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後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

品性の高い銃猟の趣味とは?北海道のエゾシカ猟

2018年11月02日 | 日記・エッセイ・コラム
趣味はいろいろありますが、自分の品性を高めてくれるような趣味が最高の趣味ではないでしょうか?例えば茶道や香道や書道はやり方によっては品性を高めてくれます。
猟銃の趣味も心がけが正しければ品格の高い趣味になります。
今日はSNSの趣味人倶楽部で知り合った「でいしゅうさん」の銃猟の趣味をご紹介致します。
でいしゅうさんは若い時から「徳不孤必有隣」をモットーにして銃猟の趣味を続けている方です。
山に犬を連れて独りで入っても「徳不孤必有隣」という言葉どうり規則を守って撃つのです。他人が見ていないからと無法な猟は絶対にしないのです。
「徳不孤必有隣」という言葉は論語の言葉で、徳は孤ならず 必ず隣有りと読みます。
意味は本当に徳のある人は孤立したり、孤独であるということは無く、真に徳さえあれば必ず人はその徳をしたい教えを請う人たちが集まって来るという意味です。

でいしゅうさんが品性の高い狩猟の趣味を持てたことは、生まれつきの才能があったことですが、もう一つの理由は一番最初についた銃猟の師匠の高い品性によったと思います。
まず品性の良い猟犬を育て訓練します。
そして独りで山に入って雉を撃つときには次のことを守ります。
1、銃に弾を込めるのは、犬が鳥の隠れている場所をポイントをしてからしなさい。
2、撃つ前に周囲の安全を確かめる 。
3、偶然に歩いて居る雉や、突然飛び出した雉がいても、撃ってはダメです。
4、雉撃ちに行くのだから、鴨を撃ってはいけません。
5、犬より前を歩くつもりで、歩きなさい。

でいしゅうさんは雉猟を経て18年前から北海道の道東の釧路、別海町、標津町などのエゾシカの銃猟を続けて来ました。
秋の猟期になると道東に数週間住み着いて現地の人々と信頼関係を作ります。
現地の人々の信頼が無ければエゾシカが何処に出るか皆目分かりません。
自分の鹿猟用に改造した四輪駆動車を北海道に三重県から持って行ってエゾシカを追うのです。仕留めた鹿は現地の友人のを借りて丁寧に解体します。
撃ったエゾシカは全て友人達に送り食べます。全て食べるのが撃った鹿に対する礼儀だと思っているのです、
エゾシカは牧草を食べたいので牧場の森際に出ます。一撃で倒しても血が牧草地を汚します。でいしゅうさんはそれをティッシュペーパーで叮嚀にふき取り、汚れた紙も鹿と一緒に持ち帰ります。
湿地地帯にいるエゾシカは絶対に撃ちません。一撃で痛みも無く倒せますが、鹿の回収の為に重い四輪駆動車を湿地帯へ入れることができません。鹿を回収出来ないのです。
彼は撃った鹿は食べるという原則を持っているのです。
エゾシカを撃つためには牧場主の信頼が無ければ撃つことを許してくれません。「徳不孤必有隣」という言葉が重要なのです。
エゾシカの雄を一発で倒すためには、道東に滞在している間にも射撃場に行って射撃の練習をしているのです。

さて今年の10月31日のでいしゅうさんのエゾシカ猟の日記をご紹介しましょう。
・・・10月24日からは釧路市の狩猟ガイドさんと狩る事になった。
昨年もお願いしたとうり、釧路市から厚岸にかけて案内して頂ける。
しかし、釧路市近郊の禁猟区でも何時も沢山いる鹿は見受けられない。メスがチラホラで、立派な雄鹿は全くいないので不安もあり、そんな状態で狩りは始まった。
ガイド氏も「いない、いない」を連発していた。
理由として、(1)駆除が年中実施され、報奨金目当ての地元ハンターが絶滅させた。(2)頭のいい鹿達は山奥へ逃げ、道からは見えない。(3)気候変動で他地区へ移動してしまった。などと言う。
4時頃から朝日が昇るまでが鹿を撃つ時間帯だ。それなのに鹿を全く見かけないので撃つ事が出来ない。このような山道を行くと不安になる。
山の入り口で日の出時刻となった。そして林道、作業道を流していくが、チラリとも姿を見かけない。
10時となり鹿達は座り込み始め、なおさら発見が難しくなった。
ガイド氏の秘密の場所へ行くが、全くいない。山道には足跡が少ない。あっても小さくメスシカが多い様だ。
翌日も同様であったが、メスが3匹いた。幸い車は道路上でなく草地なので銃を固定して撃った。猟銃は道路の上では使ってはいけないのだ。
私は銃には絶対に弾を入れていないので、構えてから弾を1込める。距離は180メーター程だ。銃声は一発だけ響く。命中した。
ガイド氏は他の鹿も撃てと言う。回収作業が大変なので1匹にしていたが、猟果が少ないので撃つ事にした。
上に逃げた鹿も命中、右下に逃げた鹿は半矢となった。しかし手応えはあるので、仕留める事にした。
弾を1発持ち、ゆっくりと近づいた。少し大回りをして逃げそうな方向から近づく。
いた、私の足音からバタつくが逃げられない。約20メーターで止めを刺した。初弾は右足の根元に当たっていた。少し着弾が下がるのを計算に入れていなかったのだ。
3頭の肉を運ぶのは、参った。1頭だけ運び、残りはガイド氏が運んだ。
この後は3頭得たが小物ばかりで、記念にするようなトロフィーは得られなかった。
鹿の生息状況も変わり、小生も70歳を超え、無事故の間に引退を考えるべき、これが今回の結論である。
一番の理由は、狩猟に対する意欲が減少しているのだ。
解禁前は遠足前の様にワクワクしていたが、そんな気持ちは数年前からなくなった。
内地のハンターにとって夢の様な「蝦夷鹿猟」も18年間行った。自慢できるトロフィーも得た。多くの友人も出来た。羆も1頭得た。
引退の時期かもしれない。・・・・

2年ほど前に彼の日記を読んで何故かひどく感動しましたので私のブログ(http://blog.goo.ne.jp/yamansi-satoyama)へ「狩猟の趣味の深さ」と題する連載記事を寄稿して下さいませんかとお願いしました。
記事は以下のよう2016年の10月4日から10月12日にわたって掲載いたしました。
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(1)品性の良い犬の訓練」、2016-10-04
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(2)猟犬への深い愛が狩猟の決め手」、2016-10-05
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(3)山間部集落の獣害とイノシシ猟」、2016-10-06
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(4)猟銃の種類と狩猟文化」、2016-10-08
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(5)勢子と撃手の緊迫した連携」、2016-10-09
でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(6)猪と鴨を美味しく食べるこだわりの料理法」、2016-10-10
でいしゅう著、「猟犬、ココとの別れ」、2016-10-12

でいしゅうさんには2016年、17年、今年と3回もエゾシカの肩ロースとモモ肉を冷蔵宅急便で送って貰いました。厳冬期には三重県のイノシシの肉も送って頂きました。
美味でした。柔らかくて野生の香りがほのかにして奥深い味わいです。モモ肉の方が少し野生の風味が強いようです。

今迄、山梨県の甲斐駒岳の麓にいる日本鹿は何度も食べたことがあります。しかし不味いのです。鹿肉は不味いという固定観念を持っていましたがでいしゅうさんのお陰で変わりました。
でいしゅうさんは大勢で追い出して撃つイノシシ猟でも撃ち役を務めます。撃ち場に隠れたら絶対に動きません。イノシシが来たら一発で倒します。静かな山に一発だけの銃声が木霊するのです。

趣味はなんでもそうですが、自分の品性を高めてくれるような趣味が最高の趣味ではないでしょうか?
でいしゅうさんの狩猟の趣味を見るとしみじみそのように思います。

今日の挿し絵代わりの写真はでいしゅうさんがエゾシカ猟に行く北海道の別海町の風景写真と別海町の禁猟区のエゾシカの写真です。禁猟区には例年ならエゾシカが溢れるようにいるのです。写真は「別海町の風景写真」と「別海町のエゾシカの写真」を検索してお借りしました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)









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