「前」 蕨市議会議員 おおしま公一活動報告

2015年5月31日。まさかの落選を果たした?「前」蕨市議会議員おおしま公一の修行の日々をお伝えしていきます。

会派視察 大分県豊後高田市 学びの21世紀塾

2014-05-30 06:00:00 | Weblog
5月30日~31日の日程で、民主党蕨市意義団の行政視察を実施いたしました。

視察地は大分県豊後高田市。視察テーマは、「学びの21世紀塾」でした。

大分県豊後高田市では、2002年度(平成14年度)より、教育のまちづくりの一環として「学びの21世紀塾」を開講しております。学校週5日制がはじまり、休日となった土曜日の子どもの居場所づくり、充実した活動の提供にも応える等の趣旨から開始されたものとのことでありました。

いわゆる学校の授業の補完として、小中学生の学習支援を行うことが事業の内容であります。

蕨市でも昨年度より「わらび学校土曜塾」を隔週土曜日で、小学校3年生~6年生の児童を対象に実施しています。また、埼玉県でも生活保護受給世帯の中学生を対象に、「アスポート」という同趣旨の事業を展開されているところであります。

子どもの貧困率が上昇していく中で、保護者の所得により子どもの教育機会が左右される「途上国化」とも言える状況下で、公的な学習支援事業は、重要性を増しているものと考えます。

しかしながら豊後高田市の「学びの21世紀塾」に特徴的な点は、講師が教員OBのほかに、市職員、県職員、学習塾経営者、Iターンした元大学教授、海外生活が長く英語教育に能力が高い方、元そろばん塾経営者、教員志望の学生等多彩な人材が務めている点であります。しかも、交通費程度の謝礼のみを支払うとのことでした。

実際に講座も見学をさせていただきました。

学校の教科の補習的な内容に加えて、理科の実験、高校受験向けの数学・英語の授業、学校のパソコン室を使用した授業等バラエティに富んだ内容となっていました。

スポーツにも多彩なプログラムを有しており、現在では市内の中学校野球部が全国大会で優勝をする、少女バレーボールクラブが全国大会に出場をする等の成績を残しているとのこと。

これら講座の受付、名札等の配布を参加者の保護者の皆様がされている(しかもボランティアベースで)点も印象的でした。この事業を地域全体で支えていることが伺えます。

市内の学習塾との競合、いわゆる「民業圧迫」も懸念をされるところですが、学習塾経営者の方が講師を務めている講座で、受講生が授業の分かり易さに影響されて、その学習塾に通うという効果も出ているとのお話でした。

元々、過疎地域でもあった豊後高田市で、ゆとり教育の弊害が叫ばれる中、「少子高齢化の影響で、このままでは都市部との教育格差が広がり、子どもを持つ生産年齢人口が市外に流失してしまうのではないか?」との懸念が市民の間に広がり、この事業の開設に繋がったとの経緯があるようです。

また、事業開始前の全国学力調査で、豊後高田市が県内ワースト2位というランクであったことも、危機感を醸成したとのことでもありました。

この事業を主導し定着させたのは、事業開始当初市教委課長であり、現教育長の「河野潔」氏でありました。「行政・地域・学校・家庭が一体となって、子どもの「夢」の実現を目指す取り組み」を掲げ、地域に巻き起こった「本気の連鎖」が、全国的にも知られるこの事業を作り上げたと言えましょう。

文部科学省では、土曜事業の開始も議論されている中、下村博文文科相も当地を視察され、豊後高田市の方式を推奨したい旨の発言もされた様であります。

蕨市でも今年度より、市内全小学校での土曜塾がスタートしております。「豊後高田モデル」から取り入れられる点を、提言していきたいと思います。


<写真:理科の実験に取り組む講座の模様>