12345・・・無限大  一粒の砂

「一粒の砂」の、たわごと。
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脳の機能

2010年11月02日 05時55分52秒 | Weblog
 陳舜臣著「異人館周辺」文芸春秋社(1993)発行という短編集を読んだ。筆者は、台湾出身の中国人であり、また貿易商でもあった。

こんな関係で視野の広い作品を書く能力があり9編の小品すべてが、生粋の日本人作家には到底書くことが不可能な種類の作品であった。そして何れも小生を楽しまさせてくれた作品だった。

その中の「パンディエット」題する作品の文中に次のような文言が出てきた。

それは、かつて鎖国のため西洋人が入ることができなかったチベットの地図を作ろうと、パンディエットと蔑称される無学のインド人をチベットに送り込んで、彼らの記憶を頼りに正確な地図を作るのに英国が成功したという事実に由来する、深田久弥著「中央アジア探険史」より引用した文だった。


「・・・読み書きのできるよりも、できない人のほうが、視覚による記憶能力がはるかに大きいことを・・・知っている。・・・
文字や文章の記憶のために使われる脳の機能が、土地の記憶のために使用されるからであろう。・・・
ノートなどを取らない無学のひとのほうを、ノートを取りそこねた学者よりも、いつも信用している・・・」

最近はさまざまに便利になっており、体にしろ脳にしろ、人間が本来持っている能力が退化していることは皆が感じていることである。

老いに備えるという観点からも、自らを多少不便な環境において退化を防ぐという努力が必要なのだと思っている。