プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「フクシマ・ポジション」の私たち

2013-01-01 11:58:31 | 日記
 「宜野湾市民だけが騒いでて。沖縄の問題ですらない感じ。悔しいです」ある高校生のツイッターでの呟きです。(以下、引用は『朝日新聞』)貴方の気持ち、(私ではほんの僅かでしょうが、)理解できます。「同じ日本なのに、何故、沖縄だけ?」その気持ちも、分かります。でも、沖縄だけじゃないんだよ、とそう言ってあげたい。被災後の思いを演劇を通じて語る、福島県相馬高校の女生徒の言葉、「自分の子どもに何かあるかもしれないっていう、得体の知れない恐怖があります。・・・自分で言い出すのは辛いですが、ここで言わなかったら、私たちが抱えている不安が伝わらない気がして」フクシマでも、多くの住民が苦しんでいるのです。自分たちの思いを、「誰も聞いてくれない」と。

「沖縄ポジション」は、沖縄だけの問題ではありません。「フクシマ・ポジション」も、福島だけの問題ではないのです。いつ、「フクシマ」と同じ情況が、原発立地県、或いはその周辺県に及ぶかは分かりません。私自身も、その「フクシマ・ポジション」の中で暮らし、生きているのです。シリアでの内戦による死者が、4万5千人を超えたそうです。内乱や飢餓が続く「シリア・ポジション」に住む住民は、世界中にいるのです。彼らもまた、(現実は実際にそうですが)自分たちは見捨てられたと感じているのでしょうか?・・・

 明治、そして昭和の三陸大津波の際には、被災地は「切り捨て同然」にされたそうです。復興の進まない東日本大地震や津波による被災地は、或いは放射能汚染地域に住む住民の方は、今回も同じように「切り捨て」られているのかもしれません。避難された方の中には、仮設住宅の生活でアルコール中毒になって亡くなられた方、或いは体調を崩して亡くなられた方もいます。こうした方々にとっては、(避難自体というより、避難のやり方と、その後の生活に問題があるのですが)避難が死期を早めた、まさに「避難死」です。彼らもまた、見捨てられ、切り捨てられたのです。

沖縄の70代の女性は、「ウチナンーンチュ同士を争わせる構図を作り出すところが許せない」と憤りを吐露しています。まさにその通りです。最終処分場や原発、全ての地域で住民が、親子・親戚とも真っ二つに分断され、対立し争ってきました。こうした地域は、産業の無い過疎地や、まさしく「差別」の構造そのものである被差別地域に多くが建設されてきました。沖縄や福島、或いは我が愛媛も、「被差別県」なのです。差別が、構造的暴力が押し付けられてきたのです。浪江町から避難されている女性(60歳の)は、「いろんなこと、早く決めてくれないと、・・・死んじまう」と言われています。本当にその通りです。でも、(本当に申し訳ないのですが)政府はそれを待っているのかもしれません。(政府のあり様を見ている限り)そうとしか、思えないのです。

 上記の女性の浪江町津島にある(昨年末の一時帰宅時採った)自宅のナメコのセシウムの値は5万7、300、実に国の基準の573倍、シイタケも362倍だったそうです。避難時に、或いは避難後に亡くなるぐらいなら、生まれ育った自宅で死んでいきたいと思う方も沢山おられるでしょう。しかし、それもまた、選択肢のない「選択」を迫られているというのが、現実なのだと思うのです・・・

P.S. 福島に放射性廃棄物の中間貯蔵施設を建設することに、候補地となっている双葉町、大熊町、樽葉村の回答者76%の方が、「(どちらかというと)理解できる」と答えています。その理由として、「線量が高い」、「元に戻って暮らすことが難しい」、「土地を買い取ってもらうことで生活再建を早めたい」と答えています。「避難生活の解消、生活再建への継続的な支援を」を求めているのです。本来誰も、そのような施設建設を望む人はいません。しかし、それよりも、新たな土地で生活を始めたいと願っているのです。(国に望んでも仕方がないのでしょうが)国を挙げて、或いは自治体と協力して、一刻も早くその道筋をつけて貰いたいと思うのです・・・

P.S.2 「トモダチ作戦」に参加した、米軍空母「ロナルドレーガン」の乗組員8名(と生まれた赤ちゃん1人)が、84億円の損害賠償を求め、日本政府を相手取って訴訟を起こしました。8人は、三陸沖に派遣され、甲板での作業を行なったそうで、「(日本政府が)情報を正しく伝えず被曝し、癌のリスクが高まった」、「情報を十分出さず、米軍に『安全である』という認識を持たせた」というものです。これは正しくその通りで、被曝された方々全ての被害者が、政府や東電に対して、同じ損害賠償を求めることができると思います。只、米軍には外務省を通して、全ての情報が流れているはずですし、米軍は当初からステルス戦闘機を飛ばして、正確な放射性物質の拡散情況を把握しており、180キロ離れた同空母を、風下から移動させていますから、日本以上に正確な情報があったことは疑いようがありません。ですから、日本政府や東電の責任は免れるものではありませんが、米軍兵士の被曝に関しては、米軍及び米国政府の責任もきちんと追及する必要があると思うのです・・・

P.S.3 最後に、(暗い世情の中ですが)おめでとうございます。目を覚ますと、今冬初の雪が降っていました。愛媛以北の方々は、もっともっと寒い正月ですね。クリスマス寒波につぐニューイヤー寒波です。事故や死者も相次いでいます。どうぞくれぐれもお気をつけ下さい。拙いブログですが、今年も書ける限りできるだけ続けていきたいと思っています。宜しくお願い致します。皆様のご健勝をお祈りします・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年1月1日)

1 コメント

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相馬高校放送局顧問です (渡部義弘)
2013-01-02 11:29:05
元日掲載との連絡を受けていましたので、朝日新聞を手にしました。
象徴的なことに(と私が考えたのですが)、高校生の声が沖縄と福島から発せられたことです。
そこにはもちろん大人が関与していますが、どちらも自発的に声を世間に届けたいと思っているということです。
それに耳を傾けようとする大人がいる。その事実こそが彼ら彼女らにとっての希望だと思います。
安易な「絆」や「希望」ではなく、「絶望」からしか希望は見出せないと思います。
それが今の福島のそして沖縄の現状だと思います。

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