政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

茨城県医師会が変える政治風土

2008-09-20 04:11:54 | 自民党
後期高齢者医療保険制度に対して、もっとも早く反対ののろしをあげたのが、茨城県医師会だった。
地方医師会が日本医師会の意向とは関係なく、自主的な反対行動に出たことに、拍手を送った国民は多かった。
続いて同県医師会はまたまた驚くべき決定をしていた。
今度の総選挙に当たっては民主党候補を応援することを発表したのだ。

茨城県医師連盟、民主推薦を表明 自民有力支持団体が反旗 (産経ニュース 9/18)

これに関しての報道は、概ね後期高齢者医療制度をこの決定の理由として挙げている。
ところがこの産経の記事にはもう一歩先がある。

原中氏(県医師会会長)は「国民生活無視の社会保障制度に対して行動を起こすべきと意見が一致した。天下りや、特別会計の無駄遣いも正す必要がある」と指摘した。

天下り・特別会計の無駄遣いにまで言及しているではないか!
「行動を起こすべきとき」とは、なんとも決然たる姿勢の表れではないか!
まさか一地方医師会からこんな痛快なセリフが聞けるとは思わなかった。

もちろん日本医師会は黙っていない。

日医連盟「与党を推薦」表明 地方を牽制 (asahi.com 9/18)

次期衆院選での対応について、日本医師会の政治団体・日本医師連盟は18日会見し、47都道府県の医師連盟に対して「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」との基本方針を示し、「その趣旨に沿った行動をお願いする」と指示したことを明らかにした。

民主党を推薦する方針を17日に決めた下部団体の茨城県医師連盟を牽制(けんせい)した形だ。日医連盟の羽生田俊・常任執行委員は「連盟規約に処分や罰則がなく、茨城県の方針は容認できないが反対もできない」と話した。日医連盟は、茨城県内の選挙区から立候補する自民党公認候補から支援の要請があった場合、県医師連盟とは別に直接支援を決めることもあるという。

 羽生田委員は、自民党側から再来年度予算では社会保障費の2200億円抑制方針を凍結するという麻生太郎幹事長の意向を伝えられたと明らかにし、「医師会の医療政策を最も理解し、政策実現能力を有するのは与党だ」とした。


茨城県医師会をけん制。
もともと自民党べったりの日本医師会。出方は分かっていた。
この日本医師会は日本医師連盟という政治団体を持っている。

特集:07年政治資金収支報告書-中央分 (毎日jp 9/13)
 ◇「抜け道」小分け献金
 ■複数団体経て巨額に

 政治資金規正法の改正で06年から、政党や政党の政治資金団体を除く政治団体の間では、同一団体への献金額が年5000万円以内に制限された。日本歯科医師連盟の裏献金事件を受けた法改正だったが、当初から、献金額を小分けにして複数の政治団体を経由させる「抜け道」が指摘されていた。日本医師連盟などの07年の政治資金収支報告書からは、その具体的手法の一例がうかがえる。

 同連盟は日本医師会の政治団体。07年の収入は15億1306万円で、政党や政治資金団体以外ではトップの集金力だ。自民党の政治資金団体「国民政治協会」への2億円をはじめ、自民党派閥や有力国会議員など政界に潤沢な資金を提供し、社会保障政策に影響力を及ぼしている。

 規制前の05年には、収入17億1536万円のほぼすべてが都道府県の医師連盟からの献金で、東京都医師政治連盟の2億1000万円を筆頭に、9都府県が5000万円以上の額を出していた。

 献金額の上限が5000万円となった07年は、東京都医師政治連盟からは次の三つのルートで日本医師連盟に資金が渡った。

 (1)同連盟への直接の献金132万円。

 (2)組織内候補の西島英利参院議員と武見敬三前参院議員(07年参院選で落選)の後援会に、それぞれ4811万円を献金。二つの後援会が同額を同連盟に献金。

 (3)07年11月に設立された「医療問題懇話会」に4733万円を献金。懇話会は、大阪府医師政治連盟からも4819万円の献金を受けた後、日本医師連盟に5000万円を献金。

 (2)、(3)は献金を迂回(うかい)させた形で、大阪府医師政治連盟は日本医師連盟に直接5000万円の献金もしている。

 小口分散化の手法により、日本医師連盟は法改正前の05年にはやや及ばないものの約15億円を確保している。


複雑すぎて一度や二度読んだぐらいでは金の流れなんて理解できない。
なんとか理解できたのは、
組織内候補の西島英利参院議員と武見敬三前参院議員(07年参院選で落選)という二人の議員(候補)を抱えているということ。
年間15億以上の資金を集め、それを自民党に献金しているいうこと。
ところで武見敬三というのは、昔、医師会の天皇とかけんか太郎といわれた武見太郎の息子だろう?
そんなものを後生大事に担いでいたのか。
亡き殿様に忠義をつくして若様を守っているというところか。

さて茨城県医師会。
日本医師会・日本医師連盟という中央組織の金の使い方に注文をつけることが出来るか?
自民党一辺倒の医師会の意識改革ができるか?
保守の砦と思われていた医師会の内部からさえ、こんな動きが出てくるようになった。世の中少しずつでも動いている、と感じさせる出来事である。

郵便局とお医者さんは自民党の味方、と思いこんできた自民党。
郵便局がはなれ、こんどはお医者さんまで。

同県医師会のような自律的な活動が他県にも広がれば、自民党と業界とが持ちつ持たれつでやってきたこの国の政治も変質していかざるを得ないだろう。



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