悪いことは切り捨てる」と話されています。同男性は、東電が増額に応じることが事故の責任を認めることになると考えておられます。しかし東電は、(少なくとも今までの対応を見ると)自らが「加害者」とは思っていないように感じます。「加害者」ですらないのですから、「被害者」のことを考えることもない、というのが本当のところでしょう。寧ろ逆に、(利権にどっぷり浸かって、美味い「ご飯」を沢山食べてきたのでしょうが)国に原発を背負わされて、過酷事故の対応、汚染水対策も押し付けられて、廃炉や賠償業務までやらなければいけない「被害者」と感じているのではないでしょうか?・・・

P.S.3 愛媛県の伊予市議会(私の町の隣にあります)では、市民の提出した陳情、「現実的な避難計画が策定されるまで、伊方原発の再稼動を認めないよう国に意見書を提出すること」、に対して、「意見書」は出さないけれど、議会として陳情の趣旨に理解や賛同ができるとして、同陳情の
趣旨採決」を行ないました。同市は、市の一部が30キロ圏内に入ります。また同時に提出された大阪市の市民団体から出された陳情、「避難計画が策定され、住民の安全が保障されるまで伊方原発3号機の再稼動に同意しないことを求める意見書をていしゅつすること」も、同様に趣旨採択されています。至極道理なことと思うのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月29日)

丸森町の農作物の「実害」認定

2014-06-26 13:33:21 | 日記
 政府は2012年3月暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える1,600ベクレルのセシウムを検出したとして、宮城県丸森町で生産される(露地栽培の)原木シイタケの出荷停止を県知事に指示しています。(現在も出荷停止状態です)*出荷停止までの1年間、シイタケは出荷され、消費されていたわけです。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

 その(原発から55キロ離れた)丸森町小斎(こさい)に移り住み、農薬や化学肥料を使わず、また耕すこともしない「不耕起自然農」を始められ、「安全な野菜」を首都圏の顧客に直送させていた北村夫妻は、原発事故後政府や県に対して放射線量を測ってくれるよう何度も申し入れていますが、なかなか動いてはくれませんでした。当時福島県内では、農作物の出荷停止が相次いでいましたが、(福島県と隣接する)丸森町の露地栽培野菜のデータはなく、同ご夫婦は福島県でのデータに基づいて出荷を停止されています。*当然かつ賢明なご判断だと思います

 政府が「原子力損害の範囲判定に関する中間指針」で、宮城県の風評被害を(風評ではなく実害だと思いますが)認定したのは11年8月、しかし賠償は牛肉と肉用牛が対象で農作物は対象外でした。その後、農作物の「風評被害」(でなく実害)が認定されたのは13年1月、事故から2年近くも経ってからです。

 実は東電は、事故が起きた3月に遡り、丸森町の子どもと妊婦に精神的損害への賠償金を支払っています。しかし、農作物に関しては、「風評被害」が認められた(11年)8月から(しかも請求額の半分)しか認めようとしません。しかも、再度の請求にも「放射能汚染を懸念し、北村様自らのご判断により、野菜の出荷および作付けを断念されていることから、賠償金をお支払いする合理的な理由が確認できません」として、ご夫婦の損害賠償請求を拒否しています。

 自分たちが求めた事故直後からの損害賠償が認められれば、他の農家でも賠償が認められる、その「突破口」になればとの思いで、現在は原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てをしておられます。現在は売り上げ4分の1になってしまったとのことですが、奥様のみどりさんは、「安全性を届けることに誇りを感じていた。手塩に掛けて育ててきた農作物が、ちょっとでも喜ばれないものになってしまったことが、なんともつらい」のだと。「できることなら、畑の土を事故前に戻して欲しい。それはできない相談だろうから、損害賠償を求めているんです。(*お金ではなく)被害の重大さを認識してもらうために」本当にそうだと思います・・・(*は私の追記です)

P.S. 丸森町の筆甫地区の住民組織事務局長で(「線量マップ」を作った)吉沢さんは、「線量を明らかにしないと、県内で放射能の問題がなかなか議論にならない」、「県全体からみるとごく一部の話かもしれないが、筆甫に住む住民としては、大きな問題なのです」と話されています。しかし結局、丸森町の農作物は調査対象とならず、村井宮城県知事は、「安全が確認された。健康には影響がないので、ご安心戴きたい」と記者会見で述べています・・・

P.S.2 その吉沢さん(37歳)に、(出荷どころか)住民が「安心して野菜が食べられない」との相談を受け、町の農林課に問い合わせると、「筆甫の野菜は測っていない」、「もし筆甫の野菜を測って高い線量が出てしまったら、もう町では対処できない。だから測っていないんだ」と言われたそうです。その時吉沢さんは、町には頼れないんだとはっきりと自覚されたそうです。そして、遣り取りを続ける気力を失い、受話器を置いたそうです・・・

P.S.3 私も「不耕起自然農」に憧れ福岡正信さんの本や、他にも何冊も耕さずに土を肥やせないかとか考えながら、本を読んだり、調べたりしていた時期がありますが、最終的には蓮華を鋤き込んで少しづつ化学肥料を減らし、農作散布を少なくしながら、無農薬でもやれることが分かりました。安全な物を食べたい、食べてもらいたいという思いがあるから、やってこられたと思います。上記の皆さんも、皆さんそうだと思います。お気持ちは痛いほど分かるのです。気力を失いかけるのも当然だと思います。本当に大変な状況でお苦しいことと思います。(本当に何もできませんが)そのお気持ちを、少しでも汲み取ることができれば良いのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月26日)

下部透水層からトリチウム検出

2014-06-25 10:38:57 | 日記
 (報道によると)東電はこれまで、放射能汚染水は深さ15メートルまでの地層に漏れ出ているけれど、その下には水を通さない不透水層があり、その下の水を通す透水層(下部透水層)には僅かしか汚染水は到達していないと考えていました。

 しかし調査の結果、下部透水層の地下水からトリチウムを検出、下部透水層の広い範囲で汚染水が浸透している可能性が分かり、汚染水問題の新たな問題となりそうです。原因は調査中ですが、遮水壁(矢板だと思います)の打ち込みや、水質計測用の穴などの工事などによって汚染水が同層まで染み込んだ可能性があるとのことで、汚染水対策(或いはその不備)が返って汚染水問題を深刻にした可能性が出てきました・・・

P.S. 東京都の女性都議へのセクハラ発言に関して「ウォールストリートジャーナル」には、「原始時代みたいな扱いを日本の女性は受けている」と(世界的には当然なのでしょうが)厳しく批判しています。スウェーデンの記者は、女性に不平等な扱いをする党だと思われれば、(スウェーデンでは)そんな「党は死に絶える」と話していました。現在もまだ隠れている(数名の)セクハラ発言都議、周りで笑った都議、発言者を知りながら庇(かば)っている都議、みんな同罪のように思います。せめて、一刻も早く名乗り出て、謝罪して、日本の恥を雪(そそ)いで欲しいと思います・・・

P.S.2 その東京都議は年に2,388万円の歳費を貰っているのだそうです。その上に、議会に出るだけで1日10,000~12,000円の費用が弁償されるのだそうです。自宅やマンションから議会に往復するのに、何の費用が掛かるというのでしょうか?このような弁償を今も実施しているのは東京都議会だけだそうです。日本一高い歳費を貰って、(まともな仕事もせずに)セクハラ発言など品のないヤジを飛ばしている議員は、今すぐ辞めて戴きたいと思います・・・

P.S.3 (どなたか女性のコメンテーターが)セクハラ発言で傷ついたのは同都議だけではないと言っていました。(様々な理由から)結婚しない女性、子どもが欲しくても授からない女性、そしてその旦那さんや家族など、不快な思いをしたり、傷ついた方は沢山おられるのではないかと思います。(これまでは、国会も同じようなものですが、このようなヤジも当たり前のことだったのでしょうが)もう通用しなくなってきたのかもしれません。でも(安倍さんの国会でのあり様を見てみても)、本当に日本は、この「原始時代」から抜け出せる(変われる)のでしょうか?正直、そうは思えないのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月25日)

「世界遺産」考

2014-06-24 10:15:51 | 日記
 富岡製糸場が世界遺産に登録されたとかいう報道があったように思います。只、私には正直、嬉しいとか誇らしいとか、そういう感慨は全くありません。所謂、「女工哀史」を象徴するような建物が、労働者が搾取され、健康を害し、命を縮めた場所が、どうして世界遺産になるのか、正直わかりません。はっきり言って、日本の恥部であり、多くの民の苦しみを代表する場所を、どうして世界遺産にしようとしたのか。その苦しみに寄り添い、忘れないための「遺産化」なら反対することはできませんが。

 富岡製糸場ほどではなくても、戦前戦後と日本の労働者の置かれてきた環境は決して良いものとはいえません。アスベスト禍などは日本全国で、労働者だけでなくその家族や工場の周辺など多くの被害者を出していますが、その実態すら分かっていません。経済成長が鈍化し、世界の工場としての役割を終えた日本の労働者は、今後労働環境の暫時的な悪化を受忍せざるを得ない状況下にあります。富岡製糸場をみて、現状を理解しなさいということなのかも知れません。

 日本一の富士山も、世界遺産に(暫定的ですが)登録されたように思います。正直、こちらはとても残念で仕方がありません。富士山は麓(ふもと)から含めて山全体が一つの社(やしろ)だと聞いたことがあります。とても神聖なパワースポットなのです。遠くからその姿を眺め、「気」を少しでも分けて戴ければとても有り難いと思うのですが、この何年か登山者は毎年30万人にも上るそうです。観光気分で登頂し、清澄な富士の気を乱すような行為だけは避けてもらいたいと思うのです。せめて、糞尿だけでも持ち帰って戴きたいと思うのです。

 私は神道には関心がなく、一般の神社には殆ど参ることがありません。只、境内に生えている巨大な楠木(くすのき)やその杜(もり)などを見ると、畏怖の思いや大きなものに包まれているような安心感を憶えます。神社そのものが、その土地のパワースポットに建てられているようにも思います。そこで気を養うために、本来人はその場を訪れていた、そのように思います。ですから、禊(みぞぎ)をして、礼を尽くして富士山に登る、それが日本一の富士山を、世界一の富士山にすると思うのですが・・・

P.S. 神道では、「穢れ」を嫌う、つまり「気が枯れる」(気枯れ=けがれ)を嫌い、死や血を穢れたものとして「禁忌」(きんき)、タブー視すると何かで読んだことがありません。これは為政者(支配者)側の論理でしょう。パワー(気)を民に分け与えるのではなく、気を奪う「民」の存在を排除しようとの論理なのでしょう。逆に、日常的に民は、「気」を奪われ搾取されている、そんなように思います。気を吸い取られないように気を配る、身(気)を守るにはそれしかないように思います・・・

P.S.2 政府は、国連決議に基づく手段安全保障における武力行使の閣議決定を見送る方針だそうです。ごり押しをすっと引かれると、心に隙ができて、じゃあ、集団的自衛権における武力の限定行使ぐらいはいいか、といった「気」にさせられます。完全に気がかき乱され、奪われている気がします。「ならぬものはならぬのです」会津藩士でなくても、安倍首相にそう言いたい思いです・・・

P.S.3 「このままでいくと、安倍さんの独裁になってしまいますよ」「おぼっちゃまくん」で有名な漫画家の小林よしのりさんのお言葉です。「自主防衛論者のワシからすれば、集団的自衛権の行使容認には反対だ。第1に個別的自衛権を強化して、憲法9条の範囲でこれ以上どうしようもできないとなれば。改憲するのが筋。今のやり方はおかしい」、「(イラク戦争の)派遣が正しかったかどうかの総括をしていない。そんな連中が『限定的』と言っても、絶対に地球の裏側まで武力行使に行きますよ」と警告されています。同感です・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月24日)

絵に描いた「避難計画」

2014-06-23 10:45:00 | 日記
 伊方原発過酷事故時の避難についてのNHKの特集番組(『四国羅針盤』)がありました。要約してご紹介します。

 政府や自治体の主張する「段階的避難」(「陰の避難」と呼んでいるそうです)は、自主避難者が多いと渋滞が発生するという問題があります。住民の約40%が避難すると渋滞になってしまうということですが、福島の原発事故を見てしまった我々国民が、自主的に避難する数は40%どころではないと推測されています。また地震などで複数の道路が通れなく可能性があり、そうそう上手く「段階的」に避難できるか疑念がもたれています。東京女子大学の広瀬教授は、「一斉避難」を提唱しています。私も、少なくとも50キロ、60キロの範囲で、同時に避難し始めるべきだと思います。

 また現在の避難の区分けとして、同心円状に30キロとしていますが、愛媛県の内子町では、一部が30キロ圏内ですが、町の中心部など多くは30キロ圏外で、避難に差別ができないように、自主的に「避難計画」を策定し、ヨウ素剤も住民分確保しています。町としてやれることをやるとの姿勢ですが、やはりやれないことが多いと町長は指摘していました。

 伊方原発は(三崎)半島にありますが、半島に住む住民は船による避難を強いられますが、津波で(三崎)港に大型船は着岸できない可能性があり、沖合いで待つ大型船まで(避難住民を)ピストン搬送しなければいけない可能性があります。そもそも津波がきている中、船が使えるのかというという疑念があります。IAEAですら、避難計画をきちんと作成するように提言していますが、国は県や市町村など自治体に丸投げで、もっと避難計画及び実際の避難に際してもっと責任をもってやるべきだと、同教授は指摘されていました。

 また、最も大きな課題として、「要配慮(支援)者」の問題があります。伊方原発の30キロ圏内だけでも約4,000人の方が「要配慮(支援)者」で、その内の約1、000人は「担送」といって「寝たまま」で搬送しなければなりません。(拠点病院になっている)八幡浜病院では、搬送先の確保や医療の継続など課題は多く、そもそも患者さんなど全員を運べるだけの車両が確保できていない状況で、消防など他からの支援なしにはそもそも避難は不可能だとしています。県の計画には具体性がないと。

 福島第1原発事故では、避難中や避難先で治療を受けられず、沢山の方が亡くなっています。災害よりも「関連死」の方が多く、こうした「要配慮(支援)者」の方々の避難をどうするかが大きな課題ですが、一病院だけでは到底対応できるわけがなく、同病院は県の支援が必要だとしています。勿論、県の支援は必要だと思いますが、何より避難計画作成の段階から、国がもっと積極的に関与していくべきだと思います。同教授は、原発の事故の想定そのものが甘く、もっと最悪を想定すべきだとのことでした・・・

P.S. 米国では、(名前は忘れましたが)新規に建設された原発が、避難路が確保できないということで廃炉になっています。原発稼働には、有効な避難計画が前提条件となっているからです。米国ではこの審査をNRCが担っていますが、日本には避難計画が検証されることもなく、審査する体制すら整っていません。正しく「絵に描いた餅」状態で、その有効性に何らの信用性もありません・・・

P.S.2 (先日の『朝日新聞』には)再稼動の審査が先行している6つの原発の半径30キロ圏内にある52市町村の避難計画うち、病院で個別の避難計画を作っていたのは217施設中18施設で約8%だったそうです。老人ホームなどの福祉施設では、823施設中204施設で約25%です。各都道府県の「地域防災計画」では、病院や福祉施設などに対して、個別の避難対策を取るように求めていますが、実態はなかなか難航しているようです。北海道では計画作成が殆どできていますが、それも避難先だけの確保だったり、滋賀県では策定状況すら「把握していない」とのことです。(繰り返しますが)原発を稼働させる前に、すべきことがあると思うのですが・・・

P.S.3 避難計画については自治体からは、「本当に計画通りに避難できるか不安」(滋賀県)、「国の言うとおりに計画を作れない」などの声が挙がっています。また自治体から計画作りを指示された養護老人ホームの施設長は、「計画は矛盾だらけ」だと吐露しています。病院からも、「誰が患者に付き添い、誰が病院に残るのか、医師や看護婦の役割分担もまだ決まっていないとのことです。元経産官僚だった古賀氏は、「ちゃんとした避難計画を位置付けた途端に、日本で原発は建たなくなる(稼働できなくなる)」と指摘しています。まともな避難計画を作りようがないからこそ、(米国のように)稼働要件に「有効な避難計画の作成」を入れられない、ということのようです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月23日)

「風評」の払拭

2014-06-21 13:09:31 | 日記
「根拠のない風評を払拭していくためにも、しかりと正確な情報を提供していく」安倍首相のお言葉です。情報を一元管理して漏洩を許さない、そんな姿勢を見せている首相とは、相容れ難い「お言葉」です。本当に、正確な情報を提供して下されば、「風評」はなくなると思います。只、思い出すのは事故直後、文科省は既に3月15日から、(今では)ホットスポットとして知られる浪江町の赤宇木の(モニタリングカーによる)モニタリングを開始しており、確かにHP上に同地区の3ヶ所の空間線量(毎時330μSv)を公表していますが、地名は隠しています。同省によると、地名を伏せたのは「風評」が広がることを恐れたからでした。

 330μSvと言えば、年間そこに滞在すれば、約1,435ミリSvという信じられない程の大量被曝です。当初は同地区には原発周辺から住民が避難して滞在しています。同地区に避難指示が出るのは事故から約1ヵ月半後です。「風評被害」という架空の(原発維持のための)システムによって、被曝という「実害」が生じていたのです。その架空の「風評被害」(つまり原発が維持できなくなるの)を恐れて、「被害」が広がってしまったのです。今尚「風評被害」というシステム(目くらまし)のために、「実害」が生じ続け(隠蔽され)ているのです。

 政府(復興庁)は、F1の原発事故を受けた「風評被害」対策として、被災地農作物を対象として新たな指針を出しました。同指針では、被災地の農産物を対象に行なっている放射性物質の検査継続結果を断続的に公表していく(*当然のことだと思います)、また諸外国に対して、輸入規制の緩和や撤廃を引き続き働きかけてゆく(*チェルノブイリ事故の時日本は、当然ながらかなり厳しい輸入規制を敷きました、一方で外国には、規制を緩和しろとは)、また経団連の会員企業窓に対し、被災地の農産物と社内販売や贈答品として活用するよう求める(*会員企業はノルマを与えられて、経団連のお偉いさんや、企業の幹部は食べずに、多くの社員が無理やり買わされるのでしょう)、また修学旅行を含めて国内外の観光客の誘致に積極的に取り組むのだそうです。(事実を知らずして被曝させられる生徒や観光客はどうなるのでしょうか?)

 (何度も繰り返して恐縮ですが)「風評」というのは事実を隠すための「システム」です。今、福島やその他の汚染地区で起きていること、被曝やそれに伴う身体の不調、そしていずれ現れるであろう様々な疾病、これは明らかに「実害」です。農産物や畜産物、魚介類、そして水や(山林や平地、住宅地など)土壌の汚染は「実害」です。きちんと調査や検査を通して実態を把握し、加害者である東電に損害賠償を申請していくべきものだと思います。(しつこいですが、もう一度)汚染と被曝は「実害」です。決して「風評」ではありません・・・ 

P.S. 丸森町筆甫地区の「振興連絡協議会」の事務局長で、個人として放射線量を測定し、「放射線マップ」を作成した(先日書きました)男性に対して、「個人で放射線を測って、出まかせの情報を流している人がいる」との批判が起こり、同事務所に名前を名乗らない男性から「あんたらのやっていることが、丸森全体の風評被害につながっているんだぞ」とマップの作成を強く非難する電話が掛かってきたそうです。わたし的に言うと、情報を隠蔽しようとする行為や(心理的なものも含めた)システムこそが「風評」なのであって(原発が「安全」というのも「風評」(デマ)です)、同男性の行為は、事実を明らかにし、「実害」を把握するために必要な行為だと思います。こうした「非難」を醸成する雰囲気こそが、「風評」(デマ)を生み出すのであって、彼らこそ、実は「安全」であるものを「デマ」によって禁忌(きんき)する類の人々だと思います。彼らこそが、この「風評」のシステムを支えているのです・・・

P.S. 宮城県が丸森町の空間線量の測定を始めたのは11年4月5日、しかし筆甫地区では測定されません。同町が線量計を入手したのは5月になってから。モニタリングポイントはたったの4ヶ所だったとのことです。汚染状況を把握するには、同男性の活動は欠かせなかったわけです。「坑道のカナリア」的な、非常に大切な仕事を犠牲を払って行なわれた立派な行為だと思います。こうした方が沢山いれば、「風評」(そして「差別」)などは起こりえないのですが、残念ながら、(私も含めて)現実はそうではないようです・・・

P.S.2 情報やデータを公表することが、「風評」(デマ)を一掃する最大の方法だと思います。安倍首相の「お言葉」、是非実行して戴きたいと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月21日)

「水俣病被害者と歩む国会議員連絡会」

2014-06-20 10:39:39 | 日記
 自民・民主・結い・共産・社民・無所属の11議員が、党派を超えて水俣病の全面解決を目指して「水俣病被害者と歩む国会議員連絡会」を結成しました。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)同連絡会は、熊本、新潟両県などの被害地域に住んでいた全ての住民の健康調査を国と県に求めています。会長の辻本議員(民主)は、「今までの救済策では、最後の1人まで支援・救済していけないのではないか。抜本的な見直しが必要だ」としています。

 しかし政府は、昨年4月の最高裁判決で、「感覚障害だけでは水俣病と認められないとする科学的な実証はない」、「症状が複数でない場合でも水俣病と認定する余地を排除するものではない」との(残念ながら「認定基準そのものの」ではありませんが)認定基準の「運用」のあり方が問題として指摘されました。

これに対して政府は今年3月、認定基準の新「運用指針」を関係自治体に通知しましたが、同「新指針」では、(表向きだけは)感覚障害だけでも認定できるとする一方で、有機(メチル)水銀汚染との因果関係を、「できるだけ客観的な資料で裏付ける必要がある」として、(残っているはずもない)汚染当時の毛髪の水銀値や発症時の診断書などを求めており、実質的に「感覚障害」だけの認定を否定しています。ちなみに、これまで申請された患者さんの8割以上が未だに「認定」されていません。公式認定から58年経っても、未だに「健康調査」すら行われていない、これが現実です。同「連絡会」の活動で、第1歩の「健康調査」が実施されれば良いのですが・・・

P.S. 「チッソ」の子会社株を売却し易くする法案が、20日にも成立する見通しとのことです。患者団体は、「被害者が救済されないまま、チッソが清算されかねない」として反対しているそうです。加害者の方は、見えない形でカモフラージュして「救済」しながら、一方で被害者の訴えには耳を貸さない、これもまたこれまで通りの国の「あり方」だったと思います・・・

P.S.2 「水俣条約」締結の際に安倍首相は、「水銀による被害と、その克服を経た我々」と発言されました。被害の実態を知るための「健康(疫学)調査」すら実施していない国が、何を「克服」したというのでしょうか?患者認定申請者の8割が切り捨てられている状態が、果たして「克服」したといえるのでしょうか?一体、「我々」とは誰のことなのでしょう?加害の現実から逃げ切った国とチッソのことなのでしょうか?安倍首相のご認識に、強烈な違和感を覚えます・・・

P.S.3 「やっぱりな」、そう思われた方は沢山おられたのではないでしょうか?「自衛隊が武力行使を目的にとして、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは決してない」と断言された安倍政権は、機雷除去などに限定すれば、国連安全保障理事会決議に基づいて、侵略などを行なった国に対して日本が武力行使を行なえるようにする、集団安全保障における武力行使を改憲なしに行なおうとしています。あれだけ何度も声高に、集団安全保障における武力行使を否定し続けたのは、集団的自衛権による武力行使のハードルを下げるための「カモフラージュ」だったようです。でも、いくらなんでも今国会中に出してくるとは思いませんでした。ごり押しで行けるなら、行けるだけ行っておこうという「お考え」のようです。とても怖ろしいお考えです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月20日)

丸森町の健康管理調査を!

2014-06-19 10:12:05 | 日記
 2011年3月15日宮城県丸森町、「自衛隊が逃げろと言って回っている」、同町筆甫(ひつぽ)地区の「振興連絡協議会」の事務局長だった男性(37歳)は、すぐに妻と2人の子どもを登米市に一時避難させ、現在は自宅から20キロ以上離れた大川原町で家族で住んでおられます。男性は、「地区住民組織の事務局長として、大好きな筆甫に関わっていきたい。でも、子どもがまだ小さくて放射能の影響を受けやすく、筆甫を出て暮らさざるを得ない。それがとてもしんどい」と吐露されています。

男性のご自宅の線量は、宮城県境から福島県内に2キロ入った伊達市霊山町の数値とほぼ同じ3μSv/時だったそうです。ちなみに、同年3月19日、(弘前大学の職員が測った)同町旧筆甫中学校の校庭の線量は6,4μSv/時(年間28mSv)、どちらも当然避難しなければいけない数値だと思います。実は同町には計測器がなく、同男性は「対応できない」との町の応答に、(4月に入って)自ら線量計を購入して放射線量を測り始めています。

 丸森町は、3月14日以降、放射線量を測定するように宮城県に申入れしていますが、(何故でしょう)県は動かず、(ならば男性のように、簡易測定器でも購入して測ればいいと思うのですが)東北大学の教授に訴えています。自ら既に(丸森町を含む)宮城県内を測定していた同教授は、丸森駅前で1,48μSvだったと伝えます。(測定結果はその日の内に大学のHPにUPしていたそうで、町が知りたければ、こういうデータも検索すればすぐに出てきたと思うのですが)

 しかし同教授も、(地理的な知識不足と、放射性物質が同心円状に広がるとの誤解などから)最も汚染が酷いと思われる丸森町の福島県境までは測定していません。只、(当時の)政府は既に航空機や移動式モニタリングカー、或いは職員による測定、さらにはSPEEDIによる拡散予測など、ありとあらゆるデータを持っていたにも拘わらず、公表しませんでした。本来避難すべき地区にも「指示」を出しませんでした。(現政権もまた)未だに事故対応を東電に押し付けたまま、後方から見ているだけです。避難についても、しかりです。避難したいなら避難しろ、嫌ならそこで被曝を受忍しろと。そのように感じます・・・

P.S. 同教授の協力を得て放射線量の測定を続けた同町は、丸森町は「安全」との判断を下し、同教授に講演を依頼します。その講演で教授は、当時国が暫定的に引き上げた食品の基準値(500ベクレル/㎏)に関して、「少々超えたぐらいで気にすることはない」と説明、「500ベクレルを超えた野菜を持ってきてくれたら、私が食べます。子どもが地面に寝転んで、もし口に砂が入ったって大丈夫」、「安全です」と住民に話しています。また、宮城県内でも放射線が高い場所があるとの新聞記事について、「不安を煽るのでおかしい。こういう新聞は読まなくていい」と話しています。「おかしい」のはどちらでしょうか?・・・

P.S.2 同教授は、「安全ではないというなら根拠を示さなければならなかった。それがないから、安全だと言った」と述懐しています。科学者とは思えない驚きのお言葉です。同教授の論法でいくと、「安全」だと言うには、その根拠がなければいけません。根拠がないから「危険」だということになります。完全に「矛盾」しています。納得できない住民の方が、「なぜ安全と断言できるのか」(本当にそうです)そう質問をしようとしたところ、町の職員が遮ったそうです。茶番もいいところです・・・

P.S.3 同教授はその後、宮城県が設置した「健康影響に関する有識者会議」のメンバーとなり、福島県が行なった健康管理調査を宮城県内でもすべきかどうかを検討、最終的に「県南部の年間被曝線量は健康に及ぼす影響はなく、調査の必要はない」との見解をまとめ、その結果調査は実施されなかったそうです。年間被曝線量が1mSvを超える地域は、法律が定める「放射線管理区域」であり、一般人に被曝を受忍させてはないらないレベルです。調査を行うのは当然のことだと思います。勿論、それ以下の線量の所でも、放射能汚染している以上は調査を実施して、疫学意的なアプローチを行なうべきです。それしか、被曝と疾病の「因果関係」を証明するものがないからです。勿論、証明したくないのでしょうが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月19日)

ヨウ素剤配布の課題

2014-06-18 11:06:47 | 日記
 安倍政権は昨日、原発を「重要なベースロード電源」とする「エネルギー白書」を閣議決定しました。しかし、過酷事故時の避難計画や安定ヨウ素剤配布については自治体に丸投げ状態で、事故の対応も事業者に殆ど任せ切りです。(人事をいじって)再稼動を急ぐ前に、すべき事柄が山積していると思うのですが。今日はヨウ素剤配布を任された現場の困難な状況、その課題をまとめてみます。(参照・引用は『朝日新聞』)

 F1過酷事故前は、副作用の恐れなどから事故時に配ることになっていた安定ヨウ素剤ですが、昨年6月の指針改定で半径5キロ圏内の住民には自治体が事前に配布、5~30キロ圏では旅行者など一時的に滞在している人も含めて、事故時に膨大な数のヨウ素剤を住民に配らなければいけません。地震などで道路が寸断されていた場合の配布ルートや、(ヨウ素剤を処方する)医師・薬剤師の確保も課題です。

 原発から5キロ圏内の住民は、住民説明会に参加し、病歴や常時服用する薬などを用紙に記入、服用方法や副作用、保管の仕方などの注意点を聞いた上で、医師や薬剤師からヨウ素剤(と受領書)を受け取ります。しかし、住民説明会に先立って行なわれた原子力規制委員会による「模擬住民説明会」では、鹿児島県の担当職員からは「地元には高齢者が多く、問診にはもっと時間が掛かる」、(説明会を行なう予定の6月以降は)「農繁期でもあり、長く待たせられない」として、(原則の)「同時配布」ではなく、説明会以降に開く「配布会」で住民に渡す予定とのことです。

 しかも、ヨウ素剤は3年で更新しなければならず、更新方法や(病歴も変化しているでしょうし)再度の説明会を実施するのかどうか、転入出に伴うヨウ素剤の配布や回収方法も決まっていない状況です。配布された住民も、ヨウ素剤を自分で保管・管理しなければいけません。自治体や住民への負担はとても大きくなると思います。実際、原発周辺の155の自治体の内、79の首長が避難計画作成においてヨウ素剤の扱いが課題になったと(アンケートに)回答しており、「計画と現実には隔たりがある」と声も挙がっています。

 昨日全国で始めて開かれた、鹿児島県川内市での住民説明会には約150人が参加し、問診を受けました。副作用の恐れがないと判断された住民は、7月以降の(上記の)「配布会」でヨウ素剤を受け取るとのことですが、参加した男性(51歳)からは、「小中学生の子どもに飲ませて重い副作用が出ないか、説明を聞いてもわからない」との声が出ています。説明会の対象住民は4,800人、今後、地区別に9回開かれるということです・・・。

P.S. 14基の原発を抱える福井県は、30キロ圏内12市町の住民分のヨウ素剤を備蓄しましたが、5キロ圏内5市町の住民約1万人に対する、住民説明会開催の予定すら立っていないとのことです。同県地域医療課では国に対し、問診の際の配布基準の明示や配布の為の相談窓口の常設を求めています。また石川県の医療対策課は「副作用があった場合の責任の所在や誤飲した場合の対処方法など、もっと細部を詰める(問答集の作成の)必要があるとしており、国の回答後に医師会とマニュアルを作るとのことで、(同県志賀原発5キロ圏内の対象住民は約4,000人)現在、説明会開催の目途は立っていません・・・

P.S.2 伊方原発の5キロ圏内の住民は約5,700人、愛媛県医療対策課は、「国は指針を示すだけで自治体任せ」、「規制庁の担当者が説明に出向くなど、もっと関与して欲しい」と批判していますが、危険だけでなく、これだけの負担を自治体に強いているという自覚がないのではないかと感じます・・・

P.S.3 「事前配布」だけでもこれだけ困難なのに、事故時に配布予定の5~30キロ圏の何万、何十万人の住民に、どうやって説明し問診して配布しようというのでしょうか?それ以遠は配布しないでよいのでしょうか?兵庫県のシミュレーションでは、大飯原発や高浜原発から150キロ離れた淡路島でも安全ヨウ素剤の服用が必要な被曝(7日間で50mSv)を超えるとの試算が出ています。風向きや風の強さ次第では、もっと遠くの地域でも、服用基準を超えてしまいます。服用しても完全に被曝を防げるわけではありませんし、服用のタイミングも重要で、ヨウ素剤1つとってみても、問題があり過ぎるように思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月18日)

「福山調書」

2014-06-17 11:05:51 | 日記
 F1原発事故時に官房副長官として住民避難など事故に対応した福島元官房副長官の「聴取書」から、官邸内の初動の事故対応について見てみてみたいと思います。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

3月11日
 14:46 東日本大震災発生。約1時間後1~3号機の全交流電源喪失
 19:00過ぎ (取材に対して)菅首相らと協議して、「広め」に避難区域を設定する原則を取り決める(しかし)
(「福山調書」によると)「(F1)から遠い人が逃げるとそこで渋滞する・・・近い距離の人たちが渋滞で(逃げ)遅れる可能性がある」との慎重論が出る
 20:26 福山氏、ノートに3キロ圏内の住民「5,870人 1,967世帯」と記入
(「福山調書」によると)何故3キロなのかについては、「3キロぐらいまでは準備ができていますみたいなのが(原子力安全・)保安院からあ」り、「そんなに広くなくていいという話は斑目(原子力安全委員長)からもあった」、「とにかく3キロ」だと。
*ベントやメルトダウン、或いは水素爆発によって大量の放射性物質放射性物質放出が予想される中、たった3キロの範囲で影響が収まるはずもないのですが・・・
21:23 政府はF1から半径3キロ圏内が避難区域に、10キロ圏内は屋内退避とする
 *当初決めた「広め」の避難範囲を曲げて、わずか3キロ圏内の住民への避難指示を出しています。3~10キロ圏内の住民の「屋内退避」は、実質的に3キロ圏内の人を避難させる為だったともいえるかと思います。 

3月12日
 01:30 官邸、東電のベント実施を了承
 04:30前 官邸、ベントが実施されていないことに気付く
(「福山調書」によると)「(ベント)を3時にやると言ったのは貴方たちですよ」、「(原子炉は)爆発しないのですか」と福山氏は声を張り上げる
 05:44 政府、避難区域を10キロ圏内へ拡大
 (「福山調書」によると)「爆発するかもしれないので、とにかく早く逃がしたい」、10キロ圏内の理由については、「斑目さんあたりから10もあれば十分だみたいな話が多分出ている」と。
*爆発が起これば、50キロ、100キロ、それ以遠の地域へ影響ができることは、SPEEDIで既に推測済みだったはずですが・・・
 08:03 吉田元所長が1号機のベントを指示
 15:36 1号機水素爆発
 18:25 20キロ圏内が避難区域に
 (取材に福山氏は)20キロ圏内の理由について、「原子炉に近くて本当は早く逃げないといけない人たちが留まらざるを得なくなる。(近い人の)大量被曝を避けるため、近い人から逃げてもらおうと、まずは20キロというのがこの時点の判断だった」と回答
*大量被曝が20キロ圏内で留まらなかったのは、飯舘村や浪江町の住民の被曝で明らかになっていること。何より放射性物質の拡散情報を意図的に出さなかったことが、多くの住民の大量被曝に繋がったと思います・・・

3月14日
11:01 3号機水素爆発
18:22 2号機核燃料全露出
 (「福山調書」によると)「炉の不安定な状況の中で、いつ爆発するか分からないのだったら屋内退避にしようとという判断をした」と語っていますが、(取材に対して同氏は)「放射線被曝専門家に聞き、屋内にいるほうが、避難のため外に出ているより大量被曝の可能性が低い」ことを確認しています。
*それならば、3月11日に3キロ圏内に避難指示を出した時点で、少なくとも30キロ圏内(本来ならば100キロ圏内)の住民には、大量被曝を避けるために「屋内退避」を指示すべきだったと思うのですが・・・

3月15日
 06:00過ぎ 2号機の圧力抑制室の圧力がゼロとbの報告
 06:42 吉田元所長がF1での「待機」命令、しかし9割の所員がF2へ「退避」
 09:00 F1正門での放射線量が最高値
*1~3号機のメルトダウンした核燃料から、膨大な量の放射性物質が放出されている状況
 11:00 政府、20キロから30キロ圏(6万2,000人)に「屋内退避」を指示
 *3基の原子炉がメルトダウンし、放射性物質の拡散情報を持ちながら、小出しかつ後手の対応で、事故に対しても避難に関しても、まともに対応したとは到底言い難いものがあります。避難住民の方々への聞き取り調査では、政府の避難指示は「全く適切ではなかった」、「あまり適切ではなかった」との回答が8割を超えているそうです。

3月25日 政府、「屋内退避」を指示した20~30キロ圏の区域の住民に対して、「自主避難」を要請
 *(当時も書きましたが)これだけの放射能汚染の広がりの中で、「自主避難」とは住民の「救出」の責任を政府が投げ出したのに等しい行為だと思います。もし仮に「自主」的な判断を求めるならば、せめて「情報」を出さなければ、その「判断」すら行えないと思うのですが・・・

4月22日 政府は、「自主避難」を要請した20~30キロ圏の区域を「計画的避難区域」を設定
 *「計画的」とは欺瞞の限り。「避難区域」に設定するのに(飯舘村や浪江町もそうですが)原子炉が爆発して(汚染状況を知りながら)1ヶ月以上も掛かるなんて考えられないと思うのですが・・・

P.S.  (F1へ行く途中)菅元首相から水素爆発の可能性を聞かれた斑目元原子力安全委員会委員長は、その可能性を否定しています。1号機の爆発の映像を官邸で観ていた同委員長は、「アー、水素爆発だ」と声を上げたそうです。私はあの映像を観て、声が出ませんでした。彼は一体何の専門家なんでしょう?彼の意見が「避難範囲」を極端に狭くさせるのに大きく寄与しているのは「福山調書」でも明らかです。(中間貯蔵施設に関して同じような発言をした大臣が今朝の報道でもありましたが)原発建設も「最後は金だろ」と嘯(うそぶ)いた同氏は、原発が膨大な放射能汚染を引きこし、住民の大量被曝をもたらし、現在も尚被曝と向き合いながらの生活を余儀なくさせられていることを、一体どのように考えているのでしょうか?・・・

P.S.2 (繰り返しますが)当時の政府の避難指示は遅く、狭過ぎます。屋内退避にいたっては、情報を開示した上で、関東圏を含めた広い範囲に出すべきでした。情報を与えられず、被曝した国民は膨大な数に上るものと思います。事実を正確に伝えて、最も適切な対応を指示すべきでした。「直ちに影響はない」と繰り返すだけでは、帰って国民の不安を煽り、政府への不信を招いただけだったと思うのです・・・

P.S.3 (NHKニュースによると)トレンチに溜っている高濃度の放射能汚染水1万1,000トンを止水する為東電は、2号機のトレンチの入り口部分に地上から配管を打ち込み冷却用の液体を流し込んで汚染水の一部を凍らせる作業を進めていますが、4月末から1ヵ月半経っても、一部の汚染水が凍っていないとのことです。トレンチ内の構造物が障害になって均等に冷却できないことや、トレンチ内で汚染水が常に流れていることが原因のようです。東電は、汚染水の流れを抑えたり、凍結用の配管の数を増やして対応するとのことです。止水できれば溜った高濃度の汚染水を取り除く計画で、3号機での作業も進められているそうです。トレンチ内で汚染水が流れているということは、海へ常に流出しているということだと思います。凍結による止水が上手く行けば良いのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月17日)