「熱闘」のあとでひといき

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春シーズン雑感(その4)/普段着の戦いからみえたもの

2013-07-16 23:22:49 | 関東大学ラグビー・リーグ戦
普段は関東リーグ戦グループのラグビーを中心に生観戦を楽しんでいる私。けして対抗戦Gが嫌いだという訳ではない。リーグ戦Gの8チームの試合を優先して観戦スケジュールを組むから、トップリーグも含めて他の試合を観に行く時間がなくなってしまう。

それと、席の移動もままならない満員状態が苦手というのもある。せっかく目の前のプレーに神経を集中させたいと思っているのに、「同じことを街中で面と向かって言えますか?」と詰問したくなるようなレフリー批判や選手に対する誹謗中傷を耳にするといたたまれなくなってしまう。せっかく入場料を払っているのだから、ラグビーは気持ちよく観たいものだ。だいいち、初めて観戦に来た人は、スタンドから容赦なく発せられる心ない怒号を耳にしたら、リピーターになってくれるだろうか。元来、ラグビーはピッチ上だけでなく観客席にもイエローカードは不要のスポーツだったはずだ。

ついつい話が逸れてしまった。春シーズンの楽しみの一つは、普段はテレビでしか観ていない対抗戦G所属チームの試合を観ることができること。とくに、2T(帝京と筑波)の台頭が対抗戦Gを活性化させている。時間があったらこの2チームの試合も極力観たいし、実際に春も他のリーグ戦G絡みの試合をうっちゃって百草園に行ってしまった。本シリーズの最終回として、対抗戦Gのラグビーのことにも触れてみたい。

◆対抗戦グループ雑感

春シーズンでは上位5チームのうち、慶應以外の4チームの試合を観戦した。ちなみに帝京と早稲田は2試合ずつ観ている。既に土台ががっちりとできあがっている帝京を除き、他の3チームはまだこれからといった状態ではあるものの、最近とみに顕著になっているリーグ戦G校との格差はなかなか縮まらないというのが率直な感想。とくにBチーム以下の試合で明確になる選手層の違いは如何ともしがたく、この差を埋めるのは容易ではなさそうだ。

ただ、対抗戦G内でも実力差は徐々に拡がっていく傾向にあるようだ。リーグ戦Gの中下位チームに圧倒された3校と上位5校の間だけでなく、上位5チーム間でも格差が明確になりつつあるように見える。長期的な指導体制のもと着実に強化が進む帝京と筑波に対し、短期間で指導者が交代し1年1年が勝負のような状態になっている早慶明3校の間の力の差は徐々に開いていくのではないだろうか。何となくだが、本調子ではなかった早稲田や明治を観てそんな印象を受けた。

今シーズンは日程的に、筑波が前半集中型で厳しい戦いを強いられる形になるが、逆に早慶明も筑波対策を練る必要がある。この辺りの影響が各チームの終盤の戦いにどのように現れるかにとくに注目したい。

◆大学ラグビーは帝京1強時代へ

帝京の試合を百草園にあるホームグランドでじっくり見てみると、このチームは今まさに上昇スパイラルのまっただ中にあるという印象を強く受ける。チーム強化に向けて、いろいろな面でいい方向性が生まれていると感嘆せざるを得ない。目標を日本選手権4強と高く設定することで、チーム一丸となるモチベーションが生まれている。また、標榜する「スタンディングラグビー」だが、意図するところは(表向きはスピーディーで無理や無駄のない継続ラグビーだが)寝込むことを極力なくすことで反則を取られないようにするところにあるのではないだろうか。このことは、シーズン終盤の戦いで活きてくるはずだ。

あと、帝京で注目したいのは6月30日の早稲田戦での戦い方。この試合は観ていないし、推測でものを書くなというお叱りを受けることを覚悟の上で推測してみる。帝京の目指したところは、表向きは対抗戦Gで優勝争いをすることになるチームと戦うことによる春シーズンの締めくくり。だが、実態は早稲田を必死にさせることが目的だったのではないだろうか。意図するところは、現段階で早稲田のチームや選手個々の能力を把握しておき、来年以降のことも含めて対策を練ること。そのためにも相手が一生懸命になってくれることは願ったり叶ったりだったはず。帝京は相手の力を引き出すのが上手いチームという印象があるので、そんな戯れ言を考えてしまった。

◆帝京方式がすべてか?

帝京のチームの在り方には賞賛を贈るしかない状況。だが、他に方法はないのだろうか? 大学チャンピオンを目指すすべてのチームが帝京と同じ方法で強化を図ったら、日本の大学ラグビーはどうなるのだろうか? 例えばのはなし、少数精鋭でかつなるべくコストがかからない方法で強いチームを作ることは出来ないものだろうかと考える。帝京が組織的に取り組んでいることをお手本として、個々の自主的な管理のもとにチームを強くすることはできないのだろうか。

もちろん、帝京の目指すところは「組織的な取り組み」ではあっても「締め付け」ではなく、「己に克つ」ことを最終目標とした自主管理だと思う。ただ、この状況を確立するためには長い長い時間がかかったはず。そういった意味でも、対抗戦Gでは筑波、リーグ戦Gでは拓大に注目していきたいと考えている。
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