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前田倫子
帰省子の翼大きくなつてをり
日本の風土では夏季休暇が習わしとなっている。学校では7月8月の猛暑期、会社ではお盆前後に設定される。この時期、子に限らず帰省している人のことを帰省子という。俳句では夏休中に帰省をすることから 夏の季語とされているが実際に帰省のピークを迎えるのは初秋の月遅れの盆前後といわれている。日常を「都会」で過ごした者たちが、ふらりと「田舎」の実家へ帰ってくる。親の知らない別の世界の情報が次々と語られ興味が尽きない。逞しい我が子の姿がまるで翼を持って飛び回るかのように眩しく映る。飛べ飛べ我が子よ。だけどギリシャ神話のイカロスの翼のように太陽には近づき過ぎないでね。大阪百鳥の会編『空へ空へ(第2集)』(2016)所収:やんま記
前田倫子
帰省子の翼大きくなつてをり
日本の風土では夏季休暇が習わしとなっている。学校では7月8月の猛暑期、会社ではお盆前後に設定される。この時期、子に限らず帰省している人のことを帰省子という。俳句では夏休中に帰省をすることから 夏の季語とされているが実際に帰省のピークを迎えるのは初秋の月遅れの盆前後といわれている。日常を「都会」で過ごした者たちが、ふらりと「田舎」の実家へ帰ってくる。親の知らない別の世界の情報が次々と語られ興味が尽きない。逞しい我が子の姿がまるで翼を持って飛び回るかのように眩しく映る。飛べ飛べ我が子よ。だけどギリシャ神話のイカロスの翼のように太陽には近づき過ぎないでね。大阪百鳥の会編『空へ空へ(第2集)』(2016)所収:やんま記