ウッドチャック一家のヤドカリ生活

アメリカンロッキー山脈南部に棲むウッドチャック一家のRV キャンピングカー旅行& DIY記

ザ・コーブを観た。

2010-06-20 | その他
日本では上映中止がニュースとなっている太地町のイルカ漁を追ったドキュメンタリー映画 「ザ・コーブ」{THE COVE}のDVDを町の図書館から借りてきた。本当は今年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、オスカー受賞の本命とされていた「フード・インク」(FOOD, INC.) (アメリカの食品産業の実態を暴いたドキュメンタリー映画。)を見たいのだけれども、図書館の予約リストには十数人の人々がDVD鑑賞を希望しており、いつになったら見られることになるのやら?たぶん途中でDVD紛失か傷だらけになって見ることができないのだろうなぁ?そこで代わりに誰も鑑賞希望を予約していないですぐに借りることができたザ・コーブを観ることにしたのだった。
予めパパチャックの立場を明確にしておく。持続可能であるならば(別の言葉で言えば、その対象種を絶滅に追い込まないのであるならば)、鯨だろうと、イルカだろうと、犬だろうと、猫だろうと、昆虫だろうと、他人の食文化に口を出すべきではない。
さて、映画を観た感想だが、上に述べたように、僕の立場はこの映画製作者とは相容れないにもかかわらず、結構面白く惹きこまれて観てしまった。リック・オバリーという「わんぱくフリッパー」(僕も子供の頃楽しく見てたアメリカテレビドラマ)の元調教師が主人公。ドラマ撮影のあまりのストレスのため彼の腕の中で生き絶えた(彼は自殺したと言っている。)フリッパー役の一頭のイルカの死から、そして大流行したわんぱくフリッパーの影響で世界中にイルカショーが普及し、それがイルカたちを苦しめているということから、囚われているイルカたちを救出するという使命に燃えている筋金入りのイルカ保護運動家。彼にとっては日本の太地町がナチスのアウシュビッツ収容所のように思えてならない。太地町のイルカの追い込み漁という、僕に言わせれば実に合理的な漁法でイルカを小さな入り江に追い込み、バンドウイルカ(わんぱくフリッパーで有名になったくちばしの長いイルカ)は生きたまま捕獲して、世界中の水族館、イルカショーへ高値で売り、その他のイルカたちは食肉として年間2万頭以上のイルカが殺されている。
この太地町のイルカの追い込み漁を撮影して、世界に知らせようというオバリーたち、そして撮影させまいとする太地町の漁業関係者との対立。そこへオバリーの運動に共鳴して世界中から駆けつけるフリーダイバーの世界記録保持者や、特殊撮影の専門家など。真夜中に暗視カメラで水中マイク、水中カメラ、岩に偽装したカメラなどを仕掛けに行くシーンなどは結構ハラハラドキドキ。そしてついに追い込み漁の盗撮に成功する。盗撮とはいえこれが結構綺麗に撮れているのだ。水中カメラが海中を映し出しているが、この水中シーンが急に真っ赤に血で染まる。そして岩陰の固定カメラからは淡々とイルカの群れをモリで突く漁師たちを映しだす。入江は真っ赤な血に染まり、尾ビレ痙攣させるイルカがとても印象的。とにかく映像に映し出された真っ赤な血というのは残虐で影響力があるよね。でも動物を食するというのは結局そういうことなんだよね。僕たちは今スーパーで売られている血抜きのされたパックの食肉を購入して食べているわけだけれども、その見えない裏側では場で牛や豚が殺され、たくさんの血を流しているんだよね。こういうのを知りたくて、フード・インクを見てみたいのだけれども。
まぁ、それはさておき、この映画製作者達の主張で一番理解出来ないのは、イルカはとてもインテリジェンスで知能が高く、特別であるという考え。リック・オバリーにとってイルカが特別な存在というのはよくわかるのだけれども、でもそれを他人に押し付けられるような普遍的な理論にはなりえないと思うんだけれども・・・・・・これはどうも宗教観の違いから来ているのかなぁ?キリスト教では人間というのは神に似せて作られた特別な存在で、その人間に知能的に近い、もしくは人間よりも知能が高いと彼らが思っている、イルカや鯨はこれまた特別な存在で、それをこんな残虐な方法で殺すなど許せない。と言うのが彼らの主張のような気がする。でも僕たち日本人(パパチャックは日本で暮らしていた時には正月は神社かお寺に初詣に行き、結婚式は神前で、でもクリスマスもケーキとプレゼントで楽しみ。と言うごく平均的な日本人の宗教観を持っているのだと思うのだが。)は人間もこの生物界の一員に過ぎず、そして生きていくためには他の命を(それが動物であろうが、植物であろうが)犠牲にしていかなければならない罪深い存在で、そのため僕たち日本人は食事の前には「(他の命を)いただきます。」と言って手をあわせてから食べ始めるわけで。そんな日本人にとってはどうしてクジラやイルカだけは特別なんだというのは到底理解出来ない。
このクジラやイルカだけは特別だという欧米人の考え方が、現在の水産資源管理のあり方を歪めていると思う。今イルカや鯨よりも絶滅の危機に貧している水産資源が沢山あるでしょう。国際捕鯨委員会などは解体して、もっと大きな国際水産資源管理委員会などの枠組みに持っていかなければならないと思うのだが。
日本人に対して一番訴求力があるのは水銀濃度の点だけかなぁ。確かに歯鯨類は食物連鎖の上位に位置しているわけだから、水銀もだいぶ蓄積しているだろうし、でもマグロもかなり上位だからね。まぁ、歯鯨類よりは食物連鎖下位の髭鯨類を食べた方が体に良さそう。

日本人としてとても残念なことは太地町の人々がこのイルカ追い込み漁を秘密にし、撮影を許可せず、執拗に撮影を妨害すること。何年も前からこの追い込み漁がイルカ保護運動家達によって妨害されてきた経緯から、撮影させまいとする気持ちも理解できないではないが、それでも正々堂々と胸を張ってこの一見残虐な漁を快く撮影させるべきだったと思う。そうであればこのドキュメンタリー映画もサスペンスタッチのこんな面白い映画になることはなかっただろうし、アカデミー賞でオスカーを取ることもなかっただろう。(それ以前にノミネートもされなかったのじゃないかなぁ。)

映画を見終わった後は、5.7kgの豚の塊肉をミンチにし、羊の腸に詰めてソーセージを作る。う~ん、これがライフだ。

ヘロンレイク州立公園(4)

2010-06-01 | カヌーイング


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今日は午前中の間だけカヌー。キャンプ場近くのWillow Creek ボートランプから出港。ヘロンレイクのメイン湖面へは向かわず、上流側へ向かう。最初に間違えて入った入江は行き止まり。引き返してもう一つ先の入江を遡る。この上流側の湖面はおもったよりも広い。




時間が来たので途中で引き返して、ボートランプに戻ったときにはもう午前11時。キャンプ場へ戻り、トレイラーをしまう準備と昼食。キャンプサイトを後にし、ダンプステーションで排水を捨ててから、帰路に着く。
途中高台から遠くに山火事の煙が見える。どうもヘメス山で山火事らしい。ロスアラモスに近づくと、町は山火事の煙で煙っている。家に到着してからインターネットで調べると、ヘメス山のフェントンレイク州立公園の近くで山火事。メモリアルデーウィークエンドにキャンパーがキャンプ場以外の場所でキャンプし、立ち去った後にキャンプファイヤーが燃え広がったらしい。フェントンレイク州立公園には避難命令が出されていた。