後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

10年後の日本(6)離婚の増加と趣味

2008年10月25日 | うんちく・小ネタ

10年後の日本の社会がどのように変わるか?その答えは?アメリカの現在のようになるとよく言われる。しかしこれは如何になんでも雑すぎる。アメリカのようになる部分もあれば絶対にならない部分もある。例えば、日本がアメリカ流のキリスト教社会へは絶対にならない。

しかし、日本の離婚はもっともっと増加する筈と思う。この部分はアメリカ流になる典型的なものです。原因は複雑だ。しかし、原因を議論するのは無益なので、離婚の悲劇を最小にするアメリカのやり方を2つだけご紹介いたします。

(1)離婚の原因を話題にしたり追究しない。

結婚している人にとって離婚は悲劇です。それで自分の何処が悪かったか?とか、相手の何処が悪いのか?と考え込んだり、言い合いをしがちです。これをすればするほど自分が傷つくし、相手にも深傷を負わせます。悲劇がますます深刻になります。アメリカ人では、離婚の時に相談するカウンセラーが居るという。アドバイスは決まって、「離婚の原因を自分や相手に求めたり、反省したりしないこと。離婚したくなったら離婚届を出すだけにして論争をしない」そして「慰謝料などについては弁護士や民事裁判に任せなさい。自分ですると感情的になって傷を深めますよ」

ようするにサッパリと気軽に、事務的に事を進めるのが良いとされている。両親や親しい友人の禁句は、離婚の原因を聞くこととされている。起きたことは起きたこととして将来のことのみ相談に乗ることが重要とされている。離婚した元夫婦の両方と友人として付き合ったいたなら従来通うり付き合いなさい。でも双方へ相手の現状などを報告しないことです。そんなことはお互いに聞きたくないのですから。

(2)離婚したら新しい趣味を始める。

人生のスウィッチを入れ替えるのを社会が支援する。過去は問わないアメリカ文化が精神的な支えになる。心機一転、人生をまた明るく始めるために新しい趣味をはじめる人もいる。

1988年にオハイオ州立大学で働いていたとき職場に中年の女性がいた。夏に職場の全員を家族連で郊外にある自分の馬小屋でのバーベキューへ招待した。行ってみると大きな馬小屋の中心の廊下に面して左右に8頭のサラブレットを飼っている。馬小屋の通路も清潔に掃除が行き届いている。馬小屋の前の芝生でバーベキューを楽しんだ後、8頭の馬を引き出して子供を乗せて引いてやる。馬を引いているのはアルバイトの学生だという。

サラブレット8頭と瀟洒な馬小屋とは随分お金のかかる趣味です。女主人に聞いたところ、「幸か不幸か、離婚の慰謝料を貰ったので、心機一転新しい趣味を始めました。馬8頭を飼ってみると人間以上に素晴らしく、お陰で元気がでました」という。人間以上に素晴らしく!というときに片目でウインクをして、離婚をユーモアで流している様子を見せてくれた。来年は他の州へ引っ越して、新しい人生を楽しむとも言っていました。

日本でも離婚が間違いなく増加します。周囲の人々が小賢しい説教をしたり、相談に乗ってはいけません。将来のことだけ話題にしましょう。

新しい趣味を薦めるのも良い方法です。別にサラブレット8頭なんかでなくて良い趣味がいっぱいあります。猫でも犬でも良いし。読書でも音楽でもよいのです。

女性だったら源氏物語や万葉集の購読会へ入会するのも良いでしょう。

趣味は人生のスウィッチの入れ替えの手助けをします。

ブログの趣味も使い方によっては良いかも知れません。(続く)

002 010


怖い体験の連続でした

2008年10月25日 | 日記・エッセイ・コラム

10月23日の霞が浦は強風で波荒く、雨空に暗い雲が低く流れている。72歳から74歳の5人の男がヨットに揃った。シャンペンの瓶を3本を持って、福島から遠路やって来た Hさんは筋金入りのヨットマン。少し雨が降っているが、事も無げに、「出航しましょう!皆、救命ジャケットを着て!」と言う。嫌だ、嫌だ。雨の中のセーリングなんて。第一、東風が強すぎて、危険なセイリングになる。怖い。20年前もこういう経験をした。横浜からきた Nさんがザーザー降りのキャビンの中で毅然として言った、「昔の帆船は雨でも雪でも、風さえ良ければ必ず出航したのです」と。2枚のセールを目いっぱい揚げて豪雨の中を帆走した。メインセールがトタン屋根のように雨水を集め、下端の横桁を雨樋のようにして、舵を握った筆者の体へ容赦なく注いている。

その情景を思い出しながら小雨の中を出航した。エンジンで沖に出ると波が一層荒くなり船体へドスン、ドスンと当たる。波頭が強風で砕け、白い牙を剥いている。幸い雨は止んだ。ベテランの Hさんはキャビンの屋根に悠然と座って立ち騒ぐ波の様子を眺めやっている。

4Kmくらい沖へ出たところで私は船首を港の方へ返して、エンジンを止め、「前の帆を半分だけ揚げて帰りましょう」と言った。すると Hさんが、「いや、かなり広いところへ出たからセールを2枚揚げましょう」「でも危険すぎますよ」「風が弱まってきたから大丈夫です」。

2枚のセイルを目いっぱい揚げた。走る、走る。船体を20度から25度傾けて7ノット以上で走る。怖い。傾き過ぎないように、風と船首の方向の関係に神経を集中し、細かに調整しながら走る。荒波が船体をザワザワと洗い過ぎて行く。エンジンが止まっているので風がワイヤーを唸らせ、きしむ音があちこちでしている。舵棒を握る手が張り付いたように離れない。怖くて舵を離して、他の人々と交代出来ない。昨年は荒天でなかったので全員で舵持ちを交代し、セイリングの楽しみを体験して貰った。今回は Hさん 以外は素人なので交代出来ない。自分で舵を握っていたほうが安心なのだ。沖に向かって2時間近く風を上り、1時間の追手で帰って来た。係留場では船中パーティーに参加して翌日の帆走に参加する Oさんが待っていた。

いつもは舵を操舵装置へ固定し、写真を撮るが、今回はそんな余裕がない。下の2枚の写真は夜のヨットの様子とキャビンの中で6人の男がシャンペンやワインを飲んでいる様子です。メインディッシュは家内が前夜に作ってくれたトマト味のチキンシチュウです。やっと沖から持ち帰った恐怖心から解放された。

パーティ後は近くのホテルに泊まり、翌日はまたセーリングする予定だ。でも朝起きてみたら、大雨になっていたので中止にした。

20年前の大雨の中のセイリングが楽しい思い出になったように、今回のセイリングの忘れられない思い出になるに違いない。(終わり)

10_007_2 10_004_2