(一昨年撮った写真は京都・永観堂の紅葉)
何年前ぐらいからか、紅葉が遅れる傾向にあるらしい。温暖化が原因だとの指摘もある。
草木の葉が黄(紅)変するのは、アントシアンという色素が葉中に形成されることによって生じるが、それは四季にわたり、例えば、春の終わり、常緑樹に新しい葉が出る時、古い葉が黄変して落葉する。しかし日本の秋の紅葉が特に美しいのは、その気候や地形が紅葉に適した条件を整えているからであろう。紅葉が鮮やかに発現するには、温度、水分、太陽光などが蜜接に関係し、昼夜の寒暖の差が大きい、適度の湿度がある、紫外線が強いなどの条件が必要で、山間部の渓流近くで紅葉が特に美しいのは、これらの条件がそろっているからである。
奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の
声きく時ぞ秋はかなし(詠み人知らず)
この歌から想像するに、奥山の渓流に水を飲みにきた鹿が落葉した紅葉をふみわけ、冬まじかな空気を察して鳴く、その鳴き声につられて、秋はかなしきと作者は詠んだのであろう。
もう一つ、句を、
この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉(三橋鷹女)
輝きわたる一面の紅葉を前にすると、この世とあの世の境が判然としなくなるような恍惚とした気分になる。黄昏時ともなればなおさらであろう。紅葉を詠んだ句としては、この句に優る句はないように思う。
とかなんとか、うつつをぬかしている間に十一月も半ば。何故か今年は何もしていないのに、時の経過が早い。何もしていないから、何かしなければと、気分が落ち着かないのだろう。
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