生態学の本には興味深いことが一杯載っている。次はその一つ。
地球という生態システムにおけるヒトの占める位置の量は極めて小さい。地球の半径は約6400km。その周囲に生物は貼りつくようにして生きている。生物が生存する範囲は、高さがせいぜい数千m、深さは最深の深海生物が棲む所でも10km。この範囲に生きている生物を全部集めて地球の表面に均等に並べると、その厚みは(驚くなかれ)1.5cmにしかならない。
しかもその90%は植物で、動物だけの厚みは1.5mmにしかならない。動物の大部分は海の動物で、陸上動物はその250分の1、つまり0.006mmの厚みにしかならない。
現在、陸上動物の中で量的に最も繁栄しているのはヒトである。勿論個体数だけをとれば、バクテリア、微生物などはヒトより遥かに多い。が、重さを含めて計算すると矢張りヒトが一番である。大雑把な計算によると、ヒトの総重量は約1億6000万トン。これは陸上動物のほぼ4分の1だと推定される。だから厚みにすれば0.0015mmぐらいになる。半径6400kmの地球に対して0.0015mmの厚み。
この微小なヒトの存在が地球という生態システムに甚大な悪影響を及ぼしてきて、この生態システムが後100年もつか否かという事態を引き起こしているのだ。