政府の(2つの)有識者会議が、南海トラフで生じるであろう最大の地震と津波による想定を発表しました。こうしたデータをできるだけ早く公表することは、それ自体は歓迎です。津波の到達時間や、津波の高さ、浸水域が分かりますから、対策を講じなければならないことが理解できますし、防災の意識も覚悟も決まります。ただ、最大32メートルと言っても、歴史上もっと高い津波が押し寄せている事実を知っていますから、別段驚くべきものではありません。恐れるのではなく、やはり対策を、ということになります。
同会議は、「適切な避難行動や対策を取れば、(32万人を超える)死者数を5分の1に減らせる」とも指摘しています。では尚のこと、その「対策」が重要なわけです。じゃあどうして、その「対策」もなしに、今この時期に「最悪の想定」だけが先行して発表されたのか、(勘ぐり深い)私などは思案してしまうのです。やはりその答えは、災害に強い国造り「日本強靭化計画」ということに収まるのでしょうか?(これだけ脅せば)年間10兆円ぐらいは公共工事に使っても文句は出ないだろうとの思惑なのかも知れません。
但し、32メートルの津波に耐えうる防潮堤が(技術的に)造れるとは思えません。それも海岸線に沿ってそんなものを建てるなんてことは、現実的に不可能ですし、そんなところでは生活ができなくなります。5分や10分では、実際適切な避難は困難でしょうし、それこそ高台に集団移転するぐらいが最も現実的な「対策」となるでしょう。そういう意味では、昨年の被災地が如何に復旧し、復興していくのか、その歩みが「災害対策」の試金石をなるのであって、今ある被災地の「再生」に全力を注ぐべきなのは、言うまでもありません。
私が最近繰り返して思うのは、何故あの地震が伊方原発目前の活断層ではなく、宮城県沖だったのか、何故伊方原発でなく福島第1原発だったのか(勿論、福島第2原発も、女川原発も、六ヶ所村の再処理工場も危なかったのですが)ということです。当然ながら答えは出ませんが、今後同じことが起こる「想定」が、私たちに付き付けられていることは間違いありません。東日本大震災で亡くなった方々の中には、原発事故が起こり、避難の為に、救助隊も出られず、本来なら助かるはずの人々が、泥に埋まり、瓦礫の下敷きとなり、うめきの中で苦しみながら亡くなった方が少なくありません。遺族の悔恨もそうした事実から生まれています。
今回の「想定」により、原発との関連でどのような「最悪」なことが生じるのか、(フクシマで既に現実化してしまってはいますが)やはり想定すべきだと思います。何故今回の「最悪の想定」に、原発事故とその被害が切り離されているのか、最大の疑念を抱きます。そしてこの最悪の想定の「最大の対策」こそ、(再稼動ではなく)原発を(せめて)停止状態で維持しながら、できるだけ早期に核燃料を取り出し、(できるだけ)安全な場所で保管することだということを、提言したいと思うのです。同じように考えられている方が、少なくとも全国民の過半を占めているだろうとの思いに、(悲観的な人間ではありますが)意を強くしながら・・・
P.S. 世界の地震の2割が日本で起こっているそうです。まさに地震列島です。そんな島に原発を建ててどうなるのか、「想定」もしないのはおかしいと思われるかもしれませんが、造る前に政府は既に「想定」しています。中部電力の浜岡原発、過酷事故が起これば、何百万人もの死者が出ると試算していました。対策はありません。ですからそのデータは公表しませんでした。つまり、「対策」のない「想定」を公表すること自体、そこに何かがあることの「証拠」です。もうすぐその何かが「顔」を出してくるでしょう。見え見えなので、「マスク」をして出てくるかもしれませんが・・・
P.S.2 現在、保安院が敷地内の断層の追加調査を指示しえいる原発は、東通、志賀、敦賀、美浜、大飯、もんじゅ。検討を継続しているのが、柏崎刈葉、浜岡、高浜原発。敷地外の活断層との連動で、揺れの想定を超えそうなのが、泊、柏崎刈葉、志賀、島根、伊方原発。揺れの再計算をしているのが、東海第2、敦賀、美浜、もんじゅです。その他の原発も安全であるというのではなく、懸念される断層や破砕帯があります。当然、「想定」を超える連動が起こる可能性も否定できません。そこに安全はないということです。その危険を避ける「対策」があるのならば、(止まっていても未だ危険な原発に対して)一刻も早く講じなければいけません。その「対策」が出てきてないことに、私たちは不安を感じているのです。不必要に「恐れて」いるわけではないのです・・・
P.S.3 ドイツで解体中のハム原発、1989年に廃炉が決まり、燃料は撤去されたのだそうですが、現在、解体作業は止まったままだとのことです。その原因は、放射性廃棄物の最終処分場が決まっていない為です。まさに「想定」していなかった問題です。2050年ごろまでには完了したいととのことですが、「詳細は未定」です。撤去費用を350億円と見積もってはいますが、維持費は年間約3億円掛かりますから、40年先だとさらに120億円上乗せされます。それも、「未定」だそうです。フクシマの事故原発では、燃料さえ取り出すことは何十年もできないと思います。廃炉となると、まさしく「未定」です。今後、どれだけの負担(維持費だけでも)を背負い続けなければならないのか、その「想定」は莫大なものとなりそうです・・・
by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年8月31日)
同会議は、「適切な避難行動や対策を取れば、(32万人を超える)死者数を5分の1に減らせる」とも指摘しています。では尚のこと、その「対策」が重要なわけです。じゃあどうして、その「対策」もなしに、今この時期に「最悪の想定」だけが先行して発表されたのか、(勘ぐり深い)私などは思案してしまうのです。やはりその答えは、災害に強い国造り「日本強靭化計画」ということに収まるのでしょうか?(これだけ脅せば)年間10兆円ぐらいは公共工事に使っても文句は出ないだろうとの思惑なのかも知れません。
但し、32メートルの津波に耐えうる防潮堤が(技術的に)造れるとは思えません。それも海岸線に沿ってそんなものを建てるなんてことは、現実的に不可能ですし、そんなところでは生活ができなくなります。5分や10分では、実際適切な避難は困難でしょうし、それこそ高台に集団移転するぐらいが最も現実的な「対策」となるでしょう。そういう意味では、昨年の被災地が如何に復旧し、復興していくのか、その歩みが「災害対策」の試金石をなるのであって、今ある被災地の「再生」に全力を注ぐべきなのは、言うまでもありません。
私が最近繰り返して思うのは、何故あの地震が伊方原発目前の活断層ではなく、宮城県沖だったのか、何故伊方原発でなく福島第1原発だったのか(勿論、福島第2原発も、女川原発も、六ヶ所村の再処理工場も危なかったのですが)ということです。当然ながら答えは出ませんが、今後同じことが起こる「想定」が、私たちに付き付けられていることは間違いありません。東日本大震災で亡くなった方々の中には、原発事故が起こり、避難の為に、救助隊も出られず、本来なら助かるはずの人々が、泥に埋まり、瓦礫の下敷きとなり、うめきの中で苦しみながら亡くなった方が少なくありません。遺族の悔恨もそうした事実から生まれています。
今回の「想定」により、原発との関連でどのような「最悪」なことが生じるのか、(フクシマで既に現実化してしまってはいますが)やはり想定すべきだと思います。何故今回の「最悪の想定」に、原発事故とその被害が切り離されているのか、最大の疑念を抱きます。そしてこの最悪の想定の「最大の対策」こそ、(再稼動ではなく)原発を(せめて)停止状態で維持しながら、できるだけ早期に核燃料を取り出し、(できるだけ)安全な場所で保管することだということを、提言したいと思うのです。同じように考えられている方が、少なくとも全国民の過半を占めているだろうとの思いに、(悲観的な人間ではありますが)意を強くしながら・・・
P.S. 世界の地震の2割が日本で起こっているそうです。まさに地震列島です。そんな島に原発を建ててどうなるのか、「想定」もしないのはおかしいと思われるかもしれませんが、造る前に政府は既に「想定」しています。中部電力の浜岡原発、過酷事故が起これば、何百万人もの死者が出ると試算していました。対策はありません。ですからそのデータは公表しませんでした。つまり、「対策」のない「想定」を公表すること自体、そこに何かがあることの「証拠」です。もうすぐその何かが「顔」を出してくるでしょう。見え見えなので、「マスク」をして出てくるかもしれませんが・・・
P.S.2 現在、保安院が敷地内の断層の追加調査を指示しえいる原発は、東通、志賀、敦賀、美浜、大飯、もんじゅ。検討を継続しているのが、柏崎刈葉、浜岡、高浜原発。敷地外の活断層との連動で、揺れの想定を超えそうなのが、泊、柏崎刈葉、志賀、島根、伊方原発。揺れの再計算をしているのが、東海第2、敦賀、美浜、もんじゅです。その他の原発も安全であるというのではなく、懸念される断層や破砕帯があります。当然、「想定」を超える連動が起こる可能性も否定できません。そこに安全はないということです。その危険を避ける「対策」があるのならば、(止まっていても未だ危険な原発に対して)一刻も早く講じなければいけません。その「対策」が出てきてないことに、私たちは不安を感じているのです。不必要に「恐れて」いるわけではないのです・・・
P.S.3 ドイツで解体中のハム原発、1989年に廃炉が決まり、燃料は撤去されたのだそうですが、現在、解体作業は止まったままだとのことです。その原因は、放射性廃棄物の最終処分場が決まっていない為です。まさに「想定」していなかった問題です。2050年ごろまでには完了したいととのことですが、「詳細は未定」です。撤去費用を350億円と見積もってはいますが、維持費は年間約3億円掛かりますから、40年先だとさらに120億円上乗せされます。それも、「未定」だそうです。フクシマの事故原発では、燃料さえ取り出すことは何十年もできないと思います。廃炉となると、まさしく「未定」です。今後、どれだけの負担(維持費だけでも)を背負い続けなければならないのか、その「想定」は莫大なものとなりそうです・・・
by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年8月31日)