花椿です。
悲恋映画を見た。 新東宝が昭和30年8月に封切った「花真珠」だね。 出ど
ころはスカパーの有料映画チャンネルだ。 かなり期待したので珍しく録画では
なくてリアルタイムで見た。(録画しながら)
思うに、少し前に見た川島雄三監督の「飢える魂」も重厚なメロ映画ではあった
けどヒロイン役の南田洋子が最後の最後まで不幸な境遇のままで終わった。 悲
恋物映画はこんな終わり方もあるよ、と教えられた感じもするが、あと味的に多
少やりきれなさが残ったのは事実。
その点では「花真珠」は同じ悲恋物であっても別の意味でややシラけた。
(男女関係としてこんなのあり?という疑問が消えない・・・)
主演は宇津井健。 これはいい。 一方のヒロイン役は日比野恵子という女優な
んだがミス日本にしてはあまりエロス感がなくてガッカリ。 この人が出た映画、
何本か見てるはずやけど印象に残ってないのはそのためだろうかね。
個人的には日比野恵子よりも準ヒロイン役を演じた島崎雪子の方が断然いい。
男によっては好みの差はあるだろうが、俺なんかはこの映画を見てから島崎雪子
の評価が赤マル急上昇だ。 とにかく美人でムンムンするようなエロス感。 た
まらんね。
ストーリーは戦時中にさかのぼる。 皇室の香川宮の令嬢(日比野恵子)が病気
療養のため縁のある農場にやって来る。 そこで技師をしていた宇津井健と両思
いとなってしまうが、相手は皇女。 深い関係とはならず宇津井は外地へ出征し
た。
日比野は体調が回復せず宇津井と再会を望みながらも仏門へ入ることになった。
その後、宇津井が復員して農場へ戻って来たものの、日比野は去ったあと。 結
局、宇津井は船で知り合った女(島崎雪子)に誘われて密輸団で犯罪に手を染め
る。 それで得た金を日比野のお寺に寄進するわけである。
最後は警察に逮捕されながらも刑の執行を猶予された宇津井は断髪式の日に日比
野と今生の別れをするんだが、実は宇津井はとっくに島崎と男女関係になってい
た。 だからお寺を出たら島崎と二人で日比野を見送ったあと、これが僕たちの
運命なんだとか言いながら手をつないで帰るところで映画が終わった。
これがよくわからん。 とっくに好きな女がいて深い関係になっているのに、わ
ざわざ昔の女と今生の別れをしに行ったのか? 上の方でも書いたように、男女
関係としてこんなのあり?という疑問は消えないのである。 ただ途中までは確
かにメロ映画として盛り上がったのは事実。 最後の最後に落とし穴に落ちた気
分だよ。 ヒロインが心の恋人を別の女に取られたも同然の終わり方だもんね。
□写真1
「花真珠」封切前の雑誌広告。 宇津井健と日比野恵子。
□写真2
宇津井健と日比野恵子。
□写真3
島崎雪子。
□写真4
宇津井健と島崎雪子。 最後の場面。 どちらが本当のヒロインなのかよくわか
らん。
じゃ、またね
2019年3月4日、朝4時35分記。
神代によれば、彼の給料は、島崎の運転手よりも低かったそうです。
神代は非常にもてる男で、小林旭の「渡り鳥シリーズ」の時、チーフ助監督の彼は地方に先乗りして手配をするのですが、ロケ隊が来るときには、そこの女は全部神代のものにされていたそうです。
本当でしょうかね。
阿部は、ハリウッド帰りのバタ臭い監督でしたが、戦時中は反米になってしまい、戦後もずっと右翼的でした。
また、この人は大変な高給で、日本の映画監督で初めて車に乗ったと言われいましたが、女性問題をたびたび起こした相当に問題のある男です。
まあ、こう考えると、あの台詞は自己弁護のように思えるのですね。いかがでしょうか。
丹波哲郎の本によれば、晩年は相当に落ちぶれていたとのことです。
日比野恵子は、後に松竹に移り、篠田監督の『恋の片道切符』などに出ていますが、台詞に問題がありますね。