スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

Goteborgsvarvet ヨーテボリ・ハーフマラソン

2007-05-13 05:33:49 | Yoshiの生活 (mitt liv)
去年の大会は見ていただけで悔しかったので、今年は自分でエントリーして走ることにした。とはいっても、21kmなんて長い距離、生まれてから一度も走ったことがない。練習を始めたのも3月になってからで、しかも毎回5km走ればいいとこ。

それでも、大会の1週間前に12km、3日前に17kmを走っておいた。一人で走っても音を上げて歩いてしまうのがオチなので、友だちに自転車で伴走してもらった。この成果が本番で響いてくることを後に知ることになるのだ・・・。

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大会のスタート地点は、Slottsskogen公園の裏。うちのアパートから歩いて10分。毎年参加する300kmの自転車大会のスタート地点は、電車を4時間も乗り継いで行った所にあるのとは大きな違いだ・・・。

参加者は何と43000人。それだけ、スウェーデンでは有名な大会なのだ(自転車の大会Vätternrundanよりは歴史が浅いものの、参加者はこちらのほうが遥かに多い)。大体3000人ずつのグループに分けられ、5分間隔でスタートする。一番最初はエリートグループ。その後、一般参加者がスタートする。中には、警察官やVolvoの従業員だけのスタート・グループもあった。私はアホなミスで登録し間違えたために、一番最後のグループ13でスタートすることになった。だから、一番最初のグループが15:00出発するのに、私は16:15のスタート。

一番最初のスタートを見に行こうと、早めに会場に足を運んだけれど、肝心のICチップを家に忘れてきたことに気付いて、引き返す。ICチップは各選手のタイムを記録するために使われる。スタート、5km地点、10km地点、15km地点、20km地点、そしてゴールのそれぞれで、選手がセンサーの仕掛けられたマットの上を通過すると自動的にコンピューターに記録されるのだ。こうやって、43000人の動きを把握する、すごい合理的なシステム。

ともかく、家との往復でちょっとしたウォーミングアップになった。案の定、私がスタートする直前に、15:00にスタートしたエリート集団がゴールした。ちょうど今頃は21kmにわたるコース上に、絶え間なく参加者がひしめき合っているのだろうな、と想像する。

16:15、我々の最終グループがスタート。だいたい、応募が早い順にスタートが早くなるので、最終グループで走る人たちというのは、そんなにやる気はなくて、締め切りぎりぎりになってから申し込んだ人たちと考えてもいいのだろうか・・・?

最初の2kmほどはSlottsskogenの公園の中を走る。遅い人たちをとにかく追い越す追い越す。3000人の一斉スタートなので、すんごいかたまり。ちょっと隙間を見つけては、前に出ようとするけれど、横走りでペースを乱されてしまうので、ほんとは良くないのかもしれない。で、公園を出た後も調子がいいので、ひたすら前に出る。4.2km地点で水をもらったけれど、口に入るよりも顔にかかるほうが多くて、しかも飲もうとしたら気管に入って咳き込む。とにかく最初の5km区間は、以前5kmのマラソン大会を走ったときと同じくらいのペースで走った。

最初の大橋、Älvsborgsbron。上り坂は調子がよかったのだけれど、下りに入る直前に右の膝が痛み出す。最初はジワリジワリと痛み出し、その後次第に着地の度に痛みがヒドくなる。5kmを過ぎた時点でこれだから、後が思いやられる。

私の当初の戦略はいたって簡単。前半は頑張って体力で走り、後半は気力で走る。300kmの自転車大会の時はいつもそうだし、受験勉強のときもそうだったのかな?でも、右膝のおかげで、いきなり5km地点から気力で勝負になってしまった。この先持つのか?

橋を降りてからは運河の北岸に沿った平坦な道。着地のたびに痛む右膝を左足でかばいながら走る。当然、ペースは落ちる。歩いている参加者を見るたびに何度も歩きたいと思ったけれど、今歩けば、再び走ることはできないだろうから、残りの15kmを歩いてしまうことになる。それだけは避けたい。だから、ゆっくりでも止まらず走った。右膝は痛みが軽くなったり、また痛くなったり。でも、そのうち慣れてきた。次第にペースが上がっていく。気付いてみると、呼吸も乱れていないし、脈もそこまで速くない。頭もいろいろと考え事ができるくらいの余裕。コンディションとしては絶好調。右膝を除けばね。

そんな時、右手に大きな軍艦が見えてきた。巡洋艦、駆逐艦、軽空母。ヨーテボリ港はもはや軍港でもないのに・・・。しかも、これらの艦艇はスウェーデンのものでもない。なぜかは、また別の機会に・・・。

さて、二つの目の大橋、Götaälvbron。調子よく登っていく。自転車でもそうだけれど、登りには強い。それまでよりも少し速いペースで登りきり、下りでエネルギーを回復する。橋のてっぺんで、博士4年のSvenを見つけた。彼は私よりも5分はやくスタートしていた。お先に!、と叫んで、軽やかに追い越していく。

橋を下りると、ヨーテボリの目抜き通りAvenyに突入パリのシャンゼリゼ通りを100分の1に縮小したようなこの通りのど真ん中を走ることほど、爽快なことはない。最初の5kmと同じ猛スピードになる。待てよ。この通り沿いで友だちが応援してくれているんだった。うまく見つけ出し、一瞬だったけれど、手を振って「Jättebra(絶好調)」と叫んだ。友達を見つけられて嬉しかった。ポセイドン像でUターンして、その後はVasa通りに入り、経済学部前で左折する。そこからは少し坂道だけれど、あと3km、右膝も持ってくれるに違いない。

そして、最後は競技場に走りこんで、ゴール。1時間46分だった。2時間を切ることを目標としていたし、右膝の故障も考えれば、上出来だ。その後、足が痛くて歩けないので、路面電車とバスで帰宅。
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初めての参加で思ったこと。
ヨーテボリの美しい風景を走り抜けるこのハーフマラソン。素晴らしい!
・ 参加者がなるべく公共交通で会場まで来るように、ゼッケンをつけていればバスも路面電車もタダで乗れるというシステム。うまく考えたものだ。
3kmおきくらいに、生のバンドが待機していて、通り過ぎる参加者を元気づけていた。まるでお祭り気分。
・ 人が多すぎ! しかも、ペースもまちまち。だから、ちょっとした隙間に目をつけては機を逃さず前に出た。たまに器用に追い越せなくて人とぶつかった。大会の規定では「左側は追い越し車線だから、ゆっくり走りたい人は右側を走るように」なのだけれど、誰も守っていない。二、三人の横列でチンタラ歩いて、コースをブロックしている人々もいた。マナーは守ろう!
・ 今回は最終グループだったから、前にスタートした遅い人を最初から最後まで追い抜き続ける21kmだった。次回は、スタートを早くしたい
コースを横断する観客の多いこと! たまに見切りが甘くて、私と衝突しそうになる人もいた。向こうも一瞬で渡り切りたいものだから突進してくる。だから、こちらも瞬間的に手を出して「来るな」の合図。乳母車と共に渡ろうとするトンでもない人も。

とにかく、来年も出ます!

去年の大会

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10 コメント

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Unknown (AZu)
2007-05-13 08:56:54
すごぉ~い!21kmも走り切ったなんて。しかも2時間をきるタイム。
右膝の故障はきっちり治して下さい。後々辛くなると思います。
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見たかった (キコママ)
2007-05-14 11:16:07
見に行ったみたいに楽しく読みましたが、
でもやっぱり観戦に行って手をふりたかったです!!
自分では走りたくないですが・・
自転車も頑張ってね
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Unknown (Yoshi)
2007-05-16 07:53:10
ありがとう。
右ひざはもう既に治って、再びトレーニングの毎日です。次は自転車。またもや、あまり時間がない。
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はじめまして (折戸じい)
2007-11-13 01:51:10
この10月2日にヨーテボリに初上陸し、今後4年間お世話になる予定です。アパートはその公園から1kmぐらいのところにあり、来年は是非そのハーフマラソンに参加するつもりです。私はあと1週間で49歳になるトライアスリートですが、自転車300kmってどこのレースですか?私は自転車が苦手で、最高でも100kmのレースしか出た事ありません。しかし、初めてハーフマラソン走って、それもその人ごみを掻き分けて1時間46分は立派なものですね。私はマラソン歴25年近くになりますが(トライアスロンは14年)、その人ごみではなかなかタイムが出そうにありませんね。今日さっそく申し込みをしようとホームページにアクセスして、英語版でエントリーフォームを記入していったら、国を選ぶところで、選択肢にスウェーデンがありませんでした。これはどういうことでしょうか?スウェーデンに住んでいるものは外人であれスウェーデン語で申し込め!ということでしょうか。明日、スウェーデン語で再トライしてみます。見晴台にまだ上ってないのですか?私の前任者も4年間ヨーテボリに住んでいて結局上らずに帰国しました。私は近いうちに上る予定ですが。
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Unknown (Yoshi)
2007-11-14 17:21:55
折戸じい様、コメントありがとうございます。

トライアスリートだとのこと。かなりの強者ですね。

私も来年のハーフマラソンに参加予定です。上の記事に間違いがありました。スタート順は申し込んだ順ではなく、昨年の成績なんだそうです。なので、初めての参加だった今年は、ずーーーと後ろの方のスタートグループに回されてしまったのです。1時間46分は平均より早いと思いますので、来年はもう少し前の方のグループでスタートしたいです。

300km自転車大会は、ヴェッテルン湖の周囲であります。この左端のパネルに「Vatternrundan:自転車レース」のカテゴリーがあります。そちらに過去の出場体験談を書いています。
それから、大会のHPはhttp://www.vaetternrundan.se/
です。

スウェーデンでは4月から9月くらいにかけて、自転車も、ランニングも、スイミングも、トライアスロンもあちこちで大小の大会があります。奮って参加されると楽しいかもしれません。

ちなみに、私は泳ぎは苦手なので、トライアスロンは無理ですね
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自転車 (折戸じい)
2007-11-15 04:20:54
さっそくVatternrundan:自転車レースのところを読ませてもらいましたが、そこに登場する父とは、佐藤さんの父親のことですか?その方が300kmを10時間を切る時間で走りきるなんて考えられないですね。僕は60kmの距離でさえ平均時速を30km/h以上で走ることが困難です。日本で持っていた3台の自転車は全て友人にプレゼントし、ヨーテボリで新たにロードレーサーの購入を検討中です。近所に、「CYKEL CITY」「CYKEL STALLET」「sportson」と3軒もの自転車屋さんがありますが、どこがお勧めですか?CYKEL CITYに12000SEKくらいで気に入ったのがありましたが。日本円にすると20万円くらいですね。日本では7万円くらいの安物のビアンキに14年間乗ったので、次は20万円くらいが限度かな?たぶん日本で買った方が安いような気はしますが・・・自転車購入に関し何かアドバイスありましたら教えてください。
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Unknown (Yoshi)
2007-11-17 10:03:18
そうです、私の父です。

自転車屋さんについてですが、「CYKEL STALLET」は修理の際にぼったくられた上、修理の質も良くなかった経験があります(もう絶対に行きません!(笑))。新車購入なら問題ないかもしれませんが、「CYKEL CITY」のほうがプロフェッショナルで、専門知識も豊富だと思います。

もしくは中古なら、ネット上にいろいろ出ているかもしれません。
www.blocket.se
www.tradera.se
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Unknown (Yoshi)
2007-11-17 10:03:52
自転車に詳しい同僚にも聞いてみます。
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Vatternrundan (折戸じい)
2007-11-20 02:52:28
こんにちわ。Vattern湖を1周する自転車レースについて質問があります。このレース夜中に走るにもかかわらず平均時速30km/hを越えるスピードで走るというのは、もしかして夏至ということで夜といっても結構明るいのでしょうか。まあそんなに来たではないので白夜とはいかないにしても、朝3時に夜が明けて、夜11時くらいに日没とか?どこだったかの文で、スウェーデンは郊外が自転車で走りやすくていいというコメントがありましたが、先週末車でE45をひたすら北上し、Trollhattanまで行ったときに、E45沿いにガードレールの外側に細い道があり。そこを自転車で走る人を見かけましたが、そういった道のことを言っているのでしょうか?先日、日本のテレビ番組で、「スウェーデンには国内に延べ700kmの自転車専用道路があうくらい自転車に優遇された環境にある」と言ってましたがそのことでしょうか?それにしても来年の夏が待ちどおしいです。スウェーデンで自転車の練習を積んで日本に帰る頃には自転車が得意種目になっているようになりたいものです。ちなみに私は、14年間もトライアスロンをやっているのにいまだに集団走行をして風の抵抗を受けずに走れるという経験をしたことがありません。トライアスロンではこれは禁止行為になっていますが。また自転車で59km/h出したと言ってましたが、こんな私でも下り坂なら70km/hを越えたことはありますよ。その時「今こけたら死ぬかなぁ?」と思いながらこいでましたけど・・・ではまた。今日で49歳になりました。来年の今日は盛大に半世紀バースデーパーティーでもする予定です。
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Unknown (Yoshi)
2007-11-21 08:46:51
誕生日おめでとうございます。

>先日、日本のテレビ番組で、「スウェーデンには国内に延べ700kmの自転車専用道路があうくらい自転車に優遇された環境にある」と言ってましたがそのことでしょうか

これは、私もよく分かりません。日本のテレビ番組では、その国のステレオタイプにあった誇張を用いるケースが多いように思います。少なくとも国道の路肩のスペースを「自転車専用道」と呼ぶことは無いでしょうね。もしかしたら、大小の街中に張り巡らされた通勤用の自転車道を全部足し合わせたら700kmくらいになる、ということかも知れません。

(余談ですが、おそらくE45ではなく、国道(Riksvag)45だと思います。)

自転車のことですが、もしよろしければ、メールをいただけますでしょうか? 左側のカテゴリーの中に、自己紹介、というのがあり、私のメールアドレスが分かります。
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