遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

破芭蕉

2022-09-07 16:19:31 | 鶴舞公園へ行って来ました
令和4年9月7日(水)

破芭蕉

芭蕉は、バショウ科の大形多年草で中国原産。


湿地を好み、地下の塊状の根茎から多数の葉の柄の部分が
固まって茎のように立ち上がる。
葉は葉脈が多数平行に走り、破れ易い。
秋になり風や雨で、芭蕉の瑞々しく大きな葉が裂けて破れ
た芭蕉のことを「破芭蕉」(やればしょう)という。

古文の仮名遣いでは「ばせう」とも「ばせを」とも書かれ
るが、「古今集」の巻十に「いささめに(かりそめの意)
時待つ間にぞ日は経ぬる心ばせをば人にみえつつ」紀乳母
と詠まれている。

俳人の松尾芭蕉が俳号を「桃青」と名乗って居た頃に、
住まいを日本橋から深川へ移し、小さな庵を作った。

門人の李下が、庵に芭蕉の木を植えてくれた。
桃青はこの芭蕉の木を大層気に入り、この庵を「芭蕉庵」
と名づける。やがて自ら俳号を「芭蕉」と名乗った。

芭蕉の故郷、伊賀上野での最初の俳号は、「宗房」(そう
ぼう)で、これは本名から。29歳で江戸に行き、憧れて
いた唐の李白になぞらい、「桃青」(とうせい)と名乗る。

破れやすい芭蕉の葉の姿に自らを重ねたのである。
芭蕉を秋の季語とするのは、「破れ芭蕉」芭蕉の本情を見
るからだと云われる。
俳人芭蕉の俳文「芭蕉に移詞」にも、
「、、唯このかげに遊びて、風雨に破れ安生を愛するのみ」
と、記すとある。


名古屋城に大きな芭蕉の木がある。
これから、徐々に葉の裂け目が大きくなり破れていく、、
やがて晩秋の頃には、「枯芭蕉」となり朽ちて、、、、、
枯芭蕉

吟行で訪れる植物園は温室栽培で多くが生い茂る。
植物園、
芭蕉の実

市内の庭園にも在るが、余り印象にない。
何故か名古屋城の芭蕉が記憶に残っている。


夏目漱石山房記念館の芭蕉、
伊藤若冲:月夜芭蕉図床貼付
(京都、相国寺美術館)

今日の1句
現世の破れ過ぎたる破芭蕉  ヤギ爺