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後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

国破れて山河あり、城春にして草木深し・・・来年こそは大震災から立ちあがろう!

2011年12月17日 | 日記・エッセイ・コラム

第二次世界大戦で日本が負けた時、「国破れて山河あり、城春にして草木深し」という言葉を何度も聞きました。まだ少年だった私の心に焼き付いています。

今回の大地震・大津波、そして福島原発の爆発の後で、何故か敗戦の頃の日本を思い出しました。そして、「国破れて山河あり、城春にして草木深し」という言葉を何度も口ずさんでいます。敗戦と大震災が私にとって同じような感じがするのです。

この漢詩は、唐の長安が、安禄山の反乱で荒廃したありさまを見て杜甫が嘆いて作った詩です。

第二次大戦後にこの漢詩が多くの日本人の共感を得て、何度も読まれたのです。新聞が取り上げるし、学校ではこの漢詩を教えられたのです。

敗戦で打ちひしがれた人々を鼓舞したのです。アメリカ軍の徹底的な空襲で全国の都市が焼きつくされたのです。しかし山や河のような自然はそのまま残っているではないか!復興に努力し、この国をもう一度蘇らせよう!そのように国民を勇気づけたのです。私もこの漢詩に勇気づけられました。

そのように今回の大災害でも、日本の復興のために努力したいと思います。この詩は元来、大震災後の日本の復興を応援する意味など無いのです。しかし何故か勇気づけられます。

玄宗皇帝のころの華やかな長安が荒れて見る影もない。自身も年をとり衰えてしまった。その運命の暗転を見て嘆き、その気持ちを美しい詩としたのです。一個の芸術的な作品です。

「国破れて山河あり」という冒頭の言葉に戦後の日本人は共感し、この詩の美しさに慰められたことは事実です。慰められて、少し落ち着いて、今後の国のあり方を考えた人は多かったと思います。そしておもむろに立ち上がったのです。

中国大陸や南洋の島々で終戦を迎えた日本兵にとってこの漢詩は深い印象を与えたのです。やっとの思いで復員船に乗って故国の山を海の上から見たときの喜びの気持ちを表しています。国が破れてもあの緑豊かな山々は出征する前のままあるのです。自分達を温かく迎えてくれたのです。

「国破れて山河あり、城春にして草木深し」はそれ以来、私が不運や不幸に見舞われた時の、人生のキーワードになりました。

今回、大津波は街々を洗い流してしまいました。家族を失った人も多いのです。漁港も街もガレキで酷い状態です。

しかし目を遠方の山々に転ずると、以前と変わらぬ美しい山並みが碧く輝いています。なぜかホッとして復興への勇気が湧いてきます。

そんな事を想起させる漢詩です。東日本の一日でも早い復興をお祈りしています。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

後藤和弘(藤山杜人)

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春 望 (五言律詩。長安の賊中にあって、春の眺めを述べる。)
 
  国破山河在   国破れて山河在り
  城春草木深   城春にして草木深し
  感時花濺涙   時に感じては花にも涙を濺ぎ
  恨別鳥驚心   別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
  烽火連三月   烽火 三月に連なり
  家書抵万金   家書 万金に抵る
  白頭掻更短   白頭 掻けば更に短く
  渾欲不勝簪   渾て簪に勝えざらんと欲す

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1 コメント

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戦後の荒廃から立ち上がった日本を思うと同様なこ... (yuyu)
2011-12-17 15:52:34
戦後の荒廃から立ち上がった日本を思うと同様なことを今回の災害からの復興と重ねることが将来を明るくするものです。

当時の日本人は苦しさに耐え、復興のエネルギーを持っていたのだと思います。

果たして今の日本人にその底力があるのでしょうか。世界第二の国力で国民皆中流意識を持てた時代。

リーダーも優れていました。国民の力を引き出し、アメリカに学び追いつこうとする国民の力を生かしたのは政治家ではなかったでしょうか。

貿易摩擦が起きると米国と渉りあって、恐れさせたほどの人物は田中角栄氏でした。通産大臣を経て遂に総理大臣となりましたが、彼の力は中国さえも動かしました。

終盤、汚職で盛会を退いて尚、中国は彼を信頼続けました。

それに反して、窮地に追い込まれもしないのに、ドタカヤンし、責務に絶えられないと総理の座を簡単に放棄する政治家の存在は、世界から軽蔑される国となりました。

子の世代の男性は優秀な人材は殆どが軍人となって、戦火に命をなくしてしまいました。

残った人は病気か兵役に耐えられない健康状態の人、言葉は悪いですが「カス」場刈が残ったのだと極論をミ耳することがあります。


そして、時代を経てその子の苦労知らず育った世代へ移りました。総理の激務に驚き、耐えられなかったのです。

世襲制でどうにか続いた自民党時代の長期政権の乱脈振りを嫌った国民は改革を期待して、民主党政権を選択しました。

ところが寄せ集めで数だけ揃えたこの党は、従来の党から抜け出した亜流政治家の集団でした。

金権政治を守り続けた男までが勢力を持っています。マニュフェストと証する英国を真似た横文字の旗印に、国民は壇され踊りました。

結果は惨憺たるもので、自民が残した政策、負の遺産だけを批判はしてもそれを改めるための党の統一すらで来ません。

欧州の金融危機は次第に東へ移り、好況に沸いた中国、インドに押し寄せています。

日本にとっても貿易対象の国であるばかりか、投資対象の国がアジアに多く存在します。対岸の火事と傍観は出来ません。

為替の変動は、信頼できると日本円を買う動きが加速して起きているのですが、日本の政治がこれに対処できないのです。

日銀も然りです。低金利政策の持続と大きな為替変動に介入するだけの旧来どおりの行動から脱出できません。

他からの影響をただ、受けるだけの無能な指導者達なのです。至言を持たない技術立国の日本で、その技術継承すら危ぶまれて、企業は海外へ流出しています。

最たるものが、今度の水害で顕著になったタイ進出の日本の工場の多さです。マスコミが報じる以上に現実は遥かに進んでいるのに気付かされました。

それらのデーターは霞ヶ関の官僚たちの一部が知っているだけなのです。無知な政治家は既得権力をだけを守ろうとする官僚に操られるだけの案山子なのです。

自民党のそれを指摘してきた彼らもまた同じことになっています。ペーパーテストで選ばれた東大生、国家公務員試験の成績で人の格付けをする雲上人と呼ばれる人たちだそうです。

彼らは一般社会を下界と呼び、自分たちが国を動かしていると思い込んでいます。

この辺の不合理を強制できるならば、勤勉で善良な日本人は必ず、復興すると信じています。



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