阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

政治家のカリスマとは?

2007年01月13日 01時20分14秒 | 政治
先日、いつも素敵なコメントを下さるウクライナ人のNさんから、ウクライナの政治とオレンジ革命についてのコメントを頂きました。

http://blog.goo.ne.jp/xday0321/e/87a1f710e7d6f23edc75c476e02ed6a9

志を同じくし、祖国のために闘う仲間が活動中に知り合って結婚する・・・。何だかロマンティックでいいですねえ。私は「民主化支援」をテーマに活動していることもあって、いろんな活動の現場を見る機会に恵まれました。崇高な理想を共有し、ともに闘う仲間に特別な感情が芽生えることは、自然なことだと思います。

各国の民主化運動の中でとても印象的だったのは、1996年2月、および3月に見たビルマでの人々の姿です。当時私はビルマの視覚障害者の学校を支援する活動をしていましたが、同じ頃、民主化運動の指導者・アウンサンスーチー氏が毎週末、ラングーンの自宅前で対話集会を行っていました。1990年の選挙でスーチー氏が率いる国民民主連盟は485議席中392議席を獲得しました。にもかかわらず、軍事政権は政権を移譲せず彼女の自宅軟禁状態が続いていましたが、6年目のこの時期、一時的に軟禁が解除されていたのです。

私はこの対話集会に4回参加しましたが、灼熱の日差しの下、スーチー氏が現れるまで何時間も待っていた支援者の人々は、いつも温かい微笑みで外国人である私たちを前方に案内してくれるのでした。公安や密告者が大勢いる中、その場に参加すること自体が本当に命懸けであるにも関わらず、支援者の人々の瞳には、スーチー氏に寄せる信頼、希望、そして自らの勇気が宿っていました。そしてスーチー氏が持っている凛とした美しさ、そして志の強さは、そんな多くの瞳に照らされて、さらに輝きを放っていました。命懸けの活動でありながら、やさしさにあふれた何とも言えない美しいオーラを感じる空間でした。

スーチー氏のスピーチをビルマ人の友人に訳してもらったのですが、彼女は子供の頃からマハートマ・ガンジーに傾倒していて、イギリスから独立を勝ち取ったガンジー主導の無抵抗運動について、本当に詳しく語り続けていたそうです。「時間はかかるかもしれないけれど、インドの人々にも負けない勇気と叡智を結集して、一緒にビルマの未来を作りましょう! 絶対に暴力に訴えてはいけません」スーチー氏は繰り返し語りながら、同時に、あらゆる質問にもわかりやすく応えていました。

スーチー氏はまた、軍事政権を潤す結果になる海外からのODAの凍結なども訴えていました。当時、私の大学の後輩が大手商社の駐在員としてラングーンにおり、「あのババアのせいで商売が上手くいかないんですよ」と嘆いていましたが、私は彼の言葉に強い違和感を感じました。

政治家のカリスマ、そしてオーラとはどのようにして生まれるのでしょう。自分に命に代えてでも、人々の尊厳を、命を守る。自らの権力のためではなく、人々の未来のために自らを捧げる。そんな駆り立てられるような思いで人々と連帯する使命感の中からだと思います。それは、親が政治家であるというだけの理由で地盤を継いだ2世議員には決して持ち得ないものだと思います。


 写真:自宅前で対話集会を行うアウンサンスーチー氏(1996年3月撮影)

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5 コメント

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マーティン・ルーサー・キング記念日 (阪口直人)
2007-01-19 09:22:52

 「記念日」について「残業代なし=少子化対策?」のトピックに三高さんとNさんがコメントを書いて下さいましたが、1月16日は「マーティン・ルーサー・キング記念日 (Martin Luther King, Jr. Day)」だったのですね。ブッシュ大統領が制定した新しい休日で、「宗教の自由の日」として2002年に定められたそうです。宗教の名の下に繰り返される戦いは、二度とあってはいけない、という精神を尊ぶための記念日だそうです。

 そんな日があったのか、ブッシュ大統領もたまにはいいこともするんだね・・・! と一瞬思いかけましたが、実際に彼がやっていることは、このような理念とは対極。行動と言葉がまるで一致していませんね。何だかキング牧師の思いが人気取りに利用されたみたいで、やっぱり美しくないなぁ。

 今日はこれから松沢神奈川県知事を訪問してきます。


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Unknown (カフェラテ)
2007-01-14 22:53:53
言葉と行動がともなう事がカリスマの条件と三高さんがコメントされていますが、マーチンルーサーキングのスピーチ,I have a dream が頭をよぎりました。あまりにも有名なスピーチですが、どれほど多くの人々を勇気づけたかと思います。ゴスペルになり、ソウルになり、ラップになり多くのミュージシャンにも歌われ愛され続けるスピーチ。ベトナム戦争に反対していたキング牧師、もし彼が生きていたら現在のアメリカを見てどんなスピーチをするのでしょうか。聞いてみたいです。
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Unknown (N)
2007-01-14 18:16:21
三高さんの解説も興味深く読ませて頂きました。とても参考になりました。また、辞書を調べたら、「カリスマ」は「神より特別に授けられた才能」、「指導力」、「ギリシャ語で「恩愛」」と言う意味で説明されていました。
これらは全部阪口さんに当てはまるように思います。
一昨年の8月の選挙を拝見させて頂いたことがありましたが、阪口さんの抜群の指導能力に感心しました。応援者たちとの連帯感があって、皆が気持ちよく楽しく活動していて、とても素晴らしい雰囲気でした。その時の阪口さんの演説も聞く機会があって、阪口さんは発する特別なオーラーが暖かい日差しのようでした。このブログも、美しい文章で面白い内容で書かれていて、人の関心を集める能力にいつも感心しています。
「恩愛」で言うと、地球中の助けを求めている国へ行かれたそうで、人の痛いところに敏感でこの言葉もびったりのような気がします。
また、坂口さんのブログや三高さんのコメントで登場する偉大な人物と直面する機会があったことも偶然ではない、特別な運命のようで、使命を果たすための出会いのようにも思えます。
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カリスマとは・・・ (三高 章)
2007-01-13 22:41:41
カリスマという言葉を聞きますと、私の場合はそれすなわちチェの名前が上がってしますのですが、この人物のことはすでに何度かこのブログでも書かせていただいておりますので、ここでは触れないことにしておきます。

さてカリスマとはいったい何でしょうか? 
チェを例にして言えば、米国の側から見ればこれは単なるテロリストとしか見られないかもしれませんし、スーチーさんにしてもビルマの体制側からすれば反逆者以外の何者でもないでしょう。
立場が異なれば、同じ人物の見方もずいぶんと異なるもので、そこにはある種の危険性が潜んでいることにもなりますね。
北朝鮮では金正日がカリスマであるかもしれませんし、我が国でもオウム真理教の信者にとっては麻原彰晃がカリスマとなるのでしょう。

怖いのは情報操作などで作り上げられたカリスマの出現ということでしょう。
私達はカリスマの虚像と実像をしっかりと見極めなければなりません。

シャナナ・グスマンという人がいます。
東チモール解放の英雄です。この人の行動や言動を知れば、それはチェにも劣らないほどのカリスマと見ることも私には出来ます。
阪口さんは、シャナナとはカンボジアでの活動を通し、その関係も浅からぬものと思います。
私は映像などを通して知るのみですが、それでもその身体から発するオーラのようなものにカリスマ性を感じてしまうのですが、その実像はどのようなものなのでしょうか?
大変に興味を惹かれる部分です。

私はカリスマの定義のひとつは、‘詩人’であることではないかと思っています。
‘詩人’すなわち発する言葉の美しさは、カリスマとしての大きな要素でしょう。
チェにしてもシャナナにしても、彼らの発する言葉の持つ美しさは、本当に心を打つものがあります。
スーチーさんのスピーチの内容を私は知りませんが、おそらくはそれも民の心を打つようなものであると想像することが出来ます。
行動だけでも、ましてや言葉だけでもなく、行動と言葉がともなうことがカリマスの条件となるものでしょう。

ひるがえって日本の政治家の中に、カリスマ性を秘めた議員がいるでしょうか? それは過去に遡ってもすぐには名前が浮かんできません。
むしろ候補者であるN.Sさんこそにそのカリスマ性を見出しているのは私だけではないでしょう。
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Unknown (N)
2007-01-13 18:12:06
私のコメントを褒めていただいて、光栄です。「カリスマ」は大変興味深いテーマで、阪口さんのこの言葉の解説が、そしてそこから見えてくる志が本当に素晴らしいものですね。

ウクライナではしばらく良い大統領がいませんでしたが、今の大統領ユシチェンコ氏が本当に素晴らしいリーダーで、阪口さんの言うようなカリスマ的な要素を持つ人で、自慢したくなります。スーチー氏のように、なかなかない尊い存在だと思います。良い大統領になるとこんなにも国の雰囲気が変わるのかと、去年ウクライナに帰った時に心から思っていました。今までいつもロシアに従うような人しか選挙で勝てなくて、命を失う危険をおかしても、ユシチェンコ氏が勝てて本当に奇跡的だったと思います。ウクライナは何百年ぶりに独立出来て、ウクライナの民族性や国民の幸せを一番に考えている人が勝てて、「正義は必ず最後に勝つ」という言葉を信じるようになりました。
でも独立への道が本当に長くて、夥しい犠牲者も出ました。1932年ー1933年にあったスターリンによって作られたウクライナの飢餓で約800万人のウクライナ人が餓死しました。一年で国の人口の4分の1が死にました。その時にまだウクライナはソ連に入っていて、独立運動を止めさせるために国規模の命令で収穫や家畜が没収されて、他から助けが行かないようにしこまれていて、いつも食べのが豊富なウクライナはこんな残酷なやり方で独立運動を止めざるをえませんでした。今年それの75周年で、ウクライナのニュースでだいぶ取り上げられています。

日本もアメリカが広島と長崎に原始爆弾を落としたことによって夥しい犠牲者が出ましたね。これもけっして忘れてはいけない事実だと思います。ウクライナ対ロシア、日本対アメリカ、どこかにているような関係に思えます。二度とこのような残酷なことが繰りかえさないよう、していきたいですね。

阪口さん、高い志を持って勝てるように頑張ってください。応援しています。

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