スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

育児にまつわる論争 - 「育児休暇」編 (1)

2006-09-03 07:22:19 | 2006年9月総選挙
前回は、キリスト教民主党の提案している「在宅育児給付」について書いた。党としての提案は3歳以下の子供を親が在宅で面倒見る場合に、市が月最大6000クローナまでの給付を行うことができるようにする、というものだったが、その後「右派ブロック」として“共同マニフェスト”をまとめた時には、月額最大4000クローナ、に引き下げられた。

今回書くのは、育児休暇(育児保険)の話。

話が混乱するかもしれないが、育児のために仕事から一時的に退きながら、それまでの給料に見合った給付を受ける、という「育児休暇制度」は最長16ヶ月間とることができる。その制度の適用期間が過ぎた後も在宅で育児をしたい場合に関係してくるのが上に挙げた「在宅育児給付」なのだ。(もしくは、そもそも定職についていなくて「育児休暇制度」を受けることができない人が在宅育児をする場合にも関係してくる)だから、両者は別物

スウェーデンの育児休暇(育児保険)は次のように充実している。まずは基礎知識。

「育児休暇 (föräldraledighet」(もしくは、育児保険(föräldraförsäkring))の仕組み
- 子供を持つ親は最大480日(16ヶ月)の育児休暇を、子供が8歳を迎えるまでにとることができる。給付は給与の最大80%。最大、というのは、つまり、いくら高所得でも給付額には上限があるということ。現在、月26100クローナ(42万円)が上限になっている。一方で、いくら所得が低くても、月5400クローナ(8.6万円)はもらえる、という風になっている。これらの給付額は最初の390日分に適用されるものであって、残りの90日分は一律に月額1800クローナ(3万円弱)に減らされる。(これは2006年7月から月5400クローナに引き上げ)
- 与えられた480日は、正確には240日ずつ母親と父親に与えられた、という形になっている。それでも、最大180日分は、自分で休暇を取らずにもう一人の親に譲ってもいい。逆に言えば、少なくとも60日分は自分で消化しないといけない、ということ。
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つまり、父親が働き続けて、母親だけで育児休暇を取ろうとすると、最大420日(14ヶ月)しかとることができない。残りの60日分を獲得するためには、父親が育児休暇を取らなければならない、という仕組みになっている。(そのため、60日分のことを俗に“pappamånad"(父親に割り当てられた育児休暇)と呼んだりする。)
- しかし、一人親の場合には、480日まるまる一人で取れる。
- 別に、一日、一日をまるまる育児休暇としてとるのではなく、半日だけ、とか、4分の3、4分の1、8分の1、というような分数で取り、あとは普通に出勤する、という取り方も可能。この場合は、それに応じて、日数が計算される。同様に、夫婦二人で同時に育児休暇を取ってもよい。この場合は、1日で2日分使ったことになる。


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今日は眠いので続きは次回、zzz・・・