政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

北朝鮮ミサイル・大本営発表そして次に来るものは?

2009-04-07 18:27:14 | 麻生太郎
印象的だったのは、秋田だか岩手だかの漁師さん。
レポーターからマイクを向けられて「何百キロも上のことを心配してもしょうがない。明日のおまんまのほうが心配だよ」

”世紀のイベント”も無事通過か。
麻生はイベント盛り上げに懸命だったが、果たして効果は?
(”人命にかかわることなのに、不謹慎な”というおしかりを受けるかも知れないが……)
そもそものはじめから次の記事のような見方もあった。

北朝鮮ミサイル:破壊措置命令…危機管理で政権浮揚期待 (毎日jp 3/27)

”破壊措置命令”?
ほんとに破壊できるのか?と思ったのはわたしだけではあるまい。
「ピストルで、飛んでくるピストルの弾を当てるようなもの」という揶揄の声さえ与党内からもあがっていた。

 政府が27日、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの落下に備え、法律上は公表する必要がない自衛隊法82条2の3項に基づく「破壊措置命令」の発令をあえて発表したのは、緊張を高める北朝鮮に対し、毅然(きぜん)とした姿勢を示す必要があると判断したためだ。北朝鮮への強硬姿勢と併せて危機管理に万全を期す政府の姿勢を強調し、政権浮揚につなげたいとの思惑も見え隠れする。【古本陽荘】
政府が27日に命令を発令し、北朝鮮への緊張感を国内外に高めつつあるその裏で、今回準備されているミサイルが日本に落下する可能性について「ほとんどない」(内閣官房幹部)との見方が実は支配的だ。


迎撃ミサイルの出番はない、と読んでの”破壊措置命令”だったか。
迎撃に失敗して恥をさらす恐れはなさそうだ、と踏んでの大層な発表。

(中略)
実際には「飛び方や距離を考慮し、故障の可能性を掛け合わせると落下の確率は非常に小さい」(同)のが実情だ。
 にもかかわらず、政府は公表の必要がない3項による破壊措置命令を発表し、政府の取り組み姿勢を明確にする選択をした。航空自衛隊の地上配備型の迎撃ミサイルPAC3の展開場所まで公表する異例の対応ぶりだ。
……首相周辺からは、「この局面でしっかり国際世論をまとめることができれば、政府への信頼感が出てくるはずだ」と政権浮揚への期待の声が漏れる。


麻生の思惑に乗せられて、マスコミは連日の大報道。
おかげで”ミサイル狂騒列島”の状態。
もともと緊張感のない状況だから、対策もどこかいい加減。

【北ミサイル】 崩れたシナリオ 誤報に振り回された首相官邸 (msn産経ニュース  4/5)
すべてはシナリオ通りに進むかと思われていた。
 3日夜に外遊先のロンドンから帰国したばかりの麻生太郎首相は4日午前8時半から桜が満開となった国会周辺を約40分間かけてウオーキングし、「普段通りの朝」を演出した。
 だが、公邸にはすでに首相秘書官らが待機していた。首相はニヤッと笑ってソファに座り、北朝鮮のミサイル発射準備状況について報告を受け、発射後の対応について最終的な打ち合わせをした。
 想定では、首相は公邸で待機し、ミサイル発射の一報が入れば、速やかに(1)日本領域の安全確認と航空機、船舶の安全確認(2)情報収集態勢の強化(3)国民への迅速な情報提供-と3つの指示を出し、首相官邸地下の危機管理センターに移動。官邸のエントランスで記者団の取材に応じ、国民に安心を訴えるメッセージを発する手はずだった。


手筈はできていたらしい。
しかし、打ち上げ予告の期間は4日からである。
その朝に40分かけてウォーキング。
ミサイル一発で普段の生活は崩せない、というところか。
国民の命よりも自分の健康!

午後零時16分、官邸1階の報道室がどよめいた。

 「北朝鮮の飛翔体が発射されました!」

 吉牟田剛報道室長が声を上ずらせ、「先ほど北朝鮮から飛翔体が発射されたもようです。テレビ、ラジオ等の情報に注意してください。続報が入り次第お知らせします」と書かれたプレスリリースを詰めかけた記者に配布。各自治体にも緊急情報ネットワークシステム「Em-Net(エムネット)」で同様の文面が一斉送信された。

 首相も予定通り公邸を出て官邸に向かった。

この直後だった。「誤探知でした!」。首相は秘書官の言葉に耳を疑ったが、いまさら公邸に引き返すわけにはいかない。首相は官邸エントランスに詰めかけた記者団とは目も合わせず、危機管理センターに入った。「あと1分連絡が遅ければ首相は誤報を元にカメラの前に立ち、世界中に赤っ恥をかくところだった」。政府高官はそう言って胸をなで下ろした。


すでに”赤っ恥”をかいている。
胸をなで下ろしている場合ではなかろう。

首相も誤報と知った直後はさすがに不機嫌だったが、慌てふためく防衛省幹部の様子に同情したのか、次第に矛を収めていった。4日中のミサイル発射の可能性がほぼ消えたことを確認すると首相は河村氏に穏やかな声でこう言った。
 「まあ、明日も変わらずしっかりやってくれ!」(石橋文登)


身内には優しい麻生太郎。
明日うまくいけばそれでいい。

緊迫のミサイル追尾…その時、MDシステムは (YOMIURI ONLINE 4/6)
「こんごう」は「ミサイルは日本列島を通過する見込み。現時点で推定される飛翔体の落下地点は房総半島の東方約1270キロ」と打電、さらに、「1段目のブースターが秋田県西方沖約280キロの日本海に落下する見込み」との情報を中央指揮所に速報した。

 同指揮所の司令部では、ミサイルが日本の領土、領海に落下する恐れはないと判断、「迎撃せず」の指示を関係部隊に発令した。



発射から7分後、北朝鮮のミサイルは、日本列島の上空300~400キロの大気圏外を、三陸沖の太平洋方向に通過していった。防衛省幹部は「射程6000キロから1万キロのミサイルであれば、高度は600キロ以上となるが、随分低いと感じた」と話す。だが、1段目のブースターを切り離したミサイルは、弾道計算の予測に反して速度を増し、当初の予想落下地点を越えて飛行していった。

航跡の追尾は、日本海の「こんごう」と「ちょうかい」から、福島県の東方沖約1000キロの太平洋上で待ち構えるイージス艦「きりしま」に引き継がれた。

北朝鮮が発射したミサイルは3段式との情報から、「きりしま」は2段目が切り離される瞬間を追った。しかし、「きりしま」は分離をとらえることができず、ミサイルは「きりしま」の頭上も越えて飛び続けた。

 11時48分過ぎ、ミサイルは「きりしま」のイージスレーダーで追尾できる限界を越え、水平線の彼方(かなた)に消えていった。追尾できたのは、日本列島の東方約2100キロの太平洋上までで、舞水端里から約3000キロに達していた。

この時点で、ミサイルの追跡は米軍に引き継がれた。

 自衛隊と米軍との連携について、浜田防衛相は記者会見で「普段から互いに情報交換している。問題点はなかった」と語った。

探知から追尾まで、「合格点だった」と防衛省幹部は話す。

ロケット落下場所特定できず 海保や水産庁混乱 (asahi.com 4/5)
海上保安庁は5日午前11時36分から巡視船2隻と航空機3機を日本海と太平洋の該当海域に向かわせた。ところが防衛省側から示された位置は「秋田沖約280キロ」「日本の東約1270キロ」といった情報のみ。緯度や経度は示されず、幹部は「どこを重点的に探せばいいのか」。落下場所は特定できず、浮遊物は発見できなかった。


太平洋は広い。
”水平線の彼方に飛び去った”ミサイルを再び発見するのは至難の業であったようだ。
だいたい見失ってしまったんだから、落下位置の緯度も経度も分かるはずがない。

弾道ミサイル破壊措置命令を終結 PAC3部隊など撤収 (asahi.com 4/6)
北朝鮮によるミサイル発射を受け、浜田防衛相は6日午後、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を終結させる命令を出した。迎撃のために東京・市谷の防衛省などに展開している地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の部隊などは同日夜から順次、撤収を始めた。


一番ほっとしているのは、当たるはずもない迎撃ミサイルを発射しなくてすんだ防衛省と麻生太郎だろう。
多少の不手際はあったが、政権浮揚の効果はあったし、今後防衛予算も増やしやすくなったし、うまくすれば憲法までいじれるかもしれない。
このところなぜか強気が目立つ麻生と自民党の面々。

政府の速報体制、本番では順調 落下位置では混乱も (asahi.com 4/5)
防衛省が2度の「誤報」を出した前日とはうってかわって、本番での対応は順調だった。
「国民へなるべく状況を迅速に知らせることを含めて、かなり対応はうまくいった」。麻生首相は5日、首相官邸で記者団に胸を張った。
その後も、関係閣僚を招集した情報集約会議や安全保障会議の開催、河村官房長官の計3回の記者会見、米韓大使との会談、中曽根外相の各国外相との電話会談など、事前に練り上げたシナリオ通りに進んだ。


本番では順調?
前日も本番ではなかったのか?
防災訓練ではないぞ!
結局は結果オーライ。
マスコミが政府を甘やかしてどうする!
バカがすぐ調子づく。


麻生首相:「近々行われるであろう総選挙」発言にどよめき (毎日jp 4/7)
麻生太郎首相が6日夜、自民党東京都連のパーティーで「近々行われるであろう衆院総選挙」と述べ、会場がどよめく一幕があった。

こんな奴らも。
「ライス前長官ら弱腰だった」 自民・細田氏、北朝鮮対応で (msn産経ニュース 4/7)
自民党の細田博之幹事長は7日の総務会で、北朝鮮の核問題をめぐるライス前米国務長官と6カ国協議米首席代表を務めてきたヒル国務次官補を名指しし「弱腰だった。やり方が間違っていた」と強く批判した。与党幹部が米国高官の名前を挙げて厳しく問題点を指摘するのは珍しい。

 6カ国協議で得られたこれまでの成果に関し「核施設の冷却塔を爆破しただけだ」と述べ、進展はほとんどみられないとの認識を強調。「核爆弾をどれだけ保有しているかも、ウラン濃縮がどこまで進んでいるかも明らかでない」と述べ、米国の対応の“甘さ”が北朝鮮を増長させているとの見方を示した。

 これに先立つ役員連絡会では、ミサイル発射後の日本政府の対応に関し「危機感が足りない」と述べ、北朝鮮による核放棄実現へさらに圧力を強めるよう主張。出席者からは「日本も核を持たざるを得ないという気持ちで取り組むべきだ」との声が上がった。


危機感を煽り、恐怖心を利用する。
嫌なやり方だ。





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6 コメント

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Unknown (定め。)
2009-04-08 17:28:34
アホウのやることは何から何までズッコケですね。
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Unknown (ぱたり)
2009-04-08 19:02:41
こんにちわ。
こちらの記事をまたご紹介させていただきました。
いつも分かりやすく解説してくださり感謝です・・

ところで、自民党の坂本組織本部長
国連からの脱退まで言ったみたいですね。
第二次世界大戦の犠牲者への追悼なんて自民党にはないんですね。
恐ろしいです。

これからも記事をご紹介させてください。
有難うございました。

追伸
昼頃コメントさせていただいたんですが、
なんかうちのパソ調子悪くて
書き込みできなかったみたいです。
もし重複していましたらすみません。
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核をもっても・・・ (あずーる)
2009-04-08 20:37:43
はじめまして♪TBありがとうございます。日本が核をもったとしても、国の面積の規模がちがうソ連や中国に対抗することは不可能です。そのために、どれだけ防衛費を払わないといけないか。核武装したって、国民の命をすべて守れるという保障はありません。やっぱり防衛費に税金を費やすより、社会保障に税金をついやし、外交では憲法9条をもとに平和外交するのがいいと思うのですが・・・核武装をとなえる政治家や官僚たちは、一般国民の命などどうでもいいのでしょうかね?
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定め様 (亭主)
2009-04-08 20:45:56
ずっこけているのを本人だけが気づいていない。
多分最後まで気づかないまま、人生を楽しみ続けるのでしょう。
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パタリ様 (亭主)
2009-04-08 20:58:32
まるで松岡洋右の国際連盟脱退宣言を彷彿とさせる言動ですね。
この連中のは体質ですから直りません。
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あずーる様 (亭主)
2009-04-08 21:04:28
>核武装をとなえる政治家や官僚たちは、一般国民の命などどうでもいいのでしょうかね?

そうです。
この連中の目には、国家あって民なし、なのです。
ほんとは”民あって国あり”なのですが。

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