遊民ヤギ爺

俳句と映画のゆうゆう散歩

おけら鳴く

2022-09-21 16:18:20 | 鶴舞公園へ行って来ました
令和4年9月21日(水)

螻蛄鳴く : おけら鳴く

螻蛄(けら)はバッタ目ケラ科の昆虫。 全身は褐色で金色
に近い、短い毛がビロードのように密生する。

オケラは3cm位の弑さな泥のような色をした、コオロギに
似た昆虫で、泥溝などを這いずり廻って土砂を掘ったりする。
夜になるとジーッと沈んだ重い声でなく。(音を出している)
オケラの雌も幽かに音をだす。
季語に「蚯蚓」ミミズ鳴く(秋)があるが、蚯蚓は鳴かない。

螻蛄の前胸は卵形に膨れ硬化した前肢は幅広く、脛節に突起
が在り、この前肢で土を書分け土中を掘り進む。

草原や田畑の土中に巣穴を掘り、その中で棲む。水を含んだ
湿地に多く見られる。水分が足りなくなると一晩で死ぬと
いわれている。
螻蛄は雑食性で、植物の種子や他の昆虫、ミミズ等を捕食。
天敵は、鳥類(殊にムクドリの好物)、イタチ、狸、もぐら
蛙等と多く居る。
前肢は短く発音器を持っている。
昼は地中に潜み、夜になると地中から出て飛び火取虫ともな
る活発な昆虫である。
「おけら」は良くないイメージを持つ。「オケラになった」
とよく使われるが、このオケラは、無一文のことをいう。


俳人の富安風声さんの句集に、螻蛄の句と自評がある。

わが縋る一縷の芸や螻蛄鳴く  富安 風声 
(わがかけるいちろうのげいやおけらなく)

【螻蛄という虫、飛ぶ、泳ぐ、走る、土を掘る、木に登る、
一応何でも出来るが、下手なことを「螻蛄の芸」という。
オケラはスーパー昆虫である)

この句はそれを踏まえた句。
「わが縋る一縷の芸」とは、言うまでもなく俳句の道。
結局自分にはこれしかないという思い詰めた気持ちなのだ
が、「螻蛄鳴く」という俳諧味る季題によって、深刻な
感じは消されている。むしろ自嘲気味の道化が感じられる。
世に有用な事業に携わる人々からすれば、俳人はは世に無
用の徒であると虚子は言った。実社会を動かすことのない
たった17音のちっぽけな俳句。
然し自分はこの「一縷の芸」に縋っていてこそ、存在の意
味があるような気がする。
それをこんな形でおどけて言ってみた。】(昭和45年作)

螻蛄は何でもできる天才的な昆虫だが、自分(風声)には
これ(俳句)しかないと、卑下しお道化て見せた句。
大俳人の富安風声でさえ、この様に謙虚、、?

私のような凡人が何おかいわんや、、絶句イヤ拙句、、