スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

子育てと大学の両立

2007-03-23 05:09:05 | スウェーデン・その他の社会
スウェーデンでは高校卒業後、一度社会に出てから、大学で勉強しようとする人が多い。最近では、高校からストレートに大学進学する割合も増えているので、大学生の平均年齢も下がりつつある。

それでもなお、大学生の4人に一人は子持ちだという、統計が出ている。家庭を持ちながら大学で勉強している、ということだ。(大学生のほとんどは、仕事と掛け持ちではなく、フルタイムで大学に通っている)

大学生といえば、生活リズムもまちまちで、テスト前に猛勉強したかと思えば、普通の平日はのんびり、というのが一般的だ。それでも、スウェーデンの学生はカリキュラムも比較的ハードなので、課題提出やグループワーク、試験などに常に追い立てられている、という感じだ(基本的に、一ヶ月一科目の集中講義形式)。普通の学生なら追い込みなってから徹夜で切り抜けることができても、子持ち・家族持ちの大学生にはそう簡単にいかない。

その他、授業の直前になって時間変更が発表されることも多く、それほどフレキシブルではないこれらの大学生には打撃となる。このように、大学生としての生活・学習条件が普通の学生とこれらの学生との間で、大きく異なるのだ。

いくつかの大学、例えばウプサラ大学などでは、子持ちの学生も勉強しやすいように、ポリシーを設けているという。例えば、

・週末や夕方から夜間にかけて、授業や試験を行うのを避ける。
・週末や夜間にまで勉強をする必要がないカリキュラムを心がける。

「勉強」と言った場合、大学で講義を受けることだけでなく、予習として家で文献を読んだり、課題の作成やグループワークの時間なども含む。それらを含む「勉強時間」が普通のオフィスアワーと同じで済む程度に留めよ、ということだ。そのおかげもあってか、2005年と比べて2006年には、週末のテストが4分の1に減ったとか。

そのほか、子持ちの学生には、国から通常支給される大学生補助金・低利ローンに加えて、上乗せのローンができる。上乗せ額は子供一人なら月最大480クローナ(約8500円)、二人なら月最大784クローナ(約14000円)となっている。