某ファンサイト管理人の音楽随想記

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「あなたの行く朝」-加藤登紀子

2008年02月03日 | ♪国内 -女性


「あなたの行く朝」-加藤登紀子
作詞/作曲:加藤登紀子 編曲:告井延隆(※)
(シングルは1976年11月21日発売)
※告井さんはセンチメンタル・シティ・ロマンスの方であり更に元は「乱魔堂」。
昔、加藤さんと一緒にハイジャック未遂事件に遭遇して話題になりましたよね(^^)

「覚悟」を迫られない時代なんだと思う。
だから、みんな
「覚悟」をしないでいい社会なんだと思う。

少年や青年から、一人の男性になる事への覚悟。
少女や乙女から、凛とした女性になる事への覚悟。

(誰でもなれる単に年齢的を重ねただけの大人ではなく)
精神的に成熟した大人になる事への覚悟。
つまり、生きている不条理、を受け入れる覚悟。

人を愛する覚悟、受け入れる覚悟。
自分をそのまま受け入れる覚悟。
仕事に就く覚悟、辞める事への覚悟。
結婚する覚悟、子供を持つ事への覚悟。
きちんと年老いていく覚悟・・・

・・・でも実際は
「何となく」毎日が流れ去って行くのだ。

「モアトリアム」の時代という言葉が話題になった。いつまでも先延ばしして自分のアイデンティティを確立しない事を指したように思う。現代は、正にそんな時代になったのだ。でも人生には受験や就職など、大きな転機や進路を迫られることは幾つかある。実は何気ない日常だってささやかな決断の連続なんだ。目覚めていつ起きるかからはじまり、何時に家を出るかとか、ね。だから実はささやかな覚悟が不断に求められているのだ。本当はそれに気がつくかどうかで随分人生が違う。

こんなに「覚悟」を迫られないでいい時代は一見楽そうである。なんとなく学校に行き、何となく就職して、何となくそれも辞めて、何となく誰かと一緒になって、何となく籍を入れて、何となく別れて・・・そして・・・なんとなく・・・そして・・・。繰り返し。全てなんとなく生きていても特に社会から表立って責められる事がないのが現代だ。

でも本当はとても不幸な時代なんだと思う。

だって「覚悟」するという事は自分を支える”杖”を持つという事。「覚悟」があれば、いつもその「覚悟」という支えは自分の内にあるのだ。現代はそれなりに豊かになった反面、心が病んでいそうな人が増えているように感じるのは私だけであろうか?もちろんその背景にはいろいろな要素が多層に織り成していて単純ではないのかもしれない。ただ、私にはこの「覚悟」を迫られない時代の空気が、却って人を追い詰めているような気がしている。他人にも拘束されない上に、自分で自分を縛る事もない人は、実は漂うだけの「根無し草」状態・・・。心はどこへでも漂い、ただ流されて行くだけだ。すがるべきものが自分の内に無いのだ・・・。

こうなったのはきっと今の大人世代がつらく厳しい事を避けてきたからだ。いやそもそも本当の意味での「大人」がとても少なくなったような気もする。・・・
・・・ここを読んでもし”ふんふん”と納得した人いたら・・?実はね、今の時代や自分がこうなった理由を「他人のせい」にするのなら、その考え方にも一因があるんだと思いますヨ・・・(^^;。

この曲は、学生紛争の余韻が残る時代の歌です。この唄の主人公は異国に理想郷を求めたのか、あるいは貧しい人々を救うためなのか、家族や恋人を残して異国へ旅立とうとする唄です。あの時代、海外渡航の費用も今とは桁違いだし、有線の電話や手紙しか通信手段がない時代、電話は高いコストのため殆ど利用する事ができない時代でした。だから異国へ行くと言うことは今生の別れに近いものがあったように思います。

この主人公は、日本を捨てる「覚悟」で異国へ赴こうとしています。途中の語りの部分で私は"泣きながら好きな歌を次から次へと繰り返し歌う"この人の「覚悟」の高さに心を打たれます。いつもここで胸が熱くなります・・・。泣けます。

余談ですが、私はこの歌詞の「あなた」がさだまさしさんの「風に立つライオン」のモデルとなった某医師といつもだぶります(笑)。もっともそれは私の完全なるイメージの世界ではありますが、でもこの方だって相当の「覚悟」を持って旅立たれたのは間違いないと思っております。この「あなたの行く朝」と「風に立つライオン」は、私の中では人の繋がりという意味で完全に一対となっております(笑)。

ps
こんなエラソーな記事を書いている私ですが、でも私も例えばBLOGをずっと続けていく覚悟を持っているかと尋ねられると・・・だったりします<おいおい(^^;。

全曲集「百万本のバラ」

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