やんまの気まぐれ・一句拝借!

俳句喫茶店<つぶやく堂>へご来店ください。

黄落す十返舎碑は「どりゃ」と辞世 吉田海

2016年10月03日 | 俳句
60
吉田 海
黄落す十返舎碑は「どりゃ」と辞世

十返舎一九の辞世の句は「この世をば どりゃお暇(いとま)に 線香の 煙とともに 灰(はい)左様なら」「灰=はい」左様ならと洒落たもの。この人江戸時代後期の戯作者で文筆のみで自活し『東海道中膝栗毛』の作者として知られる。この歳になってもこんな洒落た死に方を考えることの出来ない小生の終活はただ只管に「おろおろとただおろおろとおろおろと」である。銀杏且つ散る中面目なくも鼻が狼狽えている。雄山閣「新版・俳句歳時記」(2001)所載。:やんま記

黄落の広場にセトルイスブルース 同前悠久子

2016年10月03日 | 俳句
59
同前悠久子
黄落の広場にセトルイスブルース

秋も深まる広場には黄落が盛っている。そこに人々が集いジャズに興じている。曲はブルース、切なくも哀しい。人々は共鳴し身も心も震わせている。句の作者は愛知県岡崎市の人と聞く。そこでは例年ジャズストリートとして祭典が開かれる。ジャズの街のジャズの広場には黄落が舞いジャズの音符が躍っている。いつもの様に秋が長けてゆく。俳誌「ににん」(2016冬号)所載。やんま記