スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

SVTのオリンピック中継

2006-02-22 18:11:38 | コラム
オリンピックが佳境に入ってきた。

そういえば、オリンピックや世界陸上、サッカー・ワールドカップなどのテレビ中継は、放映権を獲得するのに莫大なお金がいる。いくら重要な大会だからといって、貴重な受信料によって賄われている公共のテレビが、青天井にお金をつい込んでもいいのか、という議論が日本でも聞かれたことがあった。

さて、スウェーデンの公共テレビSVTはどうしているかというと、オリンピックやワールドカップなどの“お金のかかる”放送に限り、民間スポンサーをつけているのだ。民放のような派手なCMは入れないけれども、各中継の合間に、スポンサー企業のロゴとナレーションが画面上で切り替わる(計15秒程度)。受信料によって支えられる公共放送だから、という枠組みに捕われない、何とも現実的な折衷案だ! スウェーデンでの生活の中で、建前にこだわらないプラグマティズム(“名を捨てて実をとる”的な)をいろいろ目にしてきたけれど、これもその一つに違いない。(ただ、オリンピック放映権の経費のどこまでをカバーしているかは不明)

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SVTはほぼまる一日、オリンピックを放送しているが、今回から“視聴者オンブズマン”を設けた。日本語にも取り入れられ始めた“オンブズマン”という言葉、市民の立場から行政監査をする、という意味合いで使われることが多い。じゃあ、オリンピック放送の“視聴者オンブズマン”は、例えば、アイスホッケーの試合で「今のはオフサイドじゃない!」「あれが何でペナルティーになるの!? 審判に文句を言え!」とか、そんな苦情をオリンピック委員会に伝えるのか、といえば、そんなことは全然ない。普通の「視聴者からのお便り」コーナーだ。

気さくなオッチャンがいつもスタジオの横に座っていて、視聴者からの質問やコメント、番組に対する注文をたまに紹介するのだ。“オンブズマン”なんてネーミングがいかにもスウェーデン的だけれど、このオッチャン(いつも同じ人)、全国放送の生なのにいつも気軽で、間のつなぎにアナウンサーに話を振られても「いや~、面白いお便りは来てないね~。それにしてもこのクッキー、おいしい。君も食べる?」とか、こんな調子。あるときは、このオッチャンの出番なのに、席に座ってないので、アナウンサーが戸惑っていると、彼がスタジオ横のトイレから帰ってくるところだった。しかも、そんな足取りにカメラを向けて流すから、それもまた笑えた。ちなみに変な人ではありません。多分、普段はスポーツ・アナウンサーか何かをしている人じゃないかな。日本のNHKと比べると、こちらの公共放送はかなり肩の力が抜けていて、いいと思う。


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