令和4年9月3日(土)
彼岸花 : 曼殊沙華、死人花
ヒガンバナ科の多年草。中国原産で日本では帰化植物
畑の傍らや墓地等、人里に近い所に群生する。
彼岸の頃に地下の鱗茎から、30~50cm程の花茎を
伸ばし、赤い炎のような花を幾つも輪状に開く。
花被は6片で外側に反り、雄蕊・雌蕊は長く突き出す。
花後は細い線状の葉が出て翌年の春には枯れる。
鱗茎は多くの澱粉を含むが有毒だが「石蒜」(せきさん)
といい、薬用、糊料とする。
毎年秋に時を違えず土手や畔、薮等に一斉に群れ咲く。
小学校のフェンス沿いに、今年も咲いた
この花は墓地などに咲くので「死人花」「幽霊花」等と
地方により、様々な呼び名が在る。
カミソリバナ、トウロウバナ、捨て子花、天蓋花、狐花
等がある。
彼岸花の名は、秋彼岸の頃に突然茎を伸ばし真っ赤な花
が開くことから由来するという。 他にこれを食べると
「彼岸」(死)しかないことからとも云われている。
亦、曼殊沙華はサンスクリット語の「赤い花」(葉に先
立ち花を咲かせる)、「天上に咲く花」として柔らかく
白い花として、天上の四華の一つに数えられる。地上で
目出度い事が起きる時に天から降り注ぐ花と云われ、そ
れを見る者は心が洗われ、悪行が離れて行くという。
日本でいう彼岸花の不吉なイメージとは随分違う様だ。
俳人の夏井いつきさんの著書「絶滅寸前季語辞典」に、
「死人花」(彼岸花)の記述が在ったので紹介したい。
【 死人花は、曼殊沙華の異名。いくらなんでもこんな
命名をしなくてもいいと思う。墓地などにもよく咲くの
で「死人花」「幽霊花」等の別名も在る、と大歳時記は
おっしゃっているが、これなんぞはエライ迷惑な話であ
る。これに似た命名で「地獄の窯の蓋」(キランソウ)
「ままこのしりぬぐい」(蓼の花)「豚の饅頭」(シク
ラメン)なんて植物たちもいるが、それぞれお気の毒な
限りであるが、俳人という人種のへそ曲がりは、こんな
ヘンテコな名にも俳諧味を嗅ぎ取る。 嗅ぎ取れば一句
ヒネらないでいられない。】
俳人の名句
死人花ひらいた死人目をあけた 夏井いつき
(俳人夏井いつき著:絶滅寸前季語辞典より、引用した)
今日の1句(凡人の拙句)
此の道に天より降りし曼殊沙華 ヤギ爺