ここ数年、豪華客船に乗りませんかという勧誘のパンフレットが数多く来るようになりました。
しかし私はその豪華客船へ対して三つの理由で反発していました。
一つは豪華という言葉が嫌いなのです。戦前生まれ戦後育ちの私は清貧こそ一番良いという教育を受けました。質素こそ和の文化の神髄だとも教わりました。その反対の華美とか豪華はいけないと教わりました。華美や豪華とは見た目は華やかですが、内容が貧弱なことが多いものです。ですから豪華客船という呼び名が嫌いでした。
二つ目の理由は乗船料が桁違いに高いのです。経済的な部屋でも一人三食つき一泊で5万円から10万円します。これではわざわざ豪華客船に乗らなくても高級旅館に泊まった方が良いと思います。あまりにも高いので反発を感じていました。
三つめの理由はドレスコードという服装の規則があり、船内でのマナーも厳しそうで楽しくないような感じがしていました。そんな世界は私とは別世界だと思っていました。
ところが十数年前に伊豆七島を周航する一泊の豪華客船に乗ってから私の豪華客船への反発は雲散霧消してしまったのです。
その理由はたった一つです。
乗組員の接客態度に感動してしまったのです。日本の旅館や料亭の接客態度とまったく違うのです。西洋式の接客です。これは十数回乗りましたがいつも感心させられます。
日本の接客の根底にはお客を身分を高い人とし、接客側の人はへり下るという精神が無意識のうちに流れています。「お客様は神様」という言葉がそれを示しています。
しかし豪華客船の乗組員はすべてお客さんと平等なのです。平等な立場に立って、あくまでもお客の一人一人が自由に船内生活を楽しめるように全身全霊でサービスをするのです。
乗組員の大分部はフィリピンを中心にした東南アジア諸国の人々です。そしてカフェなどのウェイトレスは若いウクライナ人を中心にした東欧の国の人です。
日本の船なら船長や機関長などの幹部は日本人ですがその部下は国籍がいろいろです。
乗組員の教育と訓練は専門の学校で厳しく行っているようです。
日本の豪華客船は現在、日本丸と飛鳥IIとパシフィック・ヴィーナスの3隻しかありませんが世界中には数百の豪華客船があるのです。乗組員としての教育を修了しれば就職には絶対に困らない衣食住つきの職場なのです。
ですから日本の豪華客船の乗組員の質の高さは世界にある数多くの豪華客船によって支えられているのです。
そして注目すべきは客数に対する乗組員の数です。例えば飛鳥IIでは客の定員は940名で乗組員は440人です。
質の高い乗員が数多くいることが非常に重要なのです。
例えばメイン・ダイニングで100名のお客が一斉にディナーを食べる場合でもウェイターが50人位いて迅速に料理を運んでくるのです。そして気の利いた会話をちょっとだけします。
人間として親しみが湧くような会話です。馴れ馴れしすぎることはありません。決して料理の説明を押し付けるように長々とすることはしません。ああ、これがプロフェッショナルなサービスだと感動します。
今回、乗ったパシフィック・ヴィーナスのディナーもそのようでした。サービスの質が良かったので食事の後でマネージャーに接客態度の良さを褒めて、何処の国の人ですかと聞いてみました。ダイニングのウェイターは殆どフィリピン人だという話でした。
豪華客船の内部の構造の華やかさは写真で示すことにして、ここでは省略します。
おわりに今回の旅の企画をした「クルーズのゆたか倶楽部株式会社」のことを付記します。
『クルーズのゆたか倶楽部』は1984年(昭和59年)創業の、日本で最初のクルーズ専門の旅行会社です。今回の旅の添乗員はこの会社を創立し、1984年から2015年まで31年間社長をしていた松浦睦夫さんでした。社長職を今年の3月に息子さんに譲ったそうです。
その松浦睦夫さんから、旅の間に豪華客船にまつわる面白い話もお聞きしました。
そして会社を立ち上げてから8年間は赤字で、借金が増える一方だったそうです。
しかし彼には信念がありました。豪華客船の魅力を日本人も必ず分かるという信念でした。
西洋と日本の文化は違ってても本物の良さは日本人にも分かるのです。
この会社の旅程は1泊から世界一周までのいろいろなクルーズがあります。
現在、日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびーなす」をはじめ、外国船もプリンセスクルーズ、カーニバルクルーズ、など、河船を含め世界22の船会社の船100余隻の取り扱いをしているそうです。
日本船は八重山諸島、東北夏祭りなど190コース、海外はカリブ海、アラスカ、北欧、地中海・エーゲ海クルーズ、リバークルーズなど年間60コース、フェリーは日本一周、上海など30コースを毎年実施しているのです。
創業以来今までに延べ約126,800名のお客がクルーズに参加したそうです。(2009年9月1日現在)
詳しくは、「クルーズのゆたか倶楽部株式会社」のHPををご覧下さい。
写真では今回、横浜から名古屋まで乗った「ぱしふぃっくびーなす」の船内風景の写真を示します。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)





しかし私はその豪華客船へ対して三つの理由で反発していました。
一つは豪華という言葉が嫌いなのです。戦前生まれ戦後育ちの私は清貧こそ一番良いという教育を受けました。質素こそ和の文化の神髄だとも教わりました。その反対の華美とか豪華はいけないと教わりました。華美や豪華とは見た目は華やかですが、内容が貧弱なことが多いものです。ですから豪華客船という呼び名が嫌いでした。
二つ目の理由は乗船料が桁違いに高いのです。経済的な部屋でも一人三食つき一泊で5万円から10万円します。これではわざわざ豪華客船に乗らなくても高級旅館に泊まった方が良いと思います。あまりにも高いので反発を感じていました。
三つめの理由はドレスコードという服装の規則があり、船内でのマナーも厳しそうで楽しくないような感じがしていました。そんな世界は私とは別世界だと思っていました。
ところが十数年前に伊豆七島を周航する一泊の豪華客船に乗ってから私の豪華客船への反発は雲散霧消してしまったのです。
その理由はたった一つです。
乗組員の接客態度に感動してしまったのです。日本の旅館や料亭の接客態度とまったく違うのです。西洋式の接客です。これは十数回乗りましたがいつも感心させられます。
日本の接客の根底にはお客を身分を高い人とし、接客側の人はへり下るという精神が無意識のうちに流れています。「お客様は神様」という言葉がそれを示しています。
しかし豪華客船の乗組員はすべてお客さんと平等なのです。平等な立場に立って、あくまでもお客の一人一人が自由に船内生活を楽しめるように全身全霊でサービスをするのです。
乗組員の大分部はフィリピンを中心にした東南アジア諸国の人々です。そしてカフェなどのウェイトレスは若いウクライナ人を中心にした東欧の国の人です。
日本の船なら船長や機関長などの幹部は日本人ですがその部下は国籍がいろいろです。
乗組員の教育と訓練は専門の学校で厳しく行っているようです。
日本の豪華客船は現在、日本丸と飛鳥IIとパシフィック・ヴィーナスの3隻しかありませんが世界中には数百の豪華客船があるのです。乗組員としての教育を修了しれば就職には絶対に困らない衣食住つきの職場なのです。
ですから日本の豪華客船の乗組員の質の高さは世界にある数多くの豪華客船によって支えられているのです。
そして注目すべきは客数に対する乗組員の数です。例えば飛鳥IIでは客の定員は940名で乗組員は440人です。
質の高い乗員が数多くいることが非常に重要なのです。
例えばメイン・ダイニングで100名のお客が一斉にディナーを食べる場合でもウェイターが50人位いて迅速に料理を運んでくるのです。そして気の利いた会話をちょっとだけします。
人間として親しみが湧くような会話です。馴れ馴れしすぎることはありません。決して料理の説明を押し付けるように長々とすることはしません。ああ、これがプロフェッショナルなサービスだと感動します。
今回、乗ったパシフィック・ヴィーナスのディナーもそのようでした。サービスの質が良かったので食事の後でマネージャーに接客態度の良さを褒めて、何処の国の人ですかと聞いてみました。ダイニングのウェイターは殆どフィリピン人だという話でした。
豪華客船の内部の構造の華やかさは写真で示すことにして、ここでは省略します。
おわりに今回の旅の企画をした「クルーズのゆたか倶楽部株式会社」のことを付記します。
『クルーズのゆたか倶楽部』は1984年(昭和59年)創業の、日本で最初のクルーズ専門の旅行会社です。今回の旅の添乗員はこの会社を創立し、1984年から2015年まで31年間社長をしていた松浦睦夫さんでした。社長職を今年の3月に息子さんに譲ったそうです。
その松浦睦夫さんから、旅の間に豪華客船にまつわる面白い話もお聞きしました。
そして会社を立ち上げてから8年間は赤字で、借金が増える一方だったそうです。
しかし彼には信念がありました。豪華客船の魅力を日本人も必ず分かるという信念でした。
西洋と日本の文化は違ってても本物の良さは日本人にも分かるのです。
この会社の旅程は1泊から世界一周までのいろいろなクルーズがあります。
現在、日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびーなす」をはじめ、外国船もプリンセスクルーズ、カーニバルクルーズ、など、河船を含め世界22の船会社の船100余隻の取り扱いをしているそうです。
日本船は八重山諸島、東北夏祭りなど190コース、海外はカリブ海、アラスカ、北欧、地中海・エーゲ海クルーズ、リバークルーズなど年間60コース、フェリーは日本一周、上海など30コースを毎年実施しているのです。
創業以来今までに延べ約126,800名のお客がクルーズに参加したそうです。(2009年9月1日現在)
詳しくは、「クルーズのゆたか倶楽部株式会社」のHPををご覧下さい。
写真では今回、横浜から名古屋まで乗った「ぱしふぃっくびーなす」の船内風景の写真を示します。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)





