花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆2月17日 映画「恋や恋なすな恋」を見た

2019年02月17日 | この映画見ました

花椿です。

いや、まったくの驚き。 こんな凄い映画があったとは。 「たそがれ酒場」「

花の吉原百人斬り」なんかで有名な巨匠の内田吐夢監督に「恋や恋なすな恋」とい

う意味の分かりにくい題名の映画あるのは知っていたが、昭和30~40年代に

絶大な人気を誇ったトミーこと大川橋蔵はともかく(個人的に「若さま侍捕物帖」

のファンでもあるが)、スキャンダル女優の瑳峨三智子が苦手でDVDを買って

まで見ようとは思わなかった。


それが今回、スカパーから4Kレストア版の「恋や恋なすな恋」がオンエアされ

たので見た。 題名は「なすな恋」が「恋をするな」くらいの意味であるのは俺

も常識としてわかっちゃいるけど、前段の「恋や恋」とどうつながっているのか

謎だった。 


しかしそれは映画の最後に「恋や恋われ中空になすな恋」と出たのでようやく解

決。 一言で言えば「中途半端な恋ではなくて真剣な恋をせよ」まあ、そう意味

に解釈した。 平安時代には「恋死」という概念があって、これぞまさに「恋や

恋なすな恋」の世界だと思う。


で、映画を見始めたけど前半は何かダラダラしてスピード感に欠けた。 巨匠が

作った映画、大したことないじゃん!との思いが脳内をムラムラと支配し始めた

頃、突然のように面白くなった。 しかもファンタジックな場面あり、宝塚の回

転舞台のような仕掛けありで、めちゃめちゃに凝った場面の連発である。 はっ

きり言って圧倒された。


ストーリーは無実の罪を着せられた天文学者の大川橋蔵が逃げる途中にある農民

を助ける。 実はこの農民はキツネだったわけ。 その後、橋蔵が追っ手に斬ら

れて瀕死の重傷を負うのだが、キツネから美女、葛の葉に化けた嵯峨三智子に救

われる。


それからこの二人に子供まで生まれて幸せな生活が続くのであるが、ある日、嵯

峨三智子がキツネだったと知る事になる。 それを苦にした嵯峨三智子はキツネ

の姿に戻って信太(しのだ)の森へ帰ってしまった。 「恋しくばたずね来て見

よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」という歌を障子紙に書き残して。


むちゃくちゃに感動したね。 命を助けてくれたお礼に仕えてきましたが、もは

や人間の姿を続けるわけにはいきません、と言ってキツネの姿に戻って別れを惜

しみつつ森へ帰ったわけよ。 何となく「鶴の恩返し」みたいなストーリー。
 

久しぶりに骨太な凄い映画を見た気がした。 この映画を見て感動しない奴がい

たらぶっ殺してやる!そう思うくらいに俺様の評価は高いね。(苦笑)


じゃ、またね

2019年2月17日、13時25分記。
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2 コメント

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この元は (さすらい日乗)
2019-04-12 21:01:10
言うまでもなく文楽ですが、その基には差別問題があると言われています。
つまり、狐は被差別民のことで、彼女と貴族の男との敵わんぬ恋なのだそうです。
嵯峨三智子の狐は、本当にぴったりですね。

内田吐夢には『飢餓海峡』もあり、この主人公犬飼は、まさしく被差別民的な名前ですね。
返信する
さすらい日乗様、お世話になります (花椿)
2019-04-13 14:19:23
さすらい日乗様、大量のコメントありがとうございます。
実は私ですけど、さすらい日乗様のブログを私のiPadにブックマークにし
てまして時々ですが拝見しておりました。

さすらい日乗様は前から私と同じ路線の人だなとは想像してましたが、最
近の記事でも「私は池にはまったく興味がなく、杉本の方を贔屓していた
ので」とあるのは私と全く同じ。『新東宝1947-1961』は私も発売日に
買いました。

衛星劇場でオンエアした『赤線の灯は消えず』についても書かれてますが、
これも私が今月最初に見た作品ですね。私ですが昭和20~30年代のレ
トロ風俗にも興味持ってまして赤線、青線、トルコ風呂、浅草ストリップ、
コールガールなんかが研究対象です。
(自宅から徒歩数分の所が旧赤線街で独特のカフェ建築や三階建ての木造
遊郭なんかがまだ残ってますね)

しかも私が幼少のころ住んでいた家の近所に赤線の女性を社会復帰させる
更生施設があったと母親から聞いてましたので、この映画には特に興味持
ちました。
(野添ひとみが赤線従業員を演じたのは驚きですが)

それはともかく、大先輩のさすらい日乗様からのコメントですから非常に
驚いてます。一つ一つレスをお返しするのもどうかと思いまして、こちら
でまとめてレスさせて下さい。

私の場合はご覧のように個人投資家の端くれとして日々の様々な出来事や
投資の失敗、成果を記しているわけですが、たまに雑ネタ、暇ネタとして
趣味のレトロ日本映画や映画スタアについてミーハー的に書いていたわけ
です。

したがってあくまでミーハーの立場でありまして、まじめに日本映画の
研究をしてらっしゃる方々からは、ややもすると軽率、無定見のそしり
は免れないかも知れません。それらを承知の上で楽しんで下さればと思
います。

またさすらい日乗様の最新記事「メロドラマの作りにくい時代になる『あ
の橋の袂で』」を楽しく拝見しましたが、私が作成したブログの写真を使
っていただきましてありがとうございます。必要でしたらスナップショッ
トに掲載したスタアの写真も使って下さいませ。

>島崎の結婚相手は島崎が結婚したのは、あの神代辰巳で、当時は松竹
>京都の助監督でした。神代によれば、彼の給料は、島崎の運転手より
>も低かったそうです。
私は学生時代にロマンポルノも見てましたから神代作品の世話にもなっ
たと思いますが、島崎雪子を嫁にしていたとは驚きました。島崎雪子に
ついては最近ですがDVD「日の果て」をゲットしてますし、数日前に
「かくて夢あり」の入手にも成功しました。これから見る予定です。

>大変な人気でしたね。
>大河ドラマ『三姉妹』で、岡田茉莉子、藤村志保らと共演し大人気に
>なりました。
確か私が小6の時ですが見てました。子供ながら岡田茉莉子はいい女だ
なぁと思いながら見た記憶はありますが、残念ながら他のお二人は記憶
にありません。栗原小巻をはっきりと記憶しているのは竹脇無我と共演
した民放のテレビドラマですね。

>また、ATGも「芸術エロ」作品でヒットを生むことになります。
私の同級生の女(京大卒)がATG作品でヒロインを演じて脱いだと別の
同級生から聞きました。DVDも出てますが同級生のハダカを見るのに
抵抗があって私は見てませんけど。(映画の題名も忘れました)

それとATG女優では魔性の美女、島村佳江が好きですね。あとで韓国籍
と知りましたが、そう言えば典型的な韓流美女の顔立ちです。

>狐は被差別民のことで、彼女と貴族の男との敵わんぬ恋なのだそうで
>す。
それは知りませんでした。そのようなメッセージが込められていたので
あれば、私が想像した以上の骨太な作品ですね。この映画は凄いと思い
ます、ほんと。

>嵯峨三智子の狐は、本当にぴったりですね。
なんか私が子供の頃のスキャンダラスなイメージが先行して、なんとな
く避けていた女優なんですけど、昭和30年代の作品は悪くないですね。
蛇姫様なんかお富士ちゃんかと見間違えるほどでした。(笑)

>公開時に見ています
>かなりいい映画でした。
>この頃、石原裕次郎もムードアクションに転向していて、他社から女
>優を借りていました。
>浅丘ルリ子らとは、もうマンネリで、そこで、浜美枝、星由里子など
>を借りて作っていました。
私もずいぶん前にオンエアを見てるのですがすっかり忘れてしまいまし
て、最近ようやく私と親交のある日本映画の大御所から映像ファイルを
入手してますので、いずれ桑野みゆきスナップショットの題材に使おう
かなんて考え中ですね。

ではこれにて失礼します。今回のコメントありがとうございました。



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