スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

看護婦(士)のストライキ・その後

2008-05-25 06:19:15 | スウェーデン・その他の経済
以前お伝えした看護婦・看護士のストライキだが、実はまだ続いている。5週が過ぎた。ストライキを行っているVårdförbundet(医療従事者の労働組合)と雇い主であるSKL(スウェーデン地方自治体連合)はこれまで交渉を行ってきたが、いまだに妥協点が見つからないようだ。来週は6週目に突入する。

労組側にとって、先行きは険しくなってきたようだ。政党からのサポートがほとんどないなのだ。2003年に教員・福祉・自治体職員などからなる労組Kommunalが大規模なストを行ったときには、社会民主党がストに対する支持を明確に表明していた。しかし、今回は社会民主党は、関与せず、の態度を取っている。「労働者のための新しい党」と名乗る保守党(穏健党)も、政権獲得後に首相がスウェーデン各地の医療現場を回り、現場視察などを通して、医療従事者からの支持を取り付けようと努力してきたが、このストライキに対しては立場を表明していない。唯一、支持に回っているのは左党だけだ。メーデーではVårdförbundetの女性議長が左党の集会に招かれ、講演をしていた。

では、世論からの支持はどうなのだろうか? ストの1週目が終わった時点では、85%の人々が「看護士・看護婦が高い給料を求めてストライキを行っているが、これは正しいと思うか?」という問いに「Ja」と答えていた。では、同じ問いをストが5週目に入った段階で行ってみると・・・?

何と79%の人が「Ja」と答えているではないか! ストのために緊急を要しない手術が延期されたり、病棟の一部が閉鎖され、入院患者が他の施設に移されたり、ヨーテボリなどでは救急窓口が閉鎖され、救急車は別の病院へ回されたりする事態になっているのにである。


「Nej」と答えているのはわずか8%に過ぎない。スト1週目の段階では5%だからわずかな上昇でしかない。


左のグラフは、「Ja」と答えた人の割合を所属する労働組合別に見たもの。
LO(ブルーカラー労組)、TCO(ホワイトカラー労組)、Saco(アカデミックな知識・専門技能を持つ人の労組)

右のグラフは、支持政党別に見たもの。
Mp(環境党)、S(社民党)、Fp(自由党)、M(保守党)、V(左党)、C(中央党)、Kd(キリスト教民主党)

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