自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

狐 ・ 晩秋

2013年11月16日 | Weblog

 日本の自然を解説なしで映像する番組に本土狐が出て来た。狐とはどんな動物か、気になった。ものの本で見ると、面白いことが載っていた。
 秋、狐は子別れの儀式をすませるという。或る日突然、優しい母狐は狂暴なアカの他人(狐)に豹変する。子狐はかみつかれ、追い回されながら、生まれた故郷を去っていく。厳しい冬を前にして、なんともむごく思える。雄の子は雌にくらべると早々と古巣を捨てて、新しい土地をめざす。あきらめがいいのか、それとも行動力があるのか。いずれにせよ、晩秋にさすらいの旅を続けている内に新開地に定着するようになるのだろう。
 狐を人間はあまり好まない。何故だろう。明確な理由もないのに、「狐につままれる」というような表現もある。あらぬ濡れ衣を着せられて、スケープゴートに祭り上げられている。しかし、稲荷信仰の神の使者でもあるわけだから、いくら化けるのが得意でも、さぞかし忙しいことだろう。その昔、狐に対して、敬して遠ざけるという気持ちもあったのかも知れない。
 僕は野兎や狸にはお目にかかったことはあるのだが、狐にはまだ出会ったことがない。狐に敬遠されているのか、嫌われているのか、一度近くで会いたいとも思うが、先入観によるのか、狐には会いたいという気持ちにはなれない。
 晩秋の今頃、野山の子狐は新しい巣を見つけたであろうか。