これは、建築家を目指す若いマドモアゼルの話の続きである。
広島旅行から戻った彼女と京都で、東京行きの夜行バスに乗る前に一緒に夕食をした。
彼女のテンションは高い。
法隆寺からの帰りにすぐ「親しい二人称を」と言われ、ずいぶん距離は近くなってはいた。
これを若い人から言われることはまれなケースである。
一人旅の人の特徴として話相手が出来るとせきを切ったように話しだす。
しかもフランス語が話せるとなると、止まらなくなる。
いちいち「わからなかったからもう一回ゆっくり」は無しだ。
「わからなかったからもう一回ゆっくり」と止めないといけないところがやたらに多いので、話が進まなくなる。
それを避けるため、私は解った時も、そうでないときもふんふんと解ったように頷きながら、時には「ウイウイ」と言いながら聞くことにしている。
「天王寺では広島行き夜行バスに間に合った?」
「それが、大変だった!!」と言う。
JRで天王寺から奈良に来る前に、朝コインロッカーに預けた荷物がないと大騒動だったのだ。
夜行バスの時間は迫り、涙をぽろぽろこぼしている若い外国人女性を、人情の町大阪の駅員さんとしては、放ってはおけない。
言葉の壁なんてどこかに飛んで行った。
「サムライ魂」全快、何が何でも何とかしてあげたくなる。
片っぱしからロッカーを一緒に見て回ってくれたのだ。
しかし、見つからない。駅員さんも困り果てた。
そんなとき、駅員さんはひらめいた!!「もしかして、JR天王寺駅のロッカーではなく、地下鉄天王寺駅のロッカーでは?」
たとえ別会社のコインロッカーであっても、若きマドモアゼルのため、必死だ。
そう、彼女はユースホステルから地下鉄で天王寺に着き、そこでコインロッカーに荷物を預けたのであった。
その後JRで奈良に来て、JRでまた帰って行ったので当然JRの天王寺に着く。
コインロッカーはどこでもほとんど同じような色形なので、まったく勘違いしてしまったわけだ。
ともあれ、よかった!よかった!夜行バスに間に合い、無事広島へ行ったようだ。
広島での話はまた次に。
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